細胞膜を通しての物質の移動 拡散 濾過 浸透(た)
Last edited June 30, 2008
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受動輸送

1.単純拡散(チャネルを経由して電気化学的勾配にしたがって拡散)

2.浸透

3.単輸送、促通拡散(担体、輸送体を経由)グルコーストランスポーターが多い。

 担体、輸送体と結合してから濃度勾配によって移動する。

 担体(キャリア)の数は決まって異るので、促通拡散には次の性質がある。

  • 飽和性;キャリアの能力以上には運べない
  • 選択性;キャリアは特定の分子とだけ結合する
  • 拮抗現象;拮抗物質(ブロッカー)が見つかっている
栄養素の膜輸送
 
 体外から生体内へ栄養素を取り込む場所は、小腸粘膜上皮細胞(栄養素の吸収)と腎尿細管上皮細胞(栄養素の再吸収)ですね。皮膚からも栄養素が吸収できればある意味で有用だと思いうのですが、一部の薬物を除いて、そのような方法は今のところ知られていません。
 
 栄養素の多くは水溶性分子ですから、その濃度をいくら上げても、そのまま生体膜を透過できるものではありません。輸送手段が必要なのです。
 
 グルコースなどの単糖、アミノ酸、ヌクレオシド(消化管内のホスファターゼでヌクレオチドのリン酸は加水分解)、水溶性ビタミンなどはNa+による共輸送(共役輸送:シンポート:symport:Na+の細胞内取り込みに乗じた物質輸送)で細胞内に取り込まれるのです。
 
 プロトン(H+)による共輸送もあります。たとえば細胞質内のピルビン酸がミトコンドリアマトリックスへ取り込まれる場合には、プロトン流入と共役したピルビン酸輸送体が関与します。ナトリム共輸送もプロトン共輸送もエネルギーを消費して機能する能動輸送なんですね。ペプチドもプロトンとの共輸送で細胞内に取り込まれます(ペプチド輸送タンパク質:PEPT)。
 
 逆輸送(アンチポート)とよばれる仕組みもあります。ナトリウムやプロトン、塩素イオンなどの流出入と逆方向に物質が膜を透過する機構です。
 
 GLUTはグルコーストランスポーターの略で生体内では6種類(タイプ1‐6)が知られています。エネルギーを必要としない濃度勾配に依存した拡散(単純拡散)ですが、グルコースを認識する特異的な輸送体が関わるため、促進拡散とよびますが、グルコースの輸送速度は非常に高い。GLUTは全ての組織細胞で発現しています。
 
 グルコースの血中濃度は70-110mg/dL(健常成人空腹時)でしたね。これをモル濃度に換算すると4-6mMになります。一度計算してみてください。割り算だけですから簡単。
 
 ほとんどの細胞に存在するGLUT1のKMは血糖値より低いので、常に血中のグルコースを細胞内へ取り込むことができると考えられます。
 
 肝臓にはそのKMが血糖値よりも高いGLUT2があります。普段この輸送体はお休みしており、食後高血糖の際に働く。なお、糖新生にグルコースの血中への放出もGLUT2を経由します。
 
 膵β細胞の血糖センサーにもGLUT2が関わります。β細胞内に取り込まれたグルコース由来のATP産生上昇がインスリン分泌の引き金となるのですね。
 
 GLUT4は筋肉や脂肪組織で発現します。このGLUT4のKM高く、空腹時には細胞内で小胞として用意されているのです。ひとたび血糖が上昇するとインスリンの刺激により細胞膜へ移動して機能します。
 
