圧力セ ンサ、 該セ ンサを用いた圧力振動検出装置、 および脈波検出装置 発明の背景 技術分野 こ の発明は、 例えば腕時計に組み込んで脈波を検出するのに好適な圧力セ ンサ 、 該圧力セ ンサを用いて圧力振動を検出する圧力振動検出装置、 および該圧力セ ンサを用いて被験者の脈波を検出する脈波検出装置に関する。 背景技術 脈波とは、 心臓から拍出され、 血管を伝播する血液の波をいうが、 こ の脈波を 検出し解析するこ とによ って、 種々の医学的情報を得られることが知られている 。 例えば、 脈波波形の数学的座標 (極大点、 極小点、 偏極点など) から被験者の 身体的 · 精神的情報を得るこ とができ、 さらに、 脈波の伝搬速度とは正の相関関 係 (比例関係) にある血圧値も求めることができる。
このような脈波を検出するためのセ ンサ と しては、 従来、 主に次のような 2つ 型があった。 すなわち、
① 被験者の指尖部に赤外線を照射して、 該赤外線の (血液による) 反射量を 検出する型と、
② 被験者の動脈、 例えば橈骨動脈に圧力セ ンサを押圧するよ うに設置して、 その検出信号を得る型とである。
①の型は、 赤外線発光ダイオー ドとフ ォ ト セ ンサ とを、 発光方向と検出方向と が適切となるように配設することによって行なわれる。
また近年、 測定した脈波に基づいて心身状態を診断するのを、 手軽で正確に、 しかも継続的に行ないたい、 という要望が高ま つている。
このよ うな要望を解決するには、 被験者が日常生活を送る上で身につけるもの 、 例えば腕時計に脈波を検出するセ ンサを設け、 検出した脈波から心身状態を診
断する機能を付加することが考えられる。
しかしながら、'腕時計にセンサを設け、 上記①あるいは②の型で脈波を測定す るには、 次のような問題があった。 すなわち、
① 血液の赤外線反射量を検出する型では、 腕時計匡体の表面に、 被験者の指 尖部を接触させるための領域を設けなければならない。 匡体表面には通常、 表示 部が設けられているので、 腕時計という限られたスペースに、 脈波を検出するた めの領域を設けるのは困難であり、 腕時計の外観デザィ ンにも大きな制約を与え てしま う、 という問題があつた。
② また、 従来の一般的な圧力センサを用いる場合には、 該圧力センサの検出 領域と橈骨動脈とを一致させなければならない。 腕時計の装着状態は人によつて マチマチであり、 橈骨動脈の位置もまた個人差が大きい。 したがって、 万人が、 圧力セ ンサの検出領域と橈骨動脈とを容易に一致させることは困難である、 とい う問題があった。 発明の開示 よって、 本発明の目的は、 脈波を検出することが可能な新規な圧力センサを提 供することであり、 さらにこの圧力センサを用いた圧力振動検出装置、 およびこ の圧力振動検出装置を応用して、 上記問題を解決し、 しかも腕時計の外観デザィ ンにほとんど制約を与えない脈波検出装置を提供するこ とにある。 従って、 第 1 の発明あっては、 平面上の異なる位置での圧力を互いに検出し、 該位置での圧力に応じた信号をそれぞれ出力する少なく とも 3つ以上の圧力検出 手段と、 凸形状であって、 その底面が前記少なく とも 3つ以上の圧力検出手段の 検出位置を覆うように、 前記平面に係着する弾性部材とを具備し、 前記弾性部材 の露出面を被測定面に押圧するこ とによ って、 前記被測定面での圧力振動を検出 することを特徴と している。 この発明によれば、 弾性部材の露出面上において圧 力振動が生じると、 該圧力振動は、 弾性部材内を弾性波となって伝播し、 伝播距 離の 2乗に反比例して減衰し、 圧力検出手段の各々によ って該圧力振動を示す信
号に変換される。 したがって、 圧力を電気信号と して検出するこ とができ る。 第 2 の発明にあっては、 第 1 の発明において、 前記弾性部材と前記少なく とも 3つ以上の圧力検出手段とが、 弾性を有する接着層によつて接合されることを特 徴と している。 この発明によれば、 弾性部材の微小変位が、 圧力検出手段に直接 加わるのを防止することができ、 検出精度をより高めることができる。
第 3 の発明にあつては、 第 1 の発明において、 前記少なく とも 3 つ以上の圧力 検出手段は 4つであり、 これらの検出位置が、 それぞれ前記弾性部材の底面中心 にて互いに直交する軸上にあつて、 前記底面中心から互いに等距離に位置するこ とを特徴と している。 この発明によれば、 圧力の検出位置が弾性部材の底面中心 に対して互いに対称的に配置される。 このため、 圧力振動発生地点が移動する際 においても、 弾性部材の減衰性を各圧力手段に対して等価とすることができる。 また、 圧力振動地点の移動方向が弾性部材の頂点を通り、 検出位置の設置軸のど ちらか一方に一致させれば、 弾性波の伝播距離を最小とすることができるので、 より精度良く圧力を検出することが可能となる。
第 4の発明にあっては、 第 1 の発明において、 前記少なく とも 3つ以上の圧力 検出手段は、 互いに同一半導体基板に形成されることを特徴としている。 この発 明によれば、 半導体の製造技術を用いることが可能となるので、 非常に小型 · 高 精度で製造することが可能となる。
第 5の発明にあっては、 第 4 の発明において、 前記弾性部材の底面下であって 、 前記平面上の異なる位置に対してそれぞれ開口する中空室を備え、 前記少なく とも 3つ以上の圧力手段の各々は、 当該中空室内にそれぞれ収納されて、 当該中 空室の内圧をそれぞれ検出することを特徴と している。
第 6の発明にあっては、 第 5の発明において、 前記中空室に、 液状物質を充填 したことを特徴と している。 これら第 5 〜 6の発明によれば、 第 2 の発明と同様 に、 弾性部材の微小変位が、 圧力検出手段に直接加わるのを防止することができ 、 検出精度をより高めるこ とができる。
第 7 の発明にあっては、 第 4 の発明において、 前記弾性部材の底面下であって 、 前記平面上の異なる位置に対してそれぞれ開口する中空室と、 前記中空室での 各内圧を、 前記少なく と も 3つ以上の圧力検出手段の各々に導く圧力伝達路とを
備え、 前記少なく とも 3つ以上の圧力手段の各々が、 当該圧力伝達路の内圧をそ れぞれ検出することを特徴と している。
第 8の発明にあっては、 第 7 の発明において、 前記中空室および前記圧力伝達 路の各々に、 液状物質を充填したことを特徴と している。
第 9の発明にあっては、 第 7 の発明において、 前記圧力伝達路は、 剛体からな ることを特徴と している。 これら第 7〜 9の発明によれば、 圧力を検出すべき位 置にかかわらず圧力検出手段を配置することができる。 と く に圧力伝達路を平面 中心に向けるように設ければ、 圧力検出手段を集約するこ とができ るので、 半導 体基板の単位面積当たりに、 多数の圧力検出手段を形成することができ、 コス ト 低下に寄与することができる。
第 1 0 の発明にあつては、 第 1 の発明において、 前記弾性部材ょり も高い弾性 率を有する高弾性部材を、 前記弾性部材の露出面に被覆したことを特徴と してい る。 この発明によれば、 高弾性部材の被覆によって、 露出表面に沿って伝搬する 表面弾性波が小さ く なり、 その分検出方向に向かう弾性波が大き く なるので、 各 圧力検出手段から出力される信号のレベルを大き くするこ とができる。
第 1 1 の発明にあっては、 第 1 の発明において、 前記被覆部材ょり も高い弾性 率を有する高弾性部材の小片を、 前記弾性部材の露出面に離散的に配置したこと を特徴と している。 この発明によれば、 弾性部材の露出面上での振動発生が離散 的となるが、 高弾性部材の配置によつて露出表面に沿つて伝搬する表面弾性波を 小さ くすることができるので、 その分検出方向に向かう弾性波を大き くすること ができるので、 各圧力検出手段から出力される信号のレベルを大き くすることが できる。
第 1 2の発明にあっては、 第 1 の発明において、 前記少なく と も 3つの圧力検 出手段の各々は、 所定のバイ アス印加によって、 圧力に応じた信号をそれぞれ出 力するものであり、 前記少なく と も 3つ以上の圧力検出手段の各々に、 所定のバ ィァスをそれぞれ均等に印加するバイ ァス印加手段を備えることを特徴と してい る。 この発明によれば、 均等なバイ アス印加によって、 前記少なく と も 3つ以上 の圧力検出手段からそれぞれ出力される信号同士を同一条件下で比較することが できる。
