明 細 書 モー夕駆動制御装置 技術分野
本発明は、ブラシレスモ一夕やリニアモ一夕等のように複数の励磁相を有するモー夕を、 矩形波を用いて駆動制御するのに好適なモー夕駆動制御装置に関する。 背景技術
例えば、 自動車のパワーステァリング装置の駆動源として用いられているブラシレスモ 一夕は、 3相以上の励磁相を有するモー夕であり、 その駆動は矩形波状の励磁電流によつ て行われる。
5相ブラシレスモータの場合、 モ一夕駆動回路は一般的に、 モ一夕の口一夕の外周面を 電気角で 7 2 ° ずつ離隔して取り囲むように配設された 5相 (a相、 b相、 c相、 d相、 e相) の励磁コイル a〜eに対し、 マイクロコンピュータ等で成るの制御回路による制御 下で 4相同時に励磁する 4相励磁方式により、 コイルを 1相ずつ順次切り換えて矩形波電 流で励磁して口一夕を回転駆動させる。 この 4相励磁方式では、 モ一夕電流は常に 5相の うちの 4つの相に流れることになるが、 各相にバランスよく電流を流すために、 各励磁コ ィルの抵抗は全て等しくなるように形成されている。 なお、 5相ブラシレスモータの 4相 励磁方式において、 5相のうちでモ一夕電流の流れる相を 「O N相」 といい、 流れない相 を 「〇F F相」 という。
このようなモータ駆動回路は、 1 0個の電界効果トランジスタ (F E T) で構成されて いる。 これら 1 0個のトランジスタは、 対応する 2個のトランジスタを直列接続して 5つ の直列トランジスタ回路を形成し、 それぞれを電源の正負両端子間に接続すると共に、 各 直列トランジスタ回路の 2個のトランジスタの接続部を、 それぞれ Y字形にスター結線し た 5個の励磁コイル a〜eの外端に接続することにより、 モータのコイル回路と接続され ている。
このモー夕駆動回路から各励磁コイルへ供給される励磁電流 (矩形波) の方向及び長さ は、 ロータの回転角 (電気角) の値に対して、 例えば第 1図に示すようになる。 すなわち、
電気角で 36° 毎に順次 1相ずつ励磁コイルを切り替え、 1つの相コイルを電気角で 14 4° の間励磁することにより、 口一夕を連続して回転させるようになつている。 第 1図で は電気角を 0としたとき、 0≤0<36° , 36° ≤0<72° , 72。 ≤0<108° , 108。 ≤0<144° , 144° ≤0<180° , 180° ≤0<216° , 216° ≤0<252 ° , 252 ° ≤0<288 ° , 288° ≤0<324° , 324° ≤θ<3 60° の区間をそれぞれ (1)、 (2)、 ……、 (10) で表わしている。
この例の場合、 a相の電流は区間 (1) 及び (2) で正方向に流れ、 区間 (3) で 0、 区間 (4) から区間 (7) で負方向に流れ、 区間 (8) で 0、 区間 (9) から区間 (10) を経て再び区間 (1) で正方向に流れる。 b相の電流は区間 (1) から区間 (4) で正方 向に流れ、 区間 (5) で 0、 区間 (6) から区間 (9) で負方向に流れ、 区間 (10) で 0、 そして再び区間 (1) で正方向に流れる。 c相の電流は区間 (1) で負方向に流れ、 区間 (2) で 0、 区間 (3) から区間 (6) で正方向に流れ、 区間 (7) で 0、 区間 (8) から区間 (10) を経て再び区間 (1) で負方向に流れる。 cl相の電流は区間 (1) から 区間 (3) で負方向に流れ、 区間 (4) で 0、 区間 (5) から区間 (8) で正方向に流れ、 区間 (9) で 0、 そして区間 (10) から再び負方向に流れる。 e相の電流は区間 (1) で 0、 区間 (2) から区間 (5) で正方向に流れ、 区間 (6) で 0、 区間 (7) から区間 (10) で正方向に流れ、 再び区間 (1) で 0となる。 従って、 区間 (1) 〜 (10) の 各区間の境界 (電気角で 36° 毎の切替時) では、 5つの励磁コイルのうちの 2つが互い に逆向きに切り替えられることになる。
このような励磁電流の切替は、 原理的には第 1図が示すような矩形波の立上がり又は立 下がりで表わされるが、 実際にはその立上がり又は立下がり波形は横軸に対し直角に変化 するものではなく、 励磁電流が正方向に立上がるまで、 或いは負方向に立下がるまで、 あ る程度の時間 A t (モー夕回路の時定数の 3倍位) がかかる。 例えば、 第 1図の区間 (8) 及び (9) の境界 (電気角で 288 ° ) では、 a相の電流が 0から正の一定値まで立上が る一方、 d相の電流が正の一定値から 0に立下がり、 b相及び c相の電流は共に負の一定 値、 e相の電流は正の一定値であるが、 この境界部分の波形の変化を拡大すると第 2図に 示すようになる。
詳細には、 a相の立上がり電流は時間 Δ tの間に 0から正の一定値まで漸進的に増大す る一方、 d相の立下がり電流は、 時間 Δ tよりも短い時間△ tl (モー夕回路の時定数よ
り小さい) で正の一定値から 0まで減少する。 この時、 他の 3つの b相、 c相、 e相は切 り替えられない相であるが、 5つの相の電流を , ih, ir, iri, iPで表わしたとき、 これらの電流の間には次の関係がある。 + + i 一 "b+リ =1 …… (1) このため、 a相及び d相の電流が上記のように変化すると、 b相、 c相及 び e相の電流も変化する。 すなわち、 a相及び d相の電流変化率が異なる ために、 この 2つの相の電流の合計値が定常値にならず、 第 2図のように b相及び c相の電流が変動する結果、 e相の電流も上記時間 Δ t の間変化 する。 これらの電流変動により過度的な トルク変動が生じてしまう。
上述のように 2つの相の電流の立上がりと立下がりの電流変化率が異なるのは、 次の理 由による。 先ずモ一夕駆動回路に供給される電源電圧を Vbとし、 スター結線した励磁コ ィル a〜eの中心接続点の電圧を Vnとする。 そして、 時間△ 1の区間を①とし、 時間 Δ t2 (=Δ t -Δ t 1) の区間を②とする。
区間①では、 正から 0に切り替えられる d相 (OFF相) の電流 idは、 一 Vn、 コィ ルの逆起電圧 Ed及びモータ回路の時定数に応じた変化率で、 モータ駆動回路からモータ への通電電流 Iの半分 (IZ2) から 0まで下がる。 このとさ、 OFF相の等価回路に加 えられる電圧を V0FFとすると VOTF=— Vn_Edく 0であり、 Vnは近似的に Vb/2とな る。 一方、 0から正に切り替えられる a相 (ON相) の電流 iaは、 電圧 Vb、 — Vn、 コイルの逆起電圧 Ea及びモー夕回路の時定数に応じた変化率で 0から上昇するが、 この とき、 ON相の等価回路に加えられる電圧を V0Nとすると V0N=Vb · Dutyl (矩形波の デューティ比) — Vn— Eaである。 式で説明すると、 OFF相の等価回路により、 電流 idは次式 (2) で表わされる。 但し、 Tは等価回路の電気的時定数、 Rは等価回路の抵 抗である。 id (t) =1/2 · e-^+V0FF/R · (1— e …… (2) よって、 t = 0のときは =IZ2となる。
一方、 ON相の等価回路により、 電流 iaは次式で表わされる。 ia (t) =V0N/R · (1— e …… (3) よって、 t = 0のとき ia=0であり、 t→∞で ia=V0NZR=lZ2となる。 従って、 0 FF相及び ON相の各電流 id及び iaの変化率はそれぞれ下記式 (4) 及び (5) のよう になる。 did(t)/dt二 (l/T)(I/2)e-t + (1/T)(V0FF/R)e t
=-(1/2 + Vn/R + Ed/R)(l/T)e-t … · · · (4)
dia(t)/dt =(1/T)(V0N/R)e-OT
=(I/2)(l/T)e.OT …… (5) 上記式 (4) 及び (5) において、 (1/2 + Vn/R + Ed/R) > 1/2であるから、 OFF相の 電流変化率の方が ON相の電流変化率より大きい。 特に等価回路の抵抗 Rが小さい場合、 電源電圧 Vb (=2 Vn) が大きい場合、 或いは高速回転時で逆起電圧 Edが大きい場合 には、 OFF相の電流変化率は ON相の電流変化率よりかなり大きくなる。 従って、 〇F F相の電流 idが 1/2から 0まで下がる時間 (A t l) よりも、 ON相の電流 iaが 0か ら IZ2まで上がる時間 (A t) の方が長い。 すなわち、 区間①の最後で ON相の電流 i aは 1/2に到達せず、 上昇途中である。
その後、 区間②において、 ON相の電流 iaが最終的に定常値 IZ2に到達する力 そ れまでに時間 A t 2 (モー夕回路の時定数の 2〜 3倍) を要する。 従って、 切り替えられ る 2つの相の電流の立上がり及び立下がりでは電流変化率が異なっている。
上述のように従来のモ一夕駆動回路による励磁電流の制御では、 切替える 2つの相 (第 1図の例えば a相及び d相) の電流の立上がりと立下がりの変化率が異なるため、 切替え られない相 (例えば b相、 c相、 e相) の電流が変動し、 それらの電流変動により過度的 なトルク変動を生じてしまう。
このようなトルク変動を生じさせる相切替時の電流変動を抑制するためには各相の電流
を制御すればよいが、 その制御のために各相の電流を検出する必要があり、 2以上の電流 検出回路が必要になる。 特に 5相ブラシレスモー夕の場合は 4相励磁方式を採用している ことから、 モー夕駆動回路に 4つの電流検出回路と 4つの電流ループが必要であり、 駆動 回路の構成が複雑化し、 コストも高くなるという問題点があつた。
一方、 第 3図は、 従来の 5相ブラシレス D Cモー夕駆動制御装置における各励磁コイル の相電流波形とトルク波形を示す特性図であり、 この図から明らかなように、 O F F相の 通電期間の終了は次の転流が始まるまでである。