 なお、GLUT5は小腸粘膜上皮細胞の微絨毛にあって、フルクトースの取り込みに関与しています。これもエネルギー不要の促進拡散ですね。
 
 ややこしいけれど、生体はうまくできていて栄養素を漏れなく体内に取り込む仕組みを獲得しているのです。
 微生物もプロトンポンプと共役した機構で栄養素をその単細胞内に吸収している点では共通していますが・・・
 胎盤のブドウ糖輸送体
胎盤のブドウ糖(glucose)の取り込みと胎児への輸送はブドウ糖輸送体(glucosetransporter:GLUT)を介して行われる。GLUTは細胞膜上にあって,六炭糖を特異的に輸送する担体(carrier)蛋白であるが,特にD-glucoseに対する親和性が高い。GLUTには能動輸送(activetransport)を行うもの(小腸上皮や腎尿細管のNa+/glucose cotransporterなど)と促通拡散輸送(facilitated diffusion)を行うものが存在するが,胎盤に存在するものは促通拡散型のブドウ糖輸送体である。
促通拡散型GLUTのアイソフォーム(isoform)は表に示したように複数存在するが,胎盤に存在するものは,赤血球および脳と同様にGLUTlおよびGLUT3である。合胞体栄養細胞(syncytiotrophoblast)の母体側微絨毛刷子緑(microvi1lous brush border)の細胞膜上および胎児側基底細胞膜上に存在する。胎盤におけるGLUTの制御機構にはまだ不明な点が多い。胎盤に存在するGLUTはインスリンによっては調節されないことが判明している。これは,他のGLUTlおよびGLUT3を有する組織と同様である。ちなみにGLUT4が存在する脂肪細胞,骨格筋,心筋などではインスリンによって細胞内のGLUT4プールから細胞膜上へGLUT4が移動(translocation)することが示されている。胎盤のブドウ糖輸送能は妊娠週数が経過するにしたがい増大し,また,GLUTの蛋白および遺伝子発現も増加する1)とされている。しかし,GLUTlとGLUT3の蛋白あるいは遺伝子発現の挙動については,動物種により異なる報告がある。

細胞膜を通しての物質の輸送

逆輸送(アンチポート)と共輸送(シンポート)

 上図を参考に細胞膜を介した物質の輸送・移動について概説してゆく。まず、水、脂溶性の小分子などは先述したよ うに、また上図の左端に示してあるように、単純に濃度に依存して(濃度の高い方から低い方ヘ)細胞膜を透過してゆく。また、左から2番目に示してあるよう に細胞膜に恒常的にあいている孔(水が満たされている)をあけるようなタンパク質(ミトコンドリア外膜のポーリンやギャップジャンクションを形成するコネ キシンなど)があり、このような孔を通ることができる分子は親水性のものであっても単純拡散をすることができる。

 しかし、細胞膜の重要な特徴である選択的透過性を保証しているものは次にあげる担体による輸送や、ポンプによる膜を横切る物質(分子)の輸送である。まず、輸送担体による選択的な分子の輸送について説明する。

 細胞膜にあるタンパク質(担体)がある特定の分子が結合することによってアロステリックな構造変化を起こし、結 合した分子を膜の反対側ヘ移動させ、それと同時に結合した分子を放す(担体への運ばれる分子の結合は濃度依存的であることが多いため、この仕組みでは特定 の分子を濃度依存的に膜を通して輸送する場合が多い)。続いて、分子が離れたためにその担体は、再びアロステリックな構造変化を起こして最初の状態に戻 る。こうしたことをくり返すことによって特定の分子を細胞膜の片側から反対側へ選択的に輸送する機構が考えられる。上の左から3番目の図はこの機構を示し ており、担体によるユニポートと呼ぶ。

 膜にある輸送担体が、上に述べたようにある1種類の分子だけを運ぶのではなく、2種類の分子を共役させながら同 時に運ぶという担体による共役輸送の仕組みもある。その共役輸送には、上の図にあるように2種類の分子を同じ方向へ運ぶシンポートと逆の方向へ運ぶアンチ ポートとがある。この共役輸送の仕組みも上で説明したユニポートの機構と同じように輸送担体であるタンパク質の輸送される分子の結合・解離によるアロステ リックな構造変化がそのベースにある。ただし、2つの輸送される分子の片方が膜の片側で高濃度であるとすると、もう一方の分子が膜の両側でそれ程濃度差が なくとも、濃度差のある分子の担体を介しての移動と共役して膜の片側から反対側へ濃度非依存的に輸送されることがある。そのため、この共役輸送の仕組みは 能動的な輸送の仕組みともなる。