第 1 3 の発明にあっては、 第 1 2 の発明において、 前記バイァス印加手段は、 前記少なく とも 3つ以上の圧力検出手段の各々に、 圧力を測定すべき期間のみ前 記バイ ァスをそれぞれ印加することを特徴と している。
第 1 4の発明にあつては、 第 1 2 の発明において、 前記バイァス印加手段は、 前記少なく とも 3つ以上の圧力検出手段の各々に、 前記バイ ァスをそれぞれ断続 的に印加することを特徴と している。
第 1 5の発明にあつては、 第 1 2の発明において、 前記バイァスは、 定電流パ ルスであることを特徴と している。 これら第 1 3〜 1 5 の発明によれば、 各圧力 検出手段の駆動が間欠的となり、 各圧力検出手段にバイ ァスを常時印加するとき と比較して、 圧力測定時の消費電力を小さ くすることができる。
第 1 6 の発明にあっては、 第 1 2の発明において、 前記少なく とも 3つ以上の 圧力検出手段の出力信号の各々をディ ジタル信号に変換する変換手段を備えるこ とを特徴と している。
第 1 7の発明にあっては、 第 1 6の発明において、 前記変換手段は、 前記バイ ァス印加手段による前記少なく と も 3つ以上の圧力検出手段へのバイ ァス印加時 に、 ディ ジタル信号への変換動作を行なうことを特徴と している。
第 1 8の発明にあっては、 第 1 6の発明において、 前記変換手段により変換さ れたディ ジタル信号のうち少なく と も 1 つ以上を順次記憶する第 1 の記憶手段を 備えることを特徴と している。 これら第 1 6 ~ 1 8の発明によれば、 前記少なく とも 3つ以上の圧力検出手段の出力信号の各々が効率良く ディ ジタル信号に変換 されるので、 種々のディ ジタル処理が可能となる。
第 1 9の発明にあっては、 第 1 6の発明において、 被測定面は被験者の皮膚で あり、 前記弾性部材が押圧された部位近傍に位置する動脈からの脈波を、 前記少 なく とも 3つ以上の圧力手段のうち 1 つ以上によって圧力振動と して検出するこ とを特徴と している。 この発明によれば、 弾性部材の露出面が被験者に押圧され ると、 押圧された部位近傍に位置する脈波によって弾性部材の露出面上にて圧力 振動が発生する。 脈波による圧力振動は、 弾性部材を弾性波となって伝播し、 伝 捲距離の 2乗に反比例して減衰し、 圧力検出手段の各々によつて脈波を示す信号 に変換される。 これによ り、 被験者の脈波を検出するこ とができ る。
第 2 0 の発明にあっては、 第 1 9 の発明において、 前記弾性部材は、 被験者の 腕に巻回される帯状体により被験者に装着されるこ とを特徴と している。
第 2 1 の発明にあっては、 第 1 9 の発明において、 前記弾性部材が押圧された 部位近傍の動脈は、 橈骨動脈であることを特徴と している。 これら第 2 0〜 2 1 の発明によれば、 圧力センサが被験者の腕に常時巻回されるので、 脈波を恒常的 に検出することが可能となる。
第 2 2の発明にあつては、 第 1 9 の発明において、 前記少なく と も 3つ以上の 圧力手段のうち 1 つ以上によつて検出された脈波の波形の数学的座標を検出する 数学的座標算出手段を備えることを特徴と している。 この発明によれば、 脈波波 形の数学的座標が求められるこ とによ り、 被験者の生体状態を得るの 必要なデ 一夕をそろえることができる。
第 2 3の発明にあっては、 第 2 2の発明において、 前記数学的座標算出手段に より検出された数学的座標に基づいて被験者の生体状態を判別する判別手段を備 えることを特徴と している。
第 2 4の発明にあっては、 第 2 3 の発明において、 前記判別手段によって判別 された被験者の生体状態を表示する第 1 の表示手段を備えることを特徴と してい る。 これら第 2 3〜 2 4の発明によれば、 被験者の生体状態を被験者自身に表示 することができる。
第 2 5 の発明にあっては、 第 2 2 の発明において、 前記数学的座標算出手段が 、 脈波波形の最低値および前記最低値から数えて 3番目の極大値を検出するとそ の旨を示す信号を出力する脈波波形数学的座標検出手段を特徴と している。 この 発明によれば、 被験者の生体状態を得るのに必要な期間を判別することができる 第 2 6の発明にあっては、 第 1 9の発明において、 前記弾性部材が押圧された 部位近傍に位置する動脈からの脈波により前記弾性部材の露出面上にて発生した 圧力振動地点を前記平面上に投影した座標を、 前記少なく と も 3つ以上の圧力検 出手段による各検出信号の比から、 所定時間毎に求める第 1 の演算手段と、 前記 第 1 の演算手段により所定時間毎に求めた座標の移動速度を求める第 2の演算手 段とを備え、 該移動速度を、 該動脈の脈波伝搬速度と して出力することを特徴と
している。 この発明によれば、 弾性部材の露出面が被験者に押圧されると、 押圧 された部位近傍に位置する動脈の脈波によつて弾性部材の露出面上にて圧力振動 が発生する。 この圧力振動は脈波の伝搬にしたがって移動するので、 露出面上で の圧力振動地点を平面上に投影した座標を、 第〗 の演算手段により所定時間毎に 求めて、 求めた座標の移動速度を第 2 の演算手段により算出するこ とにより、 脈 波伝搬速度が求められる。
第 2 7 の発明にあつては、 第 2 6 の発明において、 前記移動速度の大きさを判 別して、 前記所定時間の期間を変化させる第 1 の時間間隔制御手段を備えること を特徴と している。 この発明によれば、 第 1 の演算手段により座標を求める間隔 が、 座標の移動速度に応じて変化することになるので、 座標の演算を効率良く行 なうことが可能となる。
第 2 8の発明にあっては、 第 2 6の発明において、 予め脈波伝搬速度と一般的 血圧値との相関関係を記憶する第 2の記憶手段と、 被験者の個人データを設定す る設定手段と、 出力される脈波伝搬速度に対応する一般的血圧値を読み出し、 設 定された個人データを乗じて、 被験者の血圧値と して出力する血圧値算出手段と を備えることを特徴としている。
第 2 9 の発明にあっては、 第 2 8の発明において、 前記血圧値算出手段によつ て出力された被験者の血圧値の情報を表示する第 2の表示手段を備えることを特 徴と している。 これら第 2 8 ~ 2 9 の発明によれば、 求めた脈波伝搬速度から被 験者の血圧値の情報を得ることができる。
第 3 0の発明にあっては、 第 1 9の発明において、 前記弾性部材が押圧された 部位近傍に位置する動脈からの脈波により前記弾性部材の露出面上にて発生した 圧力振動地点を前記平面上に投影した座標を、 前記少なく と も 3つ以上の圧力検 出手段による各検出信号の比から、 所定時間毎に求める第 1 の演算手段と、 前記 第 1 の演算手段により所定時間毎に求めた各座標をそれぞれプ π ッ ト して表示す る第 3の表示手段とを備えることを特徴と している。 この発明によれば、 弾性部 材の露出面が被験者に押圧されると、 押圧された部位近傍に位置する動脈の脈波 によつて弾性部材の露出面上にて圧力振動が発生する。 この圧力振動は脈波の伝 搬にしたがって移動するので、 露出面上での圧力振動地点を平面上に投影した座
標を、 第 1 の演算手段により所定時間毎に求めて、 求めた座標を表示手段により プロ ッ ト して表示するこ とによ り、 動脈位置の表示をするこ とができ る。
第 3 1 の発明にあっては、 第 3 0 の発明において、 前記座標の移動速度を求め てその大きさを判別し、 前記所定時間の期間を変化させる第 2の時間間隔制御手 段を備えることを特徴と している。 この発明によれば、 座標を求める間隔が、 座 標の移動速度に応じて変化することになるので、 動脈の位置をより細密に表示す ることが可能となる。
