WO1998009542A1 - Method of adding fats and oils to porous fodder - Google Patents

Description

明細書 多孔性飼料への油脂添加方法 技術分野

本発明は、 多数の空孔を内部に形成した多孔性飼料へ油脂を高率に添加する多 孔性飼料への油脂添加方法に関する。

背景技術

内部に多数の空孔を形成した多孔性飼料は、 養魚用に用いる飼料等として広く 知られている。 養魚用の飼料は、 魚粉、 生魚、 サナギ等を単独で粉末のままのも のや、 それらを練り合わせたものの他、 これら魚粉や生魚等の成分に植物油粕、 穀粉、 澱粉、 ビタミン、 ミネラル等の他の成分を配合したものを固形状に加工し たペレツ 卜タイプの固形飼料等が取扱易さ、 良好な摂餌性等の点から広く使用さ れてきている。

ところカ^ ペレツ 卜ミル等を使用して製造した固形飼料は沈降性が大きく、 投 入後急速に水中に沈降してしまうために、 魚類による摂取が十分に行われにく く、 また水底で腐敗して水質の汚染や病魚の発生の原因となることがある。 このような固形飼料の欠点を改良するために、 養魚用飼料に多数の空孔を形成 して浮遊性を持たせた多孔性飼料が製造され、 使用されるようになってきてい る。 この多孔性飼料は、 飼料用の各種成分を配合した原料をェクス卜ルーダーで 混練し、 ェクス卜ルーダーの中で圧搾熱と圧力で糊化した原料が大気中に押し出 されるとき、 水分の急速な蒸散によって飼料が発泡多孔化することにより製造さ れる。 このように製造された多孔性飼料は、 空孔を多数有することから長時間水 面上に浮遊し魚による摂取性がよく、 また吸水破損することが少ないことから、 水の汚染が少なし、等の利点がある。 更に近年ハマチ、 マダイ、 アジ等の養魚用飼料として成長率等が良好であるこ とから、 この多孔性飼料に高率の油脂類を含有させた高油脂含有の多孔性飼料が 使用されてきている。

従来、 多孔性飼料への油脂類の添加は、 ェクス卜ルーダーで所定の各種成分を 配合してなる原料を多孔性飼料に成形した後、 熱風を利用した乾燥器で乾燥して 多孔性飼料の水分量を調整し、 それをクーラーで冷却して、 油脂添加装置に送 り、 油脂添加装置で多孔性飼料に油脂を添加していた。 しかしながら、 その時の 油脂の含有率はせいぜい 1 5 %程度であった。

一方油脂を高率に添加する方法として、 特開平 2— 1 3 8 9 4 4号に、 多孔性 飼料を減圧状態に置くことで液状の油脂を内部に含浸させることが開示されてい る。 すなわち、 多孔性飼料を油槽の中に入れ減圧する旨が記載されているが、 よ り効率良く製造することが望まれている。

発明の開示

本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、 多孔性飼料に多量の油脂を連続的 に効率良く吸着させることができる油脂添加方法を提供することを目的とする。 上記課題を解決するため本発明は、 多孔性飼料を添加油脂と共に減圧状態の油脂 添加装置に連続して投入し処理することとした。

内部の減圧状態を保って多孔性飼料に連続的に油脂を添加する油脂添加装置と しては、 従来から使用されてきているドラムミキサー式の油脂添加装置でも、 パ ドルミキサー式の油脂添加装置でも内部が減圧状態に保たれれば形式は問わな い。 具体的には、 油脂添加装置全体を耐圧容器に収容し、 ロータリバルブ、 2重 ダンパー等を用い、 減圧状態を保ちつつ多孔性飼料の供給、 排出を連続的に行 う。 この場合、 円滑に供給、 排出を連続させるためにはロータリバルブを ftjし、る のが好ましい。

油脂添加装置としては、 リボンスクリュー式の連続ミキサーでケ一シングに円 筒形式を用い、 供給口と排出口にロータリバルブを用いるとよい。 このミキサー は耐圧性に優れ、 また円筒であるため油脂添加を飼料全体一様に行いうる。 また 工作上も比較的簡単である。 油脂の供給装置は従来の連続式定量供給装置を油脂 添加装置の入口付近に配置すればよく、 特別の装置を用いる必要はない。 また、 油脂添加装置内を減圧状態にするための真空ポンプも機種の制限は特にない。 また連続式の油脂添加装置を多段に配置し、 多孔性飼料への油脂添加を繰り返 し行ってもよし、。