 最後に、膜にあるタンパク質がエネルギーを使って特定の物質を膜を通して輸送する仕組みについて説明する。この ような膜タンパク質は、エネルギーを消費して膜の片側から反対側へ物質を汲み上げる(濃度に逆らっても輸送はおこる)ことからポンプと呼ばれる。ポンプを 駆動するエネルギーにはATPと光が知られている。具体例としては、Na+K+ATPase(ナトリウムポンプ)、プロトンポンプ、バクテリオロドプシン などがある。エネルギーを使うことによってまさに能動的に特定の物質を膜の片側から反対側へ輸送する機構である。

 次に、これまで説明してきたような細胞膜を介した物質の輸送の仕組みが具体的に細胞でどのように働いているかを、小腸の吸収上皮細胞のグルコースの取込みについて概説する。

 小腸の吸収上皮細胞の小腸内腔に面した細胞膜にはナトリウムイオンとグルコースを共役させて同じ方向へ輸送する (シンポート)輸送担体がある。また、ほとんどすべての細胞膜にはナトリウムポンプがあり、細胞質から細胞外へナトリウムイオンを汲み出し続けている。そ のため通常細胞膜の外側は細胞質側に比べてナトリウムイオンが高濃度になっている。そのナトリウムイオンの濃度勾配がこの輸送担体をナトリウムとともにグ ルコースを小腸内腔側から細胞質側へ輸送するように働かせる。そのため、細胞質内にはグルコースが蓄積されてゆく。一方、吸収上皮細胞の体内側の細胞膜に は濃度勾配に従ってグルコースを輸送する(ユニポート)輸送担体がある。その働きによって、腸管内から取り込まれて蓄積されたグルコースは体内側へと輸送 されてゆく。これが小腸で糖を吸収する仕組みの分子レベルでメカニズムである。


透過性について

 ・全透性 ─-─→ 溶媒も溶質も通す性質 … 細胞壁

 ・半透性 ─-─→ 溶媒のみ通す性質  … 浸透現象(原形質分離・溶血など)

 ・選択透過性 → 特定の物質のみ通す性質 … 受動輸送と能動輸送

 ・不透性 ─-─→ 溶媒も溶質も通さない性質


□ 選択透過性と膜透過のしくみ

 細胞膜の選択透過性は、受動輸送と能動輸送とによって保たれている。 ところで、細胞膜はリン脂質の2重層の膜なので、疎水性物質は自由に通過できるが、親水性物質は通過できない。そこで、細胞膜には親水性の物質を細胞内外に移動させるシステムとして、膜輸送タンパク質が存在している。

 膜輸送タンパク質には、チャネルと呼ばれるものと、トランスポーター(輸送体)と呼ばれるものとがあり、トランスポーターは、更にキャリア(担体)とポンプとにわかれる。

 そして、受動輸送には、膜輸送タンパク質を用いない単純拡散と、膜輸送タンパク質のチャネルまたはキャリアを用いる促進拡散の2種類があり、能動輸送には、ポンプが関与している。


 ★受動輸送
   受動輸送とは、膜を横切る拡散であり、膜内外にある濃度勾配に従って、エネルギーを用いずに、物質をその濃度の濃い側から薄い側へと輸送することをいう。

  ① 単純拡散 … リン脂質層を通じての透過
   分子量が小さい物質や脂質になじみやすい物質(尿素,エチレングリコール,アルコール類など)は、細胞膜のリン脂質の部分を通過でき、単純拡散する。

  ② 促進拡散 … 膜輸送タンパク質を利用した拡散
   一方、水溶性のイオンや分子量の大きい物質は、細胞膜のリン脂質の部分を透過できない。細胞膜のリン脂質の部分の内部が疎水性だからである。そこで、こうした物質の透過は、膜輸送タンパク質のチャネルまたキャリアによって促進される。その結果なされる拡散は促進拡散と呼ばれる。

   A.チャネルを通じての透過
     チャネルは、細胞膜に突き刺さった”ちくわ”のようなタンパク質である。物質はチャネルの”ちくわ”の穴を通り抜けて膜を横切ることができるが、チャネルは、次のような性質を持っている。