第 3 2 の発明にあつては、 第 3 0 の発明において、 前記第 3 の表示手段が、 前 記少なく とも 3つ以上の圧力検出手段の各検出位置と前記第 1 の演算手段により 求めた座標とを対応させて表示することを特徴と している。 この発明によれば、 圧力検出位置に対する動脈位置の偏位が表示されるので、 脈波を検出するのに最 適なポジショ ンを知ることが可能となる。
第 3 3の発明にあっては、 第 1 の発明において、 前記弾性部材には、 前記圧力 検出手段の検出位置を覆う位置に、 ドー ム状の窪みを設けたことを特徴とする。 また、 第 3 4の発明にあつては、 第 3 3の発明において、 低面の直径が sである 前記ドー ム状の窪みは、 低面の半径が rである前記弾性部材に、
4 Z 5≥ s / r ≥ l " 5 の関係を満たすように設けられることを特徴とする。 これら第 3 3 , 3 4 の発明 によれば、 弾性部材に加えられる圧力に対して、 ドー ム状の窪みにより形成され る空洞の容積が変化されやすく なるため、 その圧力が圧力検出手段において検出 しゃすくなり、 したがつて圧力検出手段の感度を向上させるこ とができる。 図面の簡単な説明 図 1 は、 ( a ) はこの発明の第 1 実施例による圧力セ ンサ 1 0 の構成を示す部 分断面した斜視図であり、 ( b ) は同構成を示す透視斜視図である。
図 2 は、 同圧力センサ 1 0 における弾性ゴム 1 と半導体基板 2 との接合部を部
分拡大した断面図である。
図 3 は、 同圧力セ ンサ 1 0 にバイ ァス回路 6 0を付加した構成を示すプロ ッ ク 図である 図 4は、 ( a ) 〜 ( d ) の各々は、 バイ ア ス回路 6 0への制御信号 Tの一例を 示すタイ ミ ング図であり、 ( e ) - ( f ) の各々は、 バイ ア ス回路 6 0からの定 電流パルスの波形を示す図である。
図 5 は、 同圧力セ ンサ 1 0 による脈波検出の原理を説明するための要部断面図 である。
図 6 は、 同圧力セ ンサ 1 0 による位置検出の原理を説明するための簡略斜視図 である。
図 7 は、 ( a ) はこの発明の第 2実施例による圧力センサ 1 0 の構成を示す平 面図であり、 ( b ) は同実施例における弾性ゴム 1 と半導体基板 2 との接合部の 構成を示す要部拡大断面図である。
図 8は、 こ の発明の第 3実施例による圧力セ ンサ 1 0の構成を示す部分断面し た斜視図である。
図 9 は、 こ の発明の第 4実施例による圧力セ ンサ 1 0の構成を示す部分断面し た斜視図である。
図 1 0 は、 圧力セ ンサ 1 0 を用いた脈波処理装置を組み込んだ腕時計 2 0の外 観構成を示す斜視図である。
図 1 1 は、 同腕時計 2 0 の電気的構成を示すプロ ッ ク図である。
図 1 2 は、 ( a ) は同腕時計 2 0 の装着状態を示す斜視図であり、 ( b ) は同 腕時計 2 0の装着状態を示す断面図である。
図 1 3 は、 ( a ) ~ ( c ) はそれぞれ一般的な脈波波形を示す図である。
図 1 4 は、 同腕時計 2 0 における液晶表示パネル 2 1 の表示の一例を示す平面 図である。
図 1 5 は、 脈波処理装置の他の実施例の構成を示す斜視図である。
図 1 6 は、 ( a ) 、 ( b ) と もに圧力セ ンサ 1 0 の変形構成を示す斜視図であ る n
図 1 7 は、 ( a ) は ドー ム状の空洞を設けた弾性ゴム 1 ' と半導体基板 2 との 接合部を部分拡大した断面図であり、 ( b ) は弾性ゴム 1 ' と ドー ム状の空洞 7 の大きさの関係を示す断面図である。
発明を実施するための最良の形態 以下、 図面を参照してこの発明による各実施例について説明する。
A : 圧力センサ
この発明による圧力センサは、 圧力振動とともにこの圧力振動の発生座標を算 出する ものである。 この実施例では、 この圧力振動の検出を、 被験者の動脈 (特 に橈骨動脈) の脈波検出を例にと って説明し、 さ らに、 脈波伝搬速度の検出、 被 験者の動脈 (この場合は橈骨動脈) 位置表示について説明する。
図 1 ( a ) および ( b ) は、 それぞれこの実施例である圧力センサの構成を示 す部分断面した斜視図および斜視透視図である。
これらの図に示すよう に、 圧力センサ 1 0 は、 感圧素子 S ,〜 S 4と半球形状の 弾性ゴム 1 とから構成される。 なお、 こ こでは、 弾性ゴム 1 の形状を理想的な半 球面と して説明する。
感圧素子 S ,〜 S <の各々は、 弾性ゴム 1 の底面 (平面) Lに設置され、 検出圧 力に比例した電圧 ν , ν *を検出信号と してそれぞれ出力するものであり、 その 構成の一例については後述する。 これら感圧素子 S ,〜 S 4による検出位置 Q ,〜Q <の座標 ( X, y ) は、 弾性ゴム 1 の半径を r、 底面 Lの中心を原点 ( 0, 0 ) と すると、 それぞれ
( a , 0 ) 、 ( 0, a ) 、 ( 一 a , 0 ) 、 ( 0 , — a ) …… ( p ) である (ただし、 r 〉 a 〉 0 ) 。
すなわち、 感圧素子 S ,〜 S 4によ って圧力を検出すべき座標は、 底面 Lの X, y軸上であって、 原点から互いに等距離 aだけ離れている。
次に、 感圧素子と弾性ゴム 1 との接合部について、 感圧素子 S , を例にと って 説明する。 図 2 は、 感圧素子 S ,の構成を示す要部断面図である。
弾性ゴム 1 の底面 Lには、 半導体基板 2が、 弾性を有する接着層 3 によ って接
着され、 該半導体基板 2 には、 検出位置 Q ,での圧力を検出する感圧素子 S ,が、 ■ 検出位置において開口している中空室 4 > とと もに形成されている。 この感圧素 子 S ,は、 ダイヤフラムと して用いる薄肉部 (厚さ約数十;/ m) 5 およびこの 薄肉部 5 ,の表面に形成されたス ト レ ン · ゲージ 6 ,から構成される。
感圧素子 S , は、 既知の半導体ヱ ツチン グ技術により形成され、 特に、 ス ト レ ン . ゲージ 6 , は、 不純物 (例えばボ ロ ン〉 の選択拡散技術を用いて形成される ピエゾ抵抗素子 ( P型抵抗層) から成る。 このよ うなス ト レ ン ' ゲージ 6が歪む と、 該歪みに応じてその抵抗値が変化するようになっている。
同様に、 感圧素子 S 2~ S <が、 半導体基板 2上に形成され、 検出位置 Q 2〜 C での圧力に比例してその抵抗値がそれぞれ変化するようになつている。
かかる構成による圧力センサ 1 0では、 弾性ゴム 1 の半球面上にて圧力振動が 生じると、 該圧力振動は弾性ゴム 1 内を弾性波と して伝播し検出位置 Qにて微震 動となり、 中空室 4内の圧力を変動させる。 この際、 ス ト レ ン . ゲージ 6 は、 中 空室 4の内圧と大気圧解放口 7 を介した外圧との圧力差によって歪むので、 その 抵抗値は該圧力振動に応じて変化することになる。
ス ト レ ン ' ゲージ 6 ,~ 6 <の両端部には、 外部回路に導くためのア ル ミ電極 ( 図示せず) が蒸着されており、 後述する回路によってそれぞれ抵抗 Z電圧変換さ れ、 該電圧が、 検出位置 Q ,~ Q 4での圧力に比例する検出電圧 V , と して出力さ れるようになっている。
ここで、 必要ならば、 中空室 4 ,〜 4 <の各々を単に空乏とはせずに、 熱膨張率 の低い液体 (例えば、 水、 ア ル コ ールなど) 、 あるいは液状物質 (例えば、 ゼラ チンなど) を充填した構成と しても良い。 これによ り、 検出位置 Q ! Q にてそ れぞれ生じた微震動を、 低い損失率で、 より正確に、 それぞれ当該ス ト レ ン . ゲ —ジ 6 ,〜 6 4による検出信号へと変換するこ とができ る。
次に、 圧力セ ンサ 1 0 における感圧素子 S ,〜 S <の電気的接続とそのバイ ア ス とについて、 図 3および図 4 を参照して説明する。 なお、 図 3 において、 ス ト レ ン · ゲージ 6 ,~ 6 <の各々は、 等価的に可変抵抗器と して示されている。
図 3 に示すよ う に、 感圧素子 S 1〜 S <に対応する ス ト レ ン . ゲージ 6 1〜 6 <の 各々は、 互いに直列接続され、 これらの両端にはそれぞれ出力端子 6 2, 6 2 ,