しかしながら、 従来のブラシレス D Cモ一夕駆動制御装置では、 O F F相のパルス幅変 調 (PWM) 駆動における通電期間の終了は次の転流が始まるまでであるが、 モ一夕の回 転速度が小さい場合 (2つの転流の間の時間が長い場合) は、 次の転流が始まるまでに O F F相の電流が既に P WM駆動における断続電流モ一ドになり、 O F F相の残留電流が 0 に近づくが 0にはならない。 O F F相の通電を完全に終了させない限り残留電流が流れ続 け、 その残留電流で生じた電磁トルクはモ一夕全体の電磁トルクを減らす効果がある。 従って、 次の転流が始まる時に、 本来トルク波形がつながっているべき所に第 3図に示 すようなトルク波形の段差が発生する。 特にモー夕のトルク定数が大きく、 残留電流も大 きい場合はそのトルクの段差が大きく、 その段差の影響が無視できない状態となることが 発生する。 そのトルクの段差は、 モー夕回転時の振動や騒音の発生原因になる。 また、 パ ワーステアリング装置用のブラシレス D Cモータの場合は、 ハンドルをゆつくり操舵する 時に、 そのトルクの段差が操舵フィーリングに影響すると共に、 騒音の発生原因になって しまう。
また、 第 3図に示すような励磁電流の波形において正側 (順方向電流) の駆動デューテ ィ比 (例えば D u t y 1とし、 以下これを 「上段の駆動デューティ比」 という。) と、 負 側 (逆方向電流) の駆動デューティ比 (例えば D u t y 3とし、 以下これを 「下段の駆動 デューティ比」 という。) とが異なる場合は、 モ一夕駆動回路において 1個の電流検出回 路が設けられている場合に、 相切換時における 2つの相の電流の立上がりと立下がりの電 流変化率が異なるので、 相切換時に他の切替えをしていない相の電流が大きく変動してし まい、 その電流の変動により過渡的なトルク変動が生じてしまう。
本発明は上述のような事情からなされたものであり、 本発明の目的は、 電流検出-回路を 2以上使用せず、 簡潔な回路構成で、 トルク変動を生じさせる電流変動を抑制できるモー
夕駆動制御装置を提供することにある。 また本発明の他の目的は、 ブラシレス D Cモ一夕 を矩形波を用いて駆動制御する場合において、 段差的なトルクの変動を抑制することがで き、 トルクの変動を抑制することができるモ一夕駆動制御装置を提供することにある。 発明の開示
本発明は、複数の励磁相を有するモ一夕の駆動を制御するモ一夕駆動制御装置であって、 前記モー夕の各励磁相に供給する励磁信号を生成する駆動手段と、 各励磁相毎に前記励磁 信号の方向決定及びオン Zオフの切替えを行う制御手段とを備え、 前記制御手段は、 前記 切替え時に切り替えられる励磁信号の変化率を制御する。
また、 本発明は、 ブラシレス D Cモータの励磁コイルにおける転流相の電流合計値が変 化しないように、 転流相の電流の変化率を制御するモー夕駆動制御装置に関し、 前記励磁 コイルにおける転流相の中の O F F相の残留電流を 0にするように、 前記励磁コイルにお ける O F F相へのパルス幅変調による駆動電流を供給する期間 (通電期間) を制限する。 本発明は、 モー夕の励磁電流を検出する電流検出回路を 2個以上使用せず、 複数の励磁 相を有するモータを駆動制御するモー夕駆動制御装置に関し、 前記モータの各励磁相に供 給する励磁信号を生成する駆動手段と、 前記各励磁相毎に前記励磁信号の方向決定及びォ ン Zオフに切替えを行う制御手段とを備え、 前記制御手段は、 前記切替えの時にモータの 前記各励磁相の励磁電流の合計値を一定に保つように前記励磁信号を生成する。 図面の簡単な説明
第 1図は 5相ブラシレスモ一夕の各相の励磁電流の波形図、 第 2図は従来の励磁電流切 り替え時の各相の電流変動及び電磁トルク変動を示す図、 第 3図は従来のブラシレス D C モータ駆動制御装置における各励磁コイルの相電流波形とトルク波形を示す特性図、 第 4 図は 5相ブラシレスモ一夕の断面図、 第 5図は電動パワーステアリング装置の機能ブロッ ク図、 第 6図は第 5図の装置に用いられる制御回路の機能ブロック図、 第 7図は第 6図に おいてゲ一ト駆動信号を生成する論理演算部の機能プロック図、 第 8図は第 7図の第 1の F E Tゲート駆動信号論理演算部を構成する演算プロックを示す図、 第 9図は第 7図の第 2の F E Tゲート駆動信号論理演算部を構成する演算ブロックを示す図、 第 1 0図は第 1 実施例による 5相ブラシレスモータの各相の逆起電圧及び励磁電流切り替え時の立下がり
相の電流変化率制御用ゲート信号を示す波形図、 第 1 1図は第 1実施例で生成された各相 駆動信号及びロー夕位置検出信号の波形図、 第 12図は第 1実施例による励磁電流切り替 え時の各相の電流変化及び電磁トルク変化を示す図、 第 13図は第 2実施例による 5相ブ ラシレスモ一夕の各相の逆起電圧及び励磁電流切り替え時の立上がり相の電流変化率制御 用ゲート信号を示す波形図、 第 14図は第 2実施例で生成された各相駆動信号及び口一夕 位置検出信号の波形図、 第 15図は第 2実施例による励磁電流切り替え時の各相の電流変 化及び電磁トルク変化を示す図、 第 16図は第 3実施例による 5相ブラシレスモ一夕の各 相の逆起電圧及び励磁電流切り替え時の立上がり相の電流変化率制御用ゲ一ト信号を示す 波形図、 第 17図は第 3実施例で生成された各相駆動信号及びロータ位置検出信号の波形 図、 第 18図は第 3実施例による励磁電流切り替え時の各相の電流変化及び電磁トルク変 化を示す図、 第 19図は本実施形態に係るブラシレス DCモ一夕駆動制御装置における各 励磁コイルの相電流波形とトルク波形を示す特性図、 第 20図は OFF相の励磁コイルの PWM— ON時についての等価回路を示す回路図、 第 21図は OFF相の励磁コイルの P WM— OFF時についての等価回路を示す回路図、 第 22図は OFF相の励磁コイルの P WM波形、 印加電圧波形、 残留電流波形を示す特性図、 第 23図は OFF相の励磁コイル の等価回路を示す回路図、 第 24図はデュ一ティ比が異なる 3つの PWM信号を示す波形 図、 第 25図は Du t y 1、 Du t y 3、 D u t y 2の PWMがオンの状態のブラシレス モー夕の駆動回路についての等価回路を示す回路図、 第 26図は Du t y 2の PWMがォ フであり、 かつ Du t y 1、 Du t y 3の PWMがオンの状態のブラシレスモー夕の駆動 回路についての等価回路を示す回路図、 第 27図は Du t y 1、 Du t y 2の PWMがォ フであり、 かつ Du t y 3の PWMがオンの状態のブラシレスモータの駆動回路について の等価回路を示す回路図、 第 28図は Du t y 1、 Du t y 3、 Du t y 2の PWMがォ フの状態のブラシレスモ一夕の駆動回路についての等価回路を示す回路図である。 発明を実施するための最良の形態
第 4図は、 本発明の装置で駆動制御されるモ一夕の一例の 5相ブラシレスモータ 1の内 部構造を示す縦断面図である。 この 5相ブラシレスモ一夕 1は、 円筒形のハウジング 2と、 このハウジング 2の軸心に沿って配設され、 軸受 3 a, 3 bにより回転自在に支持された 回転軸 4と、 この回転軸 4に固定されたモー夕駆動用の永久磁石 5と、 この永久磁石 5を
包囲するようにハウジング 2の内周面に固定され且つ 5相の励磁コイル 6 a, 6 b , 6 c , 6 d及び 6 eが巻き付けられたステ一夕 6とを具備し、 回転軸 4及び永久磁石 5によって ロータ 7を構成している。
ロー夕 7の回転軸 4の一端部の近傍には、位相検出用のリング状永久磁石 8が固定され、 この永久磁石 8は、 周方向に等間隔で交互に S極及び N極に着磁されている。 また、 ロー 夕 7の永久磁石 5も、 S極及び N極が周方向に交互に等間隔で着磁されている。 ハウジン グ 2内の軸受 3 bが配設された側の端面には、 ステ一夕 9を介して、 リング状の薄板から なる支持基板 1 0力 その内側の絶縁部分が永久磁石 8に対向するように配設されている。 この支持基板 1 0の永久磁石 8側の面には、 永久磁石 8に対向するように例えばホール素 子からなる位相検出素子 1 1が固定されている。 なお、 位相検出素子 1 1は、 実際には励 磁コイル 6 a〜6 eの駆動タイミングに対応して周方向に適宜離間して 5個 (1 1 a〜l 1 e ) 設けられているが、 第 4図ではそのうちの 1つのみを示している。
位相検出素子 1 1 a〜l 1 eは、 各々に対向する永久磁石 8の磁極が N極の場合には位 置検出信号として "H" のセンサ信号を、 S極の場合には " L " のセンサ信号をそれぞれ 出力する。 これら各位相検出素子 1 1 a〜l 1 eは、 第 5図に示すように各素子に対向す る永久磁石 8の磁極によって変化することを利用してロー夕 7の回転位置を検知でき、 各 検知出力がロータ位置検出回路 2 5に入力される。 モー夕駆動制御装置 2 0はロータ 7の 回転位置に応じて、 5相の励磁コイル 6 a〜6 eに対して 4相同時に通電しながら、 通電 する励磁コイルを 1相ずつ順次切り換える 4相励磁方式により、 ロー夕 7を回転駆動する ようになつている。
一方、 5相の励磁コイル 6 a〜 6 eは、 ロータ 7の外周面を電気角で 7 2。 ずつ離隔し て取り囲むように配設され、 Y字型にス夕一結線されてモー夕のコイル回路 1 2を構成し ている。 なお、 4相励磁方式ではモ一夕電流は 4つの相に流れることになる力、 電流はコ ィル抵抗に反比例するので、 各相にバランスよく電流を流すために、 各励磁コイル 6 a〜 6 eのコイル抵抗は全て等しくなるように形成されている。 また、 ステ一夕 6は、 例えば 図示しないステ一夕コア内周面に等間隔に 3 0個のスロットを有すると共に、 これらスロ ット間に同数の凸部を有し、 そのうち 5個の凸部を 1組として、 各組に各励磁コイル 6 a 〜6 eを巻き付けるように構成されている。 各励磁コイル 6 a〜6 eの一端はまとめて結 線され、 他端はモ一夕駆動制御装置 2 0に接続されている。