     ◆ ナトリウムイオンチャネルを通り抜けられるのは、ナトリウムイオンだけというように、特定のチャネルは特定の物質しか通さない。

     ◆ ある物質について、細胞の内外で濃度差がなければ、その物質がチャネルを通り抜けて移動することはない。

     ◆ チャネルには、ナトリウムイオンチャネルのようにゲートを持つものとカリウムイオンチャネルのようにゲートを持たないものとがある。ゲートを持つタイプのチャネルは、ゲートの開閉によって、イオンの透過性を変えることができる。

    ※水チャネル※
      細胞膜には水チャネルも存在しており、このチャネルは、水が浸透によって細胞膜を透過するよりも遥かに大きな速度で水を透過させる。

   B.キャリアを利用した透過
     キャリアは、文字通り、細胞膜における「運び屋」で、”フェリーボート”のようなはたらきをするタンパク質である。物質は、細胞膜の表面でキャリアと結合して複合体の形で膜内を移動し、膜を隔てた反対側で、物質がキャリアから離れて透過が完了する。この透過の例として、赤血球膜におけるグルコースの輸送などがある。


 ★能動輸送
   能動輸送とは、エネルギーを用いて、膜内外にある濃度勾配に逆らって物質をその濃度の薄い側から濃い側へと輸送することをいう。この能動輸送の際に活躍するのが、ポンプである。

   ポンプは、チャネルとは違って、物質を濃度勾配に逆らって移動させることができる膜輸送タンパク質であり、物質が拡散しようとするのに逆らって力ずくで輸送するために、エネルギー(ATP)を必要とする。

   ポンプには色々な種類があるが、代表的なものがナトリウム-カリウムポンプである。ナトリウム-カリウムポンプは、細胞膜上にあって、細胞内のナトリウムイオンを外へくみ出し、外のカリウムイオンを細胞内に取り込むはたらきをする。

   ポンプは、もともとチャネルから進化したもので、チャネルの片側(細胞内側)にATPアーゼ(ATP分解酵素)がくっついたものである。

  【ナトリウム-カリウムポンプのしくみ】
   ナトリウムイオンが、ポンプにくっついたATPアーゼ(細胞内側)に結合すると、酵素がATPからリン酸を受け取り(リン酸化)、その結果ポンプの立体構造が変化して、ナトリウムを細胞膜を横断して細胞外に排出する。そして、リン酸化されたATPアーゼに細胞外のカリウムが結合すると、リン酸を放出(脱リン酸化)して、ポンプの立体構造がもとに戻り、その際、カリウムを細胞内に取り込むことになる。したがって、カリウムを取り込むときには、ATPは不要である。

  ※ATPについて※
    ATPは、アデニンという塩基とリボースという糖が結合したアデノシンに3個のリン酸が結合した物質で、正式名称をアデノシン三リン酸という。   
   
    エネルギーは、リン酸とリン酸をつなぐ結合(高エネルギーリン酸結合)に蓄えられていて、この結合が加水分解するときにエネルギーが放出される。ATPは、ADP(アデノシンニリン酸)とリン酸に分解するときに、エネルギーを生じ、逆に、ADPとリン酸はエネルギーを受け取ってATPとなるのである。充電式電池で例えると、ATPがフル充電された状態で、ADPはエネルギーを消費した状態であると言える。また、すべての生物が、ATPが分解されるときに出てくるエネルギーを生命活動に利用しているので、ATPは”エネルギーの通貨”にも例えられる。なお、ATPはかなり大きな分子であり、細胞の外から細胞内に輸送されることはなく、すべて細胞内でつくられている。

  ※共輸送※
    細胞膜のナトリウムイオンとカリウムイオンの交換輸送や筋小胞体のカルシウムイオンの取り込みなどの能動輸送は、ATPを用いるポンプによる直接的な能動輸送だが、糖やアミノ酸の取り込みなどの能動輸送は、そのような直接的な能動輸送ではなく、キャリアにナトリウムイオンと糖(またはアミノ酸)が共に結合して行われる。これを共輸送という。共輸送は、一見、キャリアによる受動輸送のように見えるが、あくまでも、ポンプにより、細胞外のナトリウムイオン濃度が細胞内に比べて遥かに高く保たれているために起こる現象であり、実際、ポンプによる直接的な能動輸送を阻害してしまうと、細胞外のナトリウムイオン濃度がチャネルを通じた拡散によって低くなって、この共輸送は止まってしまう。そのため、共輸送は、ATPがナトリウムイオンの濃度差を保持することで、間接的に糖やアミノ酸の輸送のエネルギーを供給していると見なせる間接的な能動輸送に分類されている。