が設けられている。
そ して、 ス ト レ ン · ゲージ 6 ,〜 6 4の直列両端がバイ ア ス回路 6 0 に接続され る。 このバイ ァス回路 6 0 は、 定電流回路 6 4 と、 この定電流回路 6 4 の出力信 号をオ ン/オフするスィ ツチ 6 6 と、 制御信号 Tが" H " 状態となったと きにス イ ッチ 6 6をォンさせる切換回路 6 8 とから構成される。 すなわち、 制御信号 T が" H " 状態において、 定電流回路 6 4 の出力信号がス ト レ ン ' ゲージ 6 ,〜 6 < に印加されるようになっている。
前述したように、 ス ト レ ン . ゲージの抵抗値は歪みに応じて変化するので、 各 ス ト レ ン . ゲージ 6 , ~ 6 こ同一の定電流を流すと、 各出力端子 6 2 , 6 2 , … …間の電圧 V ' ^ V *は、 それぞれ検出位置 Q ,〜 Q <での各圧力に比例し、 かつ各 圧力の大きさを相対的に示したものとなる。
さて、 制御信号 Τの波形パター ンには、 圧力セ ンサ 1 0 の検出信号を処理する 装置の規模や仕様などによ って種々のものが考えられる。 例えば、 制御信号丁に は、 測定時、 非測定時を問わず常に" Η " 状態となる信号 7 0 (図 4 ( a ) 参照 ) や、 測定時、 非測定時を問わず断続的に" H " 状態となる (所定のデューティ 比を有する) パルス信号 7 2 (同図 ( b ) 参照) 、 測定時のみ" H " 状態となる 信号 7 4 (同図 ( c ) 参照) 、 測定時のみ断続的に" H " 状態となる (所定のデ ユ ーティ比を有する) パルス信号 7 6 (同図 ( d ) 参照) が選択される。
なお、 こ こでの測定時とは、 圧力振動を検出すべき期間を指す。
圧力セ ンサ 1 0 の検出信号を処理する装置において、 検出精度が要求されるな らば、 制御信号 Tには信号 7 0が適当である。 一方、 消費電力を小さ くするこ と が要求されるならば、 制御信号 Tにはパルス信号 7 6が適当である。 また、 この 処理装置において、 検出精度と低消費電力との中間的な性格の位置付けがなされ るならば、 パルス信号 7 2あるいは信号 7 4が適当である。
これは次の理由による。
ス ト レ ン . ゲージ 6 , ~ 6 4には定電流が流れるために、 若千の発熱が伴う。 こ のため、 バイ ア ス印加時とそうでない時とで温度差が生じ、 該温度差によって抵 抗値が微妙に相違するので、 圧力検出時に誤差の原因となる。 制御信号 Tと して 信号 7 0を用いると、 非検出時にもス ト レ ン · ゲ一ジ 6 ,〜 6 Jこ定電流が印加さ
れるこ とになり、 一定時間経過して発熱が飽和した時点で、 圧力を検出するよう にすれば、 以降、 温度差による測定誤差を非常に少なくするこ とができるからで ある。
一方、 制御信号 Tと してパルス信号 7 6を用いると、 検出時にのみ定電流が間 欠的にス ト レ ン . ゲージ 6 ,〜 6 こ印加されるので、 電流による発熱が抑えられ 、 低消費電力に寄与することができるからである。 この際に、 パルス信号 7 6 に 同期して、 圧力セ ンサ 1 0の検出信号処理装置の各部 (A / D変換、 増幅器等) を動作させれば、 さらに消費電力を小さ くすることが可能となる。 極端には、 こ れら各部の通電を、 パルス信号 7 6 の" H " 状態のときのみ、 行なえば良い。 また、 定電流バイ ァスと して、 パルス信号 7 2 あるいは 7 6 より も充分に短い 間隔を有する定電流パルス (図 4 ( e ) 参照) を定電流回路 6 4が出力する構成 と しても良い。 この場合に、 制御信号 Tと して信号 7 0 , 7 2 , 7 4 , 7 6を組 み合わせて良いのはもちろんである。 特に、 パルス信号 7 6 を用いると、 ス ト レ ン · ゲ一ジ 6 , ~ 6 <にバイァ スは、 図 4 ( f ) に示すように、 印加される期間が 非常に短く なるので、 極めて消費電力を小さ くすることができる。 この際も同様 に、 定電流パルス に同期して、 圧力セ ンサ 1 0の検出信号処理装置の各部を動作 させれば、 消費電力をより小さ くすることが可能となる。 さらに、 これら各部の 通電を、 バイ ア ス印加時のみ行なうようにすれば、 消費電力を極めて小さ くする ことができる。
なお、 このバイ ア ス印加の間隔は、 圧力振動の変化に充分対応するように短い こと (サンプリ ング定理を満たすこと) が要求される一方、 出力装置先が対応で きる範囲内でなければならない。
また、 感圧素子 S I ~ S <は、 互いに同一の半導体基板 2 に形成されるのが望ま しい。 半導体の製造技術をもってすれば、 一体形成 · 配置するのは容易であり、 個々に感圧素子を形成 · 配置するより も、 精度的 · 工程的に有利であるからであ る
なお、 以上説明した弾性ゴム 1 (図 1参照) の感圧素子 S ,〜 S Jこ対応する位 置に ドーム状の窪みを設けること もできる。 図 1 7 ( a ) は、 こ の一例を示すも のであり、 図 2 で説明した弾性ゴム 1 の中空室 4 , ~ 4 <の各々に面する位置に ド
—ム状の窪み 7 ,〜 7 4を設けたものであ る。 図 1 7 ( b ) は、 上記 ドーム状の窪 み 7 , ~ 7 <を設けた弾性ゴム 1 ' の断面図であり、 この図において、 r は弾性ゴ ム 1 ' の低面の半径、 s は ドー ム状の窪み 7 !〜 7 <の低面の直怪を各々示す。 ま た、 弾性ゴム 1 ' の半径 r と ドーム状の窪み 7 ! ~ 7 <の直径 sは、 次式を満たす ように設定する。
4 / 5 ≥ s /' r ≥ 1 5 ( 10 ) このような ドーム状の窪み 7 ,〜 7 4を設けることにより、 窪み 7 , ~ 7 4と中空 室 4 ,〜 4 <により形成される各空洞の容積が、 弾性ゴム 1 ' の加圧によって変化 しゃすく なるため、 その圧力がス ト レ ン ' ゲージ 6の歪へ変換されやすく なり、 したがって、 圧力セ ンサ全体の感度が向上する。
A - 1 - 1 : 圧力セ ンサによ る脈波検出の原理
次に、 かかる構成の圧力セ ンサ 1 0 による動脈脈波測定の原理について説明す る。 なお、 本願発明において対象とする動脈は、 ほとんど皮膚表層を通るものを 想定している。
図 5 に示すように、 弾性ゴム 1 の半球面側が動脈 ( こ こでは説明のため橈骨動 脈 3 0 ) の近傍を押圧したとする。 この場合、 弾性ゴム 1 の半球面上の点 P に は、 橈骨動脈 3 0から発生する圧力振動波、 すなわち脈波によって振動が発生す る。 こ こで、 点 P„は 振動の重心 (中心) とする。 こ の振動は弾性ゴム 1 を伝播 して、 感圧素子 S ,〜 S 4によって脈波を示す電気信号、 すなわち電圧 V ,〜 V <を 有する検出信号と してそれぞれ出力される。
感圧素子 S こよる電圧 を、 後述する方法によって時系列処理す ることによつて脈波伝搬速度、 および動脈位置を求めることができる。
A - 1 - 2 : 圧力セ ンサによる座標算出の原理
つぎに、 脈波伝搬速度検出および動脈位置検出について説明するために、 圧力 振動地点の座標算出の原理について説明する。 図 6 は、 座標検出の原理を説明す
るための斜視図であり、 こ の図では図 1 に示した圧力セ ンサ 1 0 を説明のため簡 略化してある。
弾性ゴム 1 の半球面側が、 その底面 L内に橈骨動脈 3 0が投影されるように動 脈近傍を押圧したとすると、 時刻 t = nにおいて弾性ゴム 1 の半球面上の点 P π には、 橈骨動脈 3 0から発生する脈波によって振動が発生する。 こ の振動は、 弾 性ゴム 1 を伝播し、 伝播距離の 2乗に比例して減衰し、 感圧素子 S 1~ S こより 電圧 を有して脈波を示す検出信号と してそれぞれ検出される。
ところで、 弾性ゴム 1 の球面を表す式は、 次のようになる。
•(1)
(ただし、 ζ > 0 ) .
