伊藤病院
現場の職員をサポートするオフィスツールを。
限られた運用リソースで実現した新しいソリューション。
病院ならではの要望
一般的な企業のオフィスでは、1 人 1 人に席があり、各人 1 台のパソコンが割り当てられている。しかし病院の場合、患者さんに対するケアサービスが中心となるので、医師を除いてほとんどの職員は自分の席というものを持っていない。そのため、電子メールは共有のパソコンで利用することになり、結果、Web メールが必須の要件となる。
また、情報システム部門の人員がごく少数に限られているのも病院という業界に共通する特徴となっている。少人数で効率よくシステムを管理するため、電子メールシステムの運用をアウトソーシングすることが重要なポイントになる。
「カルテなどの診療情報を扱っているシステムは、インターネットとは一切接続せず、院内の閉じたネットワークにしています。ファイアウオールを用意するより確実な方法ですから。逆にインターネットとやり取りする必要があるサーバは、自分たちで抱えるよりも高速な回線を持つ、信頼の置けるインフラを持った企業にホスティングしてもらうのが最適だと考えています」。
少ないメールサーバ容量に医師から悲鳴
Web メールが利用でき、メールサーバの運用をアウトソーシングできるという要件を満たすものとして、国内の大手メーカー系列企業が提供するサービスを利用していた。このサービスでは、1人に割り当てられるメールボックスのサイズは 10M バイト。この当時は、サービス提供者側の都合で容量を厳しく制限されるのが一般的で、選択する余地がなかった。
しかし、導入後 4 年が経過すると、10M バイトというメールボックスのサイズがネックになることが多くなってきた。医師たちは、学会のために 10M バイトを超える画像を含んだプレゼンテーションをやり取りすることが多く「メールの容量を何とかしてくれ」という強い要望が出てきた。
そのため、新しい電子メールシステムの選定にあたっては、Web メールの利用、運用のアウトソーシングに加えて、メールボックスの大容量化が必須の要件として加えられた。
パソコンがクラッシュしても、メールのデータを失うことがない安心感は大きいです。すべてのメールが Google のサーバにあるので、メールをすぐに復旧させることができます (齋藤 功氏)
事前に試してみてから導入を決定
伊藤病院ではおよそ 170 人の常勤スタッフが働いており、そのうち外部とやり取りを行う必要がある役職者や医師 80 人ほどに Google Apps のメールアカウントを用意している。旧システムからのユーザーアカウントは、CSV ファイルでインポートすることで簡単に移行できたという。「パスワードにしても、各自が初期設定で簡単に変えることができるため、移行時に変えてもらうよう通知するだけでした。トラブルなくスムーズに移行できました」 (同氏)。
実は齋藤氏は、個人でもドメインを所有しており、病院のシステムとして Google Apps を採用する前に個人のドメインで Google Apps を試してみたのだという。それは「採用する前に必ず自分自身で使ってみるのが僕のポリシー」 (同氏)だから。Google Apps は、有料で法人むけに提供される「Premier Edition」のほかに、無料で利用できる「Standard Edition」が用意されており、主な機能を実際に利用してみることができる。
「他のサービスとも比較したのですが、Gmail のスパムフィルタリングは非常に優れています。仕事の邪魔となる迷惑メールが少なくなりとても助かっています」と導入後の感想を語る。
管理者として嬉しい機能の1つとして齋藤氏は、連絡先の共有を挙げる。院内ユーザーのメールアドレスをあらかじめ共有アドレス帳に登録しておくことで、院内ユーザーのメールアドレスは、先頭の数文字を入力すれば該当する候補がリストアップされるようになる。伊藤病院では、ユーザーの名前に基づき規則的にメールアドレスを決めており、誰のメールアドレスでも先頭数文字を容易に推測できるため、アドレス帳を開くよりも早く、また手入力するよりも正確にメールアドレスを入力できるようになっている。
また、管理者がユーザーの利用状況を確認できる機能も重宝しているという。伊藤病院では、個人のメールアドレスのほかに、特定用途で利用するメーリングリストがある。こうしたメーリングリストは便利な半面、ある時期を過ぎて使われなくなったものも出てくる。「メーリングリストを作成するのも簡単で便利ですが、管理者コントロールパネルでログインされた日時などを確認して、どれぐらい活用されているかを確認し、きちんと管理するようにしています」 (同氏)。
「それにしても、手離れのいいシステムですね」。齋藤氏は管理者としての実感をそう言葉にした。
いつでも、どこでも確認できる安心感
「メールに添付された Word や Excel、PowerPoint などのファイルを、ブラウザだけで表示したり、編集できるのも本当に便利ですね」と同氏が指摘するのは、使用しているパソコンにアプリケーションソフトがインストールされていなくても、Web ブラウザでワープロや表計算、プレゼンテーションなどの書類を作成、編集できるというもの。Word や Excel、PowerPoint、PDF などのデータを、Web ブラウザでその内容を表示、確認することもできる。この機能が特に重宝するのは、海外に出張したときだという。ホテルや空港に設置されたパソコンから普段と同じようにメールを確認できるだけでなく、必要なアプリケーションソフトがインストールされていなかったとしても、内容を確認することができる。仕事のスピードや効率が向上するだけでなく、いつでもどこでもメールの内容や添付ファイルをきちんと確認できる安心感は、ビジネスの大きな力になる。
バックアップの不安からも開放された
伊藤病院では、電子メールシステムを Google Apps に移行したことで、年間コストの大幅な削減を実現できたという。
目に見えないコストとしてメールのバックアップに気を遣わなくても良くなったこともあるという。「管理者として、パソコンのハードディスクがクラッシュしても、メールのデータを失うことがないという安心感は大きいです。すべてのメールが Google Apps のサーバにあるので、何かトラブルがあったとしてもメールをすぐに復旧させることができます」 (同氏)。
最近は、Google ドキュメントも活用し始めているという。病院のシステムを管理している齋藤氏の部署には、院内で稼働しているシステムについて、日々さまざまな要望が寄せられている。そうした要望をこれまではExcelシートに記入して管理していたのだが「バージョン番号をファイル名に付けたりしていると、どれが最新か分からなくなり、管理の手間が煩雑だった」 (同氏)。それを今、Google ドキュメントの Spreadsheet© で管理し始めているという。「文書の変更履歴をすべて参照することができて、とても便利」と、文書の共有による院内コラボレーションにも大きな手応えを感じている。