細胞膜を通しての物質の移動
 受動輸送
        拡散
        濾過
        浸透

    能動輸送


細胞間の外界情報物質の伝達様式
    内分泌系: 血流にのって体内の全ての細胞 
    神経伝達系: 
    パラクリン系: 周辺の細胞 
    オートクリン系: 自分自身


生理活性物質
    ホルモン
    神経伝達物質
    オータコイド
       プロスタグランジン
       ロイコトルエン
       血小板活性化因子
  オータコイド
オータコイドはホルモンと神経伝達物質の中間的性質をもつ物質である。オータコイドは環境の変化によって放出され、細胞にさまざまに変化をもたらす。

オータコイドの作用にはオークリン作用やパラクリン作用がある。オークリン作用とは自分自身が放出したオータコイドによって作用を表すことであり、パラクリン作用とは離れた細胞によるオータコイドによって作用を表すことである。

   

なお、オータコイドはホルモンと違い血液中にのることはない。

ヒスタミン                    アレルギー、胃潰瘍などに関係
ブラジキニン                炎症、ぜんそく、疼痛
アンジオテンシン        高血圧、心不全
プロスタグランジン    炎症、発熱
ロイコトルエン            喘息、炎症
エンドセリン                高血圧

透析の原理

 透析は、半透膜(通す物質と通さない物質がある膜)を介して濃度に差のある溶液(血液と透析液)の拡散・限外濾過・浸透圧の3つの原理によって行われる

1)拡散

水にインクを入れると、インクの分子が拡がり散って水は全体的に均一なインクの色に変わる

図のようにインク分子が通る大きさの穴のあいた膜で仕切られた片側の水に青いインクをたらすとインクの分子が膜を通って右側に移動し右左の水は同じ薄い青色になる。

また、図のように左側に青いインク、右側に赤いインクを入れると、青いインクの分子は右側に、赤いインクの分子は左側に膜を通って移動し、全体として、均一な紫色のインクの色になる。

このように、分子運動が溶液の濃度差を均一にしようとする

2)浸透

上図(1)のように、Aに濃厚なブドウ糖液を少量入れ、Bに薄いブドウ糖液を多量に入れると、AよりBへブドウ糖が、BからA水の分子を動かし、AとBは、同じ濃度で、同じ量のブドウ糖液となる。

図(2)水の分子もまた拡散を行い、水の分子の拡散浸透という。

透析では、この拡散の原理をもとにして、上図(1)のように血液側の濃度が高い物質●(尿素)、○(クレアニチン)、★(尿酸)、☆(ナトリウム)、△(カリウム)、は透析液側に除去され、逆に透析液側の濃度が高い物質▲(カルシウム)、□(重炭酸)は血液側に移動し、図(2)のように血液側と透析液側の各物質は、均一になろうとする。

3)浸透圧

拡散では、水や溶質(溶けている物質)が通る膜を使って考えてきた。では、溶質を通さない膜で仕切りをするとどうなるか。

上図のように、ロートをNaclを通さない膜で蓋をして、Nacl溶液をロートの中に入れ、それを水の中に入れる、Naclは移動しないが、水は拡散によりロートの中へ入り、水位が上昇する。この水を押し上げる圧力を浸透圧という。

高Na透析の考え方がある程度理解できる。

このように、溶媒は通すが、溶質を通さない膜を半透膜という。

上図は、毛細血管の血管壁を表している。毛細血管の血管壁は、Nak等の電解質やBUN・Crのような小分子物質は透過するが、蛋白やアルブミンのような大分子物質は通さない。このため、蛋白質やアルブミン等大分子物質による浸透圧が生じる。この浸透圧を膠質浸透圧といい、血管内においては電解質のような小分子による浸透圧よりも大分子物質による膠質浸透圧が重要な働きを持っている。

