明 細 書
投影光学系の調整方法、 予測方法、 評価方法、 調整方法、 露光方法及び露光装 置、 プログラム並びにデバイス製造方法
技術分野
本発明は、 投影光学系の調整方法、 予測方法、 評価方法、 調整方法、 露光方 法及び露光装置、 プログラム並びにデバイス製造方法に係り、 更に詳しくは、 第 1面上のパターンの像を第 2面上に投影する投影光学系の調整方法、 投影光 学系を介したパターンの像の特性を予測する予測方法、 該予測方法を利用した パターンの像の特性を評価する評価方法、 該評価方法を利用したパターンの像 の形成状態を調整する調整方法、 該調整方法又は前記投影光学系の調整方法を 利用して物体上にパターンを形成する露光方法及び該露光方法又は投影光学系 の調整方法の実施に好適な露光装置、 前記予測方法をコンピュータに実行させ るプログラム、 並びに前記露光方法又は露光装置を用いるデバイス製造方法に 関する。 背景技術
一般に、 半導体素子、 表示素子、 薄膜磁気ヘッド、 マイクロマシーン等のマ イク口デバイスを製造するリソグラフイエ程では、マスク又はレチクル(以下、
Γレチクル」 と総称する) に形成されたパターンを、 投影光学系を介してゥェ ハ又はガラスプレート等の感応物体 (以下、 「ウェハ」 と総称する) 上に転写す る、 いわゆるステツパやいわゆるスキャナ (スキャニング■ステツパとも呼ば れる) などの投影露光装置が用いられている。
従来、 この種の露光装置では、 露光によりウェハ上に形成された縦線パター ンと横線ノ ターンとの転写像(レジスト像など)の線幅差が計測された場合に、
投影光学系における縦線パターンと横線パターンとの像のコントラス卜差の原 因となるのはコマ収差等の非対称収差が主因であると考えられていた。 このた め、 計測の結果、 コマ収差等の非対称収差成分が計測されない場合には線幅差 の補正は困難であった。
最近では、投影光学系の組立て時に、干渉計を用いて投影光学系の視野内(又 は露光フィールド内) の各位置の波面収差を計測し、 その計測された波面収差 (収差関数) をツェルニケ (Zernike) 多項式 (例えばフリンジツェルニケ多 項式) を用いて級数展開して、 得られた級数の各項 (各ツェルニケ項) の各係 数 (ツェルニケ係数) の大きさを、 それぞれの目標値以下にするような調整が 行われている。かかる調整をするのは、前記級数の各項(各ツェルニケ項)は、 それぞれ特定の波面収差成分を表わし、 各項の係数は各収差成分の大きさを表 わすからである。
最近、 投影光学系 (投影レンズ) の収差の管理精度は、 上述した投影光学系 の製造工程への波面計測の導入、 波面収差のツェルニケ多項式を用いた級数展 開による管理により、 飛躍的に向上した。
また、 波面収差 (収差関数) をツェルニケ多項式を用いて展開した各項 (各 ツェルニケ項) の大きさ (ツェルニケ係数) と、 ツェルニケ感度 (Zernike Sensitivity) 表との線形結合に基づいて、 投影光学系の結像性能、 例えば収差 (あるいはその指標値) を求める、 所謂 Zernike Sensitivity法により、 収差の 影響についても、 簡易なものについては簡素な方法で判断することが可能にな つている。 ここで、 Zernike Sensitivity (ツェルニケ感度) 表とは、 それぞれ 異なる露光条件、 すなわち光学条件 (露光波長、 最大 N . A .、 使用 N . に、 照明 N . A . 照明系開口絞りの開口形状など)、 評価項目 (マスク種、 線幅、 評 価量、 パターンの情報など) と、 これら光学条件と評価項目との組み合わせに より定まる複数の露光条件の下でそれぞれ求めた、 投影光学系の結像性能、 例 えば諸収差 (あるいはその指標値) の各ツェルニケ項の 1 ス当たりの変化量か
ら成る計算表を指す。
しかしながら、所謂 Zernike Sensitivity法が必ずしも適用できない評価量と して、 線幅変化がある。 この線幅変化については、 Proc.SPIE Vol.4346の第 7 1 3頁に開示されているように、収差の回転対称成分 (0 0成分)、 2回回転対 称成分 (2 0成分) に応じて線幅が最大となるフォーカス位置が変化し、 また その線幅の最大値も変化する。 さらに、 二つの収差 (0 0成分、 2 0成分) の 相互作用が存在する。このために所謂 Zernike Sensitivity法は線幅の推定には 適用されてこなかった。
波面収差をフリンジツェルニケ多項式を用いて級数展開した上述の回転対称 成分 (0 0成分) 項には、 デフォーカスを表す低次の項すなわち第 4項 (係数 Z 4) や低次の球面収差を表す第 9項 (係数 Z 9) が含まれるが、 これらの 0 0 成分項による波面の変化は等方的で、 このため、 V線 (縦線)、 H線 (横線) の パターンの結像状態への影響は等しい。 また、 2回回転対称成分 (2 0成分) 項は低次の非点収差を表す第 5項 (係数 Z 5)、 高次の非点収差を表す第 1 2項 (係数 Z 12) があるが、 これらの 2 0成分項の縦線のパターンの結像状態への 影響と横線のパターンの結像状態への影響は符号は逆だが、 その大きさは等し し、。 このため、 従来は、 この 0 0成分項と 2 0成分項の両方が存在する (すな わち両者の係数 (成分) がともに零でない) ことによる、 縦線、 横線のパター ン像の線幅に対する、 収差の影響の差は考えられていなかった。
このような事情により、 現状では、 縦線パターンと横線パターンとの像の線 幅差に関しては、 簡易かつ確実な判定方法がなく、 従ってその調整が困難なも のとなつている。
本発明は、 かかる事情の下になされたもので、 その第 1の目的は、 特に、 相 互に直交するラインパターンの像同士の線幅差を自在に制御することを可能と する投影光学系の調整方法を提供することにある。
本発明の第 2の目的は、 投影光学系を介したパターンの像の特性を、 簡易に
かつ高精度に予測することができる予測方法を提供することにある。
本発明の第 3の目的は、 投影光学系を介したパターンの像の特性を簡易にか つ高精度に評価することができる評価方法を提供することにある。
本発明の第 4の目的は、 投影光学系を介したパターンの像の形成状態を簡易 にかつ高精度に調整することができる調整方法を提供することにある。
本発明の第 5の目的は、 物体上にパターンを精度良く形成することができる 露光方法及び露光装置を提供することにある。
本発明の第 6の目的は、 投影光学系を介したパターンの転写特性の予測を短 時間かつ高精度にコンピュータに実行させるプログラムを提供することにある。 本発明の第 7の目的は、 デバイスの生産性の向上に寄与するデバイス製造方 法を提供することにある。 発明の開示
一見、 波面収差をツェルニケ多項式 (例えばフリンジツェルニケ多項式) を 用いて級数展開した回転対称成分 (0 0成分) 項と 2回回転対称成分 (2 0成 分) 項には相互に関連性がないように思われる。 しかし、 発明者等は、 種々の 実験 (シミュレーションを含む) を繰り返した結果、 実際には、 動径多項式の 独立変数Oが同一次数である 0 0成分と 2 0成分との各々による瞳面内の位相 分布の相互作用により、 瞳面内における波面の乱れが縦方向と横方向とで異な る場合があることを見出した。 例えば、 波面収差をフリンジツェルニケ多項式 を用いて級数展開した第 1 2項 (係数 Z 1 2 ) の成分が零でないとき、 球面収差 成分である第 9項 (係数 Z 9 ) の大きさを投影光学系を構成する光学素子の移 動や交換によって変更することにより、 瞳面内の上下、 左右方向の位相分布を 制御することができ、 前述の縦横線の線幅差を調整できることを見出した。 本発明は、 発明者等が得た上記の新規知見に基づいてなされたもので以下の ような方法及び構成を採用する。
本発明は、 第 1の観点からすると、 第 1面上のパターンの像を第 2面上に投 影する投影光学系の調整方法であって、 前記投影光学系の第 1の光学特性を含 む光学特性の情報を得る第 1工程と ;前記第 1面上に配置された所定方向に延 びる第 1のラインパターンとこれに直交する第 2のラインパターンとの像を前 記投影光学系を用いて前記第 2面上に形成するとともに、 前記第 1のラインパ タ一ンの像の線幅である第 1線幅と前記第 2のラインパターンの像の線幅であ る第 2線幅との差である線幅差を計測する第 2工程と ;前記第 1工程で得られ た前記第 1の光学特性の値と前記線幅差とに応じて、 前記第 1の光学特性との 相互作用により前記線幅差に影響を与える第 2の光学特性の大きさを制御する ように前記投影光学系を調整する第 3工程と ; を含む第 1の投影光学系の調整 方法である。
ここで、 第 2工程において第 1のラインパターンと第 2のラインパターンと の像を投影光学系を用いて形成しつつ、 第 1のラインパターンの像の線幅であ る第 1線幅と第 2のラインパターンの像の線幅である第 2線幅との差である線 幅差を計測しても良いし、 第 1のラインパターンと第 2のラインパターンとの 像を形成した後に、 前記線幅差を計測しても良い。
これによれば、 例えば投影光学系の調整が困難な第 1の光学特性の存在に起 因して生じる前述の線幅差を、 調整が容易な第 2の光学特性の大きさを制御す るように投影光学系を調整することで、 制御することが可能となる。 従って、 従来困難とされていた、 相互に直交するラインパターンの像同士の線幅差の制 御を自在にかつ確実に行うことが可能となる。
この場合において、 前記第 1工程で得られる情報が、 前記投影光学系の波面 収差の情報である場合、 前記第 3工程では、 前記第 1工程で得た波面収差をッ エルニケ多項式を用いて級数展開した複数のツェルニケ項のうち 4次以上 (動 径多項式の独立変数の次数が 4次以上) の任意の 2回回転対称成分項の大きさ が零でないとき、 前記 2回回転対称成分項の大きさと前記線幅差とに応じて、
前記 2回回転対称成分項と同一次数の回転対称成分項の大きさを制御するよう に前記投影光学系を調整することとすることができる。
この場合において、 前記 2回回転対称成分項は、 4次 c o s 2 0成分項であ る第 1 2項であり、 前記回転対称成分項は 4次 0 0成分項である第 9項である こととすることができるし、 あるいは、 前記 2回回転対称成分項は、 4次 s i n 2 0成分項である第 1 3項であり、 前記回転対称成分項は 4次 0 0成分であ る第 9項であることとすることができる。
本発明の第 1の投影光学系の調整方法では、 第 1工程で得られる情報が、 投 影光学系の波面収差の情報である場合、 前記第 1工程では、 前記投影光学系の 波面を直接計測することより前記波面収差の情報を得ることとすることができ るし、 あるいは、 前記第 1工程では、 前記第 1面上に配置されたサイズが異な る複数組の前記第 1のラインパターンと前記第 2のラインパターンとの像形成 時におけるべストフォーカス位置の差を各組毎に計測し、 この計測結果に基づ いて、 前記波面収差の情報として前記 2回回転対称成分項の情報を推定するこ ととすることもできる。
本発明の第 1の投影光学系の調整方法では、 第 1工程で得られる情報が、 投 影光学系の波面収差の情報である場合、 前記第 3工程では、 前記 2回回転対称 成分項の大きさが零でなく、 かつ前記第 3工程で計測された前記線幅差が零で ないとき、 前記 2回回転対称成分項の大きさと前記線幅差とに基づいて、 前記 線幅差が設計値に近づくように(例えば零となるように)、前記 2回回転対称成 分項と同一次数の回転対称成分項の大きさを最適化するように前記投影光学系 を調整することとすることができる。
本発明の第 1の投影光学系の調整方法では、 第 2工程において、 第 1、 第 2 のラインパターンの空間像 (投影像)を投影光学系を介して第 2面上に形成し、 それらの空間像を空間像計測器を用いて計測し、 第 1のラインパターンと第 2 のラインパターンの像の線幅を求めることもできるが、 これに限らず、 前記第
2工程は、 前記第 2面上に配置された物体上に前記第 1、 第 2のラインパター ンの像を形成する像形成工程と ;前記物体上に形成された前記第 1のラインパ ターンの像の線幅である第 1線幅と前記第 2のラインパターンの像の線幅であ る第 2線幅とを計測する線幅計測工程と ; を含むこととすることができる。 す なわち、 物体上に形成された第 1のラインパターン、 第 2のラインパターンの 潜像、 レジスト像、 あるいはエッチング像などを露光装置のァライメント系、 あるいは S E Mなどを用いて計測し、 その線幅を求めることができる。
本発明の第 1の投影光学系の調整方法では、 前記第 3工程では、 前記投影光 学系を構成する少なくとも 1つの光学素子の少なくとも 1自由度方向の位置制 御及び一部の光路中の気体の気圧の制御の少なくとも一方により、 前記第 2の 光学特性の大きさを制御することとすることができる。
本発明の第 1の投影光学系の調整方法では、 前記第 1のラインパターンは縦 線パターンであり、 前記第 2のラインパターンは横線パターンであり、 前記第 1の光学特性と第 2の光学特性とは、 前記縦線パターンの像と前記横線パター ンの像それぞれの線幅変化に対するッェルニケ項の組み合わせのクロスターム におけるツェルニケ感度を求める工程と、 そのクロスタームにおけるツェル二 ケ感度の符号が縦横線で異なるッ Iルニケ項同士の組み合わせを求める工程と、 を経て決定されていることとすることができる。
本発明の第 1の投影光学系の調整方法では、前記第 1工程で得られる情報は、 前記投影光学系の波面収差の情報であり、 前記第 1及び第 2の光学特性は、 前 記第 1工程で得た波面収差を、 ツェルニケ多項式を用いて級数展開した複数の ツェルニケ項のうち同一次数で、 かつ種類が異なる成分の項であることとする ことができる。
本発明は、 第 2の観点からすると、 第 1面上の回路パターンを投影光学系を 介して第 2面上に配置された物体に転写する露光方法であって、 本発明の第 1 の投影光学系の調整方法を用いて前記投影光学系を調整する工程と ;前記調整
後の投影光学系を用いて前記回路パターンを前記物体上に転写する工程と ; を 含む第 1の露光方法である。
これによれば、 本発明の第 1の投影光学系の調整方法を用いて投影光学系を 調整するので、 縦線パターンと横線パターンとの像の線幅差が設計値に忠実な 値となるように投影光学系が調整される。 例えば、 同一線幅の縦線パターンと 横線パターンの像の線幅差が最小 (例えば零) となるように投影光学系が調整 される。 そして、 この調整された投影光学系を用いて回路パターンが物体上に 転写されるので、 縦線パターンと横線パターンとの線幅差を低減した高精度な パターンの転写を実現することができる。
本発明は、 第 3の観点からすると、 マスクに形成されたパターンを露光光学 系を介して物体上に転写する露光装置であって、 本発明の第 1の投影光学系の 調整方法を用いて調整された投影光学系を前記露光光学系として備えることを 特徴とする第 1の露光装置である。
これによれば、 本発明の第 1の投影光学系の調整方法を用いて調整された投 影光学系を露光光学系として備えるので、 その投影光学系を用いてマスクに形 成されたパターンを物体上に転写することにより、 縦線パターンと横線パター ンとの線幅差を低減した高精度なパターンの転写を実現することができる。 本発明は、 第 4の観点からすると、 第 1面上のパターンの像を第 2面上に投 影する投影光学系の調整方法であって、 前記投影光学系の第 1の光学特性を含 む光学特性の情報を得る第 1工程と ;前記第 1工程で得られた前記第 1の光学 特性の値と、 前記第 1面上に配置された所定方向に延びる第 1のラインパター ンの線幅と前記第 1のラインパターンに直交する第 2のラインパターンの線幅 との差とに応じて、 前記第 1の光学特性との相互作用によって前記投影光学系 によって前記第 2面上に形成される前記第 1のラインパターンの像の線幅と前 記第 2のラインパターンの像の線幅との差である線幅差に影響を与える第 2の 光学特性の大きさを制御するように前記投影光学系を調整する第 2工程と ; を
含む投影光学系の第 2の調整方法である。
これによれば、 第 1の光学特性の値と、 第 1のラインパターンと第 2のライ ンパターンの線幅との差とに応じて、 第 1の光学特性との相互作用によって投 影光学系によって前記第 2面上に形成される前記第 1のラインパターンの像の 線幅と前記第 2のラインパターンの線幅との差である線幅差に影響を与える第
2の光学特性の大きさを制御するように投影光学系が調整される。 このため、 投影光学系によって第 2面上に形成される第 1のラインパターンの像の線幅と 第 2のラインパターンの線幅との差である線幅差が、 第 1面上の第 1のライン パターンの線幅と第 2のラインパターン線幅との差によって生じる場合、 例え ばマスク上のパターンの描画誤差などに起因して生じる場合に、 直交するライ ンパターン同士の線幅差を自在に制御することが可能となる。
この場合において、 前記第 1のラインパターンは縦線パターンであり、 前記 第 2のラインパターンは横線パターンであり、 前記第 1の光学特性と第 2の光 学特性とは、 前記縦線パターンの像と前記横線パターンの像それぞれの線幅変 化に対するツエルニケ項の組み合わせのクロスタームにおけるツエルニケ感度 を求める工程と、 そのクロスタームにおけるツェルニケ感度の符号が縦横線で 異なるツェルニケ項同士の組み合わせを求める工程と、 を経て決定されている こととすることができる。
本発明は、 第 5の観点からすると、 第 1面上の回路パターンを投影光学系を 介して第 2面上に配置された物体に転写する露光方法であって、 本発明の第 2 の投影光学系の調整方法を用いて前記投影光学系を調整する工程と ;前記調整 後の投影光学系を用いて前記回路パターンを前記物体上に転写する工程と ; を 含む第 2の露光方法である。
これによれば、 本発明の第 2の投影光学系の調整方法を用いて投影光学系を 調整するので、 例えばマスク上のパターンの描画誤差などに起因して、 投影光 学系によって第 2面上に形成される第 1のラインパターンの像の線幅と第 2の
ラインパターンの線幅との差である線幅差が生じる場合にも、 直交するライン パターン同士の線幅差を自在に制御するような投影光学系の調整が行われ、 こ の調整された投影光学系を用いて回路パターンが物体上に転写されるので、 縦 線パターンと横線パターンとの線幅差を低減した高精度なパターンの転写を実 現することができる。
本発明は、 第 6の観点からすると、 マスクに形成されたパターンを露光光学 系を介して物体上に転写する露光装置であって、 本発明の第 2の投影光学系の 調整方法を用いて調整された投影光学系を前記露光光学系として備えることを 特徴とする第 2の露光装置である。
これによれば、 本発明の第 2の投影光学系の調整方法を用いて調整された投 影光学系を露光光学系として備えるので、 その投影光学系を用いてマスクに形 成されたパターンを物体上に転写することにより、 縦線パターンと横線パター ンとの線幅差を低減した高精度なパターンの転写を実現することができる。 本発明は、 第 7の観点からすると、 第 1面上のパターンの像を第 2面上に投 影する投影光学系の調整方法であって、 前記投影光学系の波面収差の情報を得 る工程と ;前記パターンの投影像に関する情報を得る工程と ;前記波面収差を ツェルニケ多項式を用いて級数展開した複数のツェルニケ項のうち、 その相互 作用が前記投影像の特性に影響を与える任意のツェルニケ項の組み合わせのク ロスタームにおける前記投影像の特性の変化に対するツェルニケ感度を考慮し て前記投影光学系を調整する工程と ; を含む第 3の投影光学系の調整方法であ る。
これによれば、 投影光学系の波面収差の情報を得、 さらにパターンの投影像 に関する情報を得る。そして、これらに基づいて、投影光学系を調整する際に、 前記波面収差をツェルニケ多項式を用いて級数展開した複数のツェルニケ項の うち、 その相互作用が前記投影像の特性に影響を与える任意のツェルニケ項の 組み合わせのクロスター厶における前記投影像の特性の変化に対するツェル二