したがって、 弾性ゴム 1 の球面上における任意の点 Ρ
π の座標 ( X , y, z ) は、 その X , y座標の値をそれぞれ x
n, y
Dとすると、 式 ( 1 ) から次のように なる。
そ して、 点 Ρ„ と感圧素子 S ,〜S <の検出位置 Q ,^Ο ,との各距離は、 式 ( 2 ) および前述した各検出位置の座標を示す ( Ρ ) からそれぞれ次式のようになる
-2axn+r2
-2ayn+r2
…… (3)
次に、 点 P Jこて発生した振動は、 弾性ゴム 1 の伝播距離の 2乗に比例して減衰 するので、 各セ ンサによ って検出される電圧 V ι ~ V <の値は、 互いに、 点 Ρ π と 対応するセ ンサの検出位置との距離の 2乗に反比例することになる。 したがって
、 次の等式が成立する。
\2
Vl{^a2-2axn + r
r\2
Vつ -^yn + r
そして、 式 ( 4 ) から、 点 P n の x、 y座標の値 x ,, y ,は、 次のようになる
X. -
2 (^ + V3)
(ν2-ν4)·(α2 +
2a(V2 + V4)
"…- (5)
このよ うに、 弾性ゴム 1 の半球面上の点 p。にて、 脈波による圧力振動が発生す ると、 感圧素子 S ,〜 S の検出電圧 V ,〜 V 4から、 点 Ρ πの座標値 x n, y ,を求め ることができる。 これは、 点 P nを、 感圧素子 S ,〜 S <の検出位置の平面 (X — y 平面) 、 すなわち、 弾性ゴム 1 の底面 L に垂直投影した点 P ' -の座標 (図 6参照 :) を求めていることにほかならない。
式 ( 5 ) では、 座標値 X -を、 X軸上に設置される感圧素子 S ,, S sの電圧 V , , V , から、 また、 座標値 y nを、 y軸上に設置される感圧素子 S 2, S <の電圧 V
2, V. から、 それぞれ独立して求めることができるので、 座標算出にあたって相 互の影響を排除することができる。
これは、 式 ( 4 ) を詳細に検討すれば判るよう に、 座標値 x D, y nを求めるの に必要な電圧は、 感圧素子 S ,~ S <のうちの 3つで済むのである力 この場合、 一方の座標値の算出には、 他方の座標値が影響を与えてしま う。
例えば、 感圧素子 S ,〜 S 3のみによって座標値 X を算出するには、 まず
、 座標値 X を電圧 V ,, V 3から算出し、 次に、 この座標値 X ,を式 ( 4 ) に代入 すれば、 座標値 y。を、 電圧 V 2 から算出することができるが、 該座標値 y nは、
電圧 V ,〜 V aに依存してしま う ことになるので、 感圧素子に出力特性に差がある 場合に、 正確な座標算出ができなく なるからである。
ところで、 上述した式 ( 5 ) は次のように書き換えることができる。
( a 2+ r 2) V , - V V! - V
X = K
2 a V , + V 3 V , + V
( a 2+ r V 2- V V 2— V
y . = = K
2 a V 2+ V V V
(5)'
(但し、 Kは定数)
すなわち、 振動印加点 Pn の 2次元座標 ( x n, y B) は、 感圧素子 S , Β の 各出力電圧 V ,〜V <の差と和の比から容易に求めることができる。 そして、 座標 ( X y .) が求まれば、 前記式(1)から座標 z aを容易に求めることができる。 なお、 この実施例において、 地点 P' n の座標'値 x n, y nを求めるのに用いて いる式 ( 1 ) 〜 ( 5 ) は、 弾性ゴム 1 が理想的な半球形状、 すなわち、 球体をそ の中心を含む面によって切断したときに得られる形状を前提としている。
しかしながら、 被験者に対する装着感、 使用感などの触感を考慮した場合、 弾 性ゴム 1 の形状は、 かかる半球形状より も、 図 1 6 ( a ) に示すよう に、 略凸形 状であることが望ま しい。
また、 工業的に考えてみても、 圧力セ ンサ 1 0が、 この前提を満足して製造す ることは困難であり、 むしろ、 図 1 6 ( a ) あるいは ( b ) に示すように、 (こ れらの図においては極端な例を示すが) 、 球体の中心からズレをもって製造され てしま う ことが多い。
このような場合であつても、 該ズレ量が測定精度において許容範囲内であれば 、 式 ( 5 ) を近似式と して用いて、 座標値 X „, y„を求めることができる。
そ こで、 この近似について説明する。 いま、 弾性ゴム 1 の形状が、 理想的な球 体の中心から Δ zだけずれて切断された疑似半球体と した場合について考える。
この場合、 感圧素子 S ,〜 S <による検出位置 Q ,〜 Q <の座標 ( x , y, z ) は 、 弾性ゴム 1 の半怪を r、 中心を原点 ( 0, 0, 0 ) とすると、 それぞれ
Q , ( a, 0 , Δ z )
Q ( 0 , aa , Δ z )
Q ( - a , 0 Δ z )
Q4 ( 0 , _ a Δ z )
である。
したがって、 点 P
n と検出位置 !〜 との各距離の 2乗はそれぞれ、 式 ( 3 ) と同様にして求めることができ、 それぞれ次式のようになる。
; ^g2 + +yn 2+{z„-Az) 2 = 2 + ( + 2 —
…… (6)
ただし、 これらの式において、
Ζ, k2+ リ ■(7) とおいている。
この場合でも、 点 P nにて発生した振動は、 弾性ゴム 1 の伝播距離の 2乗に比例 して減衰するので、 各セ ンサによって検出される電圧 V!〜 ,の値は、 互いに、 点 P n と対応するセ ンサの検出位置との距離の 2乗に反比例することになる。 す なわち、 式 ( 6 ) における各距離の 2乗と、 当該検出電圧 V ,~ V との積におい ては互いに等しいので、 点 P - の x、 y座標の値 X -, は、 次のようになる。
(K一- v3ゾ' α2—十 +厂 r2一- 2乙ζπ'' a Δzζ十 +、 (ΔZζ)2
X. =
2a{V1 + V,)
(V2 -V4)-{a2 + r2-2zn Az + (Azf )
2a(V2 + V4)
'(8)
式 ( 8 ) において、 ( Δ z ) 2 については、 ( Δ z ) を z軸方向に対して充分 に小さければ、 無視することができる。
また、 式 ( 8 ) をみてもわかるように、 ( z η · Δ z ) については、 原点からの センサの距離 a を、 半径 r の範囲内においてできるだけ大き くするこ とによ り、 無視することができる。
これによ り式 ( 8 ) は、 実質的に式 ( 5 ) と等し く なる。
またこの実施例では、 地点 P ' „ の座標値 x n, y nを求めるのに、 各検出信号 の電圧 V ,〜 V <を式 ( 5 ) に代入することにより求めた力;、 次の方法によって求 めても良い。
すなわち、 弾性ゴム 1 の露出面上で一定の振動を実験的に発生させ、 振動を加 えた座標と電圧 V ,~V 4の比との関係を予め測定し、 この関係を示すテーブルを 作成しておく。
実際に、 地点 P ' „ の座標値 x n, y nを求めるには、 電圧 !〜 の比に対応 する座標をこのテーブルから読み出すこ とで可能である。
このように、 弾性ゴム 1 は、 半球面形状にする必要がなく、 被測定面に対し押 圧しやすいような凸形状であれば良い。
A— 1 — 3 : 圧力センサによる移動べク トル成分算出の原理
次に、 時刻 t = n + 1 (すなわち、 サ ンプリ ングク ロ ッ クの 1周期経過後) に おいて、 橈骨動脈 3 0の脈波伝搬に伴って圧力振動の発生源が点 P„ +1 に移動し たとする。 この場合も同様に、 該点 P„+ 1を、 面 Lに投影した点 P ' „ +1の座標値 X „ + , y n + iを める。
以下、 同様に、 時刻 t = n + 2, n + 3 , における点 P' n + 2, P ' n + 3,
……の座標値を求める。
半球面上の圧力振動源は橈骨動脈 3 0 の脈波伝搬に伴つて移動するので、 この 圧力振動源の点を底面 Lに垂直投影した座標値を結ぶと、 底面しに対する橈骨動 脈 3 0の位置を示すこ とができ る。
また、 求めた座標値から、 サ ンプリ ングク ロ ッ ク 1 周期前に求めた座標値を減 算するこ とよ って、 すなわち、
X n + — X
y n + i - y =
をそれぞれ求めると、 サンプリ ング 1 周期において、 動脈の血流移動を示すベ ク トルのうちの、 x, y軸方向の成分を求めることができる。 さ らに、 この成分 の大きさ、 すなわち移動距離を求めて、 サ ンプ リ ングク ロ ッ クの 1 周期で除算す ることによって、 当該サ ンプル時における移動べク ト ルの速度、 すなわち、 脈波 伝搬速度を算出することができる。 この脈波伝搬速度 Vを求める式は、 サ ンプリ ングク ロ ッ クの周波数を F s とすると、 次式のようになる。 y …… (g)
