株式会社ディーアンドエムホールディングス
Google Apps で世界各国・地域に展開するグループ会社をつなぎ
コミュニケーションの活性化とともにコストを半減。
グローバルアドレス帳を持ちたい!
デノンと日本マランツの両社が経営統合し、2002 年に誕生したディーアンドエムホールディングス(D&M)。その後、同社は 6 年間で欧米の AV 機器関連の 9 事業を買収し、日本をはじめアメリカやヨーロッパ、アジアの主要国に製造、販売拠点を擁するに至っている。矢継ぎ早の M&A によりシステム統合が追いつかず、世界に散らばる企業グループ内で複数のメールサービスを利用する状態が続いていた。
「D&M グループ全体でメールシステムを共有できなかったことが大きな課題でした」と同社 CIO の山城 隆宏氏は言う。
当時のメールシステムでは、日本および香港と中国の拠点しかカバーできず、欧米などグループ会社に所属するスタッフのメールアドレスが作成できなかったのである。
したがって、社長がグループ会社の従業員全員にメールを送信したくてもできないという事態が生じた。
また、メールシステムおよびスパム対策にかかる費用が問題となっていた。メールシステムのバージョンアップのたびにハードの入れ替えが生じ、その手間も合わせた追加費用が大きかったという。さらに、1 アカウントあたり 100MB という容量では不足を訴える社員がおり、その場合は 300MB まで増量していたが、そのコストもばかにならなかった。
「何社かのシステム提供会社に『削減できないか』と随時相談を持ちかけていましたが、はかばかしい回答は得られなかったのです。どの会社も『最低限かかるメールシステムのライセンスやハードのコスト、メンテナンスや管理の手間を考えるとそんなに安くできない』という回答でした」と IT グループ部の中島 俊夫氏は言う。
世界のどこにいてもメールボックスにアクセスしたい!
そのほか、社外から自社のメールシステムにアクセスする際は、VPN を利用せざるを得ないことの不都合もあった。
「海外出張の時など、ホテルから VPN で接続できる場合があるのですが、グループ会社とはいえ、そのオフィスからではファイアーウォールでVPN接続が制限されてしまうことがあるのです。そういう場合は、ホテルに戻ってアクセスするという本末転倒な状態が起きていました」(中島氏)
さらに、大きな問題が生じていた。スパムメールである。
「購買部門などにはすさまじい数のスパムメールが届いていて、まさにスパムの中から必要なメールを探すような状態となっていたのです」
そこで、フィルタリングソフトを導入してクリーンなデータだけをメールシステムに送るようにしていたが、1アカウントごとにメールシステムやフィルタリングソフトのユーザー登録をしなければならず、その手間やフィルタリングソフトのコストが余計にかかっていたのである。
課題を解決できるGoogle Appsを評価
そういった状況にあった 2007 年の夏のこと、IT グループ部の大類 優子氏が Google Apps の存在を知った。
「それ以前より個人的に Gmail を利用していたのですが、ある時、Google のサイトで Google Apps Premier Edition ができたことを知ったのです。そして、当社グループが抱えているメールシステムの課題がこれで解決できるのではないかと感じて、検討を始めました」
Google の担当者に、リリース直後の Google Apps の詳細な機能などを聞く。説明を聞いて、確かに課題を解決できる可能性を感じたが、「日本でのサービスが安定するのはあと半年から 1 年くらいかかるのでは」という印象を持ったという。
「しかし、そこがクリアすればいつでも GO サインが出せるようにとウォッチし続けようと考えました」(中島氏)
それと同時にほかの ASP サービスを検討。
「100 人以下ならば ASP でもメリットは出るが、1000 人以上だとサーバーを買ったほうが安いという話がほとんどでした。それで Google Apps のメリットが引き立ちましたね」
そうこうするうちに、Google のサイトに「日本大学で 3 万人の学生に導入する」という事例がアップされた。そこから本格的に導入の検討を始め、翌 2008 年 3 月には予算手当てのためにトップの仮承認を得る。費用の詳細な比較など最終的な検討は 6 月までに行い、正式に導入が決定された。
「Gmail 導入で、課題であったグループ内のバラバラなメール環境による不具合が完全に解決できることが評価されました。また、コスト面における Google Apps の評価も非常に高かったです。既存のメールシステムより 50% 以上の削減ができましたから」(山城氏)そして、現在、世界展開を 2009 年内をめどに実施中である。
有意義な新機能が追加されて "成長" するツール
Google Apps は、一定期間、既存のメールシステムと並行する形で導入。その間は、1 通のメールは双方で受信するように設定された。また、その期間にユーザー向けの説明会を行い、完全移行期日である 2008 年 10 月末に備えた。
「国内で 20 回、海外で 4 回の説明会を行いました。そこで感じたことは、ブラウザでメールを見ることに慣れていない人が多く、戸惑いを感じている人もいたことです。当社は年齢層が高いということもあると思いますが、そこは慣れてもらうしかないと説明し理解を得ました」(大類氏)
Google Apps 導入後に顕在化したメリットについて、大類氏は次のように言う。
「まず、スパムの受信が目に見えて減ったことが挙げられます。そして、"ロケーションフリー" になったことが大きいのでは。どこにいても、すぐに自社の情報にアクセスできる。現代のビジネス環境では強い武器になると思います」
また、Gmail のチャット機能は社内コミュニケーションの活性化に、Google ドキュメントは文書の正確な管理に活用されている。
「メールを送るほどでもないが、電話をかけるのはちょっとためらわれるようなコミュニケーションって、結構あるものです。Gmail の在席が確認できる機能でチャットに誘引されることが増えました。一方で、忙しくて誰とも話したくない時に "不在" にするという使い方もできるのですけど(笑)。また、文書をメール添付でやりとりしていると、どれが最新バージョンかわからなくことがあるのですが、Google ドキュメントだと相手と 1 つの文書を共有できるのでそうした混乱もなく重宝していますね」(大類氏)
最後に、中島氏は Google Apps の "成長性" について、次のように評価した。
「新しい機能が続々と追加されるのがとてもいいですね。従来のメールシステムは、バージョンアップしないと追加されませんでしたから。その新機能は、ユーザーニーズにピタリと照準を合わせた有意義なものが多いと思います」
Google Apps は、常時バージョンアップをし続け、刻々と進化するツールなのである。