ケ感度を考慮して前記投影光学系を調整する。 すなわち、 この第 3の投影光学 系の調整方法では、 従来考慮されていなかったその相互作用がパターンの投影 像の特性に影響を与える任意のッヱルニケ項の組み合わせのクロスタームにお ける前記投影像の特性の変化に対するツェルニケ感度を考慮して投影光学系を 調整するので、 従来調整が困難であった収差成分、 例えば高次収差成分などの 調整も可能と成り、 パターンの像の形成状態がよリ良好となるような投影光学 系の調整が可能となる。
この場合において、 前記パターンが、 ラインパターンを含む場合、 前記投影 像の特性は、 そのラインパターンの線幅を含むこととすることができる。 本発明は、 第 8の観点からすると、 第 1面上の回路パターンを投影光学系を 介して第 2面上に配置された物体に転写する露光方法であって、 本発明の第 3 の投影光学系の調整方法を用いて前記投影光学系を調整する工程と ;前記調整 後の投影光学系を用いて前記回路パターンを前記物体上に転写する工程と ; を 含む第 3の露光方法である。
これによれば、 本発明の第 3の投影光学系の調整方法を用いて投影光学系を 調整するので、 パターンの像の形成状態がより良好となるように投影光学系の 調整が行われ、 この調整された投影光学系を用いて回路パターンが物体上に転 写されるので、 高精度なパターンの転写を実現することができる。
本発明は、 第 9の観点からすると、 マスクに形成されたパターンを露光光学 系を介して物体上に転写する露光装置であって、 本発明の第 3の投影光学系の 調整方法を用いて調整された投影光学系を前記露光光学系として備えることを 特徴とする第 3の露光装置である。
これによれば、 本発明の第 3の投影光学系の調整方法を用いて調整された投 影光学系を露光光学系として備えるので、 その投影光学系を用いてマスクに形 成されたパターンを物体上に転写することにより、 高精度なパターンの転写を 実現することができる。
本発明は、 第 1 0の観点からすると、 第 1面上に配置されたパターンをエネ ルギビームで照明し、 前記パターンを投影光学系を介して第 2面上に配置され た物体上に転写する露光装置であって、 前記投影光学系の第 1の光学特性を含 む光学特性を計測する光学特性計測装置と ;前記投影光学系により前記第 2面 上に形成された前記第 1面上で所定方向に延びる第 1のラインパターンとこれ に直交する第 2のラインパターンとの像の線幅をそれぞれ計測する線幅計測装 置と ;前記投影光学系によるパターン像の形成状態を調整する像形成状態調整 装置と ;前記光学特性計測装置で計測された前記第 1の光学特性の値と、 前記 線幅計測装置で計測された前記第 1のラインパターンの像の線幅である第 1線 幅と前記第 2のラインパターンの像の線幅である第 2線幅との差である線幅差 と、 に応じて、 前記第 1の光学特性との相互作用により前記線幅差に影響を与 える第 2の光学特性の大きさを、 前記像形成状態調整装置を用いて制御する制 御装置と ;を備える第 4の露光装置である。
これによれば、 光学特性計測装置により投影光学系の少なくとも第 1の光学 特性を含む光学特性が計測される。 また、 線幅計測装置により、 投影光学系に よって第 2面 (像面) 上に形成された第 1面 (物体面) 上で所定方向に延びる 第 1のラインパターンとこれに直交する第 2のラインパターンとの像の線幅が それぞれ計測される。 ここで、 線幅計測装置による線幅の計測は、 第 2面上に 配置された物体上に形成された縦線パターンと横線パターンとの転写像 (潜像、 レジスト像、 エッチング像) の線幅を計測しても良いし、 縦線パターンと横線 パターンとの空間像を第 2面上に形成し、その空間像の線幅を計測しても良い。 そして、 制御装置では、 光学特性計測装置で計測された第 1の光学特性が存 在するとき、 その第 1の光学特性の値と, 線幅計測装置で計測された前記第 1 のラインパターンの像の線幅である第 1線幅と前記第 2のラインパターンの像 の線幅である第 2線幅との差である線幅差とに応じて、 第 1の光学特性との相 互作用により線幅差に影響を与える第 2の光学特性の大きさを、 像形成状態調
整装置を用いて制御する。
このため、 例えば第 1の光学特性が調整が困難な光学特性である場合であつ ても、 例えば調整が容易な第 2の光学特性の大きさを像形成状態調整装置を用 いて制御することで、第 1の光学特性の存在に起因して生じる前述の線幅差を、 制御することができる。
従って、 第 1面上に配置されたパターンをエネルギビームで照明し、 そのパ ターンを、 像形成状態調整装置によリ第 2の光学特性が調整された後の投影光 学系を介して第 2面上に配置された物体上に転写することにより、 直交するラ インパターン転写像同士の線幅差が効果的に低減された良好な露光を実現する ことができる。
この場合において、 前記光学特性計測装置は、 前記投影光学系の波面収差を 計測する波面収差計測装置であることとすることができる。
この場合において、 前記第 1の光学特性は、 前記波面収差計測装置で計測さ れた波面収差をツェルニケ多項式を用いて級数展開した複数のッ: ルニケ項の うち 4次以上の任意の 2回回転対称成分項であり、 前記第 2の光学特性は、 前 記 2回回転対称成分項と同一次数の回転対称成分項であることとすることがで ぎる。
この場合において、 前記 2回回転対称成分項は、 4次 2 0成分項である第 1 2項及び第 1 3項のいずれかであり、 前記回転対称成分項は 4次 0 0成分であ る第 9項であることとすることができる。
本発明の第 4の露光装置では、 前記線幅計測装置は、 前記第 2面上に形成さ れた前記各パターンの投影像を計測する空間像計測器を含むこととすることも できるし、 あるいは前記線幅計測装置は、 前記第 2面上に配置された物体上に 形成された像を撮像する撮像装置を含むこととすることもできる。
本発明の第 4の露光装置では、 前記像形成状態調整装置は、 前記投影光学系 を構成する少なくとも 1つの光学素子の少なくとも 1自由度方向の位置の調整、
一部の光路中の気体の気圧の調整、前記エネルギビームの波長シフト量の調整、 及び前記パターンが形成されたパターン形成部材及び前記物体の少なくとも一 方の前記投影光学系の光軸方向に関する位置の調整、 の少なくとも 1つを行う こととすることができる。
本発明は、 第 1 1の観点からすると、 投影光学系を介したパターンの像の特 性を予測する予測方法であって、 前記投影光学系の波面収差を所定の式を用い て級数展開して得られる各収差成分をそれぞれ含む複数の項の線形結合に基づ いて、 所定露光条件下で前記投影光学系を介して投影される所定パターンの像 に関する、 最良フォーカス位置からのデフォーカス量に対する前記像のサイズ の変動を示す変動曲線の前記波面収差に起因する移動量を算出して、 前記算出 された移動量に基づいて前記変動曲線を予測する予測工程を含む予測方法であ る。
投影光学系を介してパターンを転写する場合、そのパターンの像のサイズは、 その転写位置の最良フォーカス位置からのデフォーカス量に応じて変動し、 そ の変動を示す変動曲線、 すなわちいわゆる C D—フォーカス曲線は、 投影光学 系の波面収差によって変化することが知られている。 また、 投影光学系の波面 収差は、 所定の式、 例えばツェルニケ多項式を用いて級数展開することにより 複数のツェルニケ項 (収差成分項) に分解可能であることが知られている。 発明者等が鋭意研究した結果、 上記ツェルニケ項の係数、 すなわち収差成分 をそれぞれ含む複数の項の線形結合の値と、 投影光学系を介して投影されるパ ターンの像に関する、 前述の変動曲線の変化 (すなわち、 デフォーカス量及び パターン像のサイズをそれぞれ座標軸とする座標系上での、 デフォーカス量方 向及び像のサイズの方向に関するその変動曲線の平行移動) とに密接な関係が あることが、 判明した。
従って、 本発明の予測方法によれば、 上記の関係を利用して、 多大な計算時 間を要する複雑な計算を伴う結像シミュレーションを用いずとも、 収差成分を
それぞれ含む複数の項の線形結合の値を求めるという至極単純な演算により、 所定の収差状態にある投影光学系を介した所定露光条件下でのパターンに関す る C D—フォーカス曲線を短時間に予測することが可能となリ、 その予測結果 に基づき、 パターンの投影像 (又は転写像) の特性を短時間に予測することが 可能となる。
この場合において、 前記予測工程に先立って、 前記所定露光条件下で前記投 影光学系に収差が無いと仮定した場合に求められる、 前記デフォーカス量に対 する前記像のサイズの変動を示す変動曲線を、シミュレーションによって求め、 求めた変動曲線を高次関数に近似する工程をさらに含むこととすることができ る。
この場合において、 前記予測工程では、 前記所定露光条件下での前記デフォ 一カス量に対する前記各収差成分の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成 分の線形結合に基づいて、 前記変動曲線の前記デフォーカス量の方向に関する 移動量を算出し、 前記所定露光条件下での前記像のサイズの変化に対する前記 各収差成分の二乗の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の二乗の線形 結合に基づいて、 前記変動曲線の前記像のサイズの変化の方向に関する移動量 を算出することとすることができる。
前述のように、 変動曲線の移動は、 デフォーカス量を示す軸の方向 (デフォ 一カス量軸方向) に関する曲線の移動と、 パターン像のサイズを示す軸の方向 (像サイズ軸方向) に関する移動とに分解することができる。 デフォーカス量 の軸方向に関する変動曲線の移動は、 投影光学系の波面収差を展開したときの 各収差成分に感度があり、 その移動量を、 各収差成分の線形結合によって予測 することができる。 また、 像のサイズの軸方向に関する変動曲線の移動は、 各 収差成分の二乗に感度があり、 その移動量を、 各収差成分の二乗の線形結合に よって予測することができる。
この場合において、 前記予測工程では、 前記各収差成分の二乗の線形結合に
加え、 前記所定露光条件下での前記像のサイズの変化の方向に対する、 互いに 異なる収差成分同士のクロス項の感度をそれぞれの係数とする前記各クロス項 の線形結合に基づいて、 前記変動曲線の前記像のサイズの変化に関する移動量 を算出することとすることができる。
像のサイズの軸方向に関する変動曲線の移動は、 各収差成分の二乗に感度が あるだけでなく、 互いに異なる収差成分同士のクロス項にも感度があるので、 それらのクロス項の線形結合をさらに考慮すれば、 像のサイズの軸方向の移動 量をさらに精度良く予測することができる。
本発明の予測方法では、 前述の高次関数は、 偶数次の項のみから成る関数で あることとすることができる。
本発明の予測方法では、 前記予測工程において、 前記各収差成分をそれぞれ 含む複数の項の線形結合に基づいて、 前記変動曲線の前記波面収差に起因する 変形具合を算出し、 前記移動量及び前記変形具合に基づいて前記変動曲線を予 測することとすることができる。 かかる場合には、 変動曲線の移動量だけでな く、 各収差成分を含む項の線形結合に基づいて、 投影光学系の波面収差に起因 する変動曲線の変形具合も算出するので、 変動曲線をさらに精度良く予測する ことができる。
この場合において、 前記予測工程に先立って、 前記所定露光条件下で前記投 影光学系に収差が無いと仮定した場合に求められる、 前記デフォーカス量に対 する前記像のサイズの変動を示す変動曲線をシミュレーションによって求め、 求めた変動曲線を高次関数に近似する工程をさらに含むこととすることができ る。
この場合において、 前記予測工程に先立って、 実際の収差状態における前記 投影光学系を介して前記所定露光条件下で投影される前記パターンの像に関す る、 前記変動曲線を算出する算出工程をさらに含み、 前記予測工程では、 前記 移動量に基づいて移動した変動曲線を近似する高次関数と、 前記算出工程で求
められた変動曲線を表す関数との差分を示す差分関数を、 前記波面収差に起因 する前記変動曲線の変動具合として求めることとすることができる。
この場合において、 前記算出工程は、 シミュレーションによって行われるこ ととすることができる。
本発明の予測方法では、 前記予測工程において、 前記移動量に基づいて移動 した変動曲線を近似する高次関数と、 前記算出工程で求められた変動曲線を表 す関数との差分を示す差分関数を、 前記波面収差に起因する前記変動曲線の変 動具合として求める場合に、 前記予測工程では Λ 前記所定露光条件下における 前記差分関数の偶数次の項に対する前記各収差成分の二乗の感度をそれぞれの 係数とする前記各収差成分の二乗の線形結合に基づいて、 前記差分関数のその 偶数次の項の係数を算出し、 前記所定露光条件下における前記差分関数の奇数 次の項に対する前記各収差成分の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分 の線形結合に基づいて、 前記差分関数のその奇数次の項の係数を算出すること とすることができる。 かかる場合には、 変動関数の変形具合を示す差分関数の 偶数次の項の係数は、 投影光学系の波面収差を展開したときの各収差成分の二 乗に感度があり、 その係数を各収差成分の二乗の線形結合によって予測するこ とができる。また、差分関数の奇数次の項の係数は、各収差成分に感度があり、 その係数を、各収差成分の線形結合によって予測することができる。そのため、 変動曲線の変形具合についても、 投影光学系の波面収差の各収差成分を含む項 の線形結合などを用いて、 短時間で、 かつ精度良く予測することができる。 本発明の予測方法では、 前記所定の式は、 ツェルニケ多項式であり、 前記各 収差成分は、 各ツェルニケ項の係数であることとすることができる。
本発明は、 第 1 2の観点からすると、 投影光学系を介したパターンの像の特 性を評価する評価方法であって、 前記投影光学系の有効視野内の少なくとも 1 つの計測点について、 本発明の予測方法を用いて、 所定露光条件下で前記投影 光学系を介して前記少なくとも 1つの計測点に投影される所定パターンの像に
関する、 最良フォーカス位置からのデフォーカス量に対する前記像のサイズの 変動を示す変動曲線を予測する工程と ;前記予測結果に基づいて、 前記所定パ ターンの像の特性を評価する工程と ; を含む第 1の評価方法である。
これによれば、 本発明の予測方法を用いて、 所定露光条件下で投影光学系を 介して投影される所定パターンの像に関する上記変動曲線を、 投影光学系の有 効視野内の少なくとも 1つの計測点について精度良く予測することができるよ うになるので、 その変動曲線に基づいて、 投影光学系の有効視野内における所 定パターンの像の特性を精度良く評価することが可能となる。
この場合において、 前記所定パターンは、 前記投影光学系の有効視野内の複 数の計測点のそれぞれに対応して配置され、 前記特性は、 前記投影光学系の有 効視野内における前記像の均一性を含むこととすることができる。
本発明の第 1の評価方法では、 前記所定パターンは、 前記投影光学系の光軸 方向に直交する平面上に設けられた互いに直交する 2つのラインパターンを含 み、 前記予測する工程では、 前記ラインパターン毎に、 前記変動曲線を予測す ることとすることができる。
この場合において、 前記評価する工程では、 前記像の特性としてラインバタ 一ンの像同士の線幅差を評価することとすることができる。 かかる場合には、 少なくとも 1つの計測点において、 前記特性として、 例えば主に非点収差によ る直交する 2つのラインパターン同士の線幅差を評価することができる。
本発明の第 1の評価方法では、 前記所定パターンは、 前記投影光学系の光軸 方向に直交する平面上に設けられた互いに平行な 2つのラインパターンを含み, 前記予測する工程では、 前記ラインパターン毎に、 前記変動曲線を予測するこ ととすることができる。
この場合において、 前記評価する工程では、 前記像の特性としてラインバタ —ンの像同士の線幅差を評価することとすることができる。 かかる場合には、 前記特性として主にコマ収差による線幅異常値などを評価することができる。
本発明は、 第 1 3の観点からすると、 投影光学系を介したパターンの像の形 成状態を調整する調整方法であって、 本発明の第 1の評価方法を用いて、 前記 投影光学系の有効視野内の少なくとも 1つの計測点に対応して配置された所定 パターンの像の特性を評価する評価工程と ;前記評価結果に基づいて、 前記投 影光学系を介した前記所定パターンの像の形成状態を調整する調整工程と ; を 含む第 1の調整方法である。
これによれば、 本発明の第 1の評価方法を用いて、 投影光学系の有効視野内 における少なくとも 1つの計測点における所定パターンの像の特性が評価され、 その評価結果に基づいて、 前記投影光学系を介した所定パターンの像の形成状 態が調整される。 従って、 評価結果に応じて所定パターンの像の特性を所望の 状態に調整することが可能となる。
この場合において、 前記調整工程では、 前記少なくとも 1つの計測点に関す る、 前記所定露光条件下における前記所定パターンの像の形成状態を調整する 調整パラメータの単位調整量当たリの前記各収差成分の変化量と、 前記所定パ ターンの像のサイズの変化に対する前記各収差成分の感度と、 前記デフォー力 ス量に対する前記所定パターンの像のサイズの変動を示す変動曲線の各次の項 の係数に関する目標値からのずれとを用いて算出された調整量に基づいて、 前 記所定パターンの像の形成状態を調整することとすることができる。
計測点における変動曲線は、投影光学系の収差などの影響を受けて変化する。 従って、 投影光学系を調整するなどして収差成分を変化させれば、 その計測点 における変動曲線を所望の曲線(目標)に近づけることも可能である。そこで、 本発明では、 計測点における変動曲線と所望の曲線とのずれをキャンセルする のに必要な調整パラメータ (パターンの像の形成状態を調整する調整パラメ一 タ) の調整量を、 該調整パラメータの単位調整量当たりの前記各収差成分の変 化量と、 前記所定露光条件下における前記所定パターンの像のサイズの変化に 対する前記各収差成分の感度と、 前記デフォーカス量に対する前記所定パター
ンの像のサイズの変動を示す変動曲線の各次の項の係数に関する目標値からの ずれとを用いて前記調整パラメータの調整量を算出し、 算出された調整量に基 づいて、 前記所定パターンの像の形成状態を調整する。 これにより、 デフォー カス量に対するパターン像のサイズの変動曲線を所望の変動曲線に近づけるよ うなパターンの像の形成状態の調整が可能となる。
この場合、 所望の曲線 (目標) をどのようなものとするかは、 求められるパ ターンの像の調整項目によって異なる。 例えば、 前記評価工程では、 前記投影 光学系の有効視野内の複数の計測点にそれぞれ対応して配置された所定パター ンの像の特性をそれぞれ評価し、 前記調整工程では、 前記変動曲線の同一次の 項の係数に関する目標値を、 前記計測点間で同一とすることとすることができ る。 かかる場合には、 投影光学系の有効視野内におけるパターンの像の面内均 一性を向上させることができる。 また、 所定パターンが複数のパターンを含む 場合には、 前記変動曲線の同一次の項の係数に関する目標値を、 前記パターン 間で同一とすることとすることができる。 かかる場合には、 同一計測点におけ る、 例えば縦線パターンの像と横線パターンの像との線幅や、 平行パターンの 像同士の線幅などが可能な限リ同一となるような調整が可能となる。
本発明の第 1の調整方法では、 前述の調整量を、 最小二乗法を用いて求める こととすることができる。
本発明は、 第 1 4の観点からすると、 第 1面上の回路パターンを投影光学系 を介して第 2面上に配置された物体に転写する露光方法であって、 本発明の第 1の調整方法を用いて、 前記投影光学系を介した前記回路パターンの像の形成 状態を調整する工程と;前記調整された像の形成状態で、前記回路パターンを、 前記投影光学系を介して前記物体に転写する工程と ; を含む第 4の露光方法で あ 。
これによれば、 本発明の第 1の調整方法を用いて投影光学系を介した回路パ ターンの像の形成状態が調整され、 調整された像の形成状態で、 回路パターン
が物体上に転写されるので、 その回路パターンを物体上に精度良く形成するこ とが可能となる。