モー夕駆動制御装置 2 0は第 5図に示すように、 制御回路 2 1、 F E Tゲート駆動回路 2 2、 モータ駆動回路 2 3、 電流検出回路 2 4及び口一夕位置検出回路 2 5で構成されて いる。 ここで、 制御回路 2 1が本発明における制御手段に対応し、 F E Tゲート駆動回路 2 2及びモ一夕駆動回路 2 3が駆動手段に対応している。
制御回路 2 1は例えばマイクロコンピュータ等で構成され、 定電圧源 2 6から一定電圧 が供給される。 制御回路 2 1には外部回路 2 7から電流指令 I refが入力され、 電流検出 回路 2 4からモー夕電流検出値 I、 口一夕位置検出回路 2 5から口一夕位置信号 S a-e (= S a, ···、 S e) がそれぞれ入力される。 制御回路 2 1は、 これらの入力信号に基づいて、 モ一夕駆動回路 2 3からモー夕のコイル回路 1 2に供給される駆動電流を制御する。
ここで、 前述の電動パワーステアリング装置の駆動源として 5相ブラシレスモータが用 いられる場合、 外部回路 2 7は、 自動車の変速機の出力軸の回転数に応じたパルス信号を 発生する車速センサの出力から求められる車速検出値 Vと、 ステアリングホイールの入力 軸に加えられた操舵トルクを検出するトルクセンサの出力から求められるトルクの方向を 含む検出値 Tとから、 特性線図を参照して対応するモー夕電流値を検索し、 これを電流指 令信号 I refとして出力するように構成される。 これは、 上記動作を実行する C P Uなど の回路で構成可能であるが、 この回路に代えて、 上記車速センサ及びトルクセンサの各出 力を制御回路 2 1に入力し、 ここで電流指令 I refを生成するように構成してもよい。 モー夕駆動回路 2 3は、 電源供給側 (上段側) に 5個、 アース側 (下段側) に 5個の合 計 1 0個の電界効果トランジスタ Tal〜Tel, Ta2〜Te2で構成されている。 これら 1 0個のトランジスタ Tal〜Tel, Ta2〜Te2は、 上段側と下段側とで対応する各 2個の トランジスタが直列接続され、 これら直列接続のトランジスタ対 (Tal— Ta2, Tbl— Tb2, Tel— Tc2, Tdl - Td2, Tel— Te2) の各々の上段側端子は制御回路 2 1に、 下段側端子は電流検出回路 2 4にそれぞれ接続されると共に、 各トランジスタ対の接続部 は各励磁コイル 6 a〜6 eの外端 (スター結線の中心側とは逆側) と接続されている。 そ して、 トランジスタ Tal〜Te2の各ゲート電圧は、 口一夕位置検出回路 2 5からの検出 信号 Sa-eに基づいて制御回路 2 1により制御される。
モータ駆動回路 2 3から各励磁コイル 6 a〜6 eへの励磁電流の方向及び大きさは、 基 本的には従来と同様で第 1図に示すようになり、 各トランジス夕 Tal〜Te2のオン Zォ フのタイミングは、 下記の表 1のゲート信号 (上段) Gal〜Gel及びゲート信号 (下段)
Ga2〜Ge2に示すようになる。 なお、 表 1では、 各トランジスタ Tal〜Te2をオン Zォ フするゲート信号 Gal〜Ge2をそれぞれ" 1 "、 " 0 "で表している。 表 1
1
位置検出信 ゲ一 -ト信号 (上段) ゲ一ト信号 (下段) 区間 α Sb Sc Sd c« Gc1 Gd1 Ge1 Gc2 Gd2 Ge2
(1 ) Η H し H し 1 1 0 0 0 0 0 1 1 0
(2) Η し し H し 1 1 0 0 0 0 0 0 1 1
(3) Η し H H し 0 1 1 0 0 0 0 0 1 1
(4) Η し H し し 0 1 1 0 0 1 0 0 0 1
(5) Η し H し H 0 0 1 1 0 1 0 0 0 1
(6) し し H し H 0 0 1 1 0 1 1 0 0 0
(7) し H H し H 0 0 0 1 1 1 1 0 0 0
(8) し H し し H 0 0 0 1 1 0 1 1 0 0
(9) し H し H H 1 0 0 0 1 0 1 1 0 0
(10) し H し H H 1 0 0 0 1 0 0 1 1 0 第 1図において、 ロータ 7が例えば区間 (1 ) の状態にあるものとすると、 これは表 1 の区間 (1 ) に該当し、 上段側のトランジスタ Tal、 Tbl及び下段側のトランジスタ Tc 2、 Td2がそれぞれオン状態、 これら以外のトランジスタはいずれもオフ状態であるので、 励磁コイル 6 a及び 6 bには外端側から電流が流れ、 励磁コイル 6 c及び 6 dには結線側 から電流が流れる。 これにより、 ロー夕 7の N極又は S極とその周囲に発生した N極又は S極との間の磁気吸引力及び反発力が生じ、 ロータ 2 7が回転する。 そして、 ロータ 2 7 が第 1図の (2 ) の状態に移行すると、 これは表 1の区間 (2 ) に該当し、 上段側のトラ ンジスタ Tal、 Tbl及び下段側のトランジスタ Td2、 Te2がいずれもオン状態、 これら 以外のトランジスタがいずれもオフ状態であるので、 励磁コイル 6 a及び 6 bには外端側 から電流が流れ、 励磁コィル 6 d及び 6 eには結線側から電流が流れる。 これにより、 口 —夕 2 7が更に回転する。
以上の操作を繰返し行なうと、 表 1に示すタイミングで各トランジスタが駆動され、 第 1図に示すように電気角で 3 6 ° 毎に順次 1相ずつ励磁コイルを切り替え、 1つの相を電 気角で 1 4 4 ° の間励磁する。 これにより、 ステ一夕 5に発生する N極又は S極が順次移 動し、 口一夕 7が連続回転する。 電流検出回路 2 4は、 モー夕駆動回路 2 3の下段側のト
ランジス夕 Ta2〜Te2に接続した電流検出抵抗を有し、 その両端に発生した電圧を増幅 すると共にノイズを除去して、 モ一夕電流値 Iの検出信号として出力する。 口一夕位置検 出回路 25は、 位相検出素子 1 1 a〜l 1 eからの検出信号を口一夕位置検出信号 Sa-e として出力する。
制御回路 21は表 1に示すように、 ロータ位置検出回路 25からの検出信号 Sa-eにつ いて予め設定した組み合わせと、 上段及び下段のゲート信号との対応を表すゲ一ト設定テ —ブルを記憶部に格納している。 このゲート設定テーブルには、 第 1図の電気角 36° 毎 の区間 (1) 〜 (10) の各々に対応する検出信号 Sa-eの組み合わせと、 各区間で設定 する励磁コイルを指定する上段及び下段側のゲ一卜信号 Gal〜Ge2との対応が設定され ている。 ここで、 検出信号 Sa-eの' Ή"は N極、 "L"は S極に励磁されていることを表す。 更に、 各区間 (1) 〜 (10) に対応する組み合わせの場合には異常信号を" 0"、 すな わち正常として設定し、 各区間 (1) 〜 (10) に対応する組み合わせでない場合には異 常信号を "1"、 すなわち異常として設定する。 そして、 各区間 (1) 〜 (10) に対応す る組み合わせでない場合には各ゲート信号 Gal〜Ge2を全で' 0"に設定し、 モー夕のコィ ル回路 12への電流供給を行わないように設定している。
制御回路 21はロータ位置検出回路 25から送られる検出信号 Sa-eの組み合わせに対 し、 上記ゲート設定テ一ブルに基づいて対応するゲ一ト信号 Gal〜Ge2を F ETゲ一ト 駆動回路 22に送る。 また、 制御回路 21は、 前述した入力信号に基づいて電流制御によ りモータ駆動用電圧指令信号を生成し、 この電圧指令信号に基づいてパルス幅変調信号及 びゲート駆動信号 (=Gal〜Ge2) を生成し、 F E Tゲート駆動回路 22に供給する。
FETゲート駆動回路 22は制御回路 21から出力されたゲート駆動信号 。に基づき、 指定されたトランジス夕のゲート端子に所定の電圧供給を行なう。
第 6図は制御回路 2 1 の機能プロック図であり、 制御回路 2 1 はその機 能上、 電流制御部 3 1 と、 後述のように励磁電流が立ち上がる (又は立ち 下がる) 励磁相の P WMデューティ比演算部 3 2 と、 モー夕回転速度演算 部 3 3 と、 F E Tゲー ト駆動信号演算部 3 4 とで構成される。
この制御回路 21においては、 モー夕電流指令信号 Irefと電流検出回路 24によって 検出されたモ一夕電流値 Iとが電流制御部 31に入力される。 電流制御部 31は、 前記ト ルクセンサからのトルク検出値 Tに対して所定の中立電圧 Vcよりも高いか否かによって
トルクの発生方向を検出し、 所定の処理を行ってモー夕のトルク方向を決める電磁トルク 方向指令信号 DRCTを出力する。 或いはモー夕電流検出値 Iに符号を持たせ、 電流制御 部 3 1で生成したモ一夕駆動用電圧指令信号の符号により電磁トルク方向指令信号 D R C Tを決め、 これを出力するように構成してもよい。 電流制御部 3 1は後述のように、 相切 替時に電流変化率が制御される相以外の相に対する第 1の PWM信号のデューティ比 Dut ylを演算して出力する。