Fs
A— 2 : 圧力セ ンサの他の実施例
ぐ第 2 の実施例〉
次に、 圧力セ ンサの第 2 の実施例について説明する。 図 7 ( a ) は、 この実施 例の構成を説明するための略平面図であり、 図 7 ( b ) は、 同図 ( a ) における X軸の方向の要部断面図である。 これらの図において、 図 1 あるいは図 2 と同じ 部位には、 同一符号を付与してあり、 その説明を省略する。
これらの図に示すように、 圧力セ ンサ 1 0 には、 検出位置 において開口す る中空室 4 ,が設けられ、 さ らにこ の中空室 4 ,の側壁に開口する中空管 8 , が平 面 L の中心方向に延びて、 半導体基板 2 に接続されている。 同様に、 検出位置 Q 2 ~ Q 4において中空室 4 2〜4 <がそれぞれ設けられ、 さ らに中空管 8 2〜 8 <が平 面 Lの中心方向にそれぞれ延びている。 半導体基板 2 には、 感圧素子 S 1〜S <が 各々設けられ、 四方向からそれぞれ延びている中空管 8 ,〜 8 <に開端接続される この場合好ま しく は、 中空室 4 ,〜 4 <および中空管 8 ,〜 8 <は、 半導体基板 2 とは別構成と し、 例えば硬質ブラスチ ッ クや金属等の剛体 9から形成した方が良 い。 この方が、 検出位置 Q , ~ を考慮せずに、 感圧素子 S , ~ S <を半導体基板 2に集約的に形成することができるので、 同一面積中での感圧素子の取り数を増 加させて、 その分コ ス トを低下させるこ とができる、 という利点がある。
また、 この第 2実施例においても、 中空室 4 , ~ 4 <および中空管 8 , ~ 8 4に、 熱膨張率の低い液体あるいは液状物質を充填した構成と しても良い。
なお、 圧力セ ンサ 1 0 と しては、 底面 Lの検出位置 Q ,〜 Q Jこ既知の歪みゲ一 ジを直接張り付け、 該位置での振動を歪みと して検出する構成も可能ではあるが 、 この構成では弾性ゴム 1 を押圧した際の微小変形による歪みが直接出力に現わ れるので、 望ま しく は、 図 2 に示したように接着層 3および中空室 4を介して圧 力波と して検出する構成の方が良い。
また、 感圧素子の個数は、 上述した実施例では 「 4」 であったが、 前述したよ うに 「 3」 であっても良い。 要は、 感圧素子の各検出位置と弾性ゴム 1 の半球面 上の点との各距離が特定できるよ うに、 感圧素子の各検出位置が、 半球面の底面 であれば良い。
上述した第 1 あるいは第 2の実施例による圧力セ ンサ 1 0では、 点 P n での振 動による弾性波が、 検出位置 Q ,〜 Q <方向のみならず、 弾性ゴム 1 のあらゆる方 向に向かってほぼ均等に伝搬する。 このため、 点 P„ にて発生する振動の大きさ に対して検出位置 C 〜 Q <で生じる圧力が小さ く なり、 電圧 V ,〜 V 4の各値もこ れに応じて小さ く なる傾向がある。 したがって、 これら実施例では、 S Z N比が 劣化しやすいという欠点を抱えている。
そこで次に、 S'/ N比の改善を図つた第 3および第 4 の実施例についてそれぞ れ説明する。
ぐ第 3実施例〉
本願発明者は、 弾性ゴム 1 より も高い弾性率を有する部材 8 1 (例えば、 硬質 プラ スチ ッ クや金属等) を、 図 8 に示すように、 弾性ゴム 1 の半球面に被覆する と、 感圧素子 S ,〜 S <による出力電圧 V ,〜 V <が、 部材 8 1 の被覆なし (第 1実 施例) のときと比較して大となることを実験的に確認している。
これは、 半球面の表面に沿って伝搬する表面弾性波が、 部材 8 1 の存在によつ て伝搬しに く く なつて、 弾性ゴム 1 の中心方向に向かう こ とになるので、 その分 、 各検出位置 Q ,〜 Q 4での圧力増加に寄与して、 感圧素子の出力電圧をより大き く していると思われる。 言い換えれば、 半球面から検出位置への弾性波の伝搬を 示す伝達関数が改善されるためと思われる。
また、 この実施例においては、 部材 8 1 の被覆によ って、 弾性ゴム 1 が被験者 に直接接触することがなく なるので、 被験者の皮脂による弾性ゴム 1 の劣化が防 止される、 という利点もある。
<第 4実施例 >
また、 図 9 に示すように、 部材 8 1 の小片 8 2 を弾性ゴム 1 の半球面上に離散 的に多数設ける構成と しても良い。 小片 8 2が、 半球面に対して埋め込まれるか 、 貼付されるかは、 問わない (同図は、 貼付した例を示す) 。
このとき、 前述した弾性波の伝達関数においては、 小片 8 2から検出位置へ向 かう ものの方が、 弾性ゴム 1 の露出表面から検出位置へ向かう ものよ り も改善さ れるので、 半球面上の振動点 P n が小片 8 2 の設置場所にと選択的に限定される (傾向がある) 。 このため点 P„ の座標値は、 小片 8 2 の設置場所を底面 Lに投 影した離散値になるという問題があるが、 感圧素子 S ,〜 S <の出力電圧 V , ~ V , を大き くするこ とができ るので、 脈波の検出時には有効である。
また、 この問題は、 小片 8 2 を多数かつ効率良く設置するこ とによ り、 解決す るこ とができる。
B : 脈波処理 (脈波検出、 脈波伝搬速度検出、 および動脈位置表示) 装置 次に、 上述した圧力センサ 1 0を組み込んだ脈波処理装置の実施例について説 明する。 この脈波処理装置は、 一般的な (時刻表示を行なう) 腕時計に付加装置 として組み込まれ、 圧力センサ 1 0 の検出信号によ り、 脈波検出、 脈波伝搬速度 検出、 および動脈位置表示を行なう ものである。
B - 1 : 脈波処理装置の外観構成
図 1 0 は、 この脈波処理装置の外観構成を示す斜視図である。 この図に示すよ うに、 腕時計 2 0の匡体 Mの表面には、 ドッ トマ ト リ ッ ク ス表示型の液晶表示パ ネル 2 1 が備えられ、 現在時刻や後述する橈骨動脈の位置等の表示を行なう。 な お、 この図において、 Aは液晶表示パネル 2 1 の視野方向を示す。
また、 匡体 Mの正面右側面には、 スィ ッチ 2 2 ,、 2 2 2が設けられ、 これらス ィ ッチを単独あるいは同時に押下することによつて機能の選択や各種の設定等を
行な う よ う になっている。
また、 一対のバン ド 2 3 , 2 3 の一方に設けられる締着具 2 4の締め付け側に は、 圧力セ ンサ 1 0 の弾性ゴム 1 が突出して設けられており、 締着具 2 4を備え るバン ド 2 3 は、 圧力セ ンサ 1 0 による検出信号を供給するべく F P C (Flexib le Printed Circuit) 基板を軟性ブラスチッ クで被覆した構造 (詳細については 図示省略) となっている。
B - 2 : 脈波処理装置の電気的構成
次に、 この脈波処理装置の電気的構成について図 1 1 を参照して説明する。 この図において、 1 1 は AZ D変換器であり、 感圧素子 S ,〜 S 4による検出電 圧 V 1〜V <の各々を、 ク ロ ッ ク C L Kによるタ イ ミ ングにてサ ンプリ ングして A ZD変換を行なう。 詳細には、 こ の A.ZD変換器 1 1 は、 検出電圧 V ,〜V <の各 々をク ロ ッ ク C L Kのタ イ ミ ングにてサ ンプル . ホール ドし、 これら電圧をマル チプレクサによ ってク ロ ッ ク C L Kよ り充分速いタ イ ミ ングにて順次切り換えて 、 AZD変換を行なう。 これによ り A Z D変換すべき電圧の数は ,〜\^の 「 4 」 であるが、 A, ZD変換器 1 1 の個数は 「 1 」 とする こ とができ る。 そ して、 変 換された電圧は、 イ ンタ ー フ ヱ イ ス (図示せず) およびバスを介して C P U (Ce ntral Processing Unit ) 1 2 に供給される。
1 3 は R O M ( ramdom access Read Only Memory) であり、 C P U 1 2 によつ て演算を行なうためのプログラ ムゃ、 脈波伝搬速度と血圧値との対応関係を示す テーブル等が記憶されている。 1 4 は R AM (Ramdom Access read/write Memor y ) であり、 各種データや算出座標等を一時記憶する。 1 5 はタイマであり、 基 本ク ロ ッ ク øを C P U 1 2 に供給する と と もに、 C P U 1 2からの制御信号 Sの 下に、 基本ク 口 ッ ク の分周周期を変更したク 口 ッ ク C L Kを出力する。
1 6 は L C D制御回路であり、 C P U 1 2からバスを介して供給されるデータ に基づき、 液晶表示パネ ル 2 1 に表示させるためのタイ ミ ン グ信号および表示デ —タ生成して、 垂直制御回路 1 7 および水平制御回路 1 8 にそれぞれ供給する。 垂直制御回路 1 7 および水平制御回路 1 8は液晶表示パネ ル 2 1 の各電極にそれ ぞれ接続され、 垂直制御回路 1 7 は各垂直電極を、 水平制御回路 1 8 は各水平電