本発明は、 第 1 5の観点からすると、 投影光学系を介したパターンの像の特 性を評価する評価方法であって、 前記投影光学系の波面収差の情報を得る工程 と ;前記パターンの投影像に関する情報を得る工程と ;前記波面収差をツェル ニケ多項式を用いて級数展開した複数のツェルニケ項のうち、 その相互作用が 前記投影像の特性に影響を与える任意のッ Xルニケ項の組み合わせのクロスタ ームにおける前記投影像の特性の変化に対するツェルニケ感度を考慮して前記 パターンの像の特性を評価する工程と ; を含む第 2の評価方法である。
これによれば、 投影光学系の波面収差の情報を得、 さらにパターンの投影像 に関する情報を得る。 そして、 これらに基づいて、 前記波面収差をッ: I:ルニケ 多項式を用いて級数展開した複数のツェルニケ項のうち、 その相互作用が前記 投影像の特性に影響を与える任意のツェルニケ項の組み合わせのクロスターム における前記投影像の特性の変化に対するツェルニケ感度を考慮して前記バタ ーンの像の特性を評価する。 すなわち、 この第 2の評価方法では、 従来考慮さ れていなかったその相互作用がパターンの投影像の特性に影響を与える任意の ツェルニケ項の組み合わせのクロスタームにおける前記投影像の特性の変化に 対するツェルニケ感度を考慮してパターンの像の特性を評価するので、 パター ンの像の特性をより高精度に評価することができる。
この場合において、 前記パターンがラインパターンを含む場合、 前記投影像 の特性は、 そのラインパターンの像の線幅を含むこととすることができる。 本発明は、 第 1 6の観点からすると、 投影光学系を介したパターンの像の形 成状態を調整する調整方法であって、 本発明の第 2の評価方法を用いて、 前記 投影光学系の有効視野内の少なくとも 1つの計測点に対応して配置された所定 パターンの像の特性を評価する評価工程と ;前記評価結果に基づいて、 前記投 影光学系を介した前記所定パターンの像の形成状態を調整する調整工程と ; を
含む第 2の調整方法である。
これによれば、 本発明の第 2の評価方法を用いて、 投影光学系の有効視野内 の少なくとも 1つの計測点に対応して配置された所定パターンの像の特性が精 度良く評価され、 その評価結果に基づいて投影光学系を介した前記所定パター ンの像の形成状態を調整される。 従って、 評価結果に基づいてパターンの像の 形成状態が良好になるような調整が可能となる。
本発明は、 第 1 7の観点からすると、 第 1面上のパターンを投影光学系を介 して第 2面上に配置された物体に転写する露光方法であって、 本発明の第 2の 調整方法を用いて、 前記投影光学系を介した前記パターンの像の形成状態を調 整する工程と ;前記調整された像の形成状態で、 前記パターンを、 前記投影光 学系を介して前記物体に転写する工程と ; を含む第 5の露光方法である。 本発明は、 第 1 8の観点からすると、 投影光学系を介したパターンの像の特 性の予測をコンピュータに実行させるプログラムであって、 前記投影光学系の 波面収差を所定の式を用いて級数展開して得られる各収差成分をそれぞれ含む 複数の項の線形結合に基づいて、 所定露光条件下で前記投影光学系を介して投 影される所定パターンの像に関する、 前記最良フォーカス位置からのデフォー カス量に対する前記像のサイズの変動を示す変動曲線の前記波面収差に起因す る移動量を算出して、 前記算出された移動量に基づいて前記変動曲線を予測す る予測手順を、 前記コンピュータに実行させるプログラムである。
このプログラムがコンピュータにインストールされると、 コンピュータが、 上記各手順を実行する。 これにより、 本発明の予測方法が、 コンピュータによ つて実行される。 従って、 前述と同様に、 多大な計算時間を要する複雑な計算 を伴う結像シミュレーションを用いずとも、 収差成分をそれぞれ含む複数の項 の線形結合の値を求めるという至極単純な演算により、 所定の収差状態にある 投影光学系を介した所定露光条件下でのパターンに関する C D—フォーカス曲 線を短時間に予測することが可能となり、 その予測結果に基づき、 パターンの
転写特性を短時間に予測することが可能となる。
この場合において、 前記予測手順に先立って、 前記所定露光条件下で前記投 影光学系に収差が無いと仮定した場合に求められる、 前記デフォーカス量に対 する前記像のサイズの変動を示す変動曲線を高次関数に近似する手順を、 前記 コンピュータにさらに実行させることとすることができる。
この場合において、 前記予測手順として、 前記所定露光条件下での前記デフ オーカス量に対する前記各収差成分の感度をそれぞれの係数とする前記各収差 成分の線形結合に基づいて、 前記変動曲線の前記デフォーカス量の方向に関す る移動量を予測する手順と、 前記所定露光条件下での前記像のサイズの変化に 対する前記各収差成分の二乗の感度をそれぞれの係数とする前記各収差成分の 二乗の線形結合に基づいて、 前記変動曲線の前記像のサイズの変化の方向に関 する移動量を予測する手順と、 を前記コンピュータに実行させることとするこ とができる。
本発明のプログラムでは、 前記予測手順として、 前記各収差成分の二乗の線 形結合に加え、 前記所定露光条件下での前記像のサイズの変化に対する、 互い に異なる収差成分同士のクロス項の感度をそれぞれの係数とする前記各クロス 項の線形結合に基づいて、 前記変動曲線の前記像のサイズの変化の方向に関す る移動量を予測する手順を、 前記コンピュータに実行させることとすることが できる。
本発明のプログラムでは、 前述の高次関数は、 偶数次の項のみから成る関数 であることとすることができる。
本発明のプログラムでは、 前記予測手順として、 前記各収差成分をそれぞれ 含む複数の項の線形結合に基づいて、 前記変動曲線の前記波面収差に起因する 変形具合を算出し、 前記移動量及び前記変形具合に基づいて前記変動曲線を予 測する手順を、 前記コンピュータに実行させることとすることができる。 この場合において、 前記予測手順に先立って、 前記所定露光条件下で前記投
影光学系に収差が無いと仮定した場合に求められる、 前記デフォーカス量に対 する前記像のサイズの変動を示す変動曲線を高次関数に近似する手順を、 前記 コンピュータにさらに実行させることとすることができる。
この場合において、 前記予測手順に先立って、 前記所定露光条件下における 実際の収差状態での前記投影光学系を介して投影される所定パターンの像に関 する、 前記デフォーカス量に対する前記像のサイズの変動を算出する算出手順 を、 前記コンピュータにさらに実行させ、 前記予測手順として、 前記移動量に 基づいて移動した高次関数と、 前記算出手順で求められた変動関数との差分を 示す差分関数を、 前記波面収差に起因する前記変動曲線の変動具合として求め る手順を、 前記コンピュータに実行させることとすることができる。
この場合において、 前記予測手順として、 前記所定露光条件下における前記 差分関数の偶数次の項に対する前記各収差成分の二乗の感度をそれぞれの係数 とする前記各収差成分の二乗の線形結合に基づいて、 前記差分関数のその偶数 次の項の係数を予測する手順と、 前記所定露光条件下における前記差分関数の 奇数次の項に対する前記各収差成分の感度をそれぞれの係数とする前記各収差 成分の線形結合に基づいて、 前記差分関数のその奇数次の項の係数を予測する 手順と、 を前記コンピュータに実行させることとすることができる。
本発明のプログラムでは、 前記所定の式は、 ツェルニケ多項式であり、 前記 各収差成分は、 各ツェルニケ項の係数であることとすることができる。
本発明のプログラムは、 情報記録媒体に記録した状態で、 販売等の対象とす ることができる。 従って、 本発明は、 第 1 9の観点からすると、 本発明のプロ グラムが記録されたコンピュータによる読み取リが可能な情報記録媒体である と Χί曰 。
また、 本発明は、 第 2 0の観点からすると、 マスクに形成されたパターンを 投影光学系を介して物体上に転写する露光装置を製造する露光装置の製造方法 であって、 本発明の第 1〜第 3の投影光学系の調整方法のいずれかを用いて前
記投影光学系を調整する工程を含む露光装置の製造方法である。
また、 リソグラフイエ程において、 本発明の第 1〜第 4の露光装置のいずれ かを用いて露光を行うことにより、 物体上にパターンを精度良く形成すること ができ、 これにより、 より高集積度のマイクロデバイスを歩留まり良く製造す ることができ、 その生産性を向上させることができる。 同様に、 リソグラフィ 工程において、 本発明の第 1〜第 5の露光方法のいずれかを用いて露光を行う ことにより、 物体上にパターンを精度良く形成することができ、 これによリ、 よリ高集積度のマイク口デバイスを歩留まり良く製造することができ、 その生 産性を向上させることができる。従って、本発明は、更に別の観点からすると、 本発明の第 1〜第 4の露光装置のいずれかを用いるデバイス製造方法、 あるい は本発明の第 1〜第 5の露光方法のいずれかを用いるデバイス製造方法である とも S 。 図面の簡単な説明
図 1は、本発明の一実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。 図 2は、 図 1の波面収差計測装置を示す断面図である。
図 3 Aは、 光学系に収差が存在しない場合においてマイクロレンズアレイか ら射出される光束を示す図、 図 3 Bは、 光学系に収差が存在する場合において マイクロレンズアレイから射出される光束を示す図である。
図 4は、 直交 2軸方向のラインパターンの像同士の線幅差の調整を目的とす る、 投影光学系 P Lの調整方法を示すフローチャートである。
図 5は、 計測用レチクルをパターン面側から見た平面図である。
図 6 A〜図 6 Fは、 投影光学系の波面収差を展開したツェルニケ多項式の第 9項と第 1 2項との値の変化に応じた瞳面における波面の乱れ方を説明するた めの図である。
図フ A〜図 7 Fは、 投影光学系の波面収差を展開したツェルニケ多項式の第
4項と第 5項との値の変化に応じた瞳面における波面の乱れ方を説明するため の図である。
図 8は、 縦線パターンと横線パターンとのべストフォーカス位置の差に対応 して縦線パターンの像 (V) と横線パターンの像 (H) との線幅の差が生じる 様子を説明するための C D—フォーカス線図である。
図 9は、 波長 248. 3 n mの K r Fレーザを光源とし、 照明 σ = 0. 75 の 2 3輪帯照明条件、 投影光学系 P Lの開口数 (N.A.) =0. 68の場合 に、 計測用レチクル上のパターンを転写して得られるレジスト像の線幅計測の 結果得られる、 縦横線の線幅差 (実験結果) の一例を示す図である。
図 1 0は、図 9の Zi2 = 40m;i、 20mス、 OmAの部分(上 3段の部分) をより詳細に示す図 (等高線マップ) である。
図 1 1は、 図 9の Z12=— 20m;i、 -40mAの部分 (下 2段の部分) を より詳細に示す図である。
図 1 2 A〜図 1 2 Dは、 図 9の各等高線マップの意味を説明するための図で ある。
図 1 3は、 所定の条件下でシミュレーションにより求めた収差間のクロスタ ームの計算結果の一例を示す図表である。
図 1 4は、 線幅ばらつき ACDに関する ZS (Zernike Sensitivity) の計算 結果の一例を示す図である。
図 1 5は、線幅ばらつき△ CDに関して、従来の ZS法を用いた計算結果と、 空間像による計算結果との関係を示す図である。
図 1 6は、 一実施形態の予測方法を示すフローチャート (その 1 ) である。 図 1 7 Aは 1 0次関数の一例を示す図、 図 1 7 Bは、 そのフィッティング誤 差の一例を示す図である。
図 1 8は、 ツェルニケ感度 S Qfiの一例を示すグラフである。
図 1 9は、 一 50mえ〜 5 θΓηλまで 1 θΓηλピッチでフォーカス方向の移
動量を 1 1点計算して、 最小二乗法を使って直線の傾きを計算した計算結果の —例を示す図である。
図 20は、 図 1 9の場合と同様の像計算で得た 1 1点の線幅変化量の計算翁吉 果に二次関数を仮定して、 最小二乗法による近似をした結果の一例を示す図で める
図 21は、 ツェルニケ感度 S Siの一例を示すグラフである。
図 22Aは、 Z6と Z13のクロス! ^一クを示す図、 図 22 Bは、 Z9と Ζι2の クロス I ^一クを示す図である。
図 23は、 各クロス項の感度の一例を示すグラフである。
図 24は、 一実施形態の予測方法を示すフローチャート (その 2) である。 図 25は、 ツェルニケ項の感度 S の感度の一例を示す図である。
図 26は、 ッ Iルニケ項の感度 S Γ3ίの感度の一例を示す図である。
図 27は、 ツェルニケ項の感度 S riiの感度の一例を示す図である。
図 28は、 ツェルニケ項の感度 S S 4iの感度の一例を示す図である。
図 29は、 ツェルニケ項の感度 S (52iの感度の一例を示す図である。
図 30は、 CD—フォーカス曲線 y" k, y " k+iを、 求める際の動作を示す 模式図である。
図 31 Aは、 精密な結像シミュレーションによって算出された、 代表的な計 測点における CD—フォーカス曲線の一例を示す図、 図 31 Bは、 本発明の一 実施形態の予測方法によって予測された同一露光条件、 同一パターンでの代表 的な計測点における C D—フォーカス曲線の一例を示す図である。
図 32は、 線幅ばらつきに ACDに関して、 新たな ZS法を用いた計算結果 と、 空間像の計算結果との関係を示す図である。
図 33は、 本発明に係るデバイス製造方法の実施形態を説明するためのフロ 一チヤ一卜である。
図 34は、 図 33のステップ 204の詳細を示すフローチヤ一トである。
発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の一実施形態を図 1〜図 1 2に基づいて説明する。
図 1には、 一実施形態に係る露光装置 1 0 0の概略構成が示されている。 こ の露光装置 1 0 0は、 露光用光源 (以下 「光源 J という) にパルスレーザ光源 を用いたステップ■アンド■スキャン方式の縮小投影露光装置 (いわゆるスキ ャナ) である。
露光装置 1 0 0は、 光源 1 6及び照明光学系 1 2から成る照明系、 この照明 系からのエネルギビームとしての露光用照明光 E Lにより照明されるマスクと してのレチクル Rを保持するマスクステージとしてのレチクルステージ R S T、 レチクル Rから出射された露光用照明光 E Lを物体としてのウェハ W上 (像面 上) に投射する投影光学系 Ρし、 ウェハ Wを保持するウェハステージ WS Τ、 及びこれらの制御系等を備えている。
前記光源 1 6としては、 ここでは、 K r Fエキシマレーザ (出力波長 2 4 8 n m) が用いられている。 なお、 光源 1 6として、 F 2 レーザ (出力波長 1 5 フ n m) あるいは A r Fエキシマレーザ (出力波長 1 9 3 n m) 等の真空紫外 域のパルス光を出力するパルス紫外光源を用いても良い。
前記光源 1 6は、 実際には、 照明光学系 1 2の各構成要素及びレチクルステ ージ R S T、 投影光学系 P L、 及びウェハステージ W S T等から成る露光装置 本体が収納されたチャンバ 1 1が設置されたクリーンルームとは別のクリーン 度の低いサービスルームに設置されており、 チャンバ 1 1にビームマッチング ュニッ卜と呼ばれる光軸調整用光学系を少なくとも一部に含む不図示の送光光 学系を介して接続されている。 この光源 1 6では、 主制御装置 5 0からの制御 情報 T Sに基づいて、 内部のコントローラにより、 レーザビーム L Bの出力の オン 'オフ、 レーザビーム L Bの 1パルスあたりのエネルギ、 発振周波数 (繰 リ返し周波数)、 中心波長及びスぺク トル半値幅(波長幅) などが制御されるよ
うになつている。
前記照明光学系 1 2は、 シリンダレンズ、 ビームエキスパンダ (いずれも不 図示) 及びオプティカルインテグレータ (ホモジナイザ) 2 2等を含むビーム 整形 '照度均一化光学系 2 0、 照明系開口絞り板 2 4、 第 1 リレーレンズ 2 8 A、 第 2リレーレンズ 2 8巳、 固定レチクルブラインド 3 0 A、 可動レチクル ブラインド 3 0 B、 光路折り曲げ用のミラー M及びコンデンサレンズ 3 2等を 備えている。なお、オプティカルインテグレータとしては、フライアイレンズ、 ロッドインテグレータ (内面反射型インテグレータ)、あるいは回折光学素子な どを用いることができる。 本実施形態では、 オプティカルインテグレータ 2 2 としてフライアイレンズが用いられているので、 以下ではフライアイレンズ 2 2とも呼ぶものとする。
前記ビーム整形■照度均一化光学系 2 0は、 チャンバ 1 1に設けられた光透 過窓 1 7を介して不図示の送光光学系に接続されている。 このビーム整形 -照 度均一化光学系 2 0は、 光源 1 6でパルス発光され光透過窓 1 7を介して入射 したレーザビーム L Bの断面形状を、 例えばシリンダレンズやビームエキスパ ンダを用いて整形する。 また、 このビーム整形■照度均一化光学系 2 0におい て、 レーザビーム L Bは、 透過率を等比級数的に複数段階で又は連続的に変更 可能な N Dフィルタを備えるエネルギ粗調器 (不図示) と、 交換可能に配置さ れる複数の回折光学素子、 照明光学系の光軸に沿って可動なプリズム (円錐プ リズム、多面体プリズムなど)、及びズーム光学系の少なくとも 1つを含む光学 ユニット (不図示) とを経て、 オプティカルインテグレ一タ 2 2に至る。 上記 光学ュニットは、 オプティカルインテグレータ 2 2がフライアイレンズである ときはその入射面上での照明光の強度分布、 オプティカルインテグレータ 2 2 が内面反射型インテグレータであるときはその入射面に対する照明光の入射角 度範囲などを可変とすることで、照明光学系の瞳面上での照明光の光量分布(2 次光源の大きさや形状)、すなわちレチクル Rの照明条件を変更する。 また、 こ
の光学ユニットは、 その照明条件の変更の際に、 光量損失を極力抑えるように なっている。
そして、 ビーム整形■照度均一化光学系 2 0内部の射出端側に位置するフラ ィアイレンズ 2 2は、 レチクル Rを均一な照度分布で照明するために、 前記断 面形状が整形されたレーザビームの入射により、 照明光学系 1 2の瞳面とほぼ 一致するように配置されるその射出側焦点面に多数の点光源 (光源像) から成 る面光源 (2次光源) を形成する。 この 2次光源から射出されるレーザビーム を以下においては、 「照明光 E L」 と呼ぶものとする。
なお、 フライアイレンズ 2 2の射出側焦点面の近傍に、 ほぼ等角度間隔で、 複数の開口絞り、例えば通常の円形開口より成る開口絞り (通常絞り)、小さな 円形開口より成リコヒーレンスファクタである σ値を小さくするための開口絞 リ (小び絞り)、 輪帯照明用の輪帯状の開口絞り (輪帯絞り)、 及び変形光源法 用に複数の開口を偏心させて配置して成る変形開口絞りなどが形成された円板 状部材から成る照明系開口絞り板を配置しても良い。 かかる場合には、 前述の 光学ユニットとともに、 この照明系開口絞り板を用い、 いずれかの開口絞りを 照明光 E Lの光路上に選択的に設定することにより、 照明光学系の瞳面上での 照明光の光量分布(2次光源の大きさや形状)、すなわちレチクル Rの照明条件 の変更を行うことが可能となる。 特に、 前述の光学ユニットのみで設定できな い照明条件であっても、 照明系開口絞り板を設けることで、 光量損失を少なく しつつその照明条件を簡単に設定することができる。
フライアイレンズ 2 2 (又は照明系開口絞り板) から射出された照明光 E L の光路上に、 固定レチクルブラインド 3 Ο Α、 可動レチクルブラインド 3 0 Β を介在させて第 1 リレーレンズ 2 8 Α及び第 2リレーレンズ 2 8 Bから成るリ レー光学系が配置されている。 固定レチクルブラインド 3 O Aは、 レチクル R のパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスして配置され、 レチクル R上の矩形の照明領域 I A Rを規定する矩形開口が形成されている。 また、 こ