4)限外濾過

半透膜で仕切られた2つの溶液の片方に押す圧(陽圧)をかけると、水が反対側に移動する。

また、押すかわりに、反対側を引っ張ると(陰圧)同様に水が移動する。

このように、溶液に圧力(陽圧・陰圧)をかけて水を移動させることを限外濾過と呼ぶ。

透析では、透析液に陰圧(引く力)をかけることによって水を除去している。

 
膜の透過性--膜を通して物質を移動させる力
-- ポイント ----------------------
| ●物質は拡散濾過浸透能動輸送により運ばれる.  |
------------------------------
 体液を区分する隔壁を通って溶質分子および水を移動させる力には,拡散濾過浸透担体輸送がある.
 ①拡散diffusion):物質粒子が熱運動によって広がってゆく現象.高濃度の領域から低濃度の領域に広がる.その程度は濃度勾配(濃度差,電気的勾配)による.イオンであれば電荷の影響を受ける.
 ②濾過filtration):孔を持つ膜で区分された2つの液相間の静水力学的圧力の差により液体が移動する現象.その程度は圧勾配と膜の透過性,膜の面積によって決まる.
 ③浸透osmosis):溶質を通さない膜を,溶媒分子(水)が溶質濃度の低いほうから高いほうへ移動する現象.
 ④担体輸送:特定の物質と結合して膜を通過させる担体(carrier)によって運ばれる.エネルギーを必要とせずに濃度の高いほうから低いほうへ運ばれる場合は促進拡散facilitation diffusion)と呼ばれる.能動輸送active transport)とはエネルギーを消費して行われる輸送をいう.→ Q7 
 

体液区分間での物質移動は物理学的法則にしたがって行われている:

 今、あなたの机の上に、本があるとする。この本はいくら眺めていても、空中に浮かびあがったり、あるいは机から落ちたりはしない。すなわち、そこに外力が働かないかぎり、物質は移動しないのだ。生体の物質の移動させる駆動力には、次の5つがある。

拡散(diffusion):

 気体または溶液中の物質粒子が濃度の高い領域から低い領域に自ら広がっていき、気体または溶液中の至るところ粒子の濃度が均一にしようとする現象。例えば、インクを一滴コップの水の中に垂らした時、最初一カ所に滞在していたインクの粒子は時間がたつにつれて、コップ全体に広がっていく。体液中の物質粒子も拡散によって濃度の高い方から低い方へ移動していく。肺や組織でのガス交換、細胞内での代謝物質の移動はこの原理による。

濾過(filtration):

 膜によって境された2液間の静水圧の勾配にしたがって、液体が動かされる現象。単位時間あたりの濾過量は静水圧差と膜の面積および膜の透過度に依存する。例えば、じょうろで花に水をやる場合を想像すればよい。じょうろを傾けると静水圧にしたがって水は先から流れでる。この際、先端の面積が大きく、また穴の大きさが大きいほど単位時間当たり多くの水が流れる。生体の中では、毛細血管壁を介する血管内外の水分移動、腎における糸球体濾過がこの原理による。

浸透流(osmosis):

 粒子の濃度に差のある2液を、溶質は通さないが水は通す膜(半透膜semipermeable membrane)で境すると、水が溶質の薄い溶液から濃い溶液へ移動していく現象。塩づけにした野菜の漬け物を考えてみるとよい。最初はみずみずしかった野菜も徐々に細胞内液を失い縮んでいく。生体内では細胞内外の水の移動はこの原理による。例えば、腸管での水分の吸収、腎での水分の再吸収、また、汗腺、消化腺などの外分泌腺における体液分泌は浸透圧勾配による水の移動(浸透流)による。

イオン流(ion current):

 溶液中の2領域に電位差がある場合、電荷を持った粒子、例えば陽イオンは負電位をもった領域に移動し、陰イオンはその逆方向に動く。生体では、細胞内外の荷電粒子の移動は濃度差による拡散と電圧勾配によるイオン流のバランスで決定される。神経などの興奮性膜が脱分極を起こす際にNa+イオンが細胞外から細胞内へ流入する。これは一種のイオン流である。このように、細胞の静止膜電位が細胞外電位に比べ負であることを利用したイオンの輸送は生体内のあらゆる細胞で行われている。特に、運動生理学で身近なのは、骨格筋の興奮である。