また本発明では、 油脂添加装置を乾燥器の IS後におき、 油脂添加装置の後に冷 却器を設置し、 油脂添加装置で多孔性飼料に油脂を添加した後多孔性飼料を冷却 することとした。

乾燥器で乾燥した後、 冷却器で冷却した製品であっても、 乾燥器直後の '温状 態の多孔性飼料でも減圧状態に保った連続式の油脂添加装置に通すことにより所 定の油脂添加率にすることができる。 特に高温状態の多孔性飼料を冷却せず、 減 圧状態に保った油脂添加装置に通すと高温の多孔性飼料から水分が飛散、 蒸発し て水分量が下がり、 同じ油脂添加率を保ちながら水分含有量、 温度が共に下がる ので、 後段に設置される冷却器の容量を低く抑えることができる。 この場合は減 圧状態を保っために真空ポンプの容量を水分蒸発量だけ大きくする。 また、 特に ロータリバルブの耐熱処置を必要とする場合もある。 またミキサーのケーシング を結露等の対策として保温等の対策を行つてもよい。

油脂添加装置は、 ある程度の減圧状態を保持することによつても油脂の添加率 を向上できる力 — 4 0 0〜一 7 0 0 m m H _gにすることが も添加率を高くで きる。 一 4◦ O m m H gより真空度が低いと余り大きな添加率の向上は見られ ず、 また— 7 0 O m m H gより真空度を上昇させても添加率の更なる上昇は余り 見られず、 耐圧装置等の設備が過大になる点から实用的でなくなる。

多孔性飼料への油脂の添加は、 原料自休に含まれる油脂分が 5〜 1 0 %、 造粒 前に添加する油脂分が 5〜 1 0 %、 に加え、 油脂添加装置で添加される油脂分が 5〜 1 0 %であるので、 最終的な多孔性飼料の全油脂添加率は 1 5〜3 0 %とな る。

図面の簡単な説明

図 1は、 本発明になる多孔性飼料の油脂添加方法の実施例 1のフローシートで ある。 図 2は、 本発明になる多孔性飼料の油脂添加方法の実施例 2のフローシー 卜である。 図 3は、 本発明に使用される減圧用連続式油脂添加装置の内部構造を 示す図である。 図 4は、 本発明に使用される減圧用連続式油脂添加装置の正面図 である。

発明を実施するための最良の形態

以下、 本発明にかかる多孔性飼料への油脂添加方法について図面を用いて説明 する。

図 1に、 多孔性飼料への油脂添加方法の実施の一形態のフローシートを示す。 図 1において、 1は原料を混合するミキサ、 2は蒸気を加えて加圧混練するェク ストルーダー、 3は乾燥器、 4は冷却器、 5は油脂添加装置である。

油脂の添加方法はまず、 飼料用の各種成分を適宜配合した原料をミキサー 1 に 投入し （矢印 A方向） 、 ここで油脂、 水、 蒸気を加えて （矢印 B方向） 加熱混合 を行い、 混合した原料をェクス卜ルーダー 2に入れる。 ェクストルーダー 2で は、 これに蒸気を加えて （矢印 C方向） 加圧混練し、 押し出し成形した後、 熱風 を利用した乾燥器 3で乾燥させ、 乾燥させたものを冷却器 4にて冷却する。 この ようにして所定の水分量、 温度に設定されたペレツ ト状の多孔性飼料が形成され る。 多孔性飼料は、 更に油脂添加のため減圧状態を保った油脂添加装置 5に入れ られ、 約 2分 内部に留められて油脂を添加した後、 油脂添加装置 5の外部に放 出される。 このようにして、 多孔性飼料に所定量の油脂を添加する

次に、 油脂添加方法を実施する各装置につし、て詳細に説明する。 ェクス卜ルーダー 2は、 ミキサーと押出部であるスクリユー及びそのケースと ケース先端に設けられたダイ等からなり、 飼料用の各種成分が前段階で計量され て投入されると、 ケース内でスクリューによって混合押圧し、 前方のダイ孔から 押出する際に膨化させて多数の空孔を形成し多孔性飼料を形成する。 更に、 ダイ 前部に回転式の力ッターを備え、 多孔性飼料は回転式の力ッターにより所定長さ に切断され、 所定の大きさに成形される。 この時の多孔性飼料は、 温度 6 0〜 9 0 °C、 水分 2 0〜 2 5 %である。