の固定レチクルブラインド 3 O Aの近傍に走査方向 (図 1における紙面内左右 方向である Y軸方向) に対応する方向の位置及び幅が可変の開口部を有する可 動レチクルブラインド 3 0 Bが配置され、 走査露光の開始時及び終了時にその 可動レチクルブラインド 3 O Bを介して照明領域を更に制限することによって、 不要な部分の露光が防止されるようになっている。 さらに、 可動レチクルブラ インド 3 0 Bは走査方向と直交する非走査方向 (図 1における紙面直交方向で ある X軸方向) に対応する方向に関しても開口部の幅が可変であり、 ウェハ W 上に転写すべきレチクル Rのパターンに応じて照明領域の非走査方向の幅を調 整できるようになつている。
リレー光学系を構成する第 2リレーレンズ 2 8 B後方の照明光 E Lの光路上 には、 当該第 2リレーレンズ 2 8 Bを通過した照明光 E Lをレチクル Rに向け て反射する折り曲げミラー Mが配置され、 このミラー M後方の照明光 E Lの光 路上にコンデンサレンズ 3 2が配置されている。
以上の構成において、 フライアイレンズ 2 2の入射面、 可動レチクルブライ ンド 3 0 Bの配置面、 及びレチクル Rのパターン面は、 光学的に互いに共役に 設定され、 フライアイレンズ 2 2の射出側焦点面に形成される光源面 (照明光 学系の瞳面)、投影光学系 Pしのフーリエ変換面(射出曈面) は光学的に互いに 共役に設定され、 ケーラー照明系となっている。
このようにして構成された照明系の作用を簡単に説明すると、 光源 1 6から パルス発光されたレーザビーム L Bは、 ビーム整形 '照度均一化光学系 2 0に 入射して断面形状が整形されるなどした後、フライアイレンズ 2 2に入射する。 これにより、 フライアイレンズ 2 2の射出側焦点面に前述した 2次光源が形成 される。
上記の 2次光源から射出された照明光 E Lは、 第 1 リレーレンズ 2 8 Aを経 て固定レチクルブラインド 3 O Aに至り、 該固定レチクルブラインド 3 O Aの 開口及び可動レチクルブラインド 3 0 B、 さらには第 2リレーレンズ 2 8 Bを
通過してミラー Mによって光路が垂直下方に折リ曲げられた後、 コンデンサレ ンズ 32を経て、 レチクルステージ RS T上に保持されたレチクル R上の矩形 の照明領域 I A Rを均一な照度分布で照明する。
前記レチクルステージ RS T上にはレチクル Rが装填され、 不図示の静電チ ャック (又はバキュームチャック) 等を介して吸着保持されている。 レチクル ステージ RSTは、不図示の駆動系により水平面(XY平面)内で微小駆動(回 転を含む) が可能な構成となっている。 レチクルステージ RS Tは、 例えばリ ニァモータ等を含む不図示のレチクルステージ駆動部によって、 照明系の光軸 I X (後述する投影光学系 P Lの光軸 AXに一致) に垂直な XY平面内で微少 駆動可能 (Z軸回りの回転を含む) であるとともに、 所定の走査方向 (ここで は Y軸方向とする) に指定された走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージ RS Tの X Y平面内の位置は、 レチクルステージ RS丁に 設けられた又は形成された反射面を介してレチクルレーザ干渉計(以下、 Γレチ クル干渉計」 という) 54 Rによって、 例えば 0. 5〜 1 nm程度の分解能で 常時検出される。 レチクル干渉計 54 Rからのレチクルステージ RS Tの位置 情報は、 本体チャンバ 1 1の外部に設置された主制御装置 50に供給される。 主制御装置 50は、 レチクルステージ RS Tの位置情報に基づいてレチクルス テージ駆動部 (不図示) を介してレチクルステージ RS Tを駆動制御する。 なお、 レチクル Rに用いる材質は、 使用する光源によって使い分ける必要が ある。 すなわち、 K r Fエキシマレーザ、 A r Fエキシマレーザを光源とする 場合は、 合成石英、 ホタル石等のフッ化物結晶、 あるいはフッ素ドープ石英等 を用いることができるが、 F2 レーザを用いる場合には、 ホタル石等のフッ化 物結晶や、 フッ素ドープ石英等で形成する必要がある。
前記投影光学系 Pしは、 例えば両側テレセントリックな縮小系が用いられて いる。 この投影光学系 Pしの投影倍率は例えば 1 4、 1 Z5あるいは 1 /6 等である。 このため、 前記の如くして、 照明光 Eしによリレチクル R上の照明
領域 I ARが照明されると、 投影光学系 P Lを介してその照明領域 I AR内の レチクル Rの回路パターン等の縮小像がその照明領域 I A Rと共役なウェハ W 上の照明光 E Lの照射領域 (露光領域) I Aに形成される。
投影光学系 P Lとしては、 複数枚、 例えば 1 0〜 20枚程度の屈折光学素子 (レンズ素子) 1 3のみから成る屈折系が用いられている。 この投影光学系 P Lを構成する複数枚のレンズ素子 1 3のうち、 物体面側 (レチクル R側) の複 数枚 (ここでは、 説明を簡略化するために 5枚とする) のレンズ素子 1 3 1 32, 1 33, 1 34, 1 35 は、 結像性能補正コントローラ 48によって外 部から駆動可能な可動レンズとなっている。 レンズ素子 1 3i〜 1 35 は、不図 示の二重構造のレンズホルダをそれぞれ介して鏡筒に保持されている。 これら レンズ素子 1 3ι〜 1 35 は、内側レンズホルダにそれぞれ保持され、 これらの 内側レンズホルダが不図示の駆動素子、 例えばピエゾ素子などによリ重力方向 に 3点で外側レンズホルダに対して支持されている。 そして、 これらの駆動素 子に対する印加電圧を独立して調整することにより、 レンズ素子 1 3i〜 1 35 のそれぞれを投影光学系 P Lの光軸方向である Z軸方向にシフト駆動、 及び X Y面に対する傾斜方向 (すなわち X軸回りの回転方向 (0 x) 及び Y軸回りの 回転方向 (0 y)) に駆動可能 (チル卜可能) な構成となっている。
その他のレンズ素子 1 3は、 通常のレンズホルダを介して鏡筒に保持されて いる。 なお、 レンズ素子 1 3i〜1 35 に限らず、 投影光学系 P Lの瞳面近傍、 又は像面側に配置されるレンズ、 あるいは投影光学系 P Lの収差、 特にその非 回転対称成分を補正する収差補正板 (光学プレート) などを駆動可能に構成し ても良い。 更に、 それらの駆動可能な光学素子の自由度 (移動可能な方向) は 3つに限られるものではなく 1つ、 2つあるいは 4つ以上でも良い。
また、 投影光学系 P Lの瞳面の近傍には、 開口数 (N. A.) を所定範囲内で 連続的に変更可能な瞳開口絞り 1 5が設けられている。 この瞳開口絞り 1 5と しては、 例えばいわゆる虹彩絞りが用いられている。 この瞳開口絞り 1 5は、
主制御装置 5 0によって制御される。
なお、 照明光 E Lとして K r Fエキシマレ一ザ光、 A r Fエキシマレーザ光 を用いる場合には、 投影光学系 Pしを構成する各レンズ素子としてはホタル石 等のフッ化物結晶や前述したフッ素ドープ石英の他、 合成石英をも用いること ができるが、 F 2 レーザ光を用いる場合には、 この投影光学系 P Lに使用され るレンズの材質は、 全てホタル石等のフッ化物結晶やフッ素ドープ石英が用い られる。
前記ウェハステージ WS T上には不図示のウェハホルダを介してウェハ が 静電吸着 (あるいは真空吸着) 等により保持されている。
ウェハステージ W S Tは、投影光学系 P Lの下方に配置され、リニアモータ、 ボイスコイルモータ (V C M) 等から成る不図示のウェハステージ駆動部によ リ、 X Y平面内方向及び Z軸方向に駆動可能であり、 X Y面に対する傾斜方向 ( X軸回りの回転方向 ( θ X方向) 及び Y軸回りの回転方向 Θ y方向)) にも 微小駆動可能となっている。すなわち、ウェハステージ WS Tは、走査方向(Y 軸方向) の移動のみならず、 ウェハ W上の複数のショット領域をそれぞれ露光 領域 I Aに対して相対移動して走査露光を行うことができるように、 走査方向 に直交する非走査方向 (X軸方向) にも移動可能に構成されており、 これによ リ、 ウェハ W上の各ショット領域を走査 (スキャン) 露光する動作と、 次ショ ットの露光のための加速開始位置まで移動 (ステップ) する動作とを繰り返す ステップ■アンド 'スキャン動作が可能となる。
ウェハステージ W S Tの X Y平面内での位置 (Z軸回りの回転 (0 z回転) を含む) は、 ウェハステージ W S Tに設けられた又は形成された反射面を介し てウェハレーザ干渉計 (以下、 「ウェハ干渉計」 と略述する) 5 4 Wによって、 例えば 0 . 5〜 1 n m程度の分解能で常時検出されている。 ウェハ干渉計 5 4 Wは、 測長軸を複数有する多軸干渉計を複数含み、 これらの干渉計によって、 ウェハステージ W S Tの回転 (0 z回転(ョーイング)、 Y軸回りの回転である
0 y回転 (ピッチング)、 及び X軸回りの回転である 0 x回転 (ローリング)) が計測可能となっている。
ウェハ干渉計 5 4 Wによって検出されたウェハステージ W S Tの位置情報 (又は速度情報) は主制御装置 5 0に供給される。 主制御装置 5 0は、 ウェハ ステージ W S Tの上記位置情報 (又は速度情報) に基づいて、 不図示のウェハ ステージ駆動部を介してウェハステージ W S Tの位置を制御する。
また、 ウェハステージ W S T上には、 後述するァライメント系 A L Gのいわ ゆるベースライン計測用の基準マーク等の基準マークが形成された基準マーク 板 F Mが、 その表面がほぼウェハ Wの表面と同一高さとなるように固定されて いる。
また、 ウェハステージ W S Tの + Y側 (図 1における紙面内右側) の側面に は、 着脱自在のポータブルな光学特性計測装置としての波面収差計測装置 8 0 が取り付けられている。
この波面収差計測装置 8 0は、 図 2に示されるように、 中空の筐体 8 2と、 該筐体 8 2の内部に所定の位置関係で配置された複数の光学素子から成る受光 光学系 8 4と、 筐体 8 2の内部の一 X側端部に配置された受光部 8 6とを備え ている。
前記筐体 8 2は、 X Z断面 L字状で内部に空間が形成された部材から成り、 その最上部 (+ Z方向端部) には、 筐体 8 2の上方からの光が筐体 8 2の内部 空間に向けて入射するように、 平面視 (上方から見て) 円形の開口 8 2 aが形 成されている。 また、 この開口 8 2 aを筐体 8 2の内部側から覆うようにカバ 一ガラス 8 8が設けられている。 カバーガラス 8 8の上面には、 クロム等の金 属の蒸着により中央部に円形の開口を有する遮光膜が形成され、 該遮光膜によ つて、 投影光学系 P Lの波面収差の計測の際に周囲からの不要な光が受光光学 系 8 4に入射するのが遮られている。
前記受光光学系 8 4は、 筐体 8 2の内部のカバーガラス 8 8の下方に、 上か
ら下に順次配置された、 対物レンズ 8 4 a , リレーレンズ 8 4 b , 折り曲げミ ラー 8 4 cと、 該折り曲げミラー 8 4 cの一 X側に順次配置されたコリメータ レンズ 8 4 d、 及びマイクロレンズアレイ 8 4 eから構成されている。 折り曲 げミラー 8 4 cは、 4 5 ° で斜設されており、 該折り曲げミラ一 8 4 cによつ て、 上方から鉛直下向きに対物レンズ 8 4 aに対して入射した光の光路がコリ メータレンズ 8 4 dに向けて折り曲げられるようになつている。 なお、 この受 光光学系 8 4を構成する各光学部材は、 筐体 8 2の壁の内側に不図示の保持部 材を介してそれぞれ固定されている。 前記マイクロレンズアレイ 8 4 eは、 複 数の小さな凸レンズ (レンズ素子) が光路に対して直交する面内にアレイ状に 配置されて構成されている。
前記受光部 8 6は、 2次元 C C D等から成る受光素子と、 例えば電荷転送制 御回路等の電気回路等から構成されている。 受光素子は、 対物レンズ 8 4 aに 入射し、 マイクロレンズアレイ 8 4 eから出射される光束のすべてを受光する のに十分な面積を有している。 なお、 受光部 8 6による計測データは、 不図示 の信号線を介して、 あるいは無線送信にて主制御装置 5 0に出力される。 上述した波面収差計測装置 8 0を用いることにより、 投影光学系 P Lの波面 収差の計測を、 オン,ボディ (すなわち、 投影光学系 P Lが露光装置に組み込 まれた状態) にて行うことができる。 なお、 この波面収差計測装置 8 0を用い た投影光学系 P Lの波面収差の計測方法については後述する。
図 1に戻り、 本実施形態の露光装置 1 0 0には、 主制御装置 5 0によってォ ン -オフが制御される光源を有し、 投影光学系 P Lの結像面に向けて多数のピ ンホール又はスリッ卜の像を形成するための結像光束を光軸 A Xに対して斜め 方向より照射する照射系 6 0 aと、 それらの結像光束のウェハ W表面での反射 光束を受光する受光系 6 0 bとからなる射入射方式の多点焦点位置検出系 (以 下、 単に 「焦点位置検出系」 と呼ぶ) が設けられている。 なお、 本実施形態の 焦点位置検出系 (6 0 a、 6 0 b ) と同様の多点焦点位置検出系の詳細な構成
は、 例えば特開平 6— 2 8 3 4 0 3号公報及びこれに対応する米国特許第 5 , 4 4 8, 3 3 2号等に開示されている。 本国際出願で指定した指定国又は選択 した選択国の国内法令が許す限りにおいて、 上記公報及び米国特許における開 示を援用して本明細書の記載の一部とする。
なお、 上記公報及び米国特許に記載の多点焦点位置検出系は、 露光領域 I A 内で少なくとも非走査方向に離れて設定される複数点でそれぞれ投影光学系 P Lの光軸 A Xと平行な方向 (Z軸方向) に関するウェハ Wの位置情報を検出す るだけでなく、走査方向のウェハ Wの起伏を先読みする機能等を有しているが、 それらの機能は有していなくても良く、 また、 照射系 6 0 aによって照射され る光束の形状は、 平行四辺形その他の形状であっても良い。
主制御装置 5 0では、走査露光時等に、受光系 6 0 bからの焦点ずれ信号(デ フォーカス信号)、例えば Sカーブ信号に基づいて焦点ずれが零あるいは焦点深 度内となるように、 ウェハ Wの Z位置及び X Y面に対する傾斜をウェハステー ジ駆動部 (不図示) を介して制御することにより、 オートフォーカス (自動焦 点合わせ) 及びオートレべリングを実行する。 また、 主制御装置 5 0では、 後 述する波面収差の計測の際に、 焦点位置検出系 (6 0 a , 6 0 b ) を用いて波 面収差計測装置 8 0の Z位置の計測及び位置合わせを行う。 このとき、 必要に 応じて波面収差計測装置 8 0の傾斜計測も行うようにしても良い。
さらに、 露光装置 1 0 0は、 ウェハステージ W S T上に保持されたウェハ W 上のァライメン卜マーク及び基準マーク板 F M上に形成された基準マークの位 置計測等に用いられるオフ■ァクシス (off-axis) 方式のァライメント系 A L G を備えている。 このァライメント系 A L Gとしては、 例えばウェハ上のレジス 卜を感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、 その対象 マークからの反射光によリ受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標 の像とを撮像素子 (C C D等) を用いて撮像し、 それらの撮像信号を出力する 画像処理方式の F I A (Field Image Alignment) 系のセンサが用いられる。
なお、 F I A系に限らず、 コヒーレントな検出光を対象マークに照射し、 その 対象マークから発生する散乱光又は回折光を検出したり、 その対象マークから 発生する 2つの回折光 (例えば同次数) を干渉させて検出したりするァライメ ントセンサを単独であるいは適宜組み合わせて用いることは勿論可能である。 さらに、 本実施形態の露光装置 1 0 0では、 図示は省略されているが、 レチ クル Rの上方に、 投影光学系 P Lを介してレチクル R上のレチクルマークと対 応する基準マーク板上の基準マークとを同時に観察するための露光波長を用い た T T R (Through The Reticle)ァライメント系から成る一対のレチクルァラ ィメン卜検出系が設けられている。 これらのレチクルァライメント検出系とし ては、例えば特開平 7— 1 7 6 4 6 8号公報及びこれに対応する米国特許第 5 , 6 4 6 , 4 1 3号などに開示されるものと同様の構成のものが用いられている。 出願で指定した指定国又は選択した選択国の国内法令が許す限りにおいて、 上 記公報及び米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。 前記制御系は、 図 1中、 前記主制御装置 5 0によって主に構成される。 主制 御装置 5 0は、 C P U (中央演算処理装置)、 R O M (リード'オンリ 'メモリ)、 R A M (ランダム■アクセス 'メモリ) 等からなるいわゆるワークス亍ーショ ン (又はマイクロコンピュータ) 等から構成され、 前述した種々の制御動作を 行う他、 装置全体を統括して制御する。 主制御装置 5 0は、 例えば露光動作が 的確に行われるように、 例えば、 ウェハステージ W S Tのショット間ステツピ ング、 露光タイミング等を統括して制御する。
また、 主制御装置 5 0には、 例えばハードディスクから成る記憶装置 4 2、 キーポード, マウス等のボインティングデバイス等を含んで構成される入力装 置 4 5及び C R Tディスプレイ (又は液晶ディスプレイ) 等の表示装置 4 4が 接続されている。 また、 主制御装置 5 0には、 L A Nなどの通信ネットワーク を通じてワークステーションやパーソナルコンピュータ等のシミュレーション 用コンピュータ 4 6が接続されている。 このシミュレーション用コンピュータ
4 6には、 露光装置 1 0 0の光学モデルが設定された結像シミュレーションソ フトウエア、 すなわち結像シミュレータがインス I ^一ルされている。
次に、 メンテナンス時などに行われる露光装置 1 0 0における波面収差の計 測方法について説明する。なお、以下の説明においては、説明の簡略化のため、 波面収差計測装置 8 0内の受光光学系 8 4の収差は無視できるほど小さいもの とする。
通常の露光時には、 波面収差計測装置 8 0は、 ウェハステージ W S Tから取 リ外されているため、 波面計測に際しては、 まず、 オペレータあるいはサービ スエンジニア等 (以下、 適宜 「オペレータ等」 という) によりウェハステージ WS Tの側面に対して波面収差計測装置 8 0を取り付ける作業が行われる。 こ の取り付けに際しては、 波面計測時に波面収差計測装置 8 0が、 ウェハステー ジ W S Tの移動ストローク内に収まるように、 所定の基準面 (ここでは + Y側 の面) にボル卜あるいはマグネッ卜等を介して固定される。
上記の取り付け終了後、 オペレータ等による計測開始のコマンドの入力に応 答して、 主制御装置 5 0では、 ァライメント系 A L Gの下方に波面収差計測装 置 8 0が位置するように、 ウェハステージ駆動部 (不図示) を介してウェハス テージ W S Tを移動させる。 そして、 主制御装置 5 0では、 ァライメント系 A L Gにより波面収差計測装置 8 0に設けられた不図示の位置合わせマークを検 出し、 その検出結果とそのときのウェハ干渉計 5 4 Wの計測値とに基づいて位 置合わせマークの位置座標を算出し、 波面収差計測装置 8 0の正確な位置を求 める。 そして、 波面収差計測装置 8 0の位置計測後、 主制御装置 5 0では以下 のようにして波面収差の計測を実行する。
まず、 主制御装置 5 0は、 不図示のレチクルローダによリピンホールパター ンが形成された不図示の計測用レチクル(以下、 「ピンホールレチクル Jと呼ぶ) をレチクルステージ R S T上にロードする。 このピンホールレチクルは、 その パターン面の複数点にピンホール (ほぼ理想的な点光源となって球面波を発生