能動輸送(active transport):

 拡散やイオン流は電気化学ポテンシャルが高い領域から低い領域への粒子が移動するいわば受動的な物質移動の原理であるが、生体ではこのポテンシャルに逆らって物質を輸送する、いわば水を低いところから高いところに運び上げるポンプのような輸送がある。これを能動輸送という。例えば、細胞膜に存在するNa+/K+ポンプは細胞内から細胞外へNa+イオンを汲み出し、代わりにK+イオンを細胞外から細胞内へ汲み入れる。しかし、細胞外は細胞内に比べ電位は正でありNa+濃度も10倍も高い、また細胞内のK+イオン濃度は細胞外に比べ30倍も高い。このように電気化学ポテンシャルに逆らって物質を輸送するにはアデノシン三リン酸(ATP) などによるエネルギーを必要とする。細胞内外のイオンの不均一な分布や静止膜電位が細胞内が細胞外に比べて負であるのはこのNa+/K+ポンプによる能動輸送による。 

呼吸器系の最も重要な役割は、酸素と二酸化炭素を交換することです。吸いこまれた酸素は肺へ入っていき、肺胞に達します。肺胞表面の細胞とそれを取り巻く毛細血管は、ともにそれぞれ細胞1個分の厚みしかなく、互いに密接しています。壁の厚みは平均約1マイクロメートル(1万分の1センチメートル)なので、酸素はこの空気と血液の間の壁をすばやく通り抜け、毛細血管の血液中へ入ります。同様に、血液中の二酸化炭素は肺胞へ入り、その後呼気として体外へ出されます。

酸素を含んだ血液は肺から肺静脈を通って左心室へ送られ、全身へと押し出されていきます(心臓と血管のしくみと働き: 心臓の機能を参照)。酸素を失い、二酸化炭素を多く含んだ血液は、上大静脈と下大静脈という2本の大静脈を通って右心室へ戻ります。その後、この血液は肺動脈を通って肺へと送られ、肺で酸素を受け取り、二酸化炭素を放出します(心臓と血管のしくみと働き: 心臓の機能を参照)。

肺胞と毛細血管の間のガス交換

安静にしているときでも、酸素と二酸化炭素の交換を維持するために、毎分6〜10リットル程度の新しい空気が肺に送られ、毎分約0.3リットルの酸素が肺胞から血液中に送られます。同時に、ほぼ同量の二酸化炭素が血液中から肺胞へ運ばれ、体外へ出されます。運動中は、毎分100リットルもの空気を吸いこみ、そこから毎分3リットルの酸素を取りこみます。酸素が体内に取りこまれる速度を測ると、体が消費した総エネルギー量がわかります。

肺胞と毛細血管の間のガス交換のしくみ

呼吸器系の機能は、酸素と二酸化炭素という2種類の気体を交換することです。交換は、肺にある数億の肺胞とそれらを取り囲む毛細血管の間で行われます。図に示すように、吸いこまれた酸素は肺胞から毛細血管内へ移動し、二酸化炭素は毛細血管から肺胞へと移動します。

外気から肺を流れる血液中に酸素を取りこむには、呼吸、拡散、灌流(かんりゅう)という3つの過程が欠かせません。呼吸は、空気が肺に出入りする過程のことです。拡散は、体がエネルギーを使ったり努力したりすることなく、肺胞と肺の毛細血管との間で自然に行われているガス交換のことです。灌流は、心血管系が肺全体にわたって血液を送り出す働きをいいます。体の血液循環は、酸素を含む空気と酸素を消費する体内の細胞とを結びつけるために欠かせません。全身の筋肉細胞に酸素を行きわたらせるには、肺だけではなく、酸素を運ぶ血液や、その血液を循環させる心血管系の役割も重要です。

 