極を、 それぞれ駆動する。 これら回路によ って、 C P U 1 2 からの供給データ に 基づく 表示が、 液晶表示パネ ル 2 1 にて行なわれるよ う になつている。
2 5 はス ィ ッ チ ' イ ンタ 一 フ ェ イ スであり、 図 1 0 におけるス ィ ッ チ 2 2 い 2
2 2による設定状態を C P U 1 2 に供給する。
C P U 1 2 は、 基本ク ロ ッ ク をカウ ン ト して既知の時計機能を実行するとと もに、 脈波を電圧 V ,〜\^の標本値と して検出し、 さ らに、 脈波伝搬速度の検出 、 あるいは動脈位置を表示する場合においては、 式 ( 5 ) に したがって座標値 X n , y -を、 ク ロ ッ ク C L Kのタ イ ミ ング毎に求める。
さらに、 C P U 1 2は、 脈波伝搬速度の検出、 あるいは動脈位置を表示する際 に、 移動べク ト ル、 すなわち移動速度が、 所定値より も大きい場合においては、 タイマ 1 5 にク ロ ッ ク C L Kの周期を制御信号 S によ って、 例えば半分にするよ うに命令する一方、 移動速度が、 所定値より も小さい場台においては、 タイマ 1 5にク ロ ッ ク C L Kの周期を制御信号 S によ っ て、 例えば倍にするよ う に命令す る
なお、 C P U 1 2のその他動作については後述する。 また、 圧力セ ンサ 1 0 に バイ ア ス回路 6 0 (図 3参照) を付加する場合、 ク ロ ッ ク C L Kをバイ ア ス回路 6 0 に供給して、 バイ アス回路 6 0では、 このク ロ ッ ク C L Kに同期したバイ ァ スをス ト レ ン · ゲー ジ 6 ,〜 6 ,に印加する構成となる。
B - 3 : 脈波処理装置の動作説明
次に、 上述した構成による脈波処理装置の動作を、 各機能毎に説明する。 こ の脈波処理装置を組み込んだ腕時計 2 0 は、 使用時においては、 図 1 2 ( a
) 、 および ( b ) に示すよ うに、 締着具 2 4 に設けられた弾性ゴム 1 が橈骨動脈
3 0 の近傍に位置するべく、 腕時計 2 0が被験者の左腕 3 2 に卷回される。 これ は、 通常の腕時計の使用状態と何等変わることのないものである。
こ こで、 スィ ッ チ 2 2 ,, 2 2 2によ って時計機能が選択されている場合には、 現在時刻が液晶表示パネ ル 2 1 に表示される。 この時計表示の方法は、 従来から 行われている ものと何等変わらないものであるので、 説明は省略する。
B - 3 - 1 : 脈波検出時
次に、 脈波検出時の動作について説明する。
前述したように、 弾性ゴム 1 力 被験者の橈骨動脈 3 0近傍に押圧されると、 該動脈の血流変動、 すなわち脈波によ って該弾性ゴム 1 め半球面上には地点 Ρ » を発生源とする振動が発生する。 該振動は、 地点 Ρ π から検出位置 Q ,〜0 <へと 弾性ゴム 1 内を伝播し、 中空室 4 ,~ 44内で圧力波となり、 感圧素子 S i S *に よって電圧 ν , ν と して検出され、 これら電圧がディ ジタル値へと変換される 。 すなわち、 脈波は離散的な信号へと変換され、 これに基づく解析処理が C P U 1 2 によって行なわれる。 この場合、 電圧 V ! V のすベてをディ ジタル値に変 換する必要はなく (ただし、 脈波波形を検出するときだけ) 、 値が最も大きいも のを C P U 1 2が判別して、 いずれか 1 つ (以上) について変換するようにして も良い。 こ こで、 脈波の一般的な波形を図 1 3 ( a ) ~ ( c ) に示す。 脈波波形には、 被験者の心身状態、 年齢などの相違によって、 様々なハ。ターンがあるが、 最小値 4 0 (極小値) の直後に最大値 4 1 (極大値) を迎える点では、 いずれのパター ンにおいても共通である。
C P U 1 2 は、 検出した脈波信号に一次および二次微分を施し、 これら微分信 号の符号変化を検出して、 まず脈波信号の 1 周期分の数学的座標を順次 (最低値 4 0、 最高値 4 1、 第 2極小値 4 2、 第 2極大値 4 3、 第 3極小値 4 4、 第 3最 大値 4 5の順番で) 求める。 同様に、 脈波信号の、 次の周期の数学的座標を順次 求めて、 前の周期で求めた数学的座標の対応するものとの差分し、 該座標の差分 の大きさおよび方向を計算する。?
以降、 C P U 1 2 は、 この動作を繰り返して、 脈波波形における数学的座標の ト レ ン ドをマク ロ的に求め、 被験者の身体的 . 精神的情報を判別する。 そして、 この判別結果は、 液晶表示パネル 2 1 に表示されるよ う になつている。
また、 電圧 V ,〜V < (の 1 つ以上) をディ ジタル値に変換して、 R AM 1 4 に 記憶させた 1 周期分の脈波波形が、 例えば、 緊張時や、 疲労時等の生体状態に対 応して、 予め記憶させておいた脈波波形のなかから、 最も相似している波形を選
択して、 現時点における被験者の生体状態を判別するよ う に しても良い。
さて、 前述のように、 脈波から必要とする情報は、 主に脈波波形の数学的座標 である。 これによれば脈波信号を単純にサ ンプリ ングすると、 不必要な情報が数 多く含まれることになる。 また、 図 1 3 ( a ) 〜 ( c ) をみれば判るように、 脈 波波形での数学的座標の前後においては、 その変化が一時的に激し く なるので、 サンプリ ング周波数を高く設定しなければならず、 これに従う と消費電力が増加 する、 という問題がある。 特に、 この実施例のよ う に脈波検出装置を腕時計に組 み込んだ構成と した場合に、 電池容量には制約があるので、 この問題は無視でき なく なる。
そこで、 この脈波検出装置は、 脈波波形の最小値 4 0 を検出すると、 この際に 処理回路への処理や給電を開始して、 極大値および極小値を順次検出する一方、 必要とする最後の座標 (例えば図 1 3 ( a ) に示す第 3極大値 4 5 ) を検出した のちには、 この処理回路へ処理や給電を停止するという構成となっている。 こ こ で、 処理回路とは、 座標検出を行なう回路および計時を行なう回路以外の回路を 指す。 この際、 脈波波形の最小値は、 予め脈波波形の数周期分を通常のサンプリ ングして求めておけば、 容易に検出するこ とができ る。
この構成によれば、 サンプリ ングは脈波波形 1 周期のおよそ前半期 だけしか 結果的に行なわれないが、 必要な情報は充分得るこ とができ、 かつ消費電力を小 さく抑えることができる、 という利点がある。
また、 この脈波検出時に、 サ ンプリ ングした脈波信号を R A Μ 1 4 に順次書き 込み、 例えば、 該信号を時間軸に対応させて、 図 1 3 に示すような脈波波形を液 晶表示パネル 2 1 に表示させるよ う に しても良い。 このよ う に検出した脈波信号 を R A M 1 4 に記憶させることによって、 様々な処理が可能となってく る。
B - 3 - 2 : 脈波伝搬速度検出時
次に、 スィ ッ チ 2 2 ,, 2 2 2によって、 脈波伝搬速度の検出機能が選択され、 弾性ゴム 1 力 その底面 L内に動脈が投影されるよ う に押圧されたときの動作に ついて説明する。 後述するが、 弾性ゴム 1 力^ その底面 L内に動脈が投影されな いほどに動脈に対して離れて押圧された場合には、 動脈の位置を正確に検出でき
ないからである。
まず、 時刻 t = n において、 弾性ゴム 1 が被験者の橈骨動脈 3 0近傍に押圧さ れる と、 脈波検出時と同様に脈波による振動が発生し、 弾性ゴム 1 には、 該振動 による弾性波が発生する。 この弾性波は感圧素子 S ,〜 S Jこよって圧力と して検 出され、 振動源の座標を底面 Lに投影した座標値 X „, y „が、 式 ( 5 ) に基づき C P U 1 2 によ って算出されて、 R A M I 4 に一時記憶される。
次に、 時亥 11 t = n + 1 でのク ロ ッ ク C L Kのタ イ ミ ングにおいて、 C P U 1 2 は、 座標値 x - + 1, y n + 1を式 ( 5 ) から求めて、 求めた座標値を R A M I 4に記 憶させるとと もに、 座標値 X „, y nを読み出す。 そして、 式 ( 9〉 により、 時刻 t = nから時刻 t = n + 1 までにおける脈波伝搬速度を求める。
同様にして、 時刻 t = n + 2 において、 C P U 1 2 は座標値 X n + 2, y n + 2を求 めて、 R AM I 4 に格納するとと もに、 座標値 x n+ 1, y n+ 1を読み出して、 時刻 t = n + 1 から時刻 t = n + 2 における脈波伝搬速度を求める。
以降、 C P U 1 2 は、 同じ動作をク ロ ッ ク C L Kのタイ ミ ング毎に繰り返して 、 脈波伝搬速度を連続的に求める。