するピンホール) が形成されたレチクルである。 なお、 例えば中心が投影光学 系 P Lの光軸 A Xと一致するようにピンホールレチクルが設定されるとき、 複 数のピンホールは照明領域 I A R内に配置され、 かつその投影像が投影光学系 P Lの視野内で波面収差を計測すべき複数点 (後述の第 1〜第 n計測点) にそ れぞれ形成されるようになっている。
なお、 ここで用いられるピンホールレチクルには、 上面に拡散面を設けるな どして、 投影光学系 P Lの瞳面のほぼ全面にピンホールパターンからの光を分 布させることで、 投影光学系 P Lの瞳面の全面で波面収差が計測されるように なっているものとする。 なお、 本実施形態では投影光学系 P Lの瞳面近傍に開 口絞り 1 5が設けられているので、 実質的に開口絞り 1 5で規定されるその瞳 面で波面収差が計測されることになる。
ピンホールレチクルのロード後、 主制御装置 5 0では、 前述のレチクルァラ ィメン卜検出系を用いて、 ピンホールレチクルに形成されたレチクルァライメ ントマークを検出し、 その検出結果に基づいて、 ピンホールレチクルを所定の 位置に位置合わせする。 これにより、 ピンホールレチクルの中心と投影光学系 P Lの光軸とがほぼ一致する。
この後、 主制御装置 5 0では、 光源 1 6に制御情報 T Sを与えてレーザビー 厶 L Bを発光させる。 これにより、 照明光学系 1 2からの照明光 E Lが、 ピン ホールレチクルに照射される。 そして、 ピンホールレチクルの複数のピンホー ルから射出された光が投影光学系 P Lを介して像面上に集光され、 ピンホール の像が像面に結像される。
次に、主制御装置 5 0は、ピンホールレチクル上のいずれかのピンホール(以 下においては、 着目するピンホールと呼ぶ) の像が結像する結像点に波面収差 計測装置 8 0の開口 8 2 aのほぼ中心が一致するように、 ウェハ干渉計 5 4 W の計測値をモニタしつつ、 ウェハステージ駆動部 (不図示) を介してウェハス テージ W S Tを移動する。 この際、 主制御装置 5 0は、 焦点位置検出系 (6 0
a , 6 0 b ) の検出結果に基づいて、 ピンホール像が結像される像面に波面収 差計測装置 8 0のカバーガラス 8 8の上面を一 させるべく、 ウェハステージ 駆動部 (不図示) を介してウェハステージ W S Tを Z軸方向に微少駆動する。 このとき、 必要に応じてウェハステージ W S Tの傾斜角も調整する。 これによ り、 着目するピンホールの像光束がカバーガラス 8 8の中央の開口を介して受 光光学系 8 4に入射し、 受光部 8 6を構成する受光素子によって受光される。 これを更に詳述すると、 ピンホールレチクル上の着目するピンホールからは 球面波が発生し、 この球面波が、 投影光学系 P L、 及び波面収差計測装置 8 0 の受光光学系 8 4を構成する対物レンズ 8 4 a、 リレーレンズ 8 4 b、 ミラー 8 4 c、 コリメータレンズ 8 4 dを介して平行光束となって、 マイクロレンズ アレイ 8 4 eを照射する。 これにより、 投影光学系 P Lの瞳面がマイクロレン ズアレイ 8 4 eにリレーされ、 分割される。 そして、 このマイクロレンズァレ ィ 8 4 eの各レンズ素子によってそれぞれの光が受光素子の受光面に集光され、 該受光面にピンホールの像がそれぞれ結像される。
このとき、投影光学系 P Lが、波面収差の無い理想的な光学系であるならば、 投影光学系 P Lの瞳面における波面は理想的な波面 (ここでは平面) になり、 その結果マイク口レンズァレイ 8 4 eに入射する平行光束が平面波となリ、 そ の波面は理想的な波面となる害である。 この場合、 図 3 Aに示されるように、 マイクロレンズアレイ 8 4 eを構成する各レンズ素子の光軸上の位置にスポッ ト像 (以下、 「スポット」 とも呼ぶ) が結像する。
しかるに、 投影光学系 P Lには通常、 波面収差が存在するため、 マイクロレ ンズアレイ 8 4 eに入射する平行光束の波面は理想的な波面からずれ、 そのず れ、すなわち波面の理想波面に対する傾きに応じて、図 3 Bに示されるように、 各スポッ 卜の結像位置がマイクロレンズアレイ 8 4 eの各レンズ素子の光軸上 の位置からずれることとなる。 この場合、 各スポットの基準点 (各レンズ素子 の光軸上の位置) からの位置のずれは、 波面の傾きに対応している。
そして、 受光部 86を構成する受光素子上の各集光点に入射した光 (スポッ 卜像の光束) が受光素子でそれぞれ光電変換され、 該光電変換信号が電気回路 を介して主制御装置 50に送られる。 主制御装置 50では、 その光電変換信号 に基づいて各スポットの結像位置を算出し、 更に、 その算出結果と既知の基準 点の位置データとを用いて、 位置ずれ (△ , Δ τ?) を算出して RAMに格納 する。 このとき、 主制御装置 50には、 ウェハ干渉計 54 Wのそのときの計測 値 (Xi, Yi) が供給されている。
上述のようにして、 1つの着目するピンホール像の結像点における波面収差 計測装置 80による、 スポット像の位置ずれの計測が終了すると、 主制御装置 50では、 次のピンホール像の結像点に、 波面収差計測装置 80の開口 82 a のほぼ中心が一致するように、 ウェハステージ WS Tを移動する。 この移動が 終了すると、 前述と同様にして、 主制御装置 50により、 光源 1 6からレーザ ビーム L Bの発光が行われ、 同様にして主制御装置 50によって各スポッ卜の 結像位置が算出される。 以後、 他のピンホール像の結像点で同様の計測が順次 行われる。
このようにして、 必要な計測が終了した段階では、 主制御装置 50の RAM には、前述した各ピンホール像の結像点における位置ずれデータ (Δ^, Α η ) と、 各結像点の座標データ (各ピンホール像の結像点における計測を行った際 のウェハ干渉計 54Wの計測値 (Xi, Yi)) とが格納されている。 なお、 上記 計測時に全てのピンホールに照明光 E Lを同時に照射しても良いが、 可動レチ クルブラインド 30 Bを用いて、 レチクル上の着目するピンホールのみ、 ある いは少なくとも着目するピンホールを含む一部領域のみが照明光 E Lで照明さ れるように、 例えばピンホール毎に、 レチクル上での照明領域の位置や大きさ などを変更しても良い。
次に、 主制御装置 50では、 RAM内に格納されている各ピンホール像の結 像点における位置ずれデータ (Δ , Δ 77) と、 各結像点の座標データとに基
づいて、 以下に説明する原理に従ってピンホール像の結像点に対応する、 すな わち投影光学系 P Lの視野内の第 1計測点 (評価点) 〜第 n計測点 (評価点) に対応する波面 (波面収差)、 ここでは、 後述する式 (3) のフリンジツェル二 ケ多項式 (以下、 適宜 「ツェルニケ多項式 J と略述する) の各項 (ツェルニケ 項) の係数、 例えば第 1項の係数 〜第 3 7項の係数 Z37 を変換プログラム に従って演算する。 本実施形態では、 ツェルニケ多項式として、 フリンジツエ ルニケ多項式を採りあげて、 以下説明を行うものとする。
本実施形態では、 上記の位置ずれ (Δ , Α η) に基づいて、 変換プログラ ムに従った演算により投影光学系 P Lの波面を求める。すなわち、位置ずれ(△ ξ, Α η) は、 波面の理想波面に対する傾斜をそのまま反映した値になり、 逆 に位置ずれ (厶 , Δ ?7) に基づいて波面を復元することができる。 なお、 上 述した位置ずれ (△ , Δ ?7) と波面との物理的な関係から明らかなように、 本実施形態における波面の算出原理は、 周知の Shack-Hartmannの波面算出 原理そのものである。
次に、 上記の位置ずれに基づいて、 波面を算出する方法について、 簡単に説 明する。
上述の如く、 位置ずれ (△ , Δ τ?) は波面の傾きに対応しており、 これを 積分することにより波面の形状 (厳密には基準面 (理想波面) からのずれ) が 求められる。 波面 (波面の基準面からのずれ) の式を W (x, y) とし、 比例 係数を kとすると、 次式 (1 )、 (2) のような関係式が成立する。
^ = k—- …ひ)
ox
A r dW ヽ
^ = k-— …
スポット位置のみでしか与えられていない波面の傾きをそのまま積分するの は容易ではないため、 面形状を級数に展開して、 これにフィットするものとす
る。 この場合、 級数は直交系を選ぶものとする。 ツェルニケ多項式は軸対称な 面の展開に適した級数で、 円周方向は三角級数に展開する。 すなわち、 波面 W を極座標系 ( , Θ ) で表すと、 次式 (3 ) のように展開できる。 (ρ,θ) =∑Ζί/ί (ρ,θ) -(3) 直交系であるから各項の係数 Z i を独立に決定することができる。 ί を適当 な値で切ることはある種のフィルタリングを行うことに対応する。 なお、 一例 として第 1項〜第 3 7項までの f i ( p , Θ ) を独立変数とする動径多項式) を係数 Z i とともに例示すると、 次の表 1のようになる。 但し、 表 1中の第 3 7項は、実際のツェルニケ多項式では、第 4 9項に相当するが、本明細書では、 i = 3 7の項 (第 3 7項) として取り扱うものとする。 すなわち、 本発明にお いて、 ツェルニケ多項式の項の数は、 特に限定されるものではない。
Z2 p COS Θ Z20 (5p5-4p3) sin 3Θ
Z3 p sin G Z21 (15p6-20p4+6p2) cos 2Θ
Z4 2p2-l Z22 (15p6-20p4+6p2) sin 2Θ
Zs p2 cos 2Θ Z23 (35p7-60p5+30p3-4p) cos Θ
Z6 p2 sin 2Θ Z24 (35p7-60p5+30p3-4p) sin Θ
Z7 (3p3-2p) cos Θ Z25 70p8-140p6+90p4-20p2+l
Zs (3p3-2p) sin Θ Z26 p5 cos 5Θ
Z9 6p4-6p2+l Z27 p5 sin 5Θ
Zio p3 cos 3Θ Z28 (6p6-5p4) cos 4Θ
Zn p3 sin 3Θ Z29 (6p6-5p4) sin 4Θ
Zl2 (4p4-3p2) cos 2Θ Z30 (21p7-30p5+10p3) cos 3Θ
Zi3 (4p4-3p2) sin 26 Z31 (21p7-30p5+10p3) sin 3Θ
Z14 (10p5-12p3+3p) cos Θ Z32 (56p8-105p6+60p4-10p2) cos 2Θ
Z15 (10p5-12p3+3p) sin Θ Z33 (56p8-105p6+60p4-10p2) sin 2Θ
Z16 20p6-30p4+12p2-l Z34 (126p9-280p7+210p5-60p3+5p) cos Θ
Z17 p4 cos 4Θ Z35 (126p9-280p7+210p5-60p3+5p) sin Θ
Zis P4 sin 4Θ Z36 252p10-630p8+560p6-210p4+30p2-l
Z37 924p12-2772p10+3150p8-1680p6+420p4-42p2+l 実際には、 その微分が上記の位置ずれとして検出されるので、 フイツティン グは微係数について行う必要がある。 極座標系 (x = yO c o s 0 , y = s i
n Θ ) では、 次式 (4 )、 ( 5 ) のように表される。
dW dW n \ W . n
= cos0 sm0 · · · (4)
dx dp p 39
dW dW . n I dW n
=■—— - sm& +— cos y · · · (5)
dy dp p ΘΘ
ツェルニケ多項式の微分形は直交系ではないので、 フィッティングは最小二 乗法で行う必要がある。 1つのスポット像の結像点の情報 (ずれ量) は Xと Y 方向につき与えられるので、 ピンホールの数を n ( nは、 投影光学系 P Lの視 野内の計測点 (評価点) の数に対応しており、 本実施形態では、 説明の簡略化 のために nは例えば 3 3とする) とすると、 上記式 (1 ) (5 ) で与えられ る観測方程式の数は 2 η ( = 6 6 ) となる。
ツェルニケ多項式のそれぞれの項は光学収差に対応する。しかも低次の項( i の小さい項) は、 ザイデル収差にほぼ対応する。 ツェルニケ多項式を用いるこ とにより、 投影光学系 P Lの波面収差を求めることができる。
上述のような原理に従つて、 変換プログラムの演算手順が決められておリ、 この変換プログラムに従った演算処理により、 投影光学系 P Lの視野内の第 1 計測点〜第 n計測点に対応する波面の情報 (波面収差)、 ここでは、 ツェルニケ 多項式の各項の係数、 例えば第 1項の係数 〜第 3 7項の係数 Z 3 7 が求めら れる。
前記記憶装置 4 2内には、 投影光学系 P Lの波面収差変化表のデータベース が記憶されている。 ここで、 波面収差変化表とは、 投影光学系 P Lと実質的に 等価なモデルを用いて、 シミュレーションを行い、 このシミュレーション結果 として得られた、 パターンの投影像のウェハ上での形成状態を最適化するのに 使用できる調整パラメータの単位調整量の変化と、 投影光学系 P Lの視野内の 複数の計測点それぞれに対応する結像性能、 具体的には波面のデータ、 例えば ツェルニケ多項式の第 1項〜第 3 7項の係数の変動量との関係を示すデータを 所定の規則に従って並べたデータ群から成る変化表である。
本実施形態では、上記の調整パラメータとしては、可動レンズ 1 3 ;L , 1 3 2 ,
1 33, 1 34、 1 35 の各自由度方向(駆動可能な方向)の駆動量 z θ X I ,
Θ I Z 2 s 0 X2、 Θ 2 s Z 3 0 X 3、 0 y 3、 Z4、 0 X4% Z 5、
0 X5、 0 ys と、 ウェハ W表面 (ウェハステージ WS T) の 3自由度方向の駆 動量 Wz、 W0 x, W0 y s 及び照明光 E Lの波長のシフト量△スの合計 1 9 のパラメータが用いられる。
ここで、 上記の波面収差変化表のデータベースの作成手順について、 簡単に 説明する。 まず、 特定の光学ソフトがインストールされているシミュレ一ショ ン用コンピュータに、 露光装置 1 00の光学条件 (例えば、 投影光学系 Pしの 設計値(開口数 N. に や各レンズデータなど)、コヒーレンスファクタ σ値(照 明 σ) 又は照明光学系の開口数 Ν. 、 及び照明光 ELの波長 (露光波長) λ 等) を入力する。 次に、 シミュレーション用コンピュータ 46に、 投影光学系 Ρしの視野内の任意の第 1計測点のデータを入力する。
次いで、 可動レンズ 1 3ι〜 1 35 の各自由度方向 (可動方向)、 ウェハ W表 面の上記各自由度方向、 照明光の波長のシフト量のそれぞれについての単位量 のデータを入力する。 例えば可動レンズ 1 3i を Z方向シフトの +方向に関し て単位量だけ駆動するという指令を入力すると、 シミュレーション用コンビュ ータ 46により、 投影光学系 P Lの視野内の予め定めた第 1計測点についての 第 1波面の理想波面からの変化量のデータ、例えばツェルニケ多項式の各項(例 えば第 1項〜第 37項) の係数の変化量が算出され、 その変化量のデータがシ ミュレ一シヨン用コンピュータ 46のディスプレイの画面上に表示されるとと もに、 その変化量がパラメータ PARA 1 P 1 としてメモリに記憶される。 次いで、 可動レンズ 1 3ι を Y方向チルト (乂軸回リの回転0 ) の +方向 に関して単位量だけ駆動するという指令を入力すると、 シミュレーション用コ ンピュータ 46により、 第 1計測点についての第 2波面のデータ、 例えばツエ ルニケ多項式の上記各項の係数の変化量が算出され、 その変化量のデータが上 記ディスプレイの画面上に表示されるとともに、 その変化量がパラメータ P A
RA 2 P 1 としてメモリに記憶される。
次いで、 可動レンズ 1 3ι を X方向チルト (y軸回りの回転 0 y) の +方向 に関して単位量だけ駆動するという指令を入力すると、 シミュレーション用コ ンピュータ 46により、 第 1計測点についての第 3波面のデータ、 例えばツエ ルニケ多項式の上記各項の係数の変化量が算出され、 その変化量のデータが上 記ディスプレイの画面上に表示されるとともに、 その変化量がパラメータ P A RA3 P 1としてメモリに記憶される。
以後、 上記と同様の手順で、 第 2計測点〜第 n計測点までの各計測点の入力 が行われ、 可動レンズ 1 3ι の Z方向シフト、 Y方向チルト, X方向チルトの 指令入力がそれぞれ行われる度毎に、 シミュレーション用コンピュータ 46に よって各計測点における第 1波面、 第 2波面、 第 3波面のデータ、 例えばツエ ルニケ多項式の上記各項の係数の変化量が算出され、 各変化量のデータがディ スプレイの画面上に表示されるとともに、 パラメータ PARA 1 P 2, PAR
A 2 P 2, PARA3 P 2、 、 P A R A 1 P n , P A R A 2 P n , PAR
A 3 P nとしてメモリに記憶される。
他の可動レンズ 1 32, 1 33, 1 34, 1 35 についても、 上記と同様の手 順で、 各計測点の入力と、 各自由度方向に関してそれぞれ単位量だけ +方向に 駆動する旨の指令入力が行われ、 これに応答してシミュレーション用コンビュ ータ 46により、 可動レンズ 1 32, 1 33, 1 34, 1 35 を各自由度方向に 単位量だけ駆動した際の第 1〜第 n計測点のそれぞれについての波面のデータ. 例えばツェルニケ多項式の各項の変化量が算出され、 パラメータ (PARA 4
P 1 , PARA5 P 1 , PARA6 P 1 , , P A R A 1 5 P 1 )、 パラメ一 タ (PARA4 P 2, PARA5 P 2, PARA6 P 2, , P A R A 1 5
P 2)、 、パラメータ (P A R A 4 P n , P A R A 5 P n , P A RA 6 P n,
……, P ARA 1 5 P n) がメモリ内に記憶される。
また、 ウェハ Wについても、 上記と同様の手順で、 各計測点の入力と、 各自
由度方向に関してそれぞれ単位量だけ +方向に駆動する旨の指令入力が行われ、 これに応答してシミュレーション用コンピュータ 46により、 ウェハ Wを Z、 Θ x Θ yの各自由度方向に単位量だけ駆動した際の第 1〜第 n計測点のそれ ぞれについての波面のデータ、 例えばツェルニケ多項式の各項の変化量が算出 され、パラメータ(PARA 1 6 P 1 , PARA 1 7 P 1 , PARA 1 8 P 1 )、 パラメ一タ(PARA 1 6 P 2, PARA 1 7 P 2, PARA 1 8 P 2)、……、 パラメータ (PARA 1 6 P n, PARA 1 7 P n, PARA 1 8 P n) がメ モリ内に記憶される。
さらに、 波長シフトに関しても、 上記と同様の手順で、 各計測点の入力と、 単位量だけ +方向に波長をシフ卜する旨の指令入力が行われ、 これに応答して シミュレーション用コンピュータにより、 波長を +方向に単位量だけシフ卜し た際の第 1〜第 n計測点のそれぞれについての波面のデータ、 例えばツェル二 ケ多項式の各項の変化量が算出され、 PARA 1 9 P 1、 PARA 1 9 P 2, 、 P ARA 1 9 P nがメモリ内に記憶される。
ここで、 上記パラメータ P A R A i P j ( ί = 1〜1 9、 j =1〜n) のそ れぞれは、 37行 1列の列マトリックス (縦ベク トル) である。 すなわち、 n =33とすると、 調整パラメータ P A R A 1について、 次式 (6) のようにな る。 なお、 パラメータ PARA ί P jは、 いずれも列マトリックスであるが、 次式 (6) 以下の式では、 便宜上、 行マトリックスであるかのような表現形式 を採用している。
また、 調整パラメータ PARA2について、 次式 (7) のようになる。
PARA2Pl = [Zn Z12…… Z 1,37.
PARA2P2 = [Z21 Z2 • ^2,37 ]
■(7)
PARAlPn = [Z33>] Z 33,2 ■Z 33,37.