一方、 モー夕回転速度演算部 3 3はロー夕位置検出回路 2 5からの出力信号 Sa-eより 相切替信号を生成し、 その切替信号の発生周波数よりモー夕回転角速度 ωを検出する。 第 1の PWM信号のデューティ比 Dutyl、 モ一夕電流検出値 I及びモ一夕回転角速度 ωは、 相切替時に電流変化率が制御される立上り (又は立下がり) 相の PWMデュ一ティ比演算 部 32に入力される。 この演算部 32では、 後述のように電流変化率が制御される相に対 する第 2の PWM信号のデューティ比 Duty2が演算される。 上記 2つのデューティ比 Du tyl及び Duty2、 電磁トルク方向指令 D R C T及びロー夕位置 Sa-eの各信号が F ETゲ ート駆動信号演算部 34に入力される。 この演算部 34では、 各 FETのゲート駆動 (ォ ン オフ) 信号 が出力される。
上記 F E Tゲ一ト駆動信号演算部 34は第 7図に示すように、 第 1の F E Tゲート駆動 信号論理演算部 34 1、 第 2の FETゲ一ト駆動信号論理演算部 342及び F E Tゲート 駆動信号合成演算部 343で構成される。
第 7図において、 第 1の FETゲート駆動信号論理演算部 34 1は、 第 1の PWM信号 のデューティ比 Dutyl、 位置検出信号 Sa-e及び電磁トルク方向指令 DRCTより、 各相 の上下段 FETのゲート駆動信号 G' 0 (=G' ···、 G' 10) を生成する。 第 2の FE Tゲート駆動信号論理演算部 342は、 第 2の PWM信号のデューティ比 Duty2、 口一夕 位置検出信号 Sa-e及び電磁トルク方向指令 DRCTより、 励磁電流が立上がる (又は立 下がる) 相に対する上下段 FETのゲート駆動信号 GPCを生成する。 FETゲート駆動信 号合成演算部 343は、 上記 2つの通電区間信号 G' w。及び GPCから FETゲート駆動 信号 。を生成する。
第 8図は第 1の F E Tゲート駆動信号論理演算部 34 1を構成する演算プロックを示し、 この演算部 34 1は、 口一夕位置信号 Sa-e及び電磁トルクの方向指令信号 DRCTから 従来通りの FET通電区間信号 G" w。を生成する演算ブロック 34 1 aと、 その信号 G"
110及び第 1の PWM信号のデューティ比 Dutylから、 電流変化率を制御しない励磁相に 対する F E Tゲート駆動信号 G ' u。を生成する演算ブロック 341 bとで構成されてい る。
第 9図は、 第 7図の第 2の FETゲート駆動信号論理演算部 342を構成する演算プロ ックを示し、 同図 (A) は、 ロー夕位置信号 Sa-e及び電磁トルクの方向指令信号 DRC 丁から、 立下がり (又は立上がり) 相の FETゲート駆動信号 G' PCを生成する演算プロ ック 342 aと、 そのゲート駆動信号 G' PC及び第 2の PWM信号のデューティ比 Duty2 から、 切替時に切り替えられる相の F E Tゲ一ト駆動信号 GPCを生成する演算プロック 3 42 bとを示す。 また、 通電区間終了はこの相の立ち下がりが始まる時であることから、 第 9図 (B) に示すように演算ブロック 342 aでは、 口一夕位置信号 Sa-e及び電磁ト ルクの方向指令信号 DRCTから得られる FETのゲート駆動信号 G" μι。を用いて、 励 磁電流が切り替えられる相に対する駆動信号 G' PCを生成するようにしてもよい。 この場 合、 (A)よりも演算量を減らすことができる。
本発明によれば、 制御回路 21では、 上記のようにモー夕電流 I、 第 1の PWM信号の デューティ比 Dutyl、 モー夕回転角速度 ω、 モー夕の逆起電圧定数 Km、 モ一夕駆動回路 に供給される電源電圧 Vb、 モー夕と駆動回路の等価電気回路の抵抗成分 Rの 6つの信号 から、 第 2の PWM信号のデューティ比 Duty2を演算する。 その演算式は、 次の関数 f で表される。
Duty2= f (I,Dutyl, ω ,Km,Vb,R) …… (6) この関数 fは、 励磁電流を切り替える 2つの相 (例えば a相と d相) の電流変化率が一致 するか又は同程度になるように設定される。
次に、 関数 f の例を説明する。 第 5図のモータ駆動回路 23に供給される電源電圧を V b、 励磁コイル a〜eの中心接続点 (各相の合流点) の電圧を Vnとし、 Vn=lZ2 * Vbと仮定する。 そして、 d相に対する PWM信号のデューティ比を Duty^r a相に対 する PWM信号のデューティ比を Duty2.2とすると、 各相の電圧方程式は次の式 (7) 〜 (11) のようになる。 但し、 Lm二 L—M (Lは各相の自己インダク夕ンス、 Mは 2つ の相の間の相互インダク夕ンス) である。
a相:(2Duty2.2- 1) *0.5Vb = Lm(dia/dt) + iaRa + Ea … (7)
b相: (2Duty 1 - 1) *0.5Vb = Lm(dib/dt) + ibRb + Eb ··· ( 8 )
c相: (2Duty 1一 1 ) *0.5Vb = Lm(dic/dt) + icRc + Ec ··· ( 9 )
d相: Dutyw - 1) *0.5Vb = Lm(did/dt) + idRd + Ed … (10)
e相:(2Duty 1- 1) *0.5Vb = Lm(die/dt) + ieRe + Ee … ( 1 1 ) 矩形波電流駆動で、 着磁波形は電気角 144° のほぼ台形波であるので、 逆起電力も近 似的に台形波になる。 相切り替え時に各相の逆起電圧の絶対値はほぼ等しい。 すなわち、 下記式 (12) となる。 iia=— Eb=— Ec=Jid=iie=E (12) また、 各相のコイル抵抗も同じであるから、 下記式 (13) が成り立つ
Ra=Rb=Rc=Rd=Re=R (13) 切替える 2つの相 (この場合は a相と d相) の電流変化率を同じにするため、 両相の電流 の合計は一定で、 他の相の電流は変化しない。 すなわち、
1。+ =— i ,= 1 (14) が成り立つ。 よって、 d(ia+id)/dt = -dib/dt = -dic/dt = -die/dt
二 di/dt = 0 … ( 15) となる。 上記 a相と d相の電圧方程式 ( 7 ) 及び ( 1 0 ) を加算して-式. ( 1 2 ) 〜 ( 1 5 ) を代入すると、 (2Duty2— 2 + 2Duty2„, - 2) *0.5Vb = Lm(d (i
+ id)/dt) + iaRa + idRd + Ea + Edであるから、
(Duty2.2 + 2Duty2.! - l) Vb = iR + 2E (16) となる。 また、 e相の電圧方程式 ( 1 1 ) に式 ( 1 2 ) 〜 ( 1 5 ) を代入 すると、
(2Duty 1 - 1) *0.5Vb = Lm(die/dt) + ieRe + Ee
= iR + E … (17) となる。 これら 2つの式 (16) 及び (17) より、 OFF相のデューティ比 Dutywと ON相のデュ一ティ比 Duty2.2との関係は次式 (18) 及び (19) のように求められる。 但し、 Ε=1Ζ2 · Κηι· ωで Km [volt · sec] はモー夕の電圧定数であり、 iは 1相の 電流で、 1個の電流検出器で検出する場合の検出電流は 2 iになる。
① i Rを消去する場合:
Duty2.1 + Duty2.2=Dutyl + 0.5+ E/V b
=Dutyl + 0.5 + Km · ω/2 Vb (18)
② Eを消去する場合:
Duty2.! + Duty2.2= 2 Duty 1 - i R/Vb
= 2Dutyl- 2 i · R/2 Vb (19) 上記 2つの式 (18) 及び (19) のいずれかを用いて、 下記実施例 1〜3のように、 切り替えられる ONZOFF相に対する第 2の P WM信号のデューティ比 Duty^ Duty2.2 を求めることができる。 そして、 これらデューティ比を持つ PWM信号で相切替時の立下 がり相 (又は立上がり相) の駆動電流を制御することにより、 切替える 2つの相の電流変 化率を一致させるか又は同程度にすることができ、 従来の相切替時の電流変動 (第 2図) が抑えられる。 このとき、 検出される電流はモ一夕電流 Iのみであり、 必要な電流検出回 路は 1つで済む。
[実施例 1 ]
励磁電流切替時に立下がり相 (例えば d相) の電流変化率を制御して、 立上り相 (例え ば a相) の PWM信号の電流変化率と一致させるようにする。 この場合、 a相に対する P WM信号のデュ一ティ比 Duty2.2=Dutylであるから、 d相に対する PWM信号のデュー ティ比 Duty は、 式 (18) より
Duty^O.S+Km · ωΖ2 Vb ··· (20) として求められる力 或いは式 (19) より
Duty2.1=Dutyl— 2 i · R/2 Vb … (21) として求められる。
第 10図 (A) は各相の逆起電圧 Ea-e (=Ea, …, Ee) を、 同図 (B) は第 9図の 機能ブロックで演算された立下がり相 (d相) の電流変化率制御用ゲート駆動信号 G' PC を、 第 1 1図 (C) は第 8図の機能ブロックで演算された各相の上下段 FETのゲート駆 動信号 G ' 。を、 同図 (D) は口一夕位置検出信号 Sa-eの各波形の位相関係をそれぞれ 示す。 この場合、 第 8図の論理演算により、 第 1 1図 (D) のロー夕位置検出信号 Sa- e及び電磁トルク方向指令 DRCTから、 第 1 1図 (C) のゲート駆動信号 G" ^。が生成 され、 この駆動信号 G" w。及びデューティ比 Dutylの PWM信号から従来通りのゲート 駆動信号 G' w。が生成される。 また、 第 9図 (A) の論理演算により、 第 1 1図 (D) の口一夕位置検出信号 Sa-e及び電磁トルク方向指令 DRCTから、 第 10図 (B) の立 下がり相 (d相) に対するゲート駆動信号 G' PCが生成される。