乾燥器 3は、 バンド式で、 熱風により多孔性飼料を乾燥させる装置であり、 多 孔性飼料は水分量が必要な 7〜8 %まで乾燥される。 また、 乾燥器 3の出口での 多孔性飼料の温度は 7 0 ~ 1 0 0 °Cである。 冷却器 4は内部に外気を導入し、 導 入した外気を多孔性飼料に接触させて所定温度まで冷却する装置である。

油脂添加装置 5の外観を図 4に示す。 油脂添加装置 5は、 2室のロー夕リバル ブ 7 A、 8 Aと、 リボンスクリュー式の連続ミキサー 6からなり、 真空排気管接 続口すなわち真空排気ロ9より配管を真空ポンプ （図示せず） につないで内部を 減圧する。 真空ポンプによる減圧度は一定でなく変動していてもよく、 途中大気 開放してもよい。

図 3に、 油脂添加装置 5の内部構造を示す。

図 3に示すように、 油脂添加装置 5はケ一シング 1 0の中でリボンスクリュー 式の連続ミキサー 6が回転する （回転数は 6 . 5〜8 . 5 r p m ) 構造である。 スクリ ユーの直径は 7 0 0 m m、 長さは 6 0 0 0 m m、 羽根ピッチは 5 2 5 m m、 羽根巻数は】 1巻、 リボンスクリ ユー式の羽根 6のリボン 1 1 の幅は 1 〇（）m mである。 1 1 Aは攪拌用リボン i 1を軸方向に結んだ円管からなり攪 拌の補肋をする補助羽根である。 必要によりこの補肋羽根 1 1 Λを設けると油脂 添加がより一様になるのみならず多孔性飼料を油脂添加装置 5内に滞留させる時 間を調節することができる。 この袖肋羽根 1 1 Λの位置は必要に応じ、 全長にわ たり一様でも、 また羽根ピッチ 1つおきでもよく、 また位置は任意でよい。 ケー シング 1 0にはその長手方向に適当な間隔で真空排気口 9が適当数設けられ、 内 部の減圧度はおよそ— 6 0 0 m m H g (—4 0 0〜― Ί 0 0 m m M gの範囲であ ればよい。 ） に保たれている。

添加される油脂は真空用ロータリバルブ 7 Aの手前で飼料と連続混合される。 そしてそのままロータリバルブ 7 Aを通して油脂添加装置 5に入る。 油脂添加の ための油脂の定量供給の方法は特に制限がない。 また混合方法は単に同時に連続 的に両者を流すだけでもよく、 特に油脂を噴霧化する等の必要はない。 このよう に順番に各装置を通過することにより多孔性飼料に油脂が添加される。 油脂添加 装置 5によって 5〜 1 0 %の油脂が多孔性飼料に新たに添加され、 原料に含まれ る油脂分 （5〜7 % ) 及び造粒前に添加した油脂分 （5〜 1 ◦% ) に加え、 全油 脂含有率 2 0〜3 0 %の高油脂含有の多孔性飼料が形成される。

次に、 図 2を用いて油脂添加方法の他の実施形態について説明する。

図 2に、 多孔性飼料の油脂添加方法の第 2の実施形態のフローシー卜を示す。 図 2に示すように、 乾燥器 3の直後に油脂添加装置 5を配置し、 乾燥が終了した 段階で多孔性飼料を油脂添加装置 5に投入し、 油脂を添加する。 この場合、 油脂 添加装置 5に入る多孔性飼料の温度が高いことを考慮して、 ロータリバルブ 7 Λ や油脂乔,加装置 5等に所定の耐熱対策等を行うこととする。 高温の多孔性飼料へ の油脂添加は常温におけるよりも、 より高率に行われるので、 上記実施例 1に示 すより更に多量の油脂が添加できる。 また水分も一部多孔性飼料から飛散するの で後段の冷却器 4の負荷が軽くなるという利点もある。