同様に、他の調整パラメータ PARA3〜PARA 1 9についても、次式(8) のようになる。
そして、 このようにしてメモリ内に記憶されたツェルニケ多項式の各項の係 数の変化量から成る列マトリックス (縦ベク トル) PARA 1 P "!〜 PARA
1 9 P nは、 調整パラメータ毎に纏められ、 1 9個の調整パラメータ毎の波面 収差変化表として並べ替えが行われる。 その結果、 列マトリックス (縦べク ト ル) PARA 1 P 1 ~PARA 1 9 P nを要素とする次式 (9) で示されるマ 卜リックス (行列) Oが作成される。 なお、 式 (9) では、 m= 1 9である。
PARAIP1 PARA2PI PARAmPl
PARAIP2 PARA2P2 PARAmPl
o = •(9)
PARAlPn PARAlPn PARAmPn
そして、 このようにして作成された、 投影光学系 P Lの波面収差変化表から 成るデータベースが、 記憶装置 42の内部に格納されている。
次に、本実施形態の露光装置 1 00のメンテナンス時などにおいて行われる、
投影光学系 P Lによるパターン像の結像状態を調整するための、 可動レンズ 1 3^ 1 35 などの前述の 1 9個の調整パラメータの設定方法、 すなわち投影 光学系 Pしの通常の調整方法について、 その原理説明を含めて詳述する。
まず、 前述した手順で投影光学系 P Lの波面収差を、 波面収差計測装置 80 を用いて計測する。 その計測結果、 すなわち投影光学系 P Lの視野内の第 1計 測点 (評価点) 〜第 n計測点 (評価点) に対応する波面 (波面収差) のデータ、 すなわちツェルニケ多項式の各項、 例えば第 1項の係数 〜第 37項の係数 Zs7 が求められ、 主制御装置 50の RAMなどのメモリ内に記憶される。 以下の説明においては、第 1計測点〜第 n計測点に対応する波面(波面収差) のデータを、 次式 (1 0) のような列マトリックス Qで表現する。
なお、 上式 (1 0) において、 マトリックス Qの要素 Ρι〜Ρη は、 それぞれ がツェルニケ多項式の第 1項〜第 37項の係数 (Zi Zs?) から成る列マト リックス (縦べク トル) である。
次に、 主制御装置 50により、 次のようにして前述した可動レンズ 1 3ι〜 1 35 の各自由度方向の調整量、 ウェハ Wの各自由度方向の調整量、 照明光 E Lの波長シフ卜量が演算される。
すなわち、 第 1計測点〜第 n計測点に対応する波面 (波面収差) のデータ Q と、 前述したデータベース (マトリックス O) と、 前述の 1 9個の調整量 Pと の間には、 次式 (1 1 ) のような関係が成立する。
Q = 0 ' P (1 1 )
上式 (1 1 ) において、 Pは、 次式 (1 2) で表される m個、 すなわち 1 9 個の要素から成る列マトリックス (すなわち縦ベク トル) である。
ADJl
ADJ2
P = •(12)
ADJm
従って、 上式 (1 2) より、 次式 (1 3) の演算を行うことにより、 すなわ ち最小二乗法により、 Pの各要素 AD J 1〜AD J m、 すなわち可動レンズ 1 3丄 〜 1 35 の各自由度方向の調整量 (目標調整量)、 ウェハ Wの各自由度方向 の調整量 (目標調整量)、及び照明光 E Lの波長シフト量(目標シフ卜量) を求 めることができる。
P= (OT ■ O) 1 ■ OT ■ Q ( 1 3)
上式 (1 3) において、 OT は、 行列 Oの転置マトリックスであり、 (OT - O) - 1 は、 (OT - O) の逆マトリックスである。
従って、 主制御装置 50は、 記憶装置 42内のデータベースを RAM内に順 次読み込みつつ、 調整量 A D J 1〜 A D J mを算出する。
次に、 主制御装置 50では、 記憶装置 42に記憶された調整量 A D J 1 〜A D J 1 5に従って、可動レンズ 1 3丄 〜 1 35 を各自由度方向に駆動すべき旨の 指令値を、 結像性能補正コントローラ 48に与える。 これにより、 結像性能補 正コントローラ 48により、可動レンズ 1 Si I 35 をそれぞれの自由度方向 に駆動する各駆動素子に対する印加電圧が制御され、可動レンズ 1 3 〜 1 35 の位置及び姿勢の少なくとも一方がほぼ同時に調整される。 これと同時に、 主 制御装置 50は、 実際の走査露光時には、 露光領域 I A内でウェハ Wが、 常に 調整量 A D J 1 6〜AD J 1 8によって調整されたのと等価な姿勢に保たれる ように、ウェハ Wを Ζ、 Θ x Θ yの各自由度方向に駆動するための指令値を、 ウェハステージ駆動部(不図示)に与えて、ウェハステージ WS Tを駆動する。 さらに、 上記の各動作と同時に、 主制御装置 50は、 調整量 A D J 1 9に従つ て光源 1 6に指令を与え、 照明光 E Lの波長をシフトする。 これにより、 投影
光学系 P Lの光学特性、 例えばディストーション、 像面湾曲、 コマ収差、 球面 収差、 及び非点収差等が補正される。 なお、 コマ収差、 球面収差、 及び非点収 差については、 低次のみならず高次の収差をも補正可能である。
次に、 本実施形態の露光装置 1 0 0で行われる直交 2軸方向のラインパター ンの像同士の線幅差の調整を目的とする、投影光学系 P Lの調整方法について、 図 4のフローチヤ一卜に沿って、 かつ適宜他の図面を参照しつつ説明する。 まず、 図 4のステップ 1 0 2において、 前述した手順で投影光学系 P Lの波 面収差が、 波面収差計測装置 8 0を用いて計測され、 その計測結果、 すなわち 投影光学系 P Lの視野内の π個 (ここでは n = 3 3とする) の計測点 (評価点) における、 ッヱルニケ多項式の各項、 例えば第 1項の係数 〜第 3 7項の係 数 Z 3 7 が求められ、 主制御装置 5 0の R A Mなどのメモリ内に記憶される。 次のステップ 1 0 4では、 次に説明する計測用レチクル RT (以下、 「レチク ル RT」 と略述する) がレチクルステージ R S T上にロードされるとともに、 計測用ウェハ (便宜上ウェハ WT と呼ぶ) がウェハステージ W S T上にロード される。 かかるレチクル RT のロードとウェハ Wt のロードは、 主制御装置 5 0の指示の下、 不図示のレチクルローダ、 ウェハローダによって行われる。 ここで、 レチクル RT について、 図 5に基づいて説明する。 この図 5は、 レ チクル RT を、 パターン面側から見た平面図である。 この図 5に示されるよう に、 レチクル RT は、 正方形のガラス基板から成り、 そのパターン面の中央部 に、 遮光帯 S Bで囲まれる、 照明領域 I A Rとほぼ同様の形状を有する長方形 のパターン領域 P Aが形成されている。 パターン領域 P Aの内部には、 合計 3 3個の計測用パターン M P i M P ^ が形成されている。 各計測用パターン M Pj ( j = 1〜3 3 ) は、 例えばレチクル RT (パターン領域 P A ) の中心が投 影光学系 P Lの光軸 A Xと一致するときに、 前述の波面収差が計測される投影 光学系 P Lの有効視野内の各計測点 (評価点) に対応する位置に配置されるよ うにその位置関係が設定されている。
各計測用パターン M Pj は、 図 5に示されるように、 Y軸方向に延びる設計 上の線幅が例えば 6 0 0 n mの第 1ラインパターンと、 X軸方向に延びる設計 上の線幅が例えば 6 0 0 n mの第 2ラインパターンとを含む。 投影光学系 P L の投影倍率を 1 4として、 これら第 1ラインパターンと第 2ラインパターン とをウェハ上に転写すると、 投影光学系 P Lに球面収差、 非点収差などの諸収 差が存在しない理想的な状態では、 第 1ラインパターンと第 2ラインパターン の像として、 線幅 1 5 0 n mのラインパターン像がそれぞれ得られることとな る。
また、 パターン領域 P Aの中心 (レチクルセンタに一致) を通る X軸上のパ ターン領域 P Aの両外側には、 レチクルァライメントマーク M 1、 M 2が形成 されている。 このレチクル RT は、 レチクルステージ R S T上にロードされた 状態では、 パターン面 (図 5における紙面手前側の面) が、 投影光学系 P Lに 対向する側の面となる。
図 5に戻り、 次のステップ 1 0 6では、 レチクルァライメントが行われる。 このレチクルァライメントは、 例えば特開平 7— 1 7 6 4 6 8号公報及びこれ に対応する米国特許第 5 , 6 4 6 , 4 1 3号などに詳細に開示されるように、 主制御装置 5 0が、 前述のレチクルァライメント検出系を用いて、 レチクル R τ に形成されたレチクルァライメントマ一ク M 1、 M 2とこれらに対応してゥ ェハステージ W S T上の基準マーク板 F M上に形成された基準マークとの位置 ずれをそれぞれ検出し、 その検出結果に基づいて、 位置ずれがともに最小にな るように、 レチクルステージ R S Tの X Y面内の位置 (0 z回転を含む) を調 整することにより行われる。 このレチクルァライメントにより、 レチクル RT の中心と投影光学系 P Lの光軸とがほぼ一致する。
次のステップ 1 0 8では、 所定の照明条件下で照明領域 I A R内に配置され たレチクル RT の各計測用パターン M Pjが投影光学系 P Lを介してウェハ WT 上に、 レチクルステージ R S T及びウェハステージ W S Tが静止したまま転写
され、 パターン領域 P A内の計測用パターン M Pj の像 (潜像) が、 ウェハ WT 表面に塗布されたポジレジスト層に形成される。 なお、 レチクル RT 上のパタ ーン領域 P Aの転写に先立って、 主制御装置 5 0では、 焦点位置検出系 (6 0 a , 6 0 b ) の検出結果に基づいて、 計測用パターン M Pj の像が結像される 像面にウェハ WT の表面を一致させるベく、 ウェハステージ駆動部 (不図示) を介してウェハステージ W S Tを Z軸方向に微少駆動し、 必要に応じてウェハ ステージ W S Tの傾斜角も調整する。 なお、 ウェハステージ W S Tをステツピ ング移動させて、 ウェハ WT 上の複数の領域にレチクル RT のパターン領域 P Aを、 順次転写しても勿論良い。
次のステップ 1 1 0では、 上記のレチクル RT 上の計測用パターン M Pj が 転写されたウェハ WT が、 主制御装置 5 0からの指示に基づき、 ウェハステ一 ジ WS Tからアンロードされ、 露光装置 1 0 0にインラインにて接続されてい る不図示のレジス卜塗布現像装置 (コータ 'デベロツバ) に不図示の搬送系に よって送られる。
次のステップ 1 1 2では、 主制御装置 5 0が不図示のコ一タ 'デベロツバの 制御系に指示を与え、 この指示に基づいて不図示のコータ 'デベロツバによつ てウェハ WT 上に計測用パターン M Pj のレジス卜像が形成される。
次のステップ 1 1 4では、 その現像後のウェハ WT が、 前述と同様にして再 びウェハステージ W S T上にロードされる。
次のステップ 1 1 6では、 ウェハ WT 上の計測用パターン M Pj のレジス卜 像の線幅計測が行われる。 この線幅計測は、 一例として、 主制御装置 5 0によ リ、 ウェハステージ W S Tを X Y面内で移動しつつ、 ウェハ WT 上の少なくと も 1つの計測用パターン M Pj のレジスト像を、 ァライメント系 A L Gを用い て順次撮像し、 その撮像の結果得られた撮像信号に基づいて所定の処理 (演算 を含む) を行うことにより行われる。 この結果、 投影光学系 P Lの評価点 (計 測点) 毎、 すなわち計測用パターン M Pj 毎に第 1ラインパターンの像 (この
場合レジス卜像) の線幅である第 1の線幅 L 1と第 2ラインパターンの像 (こ の場合レジスト像) の線幅である第 2の線幅 L 2が求められ、 RAMなどのメ モリ内に格納される。
次のステップ 1 1 8では、 主制御装置 50は、 上で求めた各計測用パターン MPj についての線幅 L 1と線幅 L 2とに基づいて、 各計測用パターン MPi についての線幅差 A L=L 1一し 2を求め、 RAMなどのメモリ内に格納する。
ここで、 ウェハ WT 上の複数の領域について、 上記の計測用パターン MPj の転写、 レジス卜像の形成が行われている場合には、 複数の領域のそれぞれに ついて、 上記の線幅計測、 線幅差の算出が行われる。 この場合、 複数の領域の それぞれから得られた各計測用パターン MPj についての線幅差の例えば単純 平均値を、 各計測用パターン MPj についての線幅差とすれば良い。 かかる場 合には、 平均化効果により、 計測誤差が低減され、 各計測用パターン MPj に ついての線幅差 (すなわち第 1ラインパターン (縦線パターン) の像の線幅と 第 2ラインパターン(横線パターン)の像の線幅との差(以下、 「縦横線の線幅 差」 とも呼ぶ)) をより精度良く求めることができる。
次のステップ 1 20では、 評価点毎に縦横線の線幅差 Δ Lと、 ツェルニケ多 項式の第 1 2項の係数 Z12の値 (大きさ) とに応じて、第 9項の係数 Z9 を設 定する。
ここでは、 いずれの評価点についても、 波面収差の計測結果として得られた 第 1 2項の係数 Z12 は零でない、すなわち表 1中に 4次(pの次数が 4次) c o s 20成分として表される高次非点収差が存在していたものとする。これは、 図 6のシミュレーション結果に示されるように、 Z12 が零、 すなわち Zi2 = OmAの場合、 4次 00成分である第 9項の係数 Z9 の大きさの如何にかかわ らず、 瞳面内の波面はいずれの方向についても同様の乱れ方になっている。 こ のことは、 Zi2 = 0、 すなわち図 6中の上段 (図 6 A〜図 6 C) では、 いずれ の図面にも複数の同心円から成る等高線図形が描かれていることからわかる。
すなわち、 Z12が零では、 ここで目的にしている縦横線の線幅差の制御(調 整) は、 困難であるから、 いずれの評価点についても、 波面収差の計測結果と して得られた第 1 2項の係数 Z12 は零でないものとしたのである。現実の投影 光学系では、 視野内のいずれの評価点においても、 波面収差を展開したツェル ニケ多項式の第 1 2項の係数 Z12 は零でないことが通常であり、このような仮 定は、 実情にあっているものと言える。
また、 本実施形態において、 第 9項の係数 Z9 を設定するとは、 次のような 処理を行うことを意味する。
すなわち、 評価点毎に、 縦横線の線幅差 Δしと、 ッヱルニケ多項式の第 12 項の係数 Z12の値(大きさ) とに応じて、 所定の演算を行い、第 9項の係数 Z
9 の変化量の目標値 、 r2 ……、 rn (n = 33) を算出し (この算出方 法の根拠については後述する)、 その他の項の変化量の目標値を零とする次式
(1 4) で表されるような波面収差の変化量の目標値 Q' を算出する。
上式 (1 4) において、 各要素 Ρι'、 P2'、 '、 Pn' (n =33) は、 そ れぞれが、 次式 (1 50、 ( 1 52)、 ……、 ( 1 5n) で表される 37行 1列の 列マトリックス (列ベクトル) である。
上記の式 (1 5^ (1 52)、 、 (1 5η) からも分かるように、 各要素 Ρι\ Ρ2' Ρη' は、 各評価点 (計測点) における、 ツェル二ケ多項 式の第 9項以外の係数が全て零で、第 9項の係数が rj ( j = 1 33) である 37行 1列の列マトリックス (列べクトル) であると見なすことができる。 従って、 この場合の各調整パラメータの調整量を列マトリックス P' であら わすと、 前述のマトリックス Oを用いて、 次式 (1 6) の関係が成立する。
Q' =0■ P' (1 6)
上式 (1 6) において、 P' は、 次式 (1 7) で示される列マトリックスで め 。
次のステップ 1 2.2では、 主制御装置 50が、 上式 (1 6) を最小二乗法で 解いて、 各調整量からなる列マトリックス P' を求める。 すなわち、 次式 (1 8) の演算を行う。
P, = (OT ■ O) 1 ■ Οτ ■ Q' (1 8) 次のステップ 1 24では、主制御装置 50が、上で算出した P'、すなわち調 整量 A DJ 1〜ADJ 1 5、 A D J 1 9に従って、 前述と同様にして可動レン ズ 1 〜1 35 などの調整各部を制御して投影光学系 P L等を調整した後、一 連の処理を終了する。 なお、 ウェハの位置及び姿勢に関する調整量 A D J 1 6 〜調整量 1 8については、 後述する走査露光時のウェハステージ WS Tの位置 制御に用いるため、 RAM又は記憶装置 44に記憶しておく。 これにより、 投 影光学系 P Lの視野内の 33個の評価点における波面収差、 具体的にはツェル ニケ多項式の第 9項の係数が r j 分だけ変動するような投影光学系 P Lの調整 が終了する。
この結果、 調整が終了した投影光学系 P Lを用いて、 縦線 (V線) パターン と横線 (H線) パターンとが混在するレチクル R上の回路パターンをウェハ W 上に転写することにより、 それらの縦線 (V線) パターンの像と横線 (H線) パターンの像との線幅差 (縦横線の線幅差) が設計値に近づくように、 例えば 零に近づくように補正される。
ここで、 上述した投影光学系 Pしの調整により、 縦横線の線幅差を補正でき る理由について詳述する。
図 6の下段 (図 6 D〜図 6 F) には、 高次非点収差項であるツェル二ケ多項 式の第 1 2項の係数 Z12=+2 OmAの場合の、低次球面収差項であるツェル
ニケ多項式の第 9項の係数 Z9 の変化に応じた瞳面内の波面の変化の様子 (シ ミュレーシヨン結果) が示されている。 この内、 図 6 Dは、 Z 9 =— 2 0 m ;i の場合を示し、 図 6 Eは、 Z 9 = O m ;iの場合を示し、 図 6 Fは、 Z 9 = + 2 0 Γη λの場合を示す。
これらの図から明らかなように、 第 1 2項成分が零でないときに第 9項を変 化させると、 足し合わされた波面の形状は、 縦方向と横方向とで異なる。
第 1 2項の符号が正のとき、 例えば図 6 Εに示されるように、 瞳の左右は位 相が正、 上下は位相が負となる。 一方、 第 9項の符号が正のとき、 例えば図 6 Cに示されるように、 瞳の外周縁部は位相が正となり、 第 9項の符号が負のと きは、 例えば図 6 Αに示されるように、 瞳の外周縁部は位相が負となる。 従つ て、 第 1 2項の符号が正のとき、 第 9項の符号が正なら、 瞳の左右では第 1 2 項による位相変化と第 9項による位相変化はともに正方向で強め合うが、 瞳の 上下では第 1 2項による位相変化は負で、 第 9項による位相変化は正なので互 いに弱め合う。 この場合、 例えば図 6 Fに示されるように瞳の左右方向で波面 が大きく乱れ、 上下方向の波面の乱れが小さくなる。
ここで、 レチクル上の縦線 (V線) パターンは横方向に空間周波数成分を持 つため、 縦線 (V線) パターンからは左右方向に回折光が発生し、 横線 (H線) パターンは、 縦方向に空間周波数成分を持っため、 横線 (H線) パターンから は上下方向に回折光が発生する。
従って、 上述した如く、 第 9項と第 1 2項の符号が等しい場合 (図 6 Fのよ うな場合) には位相変化が大きい左右方向に回折光が発生する縦線パターンの 像のコントラストが低くなリ、 線幅が細くなる。 これに対して、 位相変化が小 さい上下方向に回折光が発生する横線パターンの像のコントラス卜低下は殆ど ないので、 線幅はほぼ設計値通りになる。 この結果、 縦横線の線幅差は、 負の 値になる。
上記と反対に、 第 1 2項の符号が正のとき、 第 9項の符号が負なら、 瞳の左
右では第 1 2項による位相変化は正で、 第 9項による位相変化は負なので互い に弱め合うが、 瞳の上下では第 1 2項による位相変化と第 9項による位相変化 はともに負で強め合う。 この場合、 例えば図 6 Dに示されるような瞳面内の波 面分布となる。 この場合には位相変化が大きい上下方向に回折光が発生する横 線パターンの像のコントラストが低くなリ、 線幅が細くなる。 これに対して、 位相変化が小さい左右方向に回折光が発生する縦線パターンの像のコントラス ト低下は殆どないので、 線幅はほぼ設計値通りになる。 この結果、 縦横線の線 幅差は、 正の値になる。
以上のことより、 第 9項と第 1 2項がともに零でないとき、 瞳の上下方向と 左右方向の波面の乱れ方は、 第 9項と第 1 2項の符号の正負に応じて異なり、 この点に着目して、 第 1 2項の値を固定したままの状態で、 比較的調整が容易 な第 9項 (低次球面収差成分) を調整することにより、 縦横線の線幅差を調整 できることがわかる。