このゲート駆動信号 G' PCは、 第 11図 (C) のゲート駆動信号 G" μ10が" Low" (0) になった時、 "H i gh" (1) になる。 つまり、 この相に対する従来の駆動信号 G" 1 0 が " Low" (電流の立下がり) になった時に、 別の駆動信号 G' PCで、 その電流の立下 がりを制御する。 例えば、 第 1 1図 (C) の Tdl (上段 FETの 1つ) のゲート駆動信号 G" wo力 電気角 18° のところで "Low" になった時、 第 10図 (B) の Tdlのゲ
—ト駆動信号 G' PCは "H i gh" になり、 その後、 電気角 54° のところで "Low" になる。 このゲート駆動信号 G' PC及びデューティ比 Duty2の PWM信号から、 立下が り相 (d相) のゲ一卜駆動信号 GPCが生成される。 実際の FETゲート駆動信号 。は、 上記ゲ一ト駆動信号 G ' ^。及び GPCを合成演算して生成される。
このようにして立下がり相の電流変化率を制御することにより、 第 1 2 図に示すように励磁電流切替時に立下がり相 ( d相) と立上がり相 ( a相) の電流変化率を一致させることができる。 従って、 電流変動と トルク変動 は、 従来の F E T駆動方法での電流変動による トルク変動波形 (第 2図) と比べて大幅に抑制される。
[実施例 2]
励磁電流切替時に立上がり相 (例えば a相) の電流変化率を制御して、 立下り相 (例え ば d相) の PWM信号の電流変化率と同じくなるようにする。 この場合、 d相に対する P WM信号のデューティ比 Dutyw二 0であるから、 a相に対する PWM信号のデューティ 比 Duty2.2は、 式 (18) より
Duty2.2=Dutyl + 0.5 + Km · ωΖ2 Vb … (22) として求められるか、 或いは式 (19) より
Duty2.2= 2 Dutyl - 2 i · R / 2 V b -- (23) として求められる。 但し、 Duty2.2〉 1となる場合は、 Duty2.2= 1とする。
第 13図 (A) は各相の逆起電圧 Ea-eを、 同図 (B) は第 9図の機能ブロックで演算 された立上り相 (a相) の電流変化率制御用ゲート駆動信号 G' PCを、 第 14図 (C) は 第 8図の機能ブロックで演算された各相の上下段 FETのゲート駆動信号 G" 。を、 同 図 (D) はロー夕位置検出信号 Sa-eの各波形の位相関係をそれぞれ示す。 この場合、 第 8図の論理演算により、 第 14図 (D) のロータ位置検出信号 Sa-e及び電磁トルク方向 指令 DRCTから同図 (C) のゲート駆動信号 G" w。が生成され、 この駆動信号 G" 0
及びデュ一ティ比 Dutylの PWM信号から従来通りのゲート駆動信号 G' ^。が生成され る。
また、 第 9図 (A) の論理演算により、 第 14図 (D) の口一夕位置検出信号 Sa-e及 び電磁トルク方向指令 DRCTから、 第 13図 (B) の立上がり相 (a相) のゲート駆動 信号 G' PCが生成される。
このゲート駆動信号 G' PCは、 第 14図 (C) のゲート駆動信号 G" w。が "H i gh" (1) になった時、 "H i gh" (1) になる。 つまり、 この相に対するゲート駆動信号 G" が "H i gh" (電流の立上がり) になった時に、 別の駆動信号 G' PCでその電流の立 上がりを制御する。 例えば、 第 14図 (C) の Tal (上段 FETの 1つ) のゲート駆動信 号 G" w。が、 電気角 18° のところで "H i gh" になった時、 第 13図 (B) の Tal のゲート駆動信号 G' PCは "H i gh" になり、 すぐに "Low" になる。 これは、 ゲ一 ト駆動信号 G" μι。の立上りをより速くするためである。 このゲート駆動信号 G' PC及び デューティ比 Duty2の PWM信号から、 立上がり相 (a相) のゲート駆動信号 GPCが生 成される。 実際の FETゲート駆動信号 。は、 上記ゲート駆動信号 G' w。及び GPCを 合成演算して生成される。
このようにして立上がり相の電流変化率を制御することにより、第 15図に示すように、 前述の区間①において、 励磁電流切替時に立上がり相 (a相) の電流変化率を立下がり相 (d相) の電流変化率に近づけることができる。 従って、 従来の FET駆動方法での電流 変動によるトルク変動波形 (第 2図) と比べて、 変動が大幅に抑制される。
更に、 この実施例 2の場合、 立上り相と立下がり相の電流変化率を完全に一致させるこ とは困難であるが、 前記実施例 1の効果を示す第 12図と比較すると、 電流切替えの過渡 時間 (すなわち、 切り替え開始から電流が安定するまでの時間) を短くできるという利点 がある。 これにより、 モータが高速回転する時には 2つの電流切替え時点の間の電流安定 時間が長くなり、 電流変動とトルク変動の低減に寄与する。
[実施例 3]
本実施例は、 上記実施例 1と実施例 2の組み合わせである。 すなわち、 励磁電流切替時 に立下がり相 (例えば d相) に対する PWM信号の電流変化率と立上り相 (例えば a相) の電流変化率の両方を制御して、 両者が同じになるようにする。 この場合、 d相に対する
PWM信号のデューティ比 Duty^は、 式 (20) より
0< Duty^! < 0.5 + Km · ω/2 Vb - (24) の範囲で選択する。 また、 a相に対する PWM信号のデューティ比 Duty2.2は、 式 (18) より
Duty^^Dutyl-Duty^ + O.S + Km - ω/2 Vb … (25) として求められる。 但し、 Duty2.2> 1となる場合は、 Duty 2.2= 1とする。
或いは、 d相に対する PWM信号のデューティ比 Duty2.iは、 式 (21) より
0 く Duty^ < Dutyl— 2 i · R/2 Vb "- (26) の範囲で選択する。 また、 a相に対する PWM信号のデューティ比 Duty2.2は、 式 (19) より
Duty2.2= 2 Dutyl -Duty^! - 2 i - R/2 Vb … (27) として求められる。 但し、 Duty2.2〉 1となる場合は、 Duty2.2= 1とする。
第 16図 (A) は各相の逆起電圧 Ea-eを、 同図 (B) は第 9図の機能ブロックで演算 された立下がり相 (d相) 及び立上がり相 (a相) の電流変化率制御用ゲート駆動信号 G' PCを、 第 17図 (C) は第 8図の機能ブロックで演算された各相の上下段 FETのゲート 駆動信号 G" w。を、 同図 (D) は口一夕位置検出信号 Sa-eの各波形の位相関係をそれぞ れ示す。 この場合、 第 8図の論理演算により、 第 17図 (D) のロータ位置検出信号 Sa- e及び電磁トルク方向指令 DRCTから、 同図 (C) のゲート駆動信号 G" w。が生成され、 この駆動信号 G" μι。及びデューティ比 Dutylの PWM信号からゲート駆動信号 G' μι。が 生成される。 また、 第 9図 (Α) の論理演算により、 第 17図 (D) の口一夕位置検出信 号 Sa-e及び電磁トルク方向指令 DRCTから、 第 16図 (B) の立下がり相 (d相) 及
び立上がり相 (a相) に対するゲート駆動信号 G' PCが生成される。
このゲ一卜駆動信号 G' PCは、 第 17図 (C) のゲート駆動信号 G" w。が "H i gh" (1) 又は "Low" (0) になった時、 "Low" (0) 又は "H i gh" (1) になる。 つまり、 駆動信号 G" w。力 "H i gh" (電流の立上がり) 又は "Low" (電流の立下 がり) になった時に、 別の駆動信号 G' PCでその電流の立上がり又は立下がりを制御する。 例えば第 17図 (C) の Tdl、 Talのゲート駆動信号 G" μι。がそれぞれ電気角 18 ° の ところで "Low"、 "H i gh" になった時、 第 16図 (B) の Tdl、 Talの各ゲート 駆動信号 G' PCはそれぞれ "H i gh" になり、 その後、 Talのゲート駆動信号はすぐ に "Low" になり、 Tdlのゲート駆動信号は電気角 54 ° のところで "Low" にな る。 これらのゲート駆動信号 G' PC及びデューティ比 Duty2の PWM信号から、 立下が り相 (d相) 及び立上り相 (a相) に対するゲート駆動信号 GPCが生成される。 実際の F ETゲート駆動信号 。は、 上記ゲート駆動信号 G' μι。及び GPCを合成演算して生成さ れる。
このようにして立下がり相と立上がり相の両方の電流変化率を制御することにより、 第 18図に示すように前述の区間①の始めから区間②の途中 (©— 1) までの間に、 励磁電 流切替時の立下がり相 (d相) と立上がり相 (a相) の電流変化率を一致させることがで きる。 従って、 従来の FET駆動方法での電流変動によるトルク変動波形 (第 2図) と比 ベて大幅に抑制される。
更にこの実施例 3の場合も、 立下がり相と立上がり相の電流変化率を完全に一致させる ことは困難であるが、 前記実施例 2と同様、 電流切替えの過渡時間を短くできるという利 点がある。 これにより、 モータが高速回転する時、 2つの電流切替え時点の間の電流安定 時間が長くなり、 電流変動とトルク変動の低減に寄与する。
以上の実施例では、 第 1の PWM信号のデューティ比 Dutyl、 ロータ位置検出信号 Sa- e及び電磁トルク Tmの方向指令 DRCTより、 各 F E Tのゲート駆動信号 G ' Μ。を決め る。 一方、 切替えられる相の立上り及び Ζ又は立下がり電流の変化率を制御するため、 切 替えられる相に対する第 2の PWM信号のデューティ比 Duty2を演算する。 この演算は、 モ一夕電流値 I、 第 1の PWM信号のデューティ比 Dutyl、 モータ回転角速度 ω、 モータ の逆起電圧定数 Km、 モー夕駆動回路に供給される電源電圧 Vb、 モ一夕と駆動回路の等 価電気回路の抵抗成分 Rの関数 f を用いて行われる。 このため、 電流検出回路 24でモ