前述したよ う に、 血圧値と脈波の伝搬速度とは正の相関関係にあるので、 たと えば、 被験者固有の個人データ (係数) を入力しておき、 求めた脈波の伝搬速度 により血圧値を求めることができる。 個人データは、 スィ ッチ 2 2 ,、 2 22のォ ン - オフの組み合わせや、 いわゆる メ ニユ ー形式で設定することが可能である。 そして、 求めた脈波伝搬速度、 あるいはこの脈波伝搬速度から求めた血圧値は 、 液晶表示パネル 2 1 に表示される。
B - 3 - 3 : 動脈位置表示時
次に、 スィ ッ チ 2 2 ,, 2 22によ って、 橈骨動脈の位置表示機能が選択された ときの動作を、 次の①②の場合にわけて説明する。
① 弾性ゴム 1 力'、 その底面 L内に動脈が投影されるように押圧された場合
② 弾性ゴム 1 力 その底面 L外に動脈が投影されるように押圧された場合 [①の場合]
まず、 時刻 t = n において、 脈波検出時と同様に、 弾性ゴム 1 の半球面上には
脈波による振動が発生し、 該振動による弾性波が発生する。 この弾性波は感圧素 子 S ,〜 S <によつて圧力と して検出され、 振動源の座標を底面 Lに投影した座標 値 x n, y »が、 式 ( 5 ) に基づき C P U 1 2 によって算出され、 R A M I 4 に一 時記憶される。
次に、 C P U 1 2 は、 時亥 ij t = n + 1 でのク ロ ッ ク C L Kのタ イ ミ ングにおい て、 座標値 x n +い y n+ 1を式 ( 5 ) から求めて、 R AM I 4 に格納させる。
以下同様に、 C P U 1 2 は、 時亥 IJ t = n + 2, n + 3, , でのク ロ ッ ク C
L Kのタイ ミ ングにおいて、 座標値 ( X n + 2, y n + 2) , ( χ η + 3 ) y „ + 3) , を式 ( 5 ) から求めて、 それぞれ R A M I 4 に格納させる。
この実施例においては、 脈波信号の最大値 4 1 (図 1 3参照) に対応する圧力 波に着目し、 この圧力波の座標移動を求めても良い。 この場合、 弾性ゴム 1 の半 球面上に発生する振動も最大となるので、 電圧 V ,〜 V 4のいずれかは、 地点 に応じて最大となる。
したがって、 ノ イ ズの影響を少なくするこ とができるので、 座標算出を精度良 く行なう こ とができる。
次に、 C P U 1 2 は、 電圧 V ,〜 V 4のサ ンプリ ングから、 脈波信号を例えば約 1周期分検出すると、 座標 ( X - y n + 1 ) , ( X „ + 2 ) y „ + 2) , ( X D + 3, y , + 3) , ······を R A M 1 4から読み出し、 これら座標を通過する直線 9 0を、 例え ば最小 2乗法などにより近似して求めて、 該直線を液晶表示パネル 2 1 に実線表 示させる。 このような液晶表示パネル 2 1 における表示の一例を図 1 4 に示す。 なお、 この図において、 X軸 (+ ) 方向が左向きとなっているのは、 圧力センサ 1 0が、 図 1 に示した状態から倒立して橈骨動脈 3 0近傍に押圧され、 反転した ことに起因する ものである。
前述のよ う に、 弾性ゴム 1 の半球面上に発生する振動源は橈骨動脈 3 0 に沿つ て移動するので、 振動源の移動を底面 Lに投影して、 液晶表示パネル 2 1 に表示 される直線 9 0 は、 橈骨動脈 3 0 を示すこ とになる。
この際、 液晶表示パネル 2 1 に、 検出位置 Q , ~ Q 4の設置方向、 すなわち X , y軸を一点鎖線表示させるこ とによ って、 橈骨動脈 3 0の位置と圧力センサ 1 0 との位置関係を視角的に知るこ と もできる。
橈骨動脈 3 0 と x, y軸のいずれか一方の軸とがー致するような位置関係にあ る場合に、 圧力センサ 1 0が脈波を最も精度良く検出する。 このよ うな位置関係 にある場合、 例えば、 X軸と橈骨動脈 3 0 とが一致するように弾性ゴム 1 が押圧 された場合、 感圧素子 S , ( S 3 ) の検出位置と橈骨動脈による振動源との距離は 最短となるので、 弾性ゴム 1 による減衰は最小となる。 したがって、 感圧素子 S , ( S 3 ) による検出信号の電圧 V , ( V 3 ) が最大となり、 ノ イ ズの影響を最小 とする こ とができるためである。
そして、 橈骨動脈 3 0の位置と圧力セ ンサ 1 0 との位置関係を視角的に知るこ とができれば、 被験者は、 圧力セ ンサ 1 0を上記位置関係となるように設置し直 すこ とができ、 これによ り、 脈波を最も適切な状態で測定するこ とができる。 これは、 圧力セ ンサ 1 0を締着具 2 4 (図 1 0参照) に対し、 回動自在な構造 とすることで可能である。
[②の場合]
この実施例における弾性ゴム 1 の半径 r は約 2 m mであり、 また、 本願発明で は、 被験者のほとんど皮膚表層を通る動脈を想定している。 したがって、 弾性ゴ ム 1 が動脈近傍ではなく、 離れた位置にて押圧された場合に、 該動脈の脈波によ る振動源の点 P n は、 弾性ゴム 1 における底面 L付近の半球面上に沿って (一定 の低緯度で) 移動することになる。 この際に算出される座標を結ぶと、 おおよそ 弾性ゴム 1 の半径に等しい曲線となる。 これは、 動脈がほぼ直線であるこ とに対 して矛盾するこ とになる。 逆に言えば、 この矛盾から、 動脈が弾性ゴムの底面 L 内に投影されないで押圧されたことが検出される。
この動脈位置表示装置では、 動脈が弾性.ゴム 1 の底面 L内に投影されないで押 圧された'ことが検出されれば、 その旨の注意とと もに、 求めた曲線から押圧すべ き動脈の方向が、 液晶表示パネル 2 1 に表示されるようになつている。
また、 C P U 1 2 は、 式 ( 9 ) により求めた脈波伝搬速度 Vにしたがって制御 信号 Sを出力し、 タイマ 1 5 におけるク ロ ッ ク C L Kの分周周期を制御する。 すなわち、 C P U 1 2 は、 脈波伝搬速度 Vが、
( 0 ≤ ) V < V M I N ··· ··· ( )
のうちのどの領域に属するかを判別する。 こ こで、 V M I N, V M A Xは、 予め設定 される閾値である。 そして、 脈波伝搬速度 Vが領域 ( α〉 に属するならば現在の クロ ッ ク C L Κ周期を例えば 2倍にする旨の、 また、 脈波伝搬速度 Vが領域 ( S ) に属するならば現在のク ロ ッ ク C L K周期を維持する旨の、 脈波伝搬速度 Vが 領域 ( 7 ) に属するならば現在のク ロ ッ ク C L K周期を例えば 1 Z 2倍にする旨 の、 制御信号 Sをタイマ 1 5 にそれぞれの場合に応じて供給する。
これによつて、 この実施例では、 脈波伝搬速度 Vに対して適切なサ ンプ リ ング が行なわれるようになっている。
なお、 上述した脈波処理装置では、 次のような方法によって感圧素子 S ,〜 S < の出力特性差をキ ャ ンセルすることができる。 この方法では、 前述した 3 つの感 圧素子によって点 P ' „ の座標値を求める技術を用いる。
まず、 4つの中から 3つの感圧素子を選択して、 これら感圧素子のみによって 座標値 x n, y nを算出する。 次に別の感圧素子の組み合わせを選択して、 同様に 、 座標値 X。, y nを算出する。 異なる 4 つの中から 3つを選択する組み合わせは 、 4通り ( = 4 C 3 ) 存在するので、 他の 2つの組み合わせによっても、 同様に、 座標値 x n, y nを算出する。 これら 4 つの組み合わせによりそれぞれ独立に算出 した座標値 x D, y Dは、 感圧素子 S ,〜 S <の出力特性がすべて同一であるならば
、 互いに一致するはずである。 仮に、 一致しなければ、 出力特性が相違している とみなすことができ、 算出した座標から逆に検出電圧を補正して、 該算出座標が 一致するようすれば、 感圧素子の個体差に伴う出力特性の相違を互いにキ ヤ ンセ ルことができ、 より正確な座標値を得ることができる。
なお、 こ の脈波処理装置は、 腕時計の付加装置と して橈骨動脈の脈波を検出す る構成と したが、 本願発明がこれにと らわれる必要のないことは言うまでもない 。 すなわち、 腕時計の構成をとらず、 また、 他の動脈の脈波を検出する構成と し ても良い。 このよ うな構成の一例を図 1 5 に示す。
この例では、 圧力セ ンサ 1 0を被験者の頸動脈近傍を例えばテープ 5 1 によ り 押圧し、 該圧力セ ンサ 1 0の検出信号をケーブル C Bを介して、 図 1 1 に示した 電気的構成を有する本体 Sに、 供給する構成と している。
なお、 本願発明による圧力センサが、 被験者の脈波だけではなく、 対象物の圧 力振動を検出するという一般的な圧力セ ンサ と しても使用できるのは、 いうまで もない。