上述した第 9項 の次数が 4次の 0 0成分) と第 1 2項 ( の次数が 4次 の 2 0成分 (c o s 2 0成分)) の位相変化の方向差は、 pの次数を下げて、 第 4項 の次数が 2次の 0 0成分のデフォーカス項:係数 Z 4 ) と第 5項 p の次数が 2次の 2 0成分 (c o s 2 0成分) の低次非点収差項:係数 Z 5 ) の 相関との比較を考えると理解し易い。
第 5項の符号が正のとき、 例えば図 7 Eに示されるように、 瞳の左右方向の 位相は正、 上下方向の位相は負である。 一方、 第 4項の符号が正のとき、 例え ば図 7 Cに示されるように、 瞳の外周縁部の位相は正であり、 第 4項の符号が 負のとき、 例えば図 7 Aに示されるように、 瞳の外周縁部の位相は負である。 このため、 第 5項と第 4項との符号が等しい図 7 Fのような場合には、 瞳の左 右方向の位相変化は大きく、 上下方向の位相変化は小さい。 これと反対に、 第 5項と第 4項との符号が等しくない (逆である) 図 7 Dのような場合には、 瞳 の左右方向の位相変化は小さく、 上下方向の位相変化が大きい。
ところで、 第 5項が零でないときには、 その係数 Z5 の値に応じて縦線バタ ーンと横線パターンとでべス卜フォーカス位置が異なるため、 第 4項を変化さ せると、 縦線 (V線) パターンと横線 (H線) パターンの像の線幅の差 (線幅 差) が、 デフォーカス、 すなわち第 4項の変化に応じて生じる。 すなわち、 線 幅がデフォーカスによって変化する場合には、 図 8の CD—フォーカス線図に 示されるように、 第 4項が 0でないフォーカス位置では、 第 5項による縦線パ ターンと横線パターンとのべストフォーカス位置の差に対応して縦線パターン の像 (V) と横線パターンの像 (H) との線幅の差が生じる。 これが、 通常み られる、 20成分である非点収差存在時の、 00成分変化 (デフォーカス) に 伴う、 縦線パターンの像と横線パターンの像の線幅への影響の差である。 これ より、 低次の非点収差成分第 5項が零でないとき、 デフォーカスを示す第 4項 を調整することで、 縦線パターンの像と横線パターンの像との線幅差を小さく できることは明らかであろう。
図 9には、 波長 248. 3 nmの K r Fレーザを光源とし、 照明 σ = 0. 7 5の 2Ζ3輪帯照明条件、 投影光学系 P Lの開口数 (N.A.) =0. 68の場 合に、 前述の計測用レチクル RT 上のパターンを転写して得られるレジスト像 の線幅計測の結果得られる、縦横線の線幅差の実験結果の一例が示されている。 また、 図 1 0には、 図 9の Ζι2 = 4 θΓπλ、 2 OmA , OmAの部分 (上 3段 の部分) がより詳細に示され、 図 1 1には、 図 9の Z12=— 2 Omえ、 -40 の部分 (下 2段の部分) がより詳細に示されている。 図 1 0、 図 1 1にお いて、 各等高線マップにおける横軸は、 第 4項の係数 Z4 を示し、 縦軸は第 5 項の係数 Z 5 を示す。
これらの説明からわかるように、 図 9は、 第 9項の係数 Z9 と第 1 2項の係 数 Z12 の値を、それぞれ ±4 θΓϊΐλの範囲内でかつ 2 OmAステップで変化さ せたそれぞれの Z9、 Z12 の組み合わせについて、 Z4 と Z5 とがそれぞれ変 化したときの縦横線の線幅差の関係を示す図である。 図 9中の各領域内に付さ
れたハッチング等は、 図 9の下欄に示されるような縦横線の線幅差を示す。 線 幅差の値が正の領域は、 縦線 (V線) パターンの像の線幅が横線 (H線) バタ ーンの像の線幅より太いことを、 線幅差の値が負の領域は、 縦線 (V線) パタ ーンの像の線幅が横線 (H線) パターンの像の線幅より細いことを、 それぞれ 示す。
図 1 2Aには、 図 9における左上に示される Ζΐ2 = 4 θΓηλ、 Ζ9=— 40 m lの等高線マップが取り出して示され、 図 1 2 Cには、 図 1 2八の〇—0線 に対応する C D—フォーカス線図が示されている。 また、 図 1 2Βには、 図 1 0における上段中央に示される Ζΐ2 = 4 θΓπλ、 Ζ9 = OmAの等高線マップ が取り出して示され、 図 1 2 Dには、 図 1 2 Bの D— D線に対応する CD—フ オーカス線図が示されている。 これらの図から明らかなように、 図 9の各等高 線マップは、 Z12、 Z9のある組み合わせ条件下において、デフォーカス項(係 数 Z4) と低次非点収差項 (係数 Z5) との変化に応じて、 V線パターンの像と H線パターンの像との線幅差(以下、 「VH差」 とも呼ぶ)がどのように変化す るかを示す図である。
Zi2の値が 0のとき(図 9中の上から 3段目に並ぶ 5つの等高線マップ)で は、 z9 の値がそれぞれのマップで異なっているが、 図 1 0の下段の各マップ に示されるように、 どのマップのどのフォーカス位置でも、 Z5 の値が 0であ れぱ、 VH差は生じない。
これに対して、 Z12が 0でないとき、例えば Z12=+4 OmAのときには、 図 1 0の上段の各マップから明らかなように、 Z5 = 0では Zi2に起因して V 線パターンと H線パターンとのベストフォーカス差が生じ、 Z4 の値によって 線幅の VH差が変化するが、 このときも、 各 Z4 における VH差の値は、 Z9 の大きさに依存して変化している。 この VH差の値の Z9 依存性がもっとも明 確にわかるのは、高次非点収差項の係数 Zi2の値の 1 2に相当する 2 θΓηλ の Ζ5 を与え、 高次非点収差項である第 1 2項による V線パターンと Η線バタ
ーンとのべストフォーカス差を低次非点収差項 (係数 Z5) で補正し、 線幅差 のフォーカス依存性がないようにした場合である。
線幅の VH差が Z9 の値に依存し、 Z12 が正の値のときには V線パターンの 像の線幅は H線パターンの像の線幅より細く、逆に Z12 が負のときには V線は H線より太く、 先に図 6を用いて説明した内容が裏付けられることがわかる。 発明者等が行った実験の結果、 球面収差 Z9 項の大きさを、 ベストフォー力 ス差 (照明 σ=0. 4の通常照明条件下での線幅 0. 72〃mラインアンドス ペースパターン (LZSパターン) と線幅 1. 4 m LZSパターンとのべス 卜フォーカス位置の差) で、 一 0. 1 8 j(imから一 0. 02 jC/mへと変更する ことにより、 線幅の VH差を 27 nmから 7〜8 n mへと低減できることが確 認された。
以上説明したことから、 前述した如く、 投影光学系の視野内の評価点毎に、 縦横線の線幅差 (VH差) 厶しと、 ツェルニケ多項式の第 1 2項の係数 Z12 の値 (大きさ) とに応じて、 所定の演算を行い、 第 9項の係数 Z9 の変化量の 目標値 、 r2、 ……、 rn (n = 33) を算出し、 その算出した第 9項の係 数 Z9 の変化量の目標値に基づいて、 前述の投影光学系の調整を行うことによ リ、 縦横線の線幅差を調整できることが裏付けられた。
ところで、本実施形態の露光装置 1 00では、半導体デバイスの製造時には、 デバイス製造用のレチクル Rがレチクルステージ RS T上に装填され、その後、 レチクルァライメント及びいわゆるベースライン計測、 並びに EG A (ェンハ ンス卜■グローバル ·ァライメント) 等のウェハァライメントなどの準備作業 が行われる。
なお、 上記のレチクルァライメント、 ベースライン計測等の準備作業につい ては、例えば特開平 7— 1 76468号公報及びこれに対応する米国特許第 5, 646, 41 3号などに詳細に開示され、また、これに続く EG Aについては、 特開昭 61—44429号公報及びこれに対応する米国特許第 4, 780, 6
1 7号等に詳細に開示されており、 本国際出願で指定した指定国又は選択した 選択国の国内法令が許す限りにおいて、 上記各公報並びにこれらに対応する上 記米国特許における開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
その後、 ウェハァライメント結果に基づいて、 ステップ'アンド■スキャン 方式の露光が行われる。 なお、 露光時の動作等は通常の走査型露光装置と異な ることがないので、 詳細説明については省略する。 但し、 本実施形態の露光装 置 1 0 0では、 上記のステップ■アンド,スキャン方式の露光に際し、 前述し た図 4のフローチヤ一卜で示される調整方法により調整された投影光学系 P L が用いられ、 また、 走査露光時に露光領域 I Aにおけるウェハ Wの位置及び姿 勢が、 算出された調整量 A D J 1 6 ~ A D J 1 8に基づいて制御される。 これ により、 本実施形態では、 レチクル Rに形成された回路パターン中の縦線バタ ーンと横線パターンとの像の線幅差が低減された状態で、 これらの像 (潜像) がウェハ W上の各ショッ卜領域に形成される。
これまでの説明から明らかなように、 本実施形態では、 可動レンズ 1 3丄〜 1 3 5、 ウェハステージ W S T、 光源 1 6によって調整部が構成され、 可動レ ンズ 1 3 ι〜 1 3 5、 ウェハステージ WS Tの Ζ、 θ X , Θ y方向の位置 (ある いはその変化量)、及び光源 1 6からの照明光の波長のシフト量が調整量となつ ている。 そして、 上記各調整部と、 可動レンズを駆動する駆動素子及び結像性 能補正コントローラ 4 8、 ウェハステージ W S Tを駆動するウェハステージ駆 動部 (不図示) とによって、 像形成状態調整装置が構成されている。 また、 主 制御装置 5 0によって、 この像形成状態調整装置を制御する制御装置が構成さ れている。 しかしながら、 像形成状態調整装置の構成は、 上記のものに限定さ れるものではなく、例えば調整部として可動レンズ 1 3 ~ 1 3 5 のみを含んで いても良い。 かかる場合であっても、 投影光学系の結像性能 (諸収差) の調整 は可能だからである。
また、 本実施形態では、 ウェハ上に形成された計測用パターンのレジスト像
を撮像するァライメント系 A L Gと、 このァライメント系 Aし Gによる撮像信 号に基づいて計測用パターンに含まれる縦線パターンと横線パターンとのレジ スト像の線幅を算出する主制御装置 5 0とによって、 線幅計測装置が構成され ている。 なお、 線幅計測装置として、 例えば露光装置 1 0 0の外部に設けられ た専用の計測装置 (S E Mなど) を用いても良い。
なお、 これまでの説明では、 投影光学系 P Lの調整等に際して行われる波面 収差の計測は、 波面収差計測装置 8 0を用い、 ピンホール及び投影光学系 P L を介して形成された空間像に基づいて行うものとしたが、 これに限らず、 例え ば米国特許第 5, 9 7 8, 0 8 5号などに開示されている特殊な構造の計測用 マスクを用い、 そのマスク上の複数の計測用パターンのそれぞれを、 個別に設 けられたピンホール及び投影光学系を順次介して基板上に焼き付けるとともに、 マスク上の基準パターンを集光レンズ及びピンホールを介することなく、 投影 光学系を介して基板上に焼き付けて、 それぞれの焼き付けの結果得られる複数 の計測用パターンのレジス卜像それぞれの基準パターンのレジスト像に対する 位置ずれを計測して所定の演算によリ、波面収差を算出することとしても良い。 以上詳細に説明したように、 本実施形態に係る投影光学系 P Lの調整方法に よると、 例えば投影光学系 P Lの調整が困難な高次非点収差 (第 1 2項) の存 在に起因して生じる前述の縦横線の線幅差を、 調整が容易な低次球面収差 (第 9項) の大きさを制御するように投影光学系 P Lを調整することで、 制御する ことが可能となる。 従って、 従来困難とされていた、 縦線パターンと横線バタ ーンとの像の線幅差の制御を自在にかつ確実に行うことが可能となる。
また、 本実施形態に係る露光装置 1 0 0及びその露光方法によると、 波面収 差計測装置 8 0により投影光学系 P Lの波面収差が計測される。 また、 計測用 レチクル RT の計測用パターンが投影光学系 P Lを介してウェハ W上に転写さ れ、 そのウェハを現像後にウェハ上に形成された計測用パターンのレジスト像 が、 主制御装置 5 0によってァライメント系 A L Gを用いて撮像され、 その撮
像信号に基づいて計測用パターンに含まれる縦線パターンと横線パターンとの レジスト像の線幅がそれぞれ算出される。
そして、 主制御装置 5 0では、 波面収差計測装置 8 0により計測された波面 収差を展開したツェルニケ多項式の第 1 2項である高次非点収差項 (第 1の光 学特性) が零でないとき、 その第 1 2項 (係数 Z 1 2 ) の値と、 上で計測された 縦線パターンの像の線幅である第 1線幅と横線パターンの像の線幅である第 2 線幅との差である線幅差とに応じて、 第 1 2項との相互作用により上記の線幅 差に影響を与えるツェルニケ多項式の第 9項である低次球面収差項 (第 2の光 学特性)の大きさを、前述の像形成状態調整装置を用いて制御する。すなわち、 調整が容易な低次球面収差の大きさを像形成状態調整装置を用いて制御するこ とで、 調整が困難とされている高次非点収差の存在に起因して生じる前述の線 幅差を、 制御することが可能となる。
そして、 レチクル Rの回路パターンを照明光 E Lで照明し、 その回路パター ンを、 調整後の投影光学系 P Lを介してウェハ W上に転写する。 これにより、 縦線パターンと横線パターンの転写像同士の線幅差が効果的に低減された良好 な露光を実現することができる。
なお、 上記実施形態では、 第 1の光学特性が波面収差を展開したッ: Lルニケ 多項式の第 1 2項である高次非点収差項であり、 第 2の光学特性がツェルニケ 多項式の第 9項である低次球面収差項である場合について説明したが、 本発明 がこれに限定されるものではない。 例えば、 第 1の光学特性として、 上記第 1 2項 の次数が 4次の c o s 2 0成分)と同じ yOの次数が 4次の 2 0成分(s i n 2 0成分) である第 1 3項を計測しても良い。 この場合、 第 2の光学特性 としては、 上記実施形態と同じ第 9項をそのまま用いることができる。 第 9項 と第 1 3項との相互作用により、 レチクル上で前述の縦線(V線)、横線(H線) に対してそれぞれ 4 5 ° で交差する方向の第 1の斜め線パターンとこれに直交 する第 2の斜め線パターンとの像の線幅差が影響を受ける。 従って、 上記実施
形態と同様に、ツェルニケ多項式の第 1 3項が零でないとき、その第 1 3項(係 数 Z13) の値と、 計測された第 1の斜め線パターン像の線幅である第 1線幅と 第 2の斜め線パターンの像の線幅である第 2線幅との差である線幅差とに応じ て、 ツェルニケ多項式の第 9項である低次球面収差項の大きさを、 前述の像形 成状態調整装置を用いて制御することで、 前述の線幅差を、 制御することが可 能となる。
この他、 第 1の光学特性を、 波面収差を展開したッ: cルニケ多項式の上記第 1 2項、 第 1 3項以外の pの次数が m (m≥4) の 2回回転対称成分とし、 第 2の光学特性を、 第 9項以外の前記 2回回転対称成分と同一次数の回転対称成 分としても良い。このようにしても、第 1の光学特性の大きさが零でないとき、 その第 1の光学特性の大きさと計測された直交 2軸方向のラインパターン同士 の像の線幅差とに応じて、 第 2の光学特性を制御するように投影光学系 P Lを 調整することにより、 上記実施形態と同等の効果を得ることができるものと推 測される。
さらに、 前述の縦横線の線幅差 (VH差) に影響を与える第 1の光学特性と 第 2の光学特性の組み合わせとして、 これまでに説明したツェルニケ多項式の 第 9項と第 1 2項の他、 第 6項 (係数 Z6) と第 1 8項 (係数 Z18)、 第 1 3項 (係数 Z13) と第 1 8項 (係数 Z18)、 第 1 2項 (係数 Z12) と第 1 7項 (係 数 Z17) などの組み合わせが挙げられる。
発明者等は、 波面収差を展開したツェルニケ多項式の項 (ツェルニケ項) の 組み合わせが VH差の原因となるかを、 効率的に判断するため、 VH差の原因 となる組み合わせを体系的に発見するためのシミュレーションを行った。 図 1 3には、光源が A r Fエキシマレ一ザ(波長 1 93 nm)、投影光学系 P Lの開口数 (N. A.) =0. 68、 照明び=0. 85、 2Z3輪帯照明条件に て、 ウェハ上換算値で線幅 1 40 nm (マスクバイアス: + 40 n mを含む) の孤立線 (2 imピッチ) をレチクルパターンとし、 透過率が 6%のハーフト
—ン型の位相シフトマスク (レチクル) を用いて、 ウェハ上で孤立線の線幅を 1 0 0 n mに仕上げるときの収差間のクロスタームの計算結果が、 図表にて示 されている。 この図 1 3において、 Z i ( i = 4〜2 0 ) は、 ツェル二ケ項第 i項を示す。
この図 1 3において、 斜めの境界線の右上側が横線、 左下側が縦線に対する 各収差(ツェルニケ項)のクロスタームの大きさである。この図 1 3の表よリ、 第 9項 (Z 9 ) と第 1 2項 (Z 1 2 ) の組み合わせのクロスタームは、 横線で 7 5 9、 縦線で一 7 5 9となっており、 ちょうど符号が反転していることがわ かる。
この他にも、 前述した第 6項 (Z 6 ) と第 1 8項 (Z 1 8 )、 第 1 3項 (Z 1 3 ) と第 1 8項 (Z 1 8 )、 第 1 2項 (Z 1 2 ) と第 1 7項 (Z 1 7 ) などの組 み合わせで、 縦横線のクロスタームの符号が反転しており、 V H差の原因とな ることがわかる。
第 1の光学特性と第 2の光学特性との組み合わせとしては、 上述した種々の ツェルニケ項同士の組み合わせが考えられるが、 これに限らず、 第 1の光学特 性を非点収差とし、 第 2の光学特性を球面収差としても良い。 このようにして も、 非点収差と球面収差との相互作用が、 縦線パターンと横線パターンとの像 の線幅差に影響を与えることを考えれば、投影光学系の光学特性の計測の結果、 非点収差が存在するとき、 その非点収差の大きさと計測された直交 2軸方向の ラインパターン同士の像の線幅差とに応じて、 球面収差を制御するように投影 光学系 P Lを調整することにより、 線幅差を抑制することは可能である。
また、 この場合を考えれば明らかであるが、 投影光学系 P Lの光学特性計測 装置は、 波面収差計測装置に限らず、 投影光学系 P Lの球面収差、 非点収差な どのいわゆるザイデルの 5収差を計測するための装置であっても良い。例えば、 このような装置としては、 ウェハステージ WS T上にスリツ卜状あるいは矩形 状の開口パターンを形成し、 この開口パターンを投影光学系 P Lによって形成
された所定の計測用パターンの空間像に対して走査し、 開口パターンを介した 光を光電素子にて検出する、 いわゆる空間像計測器などが挙げられる。
なお、 上記実施形態では、 投影光学系 P Lの波面収差は波面収差測定器 8 0 を用いて直接計測するものとしたが、 これに限らず、 第 1 2項 (係数 Z 1 2 ) は 高次非点収差項であるから、 例えば周期方向の異なる複数種類の L Sパター ン (あるいは方向の異なる孤立ラインパターン) のべストフォーカス位置をそ れぞれ求め、 その結果得られる非点収差が、 低次非点収差項 (係数 Z 5 ) と高 次非点収差項 (係数 Z 1 2 ) との線形結合であると仮定した計算式の各未定係数 を最小二乗法などで算出することにより、 第 1 2項 (係数 Z 1 2 ) を近似的に求 めても良い。 上記の周期方向の異なる複数種類の L Z Sパターンのべストフォ 一カス位置は、 上記のパターンをウェハの光軸方向の位置を変えながらそのゥ ェハ上に焼き付けた結果得られるウェハ上の各ショッ卜領域に形成されたレジ スト像を S E Mなどで計測して、 求めても良いし、 前述の空間像計測器を用い て、 その空間像計測器の光軸方向の位置を変えながら上記のパターンの空間像 計測を行い、 その空間像の計測結果に基づいて求めても良い。
また、 線幅計測装置を上記実施形態と同様の構成で構成する場合に、 レジス 卜像に限らず、 ウェハ上に形成された前記縦線パターンと横線パターンとの潜 像あるいはエッチング像の線幅を計測しても良い。あるいは、線幅計測装置を、 前述の空間像計測装置によって構成しても良い。 この場合には、 例えば縦線パ ターンと横線パターンとの空間像を像面上に形成し、 その空間像の線幅を空間 像計測装置によって計測することとなる。 すなわち、 像の形成と線幅の計測と が同時に行われることとなる。