—夕の電流値 Iを検出し、 電流フィードバック制御の出力から第 1の PWM信号のデュー ティ比 Dutylを得ると共に、 ロータ位置検出信号 Sa-eから切替信号を生成し、 モ一夕回 転角速度 ωを検出する。 そして、 立上り及び Ζ又は立下がり相の FET駆動開始信号 G' PCとデューティ比 Duty2との論理演算により、 実際に切り替えられる相の FET駆動制 御信号 GPCを決定し、 これらゲート駆動信号 G' μ1。及び GPCによりモータの駆動を制御 する。 一方、 第 5図の制御回路 21は、 ロー夕位置検出回路 25から送られる検出信号 Sa-e の組合わせに対し、所定のゲート設定テーブルに基づいて、対応するゲ一ト信号 Gal〜Ge2 を FETゲート駆動回路 22に送る。 また、 制御回路 21は、 前述した入力信号に基づい て、 電流制御によりモータ駆動用電圧指令信号を生成し、 この電圧指令信号に基づいてパ ルス幅変調信号及びゲート駆動信号 (二 Gal〜Ge2) を生成し、 FETゲート駆動回 路 22に供給する。
[OFF相の残留電流に関する説明]
OFF相 (例えば第 21図の d相) に対する PWM信号のデューティ比 (Duty2) は、 下記式で表わされる。
Duty2=0.5 + Km - ω/2 Vb "- (28) ここで、 モータの回転速度が遅いときは、 Km · ωΖ2 Vb=0となるので、 デューティ 比 Duty2=0. 5 = 50%となる。
第 20図は、 OFF相の励磁コイルの PWM— ON時についての等価回路を示す回路図 であり、 第 21図は、 OF F相の励磁コイルの PWM— OF F時についての等価回路を示 す回路図である。 各相の励磁コイルの中心接続点 (各相の合流点) の電圧 Vnは、 近似的 に 0. 5Vbとなる。 例えば、 OF F相の PWMにおけるデュ一ティ比 (Duty2) が 50% の場合は、 OF F相の励磁コイルの端子 dに直流ラインの電圧 V bと 0とが交互に印加さ れる。 第 20図及び第 21図に示す等価回路により、 モータの回転角速度 ωがほぼ 0であ つて、 OFF相の励磁コイルに印加された電圧が Vd— Vnのときは、 OFF相の励磁コ
ィルに流れる電流 idは第 22図に示すようになる。
第 22図に示すように、 OFF相に印加された電圧 (Vd— Vn) の平均値は 0である が、 OFF相の励磁コイルに流れる電流 idの平均値は 0ではない。 その OFF相の電流 idの平均値 (残留電流の平均値) の大きさは、 OFF相の PWMにおけるデューティ比 Duty2と、 OFF相の励磁コイルの等価回路における抵抗値と、 OFF相の励磁コイルの 電気的時定数と、 OFF相の励磁コイルの逆起電圧と、 パルス幅変調用の回路についての 電源電圧である D Cライン電圧等とに関係する。
[残留電流によるトルク段差の発生]
第 19図は、 OFF相の励磁コイルに流れる電流 idの平均値 (残留電流の平均値) が 0になるとした場合、 すなわち残留電流を無視した場合の各励磁コイルの相電流波形及び トルク波形を示す特性図である。 この場合は、 転流位置においてもトルク波形は連続であ る。 残留電流を考慮した場合の各励磁コイルの相電流波形とトルク波形は、 第 3図に示す ようになる。 この場合は、 残留電流の影響で転流位置においてトルク波形に段差が発生し てしまう。
[O F F相の電流が 0に到達する時間の推定]
ブラシレス DCモー夕の転流時 (例えば、 第 5図の上段側 FETを通っている相電流 i d≥ i aの転流時) , OFF相の電流 i dがダイォ一ドを通って DCラインの電圧 V bのダラ ンドにつながり、 Y結線の中心点電圧は Vn (= 1/2 - Vb), コイルの逆起電圧は E dである。 PWMの周波数が OFF相コイルの等価回路の電気的時定数より十分小さい場 合は、 OFF相のコイルの端子に印加される電圧 Vdは、 下記式で近似的に表わすことが できる。
Vd Vb · Du t y 2 - (29) 従って、 PWMの周波数が OFF相コイルの等価回路の時定数より十分小さい場合の OF F相の励磁コイルの等価回路は、 OFF相の PWM—〇N時の等価回路である第 2ひ図と PWM— OFF時の等価回路である第 2 1図とを合わせた第 23図に示す等価回路で表わ
すことができる。 従って、 OFF相の励磁コイルに印加された電圧 Voffの合計は、 下記 式 (30) に示すようになる。
Voff=Vd-Vn-Ed "- (30)
OFF相の励磁コイルの電圧 Voffを示す方程式は下記 (3 1) 式で表わせ、 OFF相の 励磁コイルの電流 i d ( t) は下記 (3 2) 式で表わせる。
Voff=Vd-Vn-Ed = Lm - (d i d/dt) + id · R
… (3 1)
id(t)=(UJ2) - et/T+Vof^R) · (l-e, … (32) ここで、 OFF相の励磁コイルにおける転流の始まる時の初期電流 id (0) = l dc/2, OFF相の励磁コイルの電気的時定数 T=LmZRとする。
上述の OF F相の励磁コイルの等価電圧 Voffと OF F相の励磁コイルの等価回路の抵 抗により、 コイル電流 idは、 I dcZ2≥0まで下がる。 ここで、 I はモ一夕の励磁電 流の合計値である。 ただし、 Vd=Vb ' Du t y 2, Vn= 0. 5 Vb, E d = Km - ωΖ2である。 OFF相の励磁コイルの電流 id ( t ) は、 i d ( 0 ) = I dcZ 2力、ら i d ( t 1) 0まで下がるのに必要な時間は、 OFF相の励磁コイルの等価回路の電気的時定数 T及び抵抗 Rと、 転流時の OFF相の励磁コイルに加えた PWMデューティ比 Du t y 2 と、 モータ逆起電圧 Edと、 0(3ラィン電圧¥15と、 転流時の初期電流値 i d (0) 等と により決まる。
ここで、 PWM信号のデューティ比 Duty2を表わす上記 (2 8) 式によれば、 Duty2 =0. 5 +Km · ωΖ2 Vbの場合は、 コイル端子 dに印加される電圧 Vd= 0. 5 - V b+Km * w/2となる。 従って、 OF F相の励磁コイルに印加される電圧 Voffは 0と なり、 OFF相の励磁コイルの電流 id ( t) は、 下記 (3 3) 式に示すようになる。 id(t) - UJ2 · etrT … (3 3)
ここで、 初期電流 id (0) = Idc/2, 電気的時定数 T = LmZRとする。
上記 (33) 式によって、 OFF相の励磁コイルの電流 id (t) が転流の始まる時の 初期電流 (0) の n [%] になるまで下がるのに必要な時間は、 下記 (34) 式で求 められる。 t =-T · I n (n ) … (34) 例えば、 転流を始める時の OFF相の励磁コイルの初期電流 i d (0) の 5%になるまで 下げるのに必要な時間は、 OFF相の等価回路の電気的時定数 (T = LmZR) の約 3倍 である。
[OFF相の通電期間の制限]
ブラシレス DCモ一夕の回転速度が遅いときは、 転流が始まつてから OFF相の励磁コ ィルを P WMで駆動し、 次の転流が始まる前に O F F相への P WMによる電流供給を完全 に遮断する。 すなわち、 OFF相の励磁コイルの等価回路の電気的時定数 T及び抵抗 と、 転流時に OFF相の励磁コイルに加えた PWMにおけるデューティ比 Duty2と、 モ一夕 逆起電圧 Edと、 0。ラィン電圧 13と、 〇F F相の励磁コイルにおいて転流が始まる時 の初期電流 i d (0) 等とに基づいて、 OFF相の励磁コイルを PWMで駆動する期間で ある通電期間を決定し、 その通電期間以外は OFF相への PWMでの電流供給を完全に O FFさせる。 これにより、 OF F相の励磁コイルの残留電流は 0になり、 ブラシレス DC モー夕のトルク波形は第 19図に示すように段差のない連続した波形となる。 従って、 本 実施形態のブラシレス DCモー夕駆動制御装置によれば、 低回転時においてもトルクの段 差的な変動が生じないので、 モ一夕回転時の振動と騒音を従来のブラシレス DCモータ駆 動制御装置よりも低減できる。
本発明によれば、 ブラシレス DCモー夕の励磁コイルにおける転流相の中の OFF相の 残留電流を 0にするように、 O F F相へのパルス幅変調による駆動電流を供給する期間(通 電期間) を制限するので、 OFF相の残留電流を 0に抑えることができ、 これにより、 卜 ルクの段差的な変化を抑制することができるブラシレス DCモ一夕駆動制御装置を提供す ることができる。 また、 本発明に係るブラシレス DCモータ駆動制御装置を電動パワース
テアリングの動力源として用いれば、 ブラシレス DCモ一夕の急激なトルク変化が小さい ので、 電動パワーステアリングの操舵フィーリングを向上させることができ、 振動ノイズ を低減することができる。
ところで、 上下段ともに同じ PWMデューティ比で駆動する場合は、 上段用の PWMデ ユーティ比 Du t y 1 =下段用の PWMデュ一ティ比 Du t y 3として設定すればよい。 そして、 上下段ともに同じ PWMデューティ比で駆動する場合は、 モー夕駆動回路におい て、 モータの各励磁相毎に供給する励磁電流の方向決定及びオンオフ切替えを制御する制 御手段を設ける。 制御手段は、 その切替え時に切替えられる励磁電流の変化率を制御する ことにより、 切替えられる 2つの相の電流変化率を一致させる (又は同程度にする)。 こ れにより、 切替えない相の電流変動が抑制されるので、 簡易な回路で過渡的なトルク変動 を抑制する。 一方、 第 1図に示すような励磁電流の波形において正側の駆動デューティ比 と、 負側の駆動デューティ比とが異なる場合は、 電流変動による過渡的なトルク変動を生 ずるが、 本実施例では以下に示す方法で解消する。