次に各¾施形態 （実施例 1、 2とする。 ） の比較実験を示す。 ( 1 ) 実験に使用した多孔性飼料の配合割合は次のようである,

配合

魚粉 67. 25

大豆粕 1 0. 0

小麦粉 （イチヨウ） 7. 75

コーンスターチ 2. 5

夕ピオ力澱粉 1 2. 5

雪十 〗 00. 0

( 2 ) 運転条件

冷却器の風量は 4. 5m³ /m i n. であり、 油脂添加装置の減圧度は— 60 0〜一 620mmH g、 滞留時間は 2分であった。

( 2 ) 実験結果

出口の品温 °C 出口の水分％ —油脂添加率％ 乾燥器 80 9. 0

実施例 1 冷却器 20 8. 0

油脂添加装置 _20 8. 0 7. 0 乾燥器 80 1 1. 3

実施例 2 油脂添加装置 50 8. 3

冷却器 20 8. 0 1 1. 0 なお、 測定場所はそれぞれの出口である。 上記実験結果を実施例 1 と実施例 2とで比較すれば、 実施例 1 では冷却器は 60度の温度低下を行っているのに対し、 実施例 2では、 30度の温度低下であ ることから、 冷却器の負荷が実施例 2の条件下の方が蛏減されていることがわか る。

( 3 ) 油脂添加率の測定方法ならびに測定結果は次のようであった。

直径 1 9mm、 長さ 1 7 mmの多孔性飼料のペレッ トを、 減圧度— 600mm H gの油脂添加装置 5の中に 2分間滞留させ、 ペレツ 卜の投入前の重量と排出後 (表面の付着油脂をふき取って） の重量から油脂吸着率を算定した。

実施例 1では油脂添加率は 7%であったが、 実施例 2では油脂吸着率は】 1 % と高くなつた。

以上説明したように、 本発明にかかる多孔性飼料への油脂添加方法によれば、 次のような極めて ίδれた効果が得られる。

( 1 ) 多孔性飼料に高率の油脂を連続的に添加させることができる。

更に乾燥器の直後に減圧式油脂添加装置を置けば次の効果 （2) (3) (4) が得られる。

( 2 ) 高品温の多孔性飼料が減圧式油脂添加装置の減圧下に投入されることによ り製品水分が減少する。 すなわち、 乾燥効果が得られる。

(3 ) 減圧式油脂添加装置を通過する時に品温が低下する。 すなわち、 I〗効果 が得られる。

(4) 高品温の多孔性飼料が減圧式油脂添加装置に入るため、 常温の多孔性飼料 にくらベて油脂吸着量が増大する。

産業上の利用可能性

本発明の多孔性飼料への油脂添加方法によれば、 養魚用等の多孔性飼料に油脂 を高率に、 しかも連続式に添加でき、 必要な油脂を含有する多孔性飼料を効率丄 く製造することができる。

Claims

請求の範囲

1 . 内部に多数の空孔を形成した多孔性飼料を添加油脂と共に内部圧を所定 の圧力値に減圧した連続式の油脂添加装置に投入し、 前記油脂添加装置内に所定 時間留めた後該油脂添加装置外に取り出すことを特徴とする多孔性飼料への油脂 添加方法。

2 . 前記油脂添加装置を前記多孔性飼料を乾燥させる乾燥器の直後に配置し たことを特徴とする請求項 1に記載の多孔性飼料への油脂添加方法。

3 . 前記油脂添加装置は、 該油脂添加装置内の気密を保持するロー夕リバリレ ブと、 内部で前記多孔性飼料を擋拌、 搬送するリボン式スクリ ューを備えた装置 であることを特徴とする請求項 1 または 2に記載の多孔性飼料への油脂添加方 法。

4 . 前記油脂添加装置の内部減圧度を— 4 0 0〜一 7 0 0 m m H _gとしたこ とを特徴とする請求項 1〜 3のいずれか】項に記載の多孔性飼料への油脂添加方 法。

5 · 前記多孔性飼料の油脂含有率が重量比で 2 0 ~ 3 () %となるように油脂 を添加したことを特徴とする請求項 1〜4のいずれか〗項に記載の多孔性飼料へ の油脂添加方法。

6 . 前記油脂添加装置による前記多孔性飼料への減圧と常圧への復帰を複数 回行 όことを特徴とした請求項 1〜 5のいずれか 1項に記載の多孔性飼料への油 脂添加方法。