 腎臓ではさまざまな物質が排泄され、また再吸収されます。糸球体では直径4ナノメートル以下の電荷を持たない物質は自由に通過しますが、8ナノメートル 以上の物質は透過しません。また、糸球体を構成する毛細血管壁はマイナスの電荷を持つので、マイナスの電荷を持った分子は通過しにくく、プラスの電荷を 持った物質は透過しやすい傾向があります。また濃度勾配によって受動輸送される物質やATPのエネルギーを使って能動輸送される物質もあります。

1)水の再吸収: 糸球体で1日に濾過された水は糸球体濾過量(GFR)から110ml/min X 60 min X 24 hrs =158リットルにも及びますが、実際の尿量は1リットル程度ですので、濾過された水のほとんどは再吸収されています。近位尿細管では約70%の水が再吸収されます。これは細胞膜上にあるアクアポリン1(Aquaporin-1)が関与しています。ヘンレ係蹄では上行脚では再吸収は行われませんが、下行脚で約15%の水が再吸収されます。さらに遠位尿細管では約5%の水が再吸収されます。集合管での水の再吸収には下垂体後葉で産生される抗利尿ホルモン(ADH)=バソプレッシン(Vasopresin)が関与しています。下垂体よりバゾプレシンが分泌されると集合管の管壁細胞膜にあるバゾプレシン2受容体に結合し、水のチャンネルであるアクアポリン2蛋白が細胞膜に移動します。アクアポリン蛋白は水の吸収を促進します。

尿崩症:バゾプレシンの分泌が低下すると細胞膜上のアクアポリン蛋白数が減少し、水の再吸収が障害されます(尿崩症:Diabetes insipidus)。尿崩症になると1日の尿量が増え、多尿になります。

 対向流増幅による水分再吸収:ヘンレ係蹄では対向流増幅(Countercurrent Multiplier)機序によって水分が再吸収されます。係蹄の下行脚と上行脚では尿が反対方向に流れています。下行脚の壁は水は通過できますが、ナトリウムなどのイオンは通過できません。逆に上行脚は水分を透過しませんが、ナトリウム、カリウム、塩素イオンはナトリウム-カリウムポンプによって能動的に外にくみ出されています。このポンプによって周囲髄質組織の浸透圧が高くなります。最初、浸透圧300mosm/kg程度で下行脚より流入した尿から高浸透圧の外部組織のために水分が再吸収され、髄質深部では1200mosm/kgの高浸透圧となります。やがて上行脚に入るとイオンが吸収され、上行脚を出る頃には低浸透圧に戻っています。

 

2)ナトリウムの再吸収 ナトリウムイオンはほとんど(99%以上)が濃度勾配に従って尿細管や集合管で再吸収されたり(受動輸送)、能動輸送によって再吸収されます。ナトリウムイオンは単体で吸収されるだけでなく、アミノ酸、グルコース、水素イオン、塩素イオン、リン酸等の物質と共に輸送されます。細胞内に取り込まれた過剰のナトリウムイオンはNa+-K+-ATPaseによって細胞外に排出されます。近位尿細管で約70%、ヘンレ係蹄まででは90%以上が再吸収されます。

3)グルコースの再吸収: 尿細管に排泄されたグルコースはほぼすべて近位尿細管で再吸収されます。尿細管中のナトリウムイオングルコースは共通の担体であるSGLT(Sodium-dependent glucose transporter)に結合し、細胞質中に運ばれます。さらに細胞質中に運ばれたグルコースはGLUT (Glucose transporter)によって細胞間質(血管)に輸送されます。細胞内に取り込まれたナトリウムイオンはNa+-K+-ATPase(ナトリウムポンプ)によってATPのエネルギーを使って細胞外にくみ出されます。同様の機構によるグルコースの吸収は小腸の腸管にも見られます。

4)アンモニアの排泄: 尿細管細胞内のグルタミンからグルタミナーゼという酵素によってグルタミン酸とアンモニウムイオン(NH4+)が生成されます。さらにグルタミン酸はグルタミン脱炭酸酵素(Glutamine dehydrogenase)によってαケトグルタル酸とアンモニウムイオンになります。アンモニウムイオンはアンモニア(NH3)の状態で細胞膜から尿細管中に出て、水素イオンと反応してアンモニウムイオン(NH4+)に戻り、排泄されます。

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