[上下段異なるデューティ比 (Du t y l、 Du t y 3) 駆動の場合、 転流時にモー夕電 流の総和を一定にするため、 転流相の駆動デュ一ティ比 (Du t y 2、 Du t y 4) 式の 導き方]
以下は上段転流を例として、 デューティ比 Du t y 2の導き方を説明する (上段は d相 と e相であり、 下段は b相と c相であり、 転流は d相から a相である。)。 上段転流と同じ 導き方で、 下段転流の場合のデューティ比 Du t y 4の式が得られる。 上下段 PWM駆動 デューティ比が異なる場合は、 例として下段駆動デューティ比 D u t y 3≥上段駆動デュ —ティ Du t y 1の場合を示す。 その逆の場合 (Du t y 3≤Du t y 1) も同じ導き方 でデューティ比 Du t y 2を求めることができる。 上段転流時の立ち下がり相の駆動デュ —ティ比は Du t y 2である。 ここで、 式の導きを容易にするため、 立ち上がり相の駆動 デューティ比を Du t y 1と設定し、 Du t y3≥Du t y l≥Du t y 2を例として説 明する。
第 24図はモ一夕の励磁電流の波形図であり、 Du t y l、 Du t y 3及び Du t y 2 の 3つの PWM信号のデュ一ティ比を示すものである。 先ずモ一夕コイルの中心点の電圧 vnの式を導き、 次にその中心点電圧を用いて各コイルの電圧方程式を求める。 電圧方程
式における各コイルの印加電圧を PWMのデュ一ティ比 Du t y 3、 Du t y l、 Du t y 2で表わす。 最後にモータ電流の総和を一定にするために、 印加電圧をデューティ比で 表わした各相の電圧方程式に基づいて転流相のデューティ比 Du t y 2の式を求める。
1. モー夕中心点電圧 Vnの式の導き方
第 24図に示す 3つの PWM信号は 4つのパターンに分けられる。 以下、 その 4つの P
WMのオン—オフ通電パターンでのモー夕中心点電圧 V nを求める。
(a) Du t y l、 Du t y 3、 D u t y 2の PWMがオンの状態の場合
第 25図は、 第 5図に示すブラシレスモー夕の駆動回路についての本状態の等価回路を 示す回路図である。 第 25図に基づき、 各コイルの電圧方程式は下記式(35)から式(3
9) となる。
Vb - vnl = Lm(dia/dt) + Raia + Ea … ( 35 )
Vb - vnl= Lm(die/dt) + Reie + Ee · · · ( 36 )
Vb - vnl= Lm(did/dt) + Rdid + Ed ··· (37)
-vnl = Lm(dib/dt) + Rbib +Eb … ( 38 )
-vnl二 Lm(dic/dt) + Rcic + Ec … ( 39 ) また、 駆動回路の DCラインの電流 (2 ) と各相の電流 ( ia, ib, ic, id, i e) の 関係は下記式 (40) となる。
2i1=id+ia+ie=-(ib+ic) … (40)
矩形波電流駆動であ り、 励磁波形は電気角度 1 4 4 ° のほぼ台形波形で あるので、 逆起電圧も近似的に台形波となる。 相切替時における各相の逆 起電圧の絶対値はほぼ等しくなる。 すなわち、 下記式 ( 4 1 ) で示す状態 となる。
E =E,= E =-Eh=-E =E "- (41 ) また、 各相のコイル抵抗も同じ値となる。 すなわち、 下記式 (42) で示す状態となる。 Ra=Rd=Re=Rb=Rc=R — (42)
ここで、 式 ( 3 5 ) から式 ( 3 7 ) を加算して、 式 ( 4 0 ) から式 ( 4 2 ) を代入することによ り、 下記式 ( 4 3 ) が得られる。
3Vb-3vnl二 LmW^Vd + 1(2 + 3E … ( 43 )
また、 式 ( 3 8 ) と式 ( 3 9 ) を加算して、 式 ( 4 0 ) から式 ( 4 2 ) を 代入することにより、 下記式 ( 4 4 ) が得られる。
-2vnl二 -Lm(d(2i1)/dt) - R(2i - 2E - (44) 上記式 (43) 及び (44) よりコイルの中心電圧 Vnlを Vb、 Eで表すと、 下記式 (4 5) となる。 vn, = 3/5 · Vb- 1/5 E (45)
( b ) 0 11 セ 3 2の? 1^がォフでぁり、 かつ D u t y l 、 D u t y 3 の
P W Mがオンの状態の場合
第 26図は、 第 5図に示すブラシレスモータの駆動回路図における本状態の等価回路を 示す回路図である。 第 26図に基づき、 各コイルの電圧方程式は下記式 (46) 〜 (50) となる。
V
b-v
nll二 Lm(di
a/dt) + R
ai
a +E
a - (46)
-vnll=Lm(did/dt) + Rdid+Ed - (48)
-vnll = Lm(dib/dt) + Rbib + Eb - (49)
-v^LmWVd + Rcic+Ec (50) また、 駆動回路の DCラインの電流 (2 i u) と各相の電流 ( ia, ib, ic, id, ie) の 関係は下記式 (51) となる。
(51) 上記式 (46) 〜 (51) 及び上記式 (41)、 式 (42) において電流に関連する項 を削除し、 コイルの中心電圧 V„„を Vbと Eで表すと、 下記式 (52) となる。 vnll = 2/5 · Vb- 1/5 · E (52)
(c) Du t y l、 Du t y 2の PWMがオフであり、 かつ D u t y 3の P WMがオンの 状態の場合
第 27図は、 第 5図に示すブラシレスモ一夕の駆動回路図における本状態の等価回路を 示す回路図である。 第 27図に基づき、 各コイルの電圧方程式は下記式 (53) 〜 (57) となる。
-vnl2=Lm(dia/dt) + Raia+Ea (53)
-vnl2=Lm(die/dt) + Reie+Ee (54)
-vnl2= Lm(did/dt) + Rdid+Ed (55)
-vnl2= Lm(dib/dt) + Rbib+Eb (56)
-vnl2=Lm(dic/dt) + Rcic+Ec (57) また、 駆動回路の DCラインの電流電流 (2 i 12) と各相の電流 ( ia, ib, ic, i—d, ie) の関係は下記式 (58) となる。
2i12=ia+ie二 -(d+ib+ic) (58) 上記式 (53) から式 (58) 及び上記式 (41)、 式 (42) において電流に関連す る項を削除し、 コイルの中心電圧 Vnl2を Vbと Eで表すと、 下記式 (59) となる。 vnl2=-l/5.E (59)
(d) Du t y l、 Du t y 2、 D u t y 3の PWMがオフの状態の場合
第 28図は、 第 5図に示すブラシレスモ一夕の駆動回路図における本状態の等価回路を 示す回路図である。 第 28図に基づき、 各コイルの電圧方程式は下記式 (60)から式 (6 4) となる。
-vn2=Lm(dia/dt) + Raia+Ea (60)
-vn2= Lm(die/dt) + Reie+ Ee (61)
-vn2=Lm(did/dt) + Rdid+Ed (62)
Vb - vn2二 Lm(dib/dt) + Rbib + Eb (63)
Vb - v
n2= Lm(diノ dt) + R
ci
c + E
c (64) また、 駆動回路の DCラインの電流電流 (2 i
2) と各相の電流 ( i
a, i
b, i
c, i
d, i
e) の関係は下記式 (65) となる。
上記式 (60) 〜 (65) 及び上記式 (41)、 式 (42) において電流に関連する項を 削除し、 コイルの中心電圧 V
n2を Vb、 Eで表すと下記式 (66) となる。
V n2 2/5 · V 1/5 · E (66)
2. 印加電圧をデューティで表わす各相の電圧方程式の導き方
上述のコイルの中心電圧 Vnを示す式 (45)、 式 (52)、 式 (59)、 式 (66) と それらの式の導き過程から分かるように、 第 24図に示す 4つの PWMのオン一オフ通電 パターンによってコイルの中心電圧と端子電圧は変動している。 その変化の周波数は PW Mの周波数程度である。 PWMの周期は、 モ一夕コイルの等価回路の電気的時定数よりも 十分小さいため、 コイルの端子電圧と中心電圧は PWMの 1周期中の電圧の平均値で表す ことが妥当である。
上段の a相及び e相のコイルにおける a相の電圧方程式の印加電圧を平均値で表わすこ とを例として示す。 第 24図に示す 4つの PWMのオン—オフ通電パターンのデュ一ティ 比は、
a) Du t y 2
b) (Du t y l -Du t y 2)
c) (Du t y 3 -Du t y 1)
d) (1 -Du t y 3)
である。 各通電パターンのデューティ比を掛ける各パターンの a相の電圧方程式 (式 (3
5)、 式 (46)、 式 (53)、 式 (60)) の左辺の印加電圧項により、 各パターン期間で の印加電圧は
a) Du t y 2 (Vb-Vnl)
b) (Du t y 1 - Du t y 2) · (Vb-Vnl)
c) (Du t y 3 -Du t y 1) · _Vnl2
d) (1 -Du t y 3) · -Vn2
となる。 これら a), b), c), d) の 4つの印加電圧の合計は、 下記式 (67) に示す ように、 PWM周期内の平均印加電圧 (Va— Vn) である。 va- vn= Dutyl · Vb-Duty2 · (vnl - vnll) - Dutyl · (vnll - vnl2)
- Duty 3 · (vnl2- vn2) - vn2 ······ (67) 各中心電圧 (Vnl、 Vnll、 Vnl2、 Vn2) を上記式 (45)、 式 (52)、 式 (59)、 式 (6
6) に代入すると、 印加電圧の平均値はデューティ比と Vb、 Eで表すことができる。 a
相の電圧方程式は下記式 (68) となり、 同様に e相の電圧方程式は下記式 (69) とな る。 va-vn=Lm(dia/dt) + Raia+Ea (68)
ve-vn=Lm(die/dt) + Reie+Ee (69) ただし、 上段コイル端子の電圧平均値 v a、 V とコイル中心電圧の平均値 v nは、 下記式 (70) 及び (7 1) になる。
va = vc = Dy tylVb ( 7 0 )
vn二(2 + Duty2) · 1/5 · Vb - 1/5 · E
- (Duty3-Dutyl) · 2/5 · V (7 1)
オフ相コイル ( d相) と下段コイル ( b相、 c相) の電圧方程式は、 上 述の上段コイルの電圧方程式の導き方と同じ方法で求められる。 オフ相の 電圧方程式は下記式 ( 7 2 ) となり、 上段コイルの方定式は下記式 ( 7 3 ) 及び ( 7 4 ) となる。 vd- vn= Lm(did/dt) + Rdid + Ed (72)
vc-vn= Lm(diJdt) + Rcic+Ec (74)
ただし、 オフ相の端子電圧の平均値 v d及び下段コイル端子の電圧平均 値 v b、 v eは、 それぞれ下記式 ( 7 5 ) 及び ( 7 6 ) で示すものとする。 vd=Duty2 · Vb • (75)
vb= v„ = Q - Duty3) · Vb (76)
2つの転流相 (立下がりの d相と立上がりの a相) のデューティ比 Du t y 2を Du t 及び Du t y 22、 もっと一般的な状態として設定する場合は、 立下がり (オフ) 相 と立上がり相のコイル端子の電圧平均値 va、 vdは、 下記式 (77) 及び (78) になる。 また、 中心電圧を示す上記式 (71) も変わることとなるが、 その変わった中心電圧を示 す数式及びその説明は省略する。 vd=Duty2_l · V ve=Dutyl · Vb ·'·(77)
va=Duty2— 2 · Vb '··(78)
3、 モ一夕電流の総和を一定にするための、 転流相のデューティ比 Du t y 2の式の導き 方
上述の印加電圧をデューティ比で表した各相の電圧方程式は、 PWMの周期がコイルの 等価回路の電気的時定数よりも十分小さいことを前提条件として導いた結果である。 従つ て、 式 (68) から式 (76) 中の電流と電圧は PWM周期内の平均値として扱う。 上段 転流 (例えば d相から a相) の時は、 上段各相の電流 ( ia, ie, id) の合計と下段各相 の電流 ( ib, ic) の合計は、 下記式 (79) に示すように等しくなる。 ia+ie+ id- -(ib+ ic) = I = 2i … (79)
ここで、 I はモ一夕電流であり、 そのモー夕電流は電流検出手段によって 検出する。 各コイルが対象になっているので、 転流を始める時 ( t 0 ) に上段コイルの d相及び e相の電流が同じ値であると仮定すると、 a相の 電流は 0 となる。
ie (0) = id (0) = 1/2 · I (0)
i a (0) =0
転流の 2相の電流の立上がりと立下がりの変化率が、 下記式 (80) で表わすように同 じであるとすれば、 転流期間中に任意の時の電流 i
a (t) 及び i
d (t) の総和は式 (8 0) を積分することにより、 下記式 (81) で表わすように求められる。
di
a(t)/dt二- di
d(t)/dt ··· (80) i
a(t) + i
d(t) = i
a(0) + i
d(0) = i
d(0) = 1/2 - 1 (0) ( 8 1 ) 上記式 (81) から分かるように、 転流期間中に転流する 2相の電流の変化率を同じに するとその 2相の電流の総和は一定に保たれる。 従って、 転流期間中に上段の転流してい ない相の電流 i
e (t) が変化しなければ、 i
e (t) = i
e (0) = lZ2 ' I (0) であ り、 上記式 (79) より、 モ一夕の総和電流 I (t) - i
a ( t) + i
e ( t) + i
d ( t) = I (0) が一定に保たれ、 モー夕の電磁トルクも一定に保たれる。 従って、 転流期間中 は下記式 (82) 及び (83) が成り立つ。
dia/dt + did/dt - dic/dt = 0 ·■· (83)
モー夕の総和電流が一定に保たれる時の転流相のデューティ 比 D u t y 2 を求めるために、 転流する 2相の電圧方程式である式 ( 6 8 ) 及び ( 7 2 ) の両辺を加算し、 式 ( 4 1 ) 及び式 ( 4 2 ) と式 ( 8 2 ) 及び式 ( 8 3 ) を代入すると、 下記式 ( 8 4 ) が得られる。 v + v,-2v =Ri + 2E (84)
上段の転流していない相の電圧方程式である式 ( 6 9 ) に式 ( 4 1 ) 、 式 ( 4 2 ) と式 ( 8 2 ) 、 式 ( 8 3 ) を代入すると、 下記式 ( 8 5 ) が得 られる。 ve- vn=Ri + E (85) 式 (84) 及び式 (85) から R i項を削除し、 さらに式 (70)、 式 (71)、 式 (7
5) を代入することにより、 転流相のデューティ比 D 11 t y 2が逆起電圧 E (又はモ一夕 の回転角速度 ω)、 駆動回路に供給される電圧 Vbと上下段のデューティ比 D u t y 1、 Du t y 3を用いて、 下記式 (86) に表わすように求めることができる。
Duty2二 0.5 + E/Vb - 0.5(Duty3 - Dutyl)
= 0.5 + Km · w/2Vb - 0.5(Duty3 - Dutyl) … (8 6) 式 (84) 及び式 (8 5) から νπと E項を削除し、 式 (7 0)、 式 (7 5) を代入する ことにより、 転流相のデューティ比 Du t y 2がモ一夕電流 I、 モー夕コイル、 FET等 の等価電気回路の抵抗 R、 駆動回路に供給される電圧 Vbと上段のデュ一ティ比 Du t y 1を用いて、 下記式 (8 7) に表わすように求めることができる。
Duty2 = Dutyl - RiVb = Dutyl - RI/2Vb … (8 7)
2つの転流相 (立下がりの d相と立上がりの a相) のデューティ比 Du t y 2をデュー ティ比 Du t y 2 i及び Du t y 22、 もっと一般的な状態として設定する場合は式(7 0)、 式 (7 1)、 式 (7 2) の代わりに、 式 (7 7)、 式 (7 8) と新たな中心電圧 v nの式を 代入すれば、 下記式 (8 8)、 式 (8 9) に表わすように転流相のデューティ比 D u t y 2が求められる。
Duty2_l + Duty2_2 = Dutyl + E/Vb + vn/V
二 Dutyl + Km · c /2Vb + vn/Vb ··· (8 8)
Duty2_l + Duty2_2二 2 Dutyl - Ri/Vb
=2Dutyl - RI/2Vb … (89)
4、 下段転流時、 モー夕電流の総和を一定にするための、 転流相のデューティ比 Du t y 4の式の導き方
上段転流時の導き方と同じように、 各 PWMのオン Zオフ通電状態パターンでのモータ 中心電圧 νπの数式を求め、 その数式を用いて印加電圧をデューティ比で表わす各相の電
圧方程式を求める。 最後にモー夕電流の総和を一定にするため、 転流相のデューティ比 D u t y 4を求める。 その結果は、 下記式 (9 0 )、 式 (9 1 ) に表わすようになる。
Duty4 = 0.5 + E Vb + 0.5(Duty3 - Dutyl)
= 0.5 + Km · 0)/2Vb + 0.5(Duty3 - Dutyl) … ( 9 0 )
Duty4 = Duty3 - Ri Vb
= Duty3 - RI/2Vb … ( 9 1 ) 以上のように本発明によれば、 1個の電流検出回路を用いてモ一夕を矩形波で駆動する ものにおける上段と下段の P MW駆動デューティが異なる場合に、 相電流切替え時の立上 がり相と立下がり相の電流変化率を制御するので、 相切替え時のモー夕電流を一定に保つ ことができ、 電流変動と電磁トルク変動を抑えることができ、 安価で低電流変動、 低トル ク変動の高性能サ一ボモータを実現するモー夕駆動制御装置を提供することができる。 ま た、本発明に係るモ一夕駆動制御装置を電動パワーステアリングの動力源として用いれば、 ブラシレス D Cモータの急激なトルク変動が小さいので、 電動パワーステアリングの操舵 フィ一リングを向上させることができ、 振動ノイズを低減することができる。
以上では、 本発明を 5相ブラシレスモー夕の制御に適用した実施例につ いて説明したが、 5相に限らず、 相数が異なっても、 励磁信号の切替時に 切り替えられる相の励磁電流の変化率を上記実施例と同様に制御すればよ い。 産業上の利用可能性
本発明のモー夕駆動制御装置によれば、 相電流切替え時の立上がり相と立下がり相の電 流変化率を制御しているので、 相切替え時のモー夕電流を一定に保つことができ、 電流変 動と電磁トルク変動を抑えることができる。 とができる。 このため、 車両等の電動パワー ステアリングの動力源として用いれば、 モータの急激なトルク変動を小さくできるので、 ハンドルの操舵フィ一リングを向上させることができ、 振動ノィズを低減することができ る。 また、 また、 本発明はポールスクリユータイプの電動パワーステアリング用中空軸ブ ラシレスモー夕の制御にも利用でき、 ブラシレスモー夕に限らず、 矩形波信号で駆動制御
されるモー夕 (例えばリニアモー夕)の制御に適用できるものである。