なお、 上記実施形態では、 説明の簡略化のため、 同一線幅の縦線パターンと 横線パターンとの像の線幅差がほぼ零となるような線幅差の制御を行う場合に ついて説明したが、 本発明の投影光学系の調整方法などでは、 これに限らず、 直交 2軸方向のラインパターン同士であれば、 線幅の如何にかかわらず (その
線幅が異なつていても)、それらの像同士の線幅差の制御を行うことが可能であ る。 線幅差の制御としては、 設計上の線幅差に正確に近づけるようなパターン 像の線幅差の制御が可能である。
また、 上記実施形態では、 オン 'ボディ (投影光学系が露光装置に搭載され た状態) で投影光学系の調整を行うものとしたが、 例えば露光装置 (特に投影 光学系) の製造工程などで、 露光装置への搭載前に投影光学系を単体で調整し ても良い。
ところで、直交 2軸方向のラインパターンの像同士の線幅差が生じる要因は、 投影光学系の収差によるものに限られず、 レチクル上のパターンの描画誤差に 起因する場合も考えられる。 このような要因に起因する、 直交 2軸方向のライ ンパターンの像同士の線幅差の低減のためにも、 本発明に係る投影光学系の調 整方法、 露光方法、 あるいは露光装置を用いることができる。 この場合には、 上記実施形態と同様にして計測された第 1の光学特性、 例えばツェル二ケ多項 式の第 1 2項の値と、 既知の第 1のラインパターンの線幅とこれに直交する第 2のラインパターンの線幅との差 (描画誤差) とに応じて、 第 1の光学特性と の相互作用によって投影光学系によって像面上に形成される前記第 1のライン パターンの像の線幅と前記第 2のラインパターンの像の線幅との差である線幅 差に影響を与える第 2の光学特性、 例えばツェルニケ多項式の第 9項の大きさ を制御するように投影光学系が調整される。 このため、 投影光学系によって像 面上に形成される第 1のラインパターンの像の線幅と第 2のラインパターンの 線幅との差である線幅差が、 レチクル上のパターンの描画誤差などに起因して 生じる場合に、 直交するラインパターン同士の線幅差を自在に制御することが 可能となる。
なお、 これまでの説明からもわかるように、 投影光学系の波面収差の情報を 得、 さらにパターンの投影像に関する情報を得、 さらにこれらの情報に基づい て、 投影光学系を調整する際に、 前記波面収差をツェルニケ多項式を用いて級
数展開した複数のツェルニケ項のうち、 その相互作用が前記投影像の特性に影 響を与える任意のツェルニケ項の組み合わせのクロスタームにおける前記投影 像の特性の変化に対するツェルニケ感度を考慮して前記投影光学系を調整する こととしても良い。 このようにしても、 従来考慮されていなかったその相互作 用がパターンの投影像の特性に影響を与える任意のツェルニケ項の組み合わせ のクロスタームにおける前記投影像の特性の変化に対するツェルニケ感度を考 慮して投影光学系を調整するので、 従来調整が困難であった収差成分、 例えば 高次収差成分などの調整も可能となリ、 パターンの像の形成状態がよリ良好と なるような投影光学系の調整が可能となる。 この場合において、 パターンが、 ラインパターンを含む場合、 前記投影像の特性として、 そのラインパターンの 線幅を少なくとも含む特性の変化に対する上記のツェルニケ感度を考慮するこ ととしても良い。 また、 この場合も調整された投影光学系を用いて回路パター ンをウェハ等の物体上に転写することとしても良い。 かかる場合にも、 高精度 なパターンの転写を実現することが可能となる。
ところで、 縦横線の線幅差だけでなく、 孤立のラインパターンの像の線幅な ども、 デフォーカス量による影響を受ける。 そこで、 発明者等は、 前述の C D —フォーカス曲線を求めるため、 実験を行った。
露光条件としては、光源が A r Fエキシマレ一ザ(波長 1 9 3 n m)、投影光 学系 P Lの開口数 (N . A . ) = 0 . 7 8、 照明 σ = 0 . 8 5、 2 3輪帯照明 条件、 対象パターンが 6 ο/οハーフ! ^一ンマスク (レチクル) に形成される、 ゥ ェハ上換算値で線幅 1 0 0 n mの孤立線 (2 i mピッチ) を仮定した。 また、 露光量(スライスレベル)は、無収差でデフォーカスなしの条件で求め、 + 0 . 1 5 jU mデフォーカスした位置での線幅ばらつき A C Dを求めた。
単純にッヱルニケ項毎に例えば 5 O m Aの収差を光学シミュレ一シヨン用の コンピュータに入力してツェルニケ感度 (Zemike Sensitivity) を第 1項から 第 3 7項について求めると、 図 1 4のようになる。 この図 1 4において、 横軸
の Z. i ( ί = 1〜37) は、 各ツェル二ケ項を示す。
線幅ばらつき Δ C Dは、 従来のツェルニケ感度法 (Zemike Sensitivity法: 以下、 適宜 「ZS法」 と呼ぶ) では、 次式 (1 9) で表されるような Zernike Sensitivity (以下、 適宜「ツェルニケ感度」 又は 「ZSJ と略述する) Si ( i = 1〜37) と、 第 n計測点 (以下では計測点 nとも呼ぶ) における各ツェル ニケ項の大きさ Cn,i ( =係数 Zi)との線形結合で表現することができる。なお、 以下では、 Cn,iを各計測点のツェルニケ項の成分 (ツェルニケ項成分) と略述 する。
AC£> = XS;.C„,. ··· (19)
=1
しかしながら、 上式 (1 9) を用いた ZS法を用いた計算結果と、 適当な波 面収差を与えて直接空間像を計算する手法との間には、 図 1 5のグラフに示さ れるような乖離が見られる。 すなわち、 上式 (1 9) を用いた ZS法による計 算では誤差が大きすぎる。
このため、 発明者等は、 CD—フォーカス曲線を、 フォーカスと線幅を座標 軸とする 2次元面内で移動させて線幅を推定する方法を考えてみた。
上述したように、 Δ CDを直接ツェルニケ項成分の線形結合で表現する手法 による線幅予測誤差は大きいので、 ツェルニケ感度の算出と、 △ CDの計算と の間に、 CD—フォーカス曲線の平行移動という 1ステップを加え、 そのステ ップ (平行移動) 実行後の C D—フォーカス曲線に基づいて、 △ CDを算出す るという手法を採用することとした。
例えば、 CD—フォーカス曲線の移動に関しては、 各計測点 nのフォーカス 方向の移動量 (αη) と線幅 (CD) 方向の移動量 (j8n) をそれぞれツェル二 ケ感度で表現する。 次に例えば y= f (x) という関数であった CD—フォー カス曲線を平行移動して y= f (x-Qfn) + Snという CD—フォーカス曲線 を作成し、 新しくできた関数について△ CDを計算すれば良い。
《予測方法》
以下、 本発明の予測方法の一例に係る C D—フォーカス曲線の予測方法の実 施形態について、 その処理の流れを示すフローチャート (図 1 6、 図 2 4 ) に 沿つて、 かつ適宜他の図面を参照しつつ説明する,
本実施形態においても、 露光装置 1 0 0の前述の波面収差の各計測点 n ( n = 1〜3 3 ) について、 パターンの投影像の特性の 1つである、 C D—フォー カス曲線を、 ツエルニケ項成分 Cn,iを含む複数の項の線形結合を用いたッェル ニケ感度法を用いて予測する。 各ツェルニケ項成分 Cn,iとしては、 シミュレ一 シヨン用コンピュータ 4 6上の結像シミュレータによって予め求められたもの を用いても良いし、 前述のように、 波面収差計測装置 8 0による計測によって 求められた値を用いても良い。
まず、図 1 6のステツプ 2 0 2において、実際の露光時の光学条件(例えば、 照明光 E Lの波長、即ち露光波長(及び露光用の光源 1 6の種類など)、投影光 学系 P Lの最大 N . A . (開口数)、使用 N . A . (本実施形態では、 露光時に開 口絞り 1 5にて設定される開口数)、 コヒーレンスファクタ σ値(照明 σ ) 又は 照明 Ν . に (照明光学系の開口数)、 及びレチクルの照明条件 (照明光学系の 瞳面上での照明光 Εしの光量分布、 即ち 2次光源の形状や大きさ) など) 等を 含む露光条件を、 シミュレーション用コンピュータ 4 6にその入力装置を介し て設定する。 このとき、 シミュレーション用コンピュータ 4 6上では、 すでに 結像シミュレータが起動しており、 その画面上には、 結像シミュレータの露光 条件設定画面が表示されているものとする。 オペレータ等は、 その設定画面に したがって、 実際の露光に用いられる光学条件などを設定する。 なお、 この露 光条件の設定時には、 各計測点 η ( η = 1〜 3 3 ) にそれぞれ転写されるレチ クル上のパターンの形状、 寸法などのパターンに関する情報もここで併せて設 定する。 パターンに関する情報としては、 例えば、 孤立ラインパターン、 ライ ン .アンド 'スペース (L Z S ) パターン、 ラインパターンが直交している直
交パターンなどのパターン種別 (位相シフトパターンであるか否か及びその種 類なども含む)、 ラインパターンの線幅、長さ、 ピッチなどのパターンサイズ情 報などがある。 パターンの選択は、 評価すべき評価項目に応じて決定される。 例えば、 上述の動作と同様に縦横の線幅差を評価項目とするならば、 図 5に示 されるレチクル RTのような、 互いに直交するラインパターンが形成されたレ チクルを用いるものと仮定し、 そのレチクル上のパターンに関する情報を設定 する必要がある。 ここでは、 説明を簡単にするため、 計測点毎に同一サイズの 孤立ラインパターンが形成されたレチクルを用いるものとし、 そのレチクル上 のパターンの情報が設定されたものとする。
次のステップ 2 0 4において、 結像シミュレーションによリ投影光学系 P L が無収差のときの C D—フォーカス曲線の作成が行われる。 具体的には、 オペ レータ等は、 シミュレーション用コンピュータ 4 6に対し、 投影光学系 P Lが 無収差である場合の C D—フォーカス曲線の作成を入力装置を介して指示する。 この指示に応答して、 シミュレーション用コンピュータ 4 6は、 上記ステップ 2 0 2で設定された露光条件下で投影光学系 P Lを無収差と仮定した状態、 す なわち (すなわち式 (3 ) に示されるツェルニケ項成分 Z i ( i = 1 〜3 7、 す なわち Cn,i) をすベて 0にした状態) での、 デフォーカス量に対するラインパ ターンの線幅の変動、 すなわち C D—フォーカス曲線を結像シミュレータによ つて作成する。
次のステップ 2 0 6において、 シミュレーション用コンピュータ 4 6は、 作 成した C D—フォーカス曲線を、 次式 (2 0 ) に示される 1 0次関数でフイツ ティングする。 y = Cax10 + Cbx + Ccx6 + Cdx4 + Cex2 + Cf (20)
ここで、 Xは、 デフォーカス量であり、 yは、 そのデフォーカス量に対応す る対象パターン (上記ステップ 2 0 2においてパターン情報が設定されたライ ンパターン) の像の線幅であり、 Ca〜Cfは、 この 1 0次関数の各次の項の係数
である。 この式 (20) からも明らかなように、 この関数は、 2次から 1 0次 までの偶数次の項のみから成る関数である。 図 1 フ Aに、 このフィッティング の結果得られた 1 0次関数の一例が示され、 図 1 7 Bに、 その 1 0次関数と、 結像シミュレーシヨンによって得られた C D—フォーカス曲線とのフイツティ ング誤差の一例が示されている。 図 1 7 Bに示されるように、 1 0次関数のフ イツティング誤差は、 ±0. 02 nm以下に収まっており、 フィッティング精 度が非常に高くなつているのがわかる。
次に、 ステップ 208において、 オペレータ等は、 シミュレーション用コン ピュータ 46を用いて、 デフォーカス量に対する、 各ツェルニケ項のツェル二 ケ感度 S o?iを空間像計算により求める。 ここで、ツェルニケ多項式で表現され た収差を例えば 1種類だけ入力して CD—フォーカス曲線を作ってみると、 項 ごとに異なる振る舞いをすることがわかる。 ここでは、 その振る舞いのうち、 べストフォーカス位置の変化を求める。
図 1 8には、そのツェルニケ感度 S Oiiが示されている。この図 1 8において、 横軸の Z. i ( i = 1〜37) は、 各ツェル二ケ項を示す。 図 1 8に示される ように、 デフォーカス量に対して感度があるのは、 ツェルニケ項 Z4、 Z9、 Z 16、 Z25、 Z36、 Z 37の回転成分や Z 5、 Zl2、 Ζπ、 Z2i、 Z28、 Z32などの 2回 回転成分、 すなわち偶数 0成分のみとなつている。 他 (奇数 0成分) はツェル ニケ感度が 0であるため、 CD—フォーカス曲線は、 フォーカス方向のシフト に関しては、 奇数 0成分には影響を受けず、 収差間のクロス項の影響を受ける こともない。
図 1 9には、 第 9項 (Z. 9)、 第 1 2項 (Z. 1 2)、 第 1 6項 (Z. 1 6) の 3種類の各ツェルニケ項を、 それぞれー5 θΓηλから 5 θΓηλまで 1 0 mス ピッチで 1 1点動かしたときのフォーカス方向の移動量( η)の変化の様子が 示されている。 図 1 9には、 各 1 1点での各移動量に基づいて最小二乗法を使 つて求められた直線の傾きも併せて示されている。 すなわち、 各直線の傾きが
それぞれのツェルニケ項の感度の値となる。なお、この図 1 9には、第 9項( Z . 9)、 第 1 2項 (Z. 1 2)、 第 1 6項 (Z. 1 6) の 3種類だけが代表的に示 されているが、 他のツェルニケ項についても収差量がこの範囲であれば、 ほぼ 完全に線形性が保たれていることが確認されている。 図 1 9からもわかるよう に、 相関係数 R2= 1なので、 通常のツェルニケ感度の計算では、 計算時間を 節約するために、 収差を 1値だけ入力して直線の傾きを求めれば良いが、 ここ では、 再確認と、 リ正確な値を導き出すことを目的に、 一 50m;i〜50m λまで 1 OmAピッチでフォーカス方向の移動量 ( η) を 1 1点計算して、 最 小二乗法を使って直線の傾き (すなわちツェルニケ感度の値) を計算した。 次に、 ステップ 21 0において、 シミュレーション用コンピュータ 46は、 各ツェルニケ項のツェルニケ感度 S と、 各計測点 η (η = 1〜33) におけ るツェルニケ項成分 Cn,i ( i = 1〜37) とを用いて、 総合焦点差 (T FD)、 非点収差、球面収差量などを求めるツェルニケ感度法と同様な式である次式(2 1 ) を用いて、 計測点 n (n = 1 ~33) における C D—フォーカス曲線のフ オーカス方向のずれ量 nを求める。
",,=∑ , C, (21)
(=1 '
ところで、 ツェルニケ項毎に一 5 Omス〜 5 Οηηλまで 1 OmAピッチで 1 1点収差を入力して、その振る舞いから^ η (べストフォーカス位置における線 幅の変化) と収差の関係を求めた場合、 収差の量がプラスであってもマイナス であっても影響が同じであることや、 収差が増えると比例関係以上に像の劣化 が観察されることから、 8ηは、 各ツェルニケ項成分の二乗の線形結合で表さ れるものと仮定することができる。
そこで、 次のステップ 21 2において、 オペレータ等は、 シミュレーション 用コンピュータ 46を用いて、 設定された露光条件下での、 ラインパターンの 線幅に対する、各ツェルニケ項成分の二乗のツェルニケ感度 S^iを、空間像計
算により求める。像計算で得た 1 1点の線幅変化量の計算に 2次関数を仮定し、 最小二乗法によって近似をしてみると、 図 20に示されるように、 y = s x2 という関数に乗っていることが観察される。なお、この図 20には、第 6項(Z. 6)、 第 7項 (Z. 7)、 第 9項 (Z. 9) の 3種類だけが代表的に示されてい るが、 他のツェルニケ項についても二次関数で表現できることが確認されてい る。 なお、 各ツェルニケ項の感度 S iSi ( i = 1〜37) を図 21に示す。 この 図 21において、 横軸の Z. i ( ί = 1〜37) は、 各ツェル二ケ項を示す。 図 2 1に示されるように、 この線幅変化に対しては、 奇数 0成分、 偶数 0成分 ともに感度がある。
次に、 ステップ 21 4において、 シミュレーション用コンピュータ 46は、 各計測点におけるツェルニケ項成分 Cn,iをメモリから読み出すとともに、 次式 (22) を用いて、 ラインパターンの線幅方向の CD—フォーカス曲線のずれ 量 iSnを求める。 ,,=∑ ", (22)
;=1
次に、 ステップ 21 6において、 シミュレーション用コンピュータ 46は、 上記ステップ 21 0で求めた ηと、上記ステップ 21 4で求めた Snとを用い て、 次式 (23) に基づき、 計測点 n (n = 1〜33) における CD—フォー カス曲線を求める。 これにより求められた CD—フォーカス曲線が、 計測点 η における投影光学系 P Lの収差を考慮したときに予想される各計測点 ηにおけ る C D—フォーカス曲線となる。 但し、 ここで求められた CD—フォーカス曲 線では、 未だその変形は考慮されていない。
yn =Ca(x- ° +Cb{x- anf +Cc(x- a +Cd(x~ a„) + Ce{x一 anf + Cf+ βη
-(23)
なお、 ySnを求める際には、 上述の式 (22) に代えて、 次式 (24) を用 いることもできる。
37 37
β„=∑∑ Sfi Cl iCnJ (24)
上述の式 (24) は、 互いに異なるツェルニケ項同士の積、 すなわち前述の クロスターム (クロス項) を考慮するように、 式 (22) を拡張したものであ る。 すなわち、 パターン像の線幅は、 式 (22) に示される各ッ: ϋルニケ項成 分の二乗だけでなく、 クロスタームの影響も受ける。 図 22Α、 図 22 Βのグ ラフに示されるように、 収差の組み合わせによっては、 線幅分布が傾いた楕円 上に分布していることがある (図 22 Αでは、 Ζ. 6と Z. 1 3との関係であ リ、 図 22 Bでは Z. 9と Z. 1 2との関係である)。 この場合には、 それらの 収差の組み合わせのクロスタームは、 線幅変化に対して感度を有することとな る。 図 23には、 ラインパターンの線幅に対する各クロスタームの感度 (クロ ストーク) が示されている。 なお、 式 (24) において、 1 = の5)8 のと ころには、 式 (22) の S Siと同じ値が入り、 式 (24) の中で、 2項だけ取 リ出すと、 例えば次式 (25) のような形となる。 βη = SPijCj + S t Cn j + Sfij'jC, 2 · · · (25)
これより、 図 22A、 図 22 Bのグラフに示されるような傾いた楕円分布の 表現が可能であることがわかる。 実際にクロスタームの計算をしてみると、 か なり多くの項の間でクロスタームが存在することを確認できる。
これまでの説明から明らかなように、 ある収差のツェルニケ項の CD—フォ 一カス曲線への影響は C D—フォーカス曲線のフォーカス方向への移動と最大 線幅の変化として表現できる。
次に、 図 24のステップ 302において、 シミュレーション用コンピュータ
46は、 結像シミュレータを用いた空間像計算により、 実際に収差が存在する 状態での投影光学系 P Lにおける C D—フォーカス曲線を計測点毎に求める。 実際の収差に闋する情報は、 前述のように求められた波面収差を、 主制御装置
50を介して、 記憶装置 42から読み出すことによって行なうようにしても良
い。
次いで、ステップ 304において、シミュレーション用コンピュータ 46は、 上記ステップ 302で結像シミュレータにより算出された CD—フォーカス曲 線と、 上述した式 (23) を用いて算出された CD—フォーカス曲線との差分 を表す差分関数 y' nを、 次式 (26) に示されるような、 5次関数で近似す る。
ァ'„ = γ5„(χ -ocnY + S4n(x - nY + γ3η (χ - αη )3 +δ2η(χ-αη)2 +γ\η χ- η) ---(26) ここで、 r 5n、 δ 4η% Ύ 3ns 62 n 1 ηは、 5次関数 y ' nの各次の項 の係数である。
この各係数 r5n、 δ 4„, 3 η. δ 2 ns r i nも、 ツェルニケ項成分 cn,i を含む項の線形結合で表現することができる。 具体的には、 奇数次の項 (以下 では奇数項とも呼ぶ) の係数 5 η、 3n r inは、 各ツェルニケ項成分 Cn,i の線形結合で表すことができ、 偶数次の項 (以下では偶数項とも呼ぶ) の係数 δ 4 ns δ 2ηは、各ツェルニケ項成分の二乗 Cn,i2の線形結合で表すことができ る。
そこで、次のステップ 306では、シミュレーション用コンピュータ 46は、 式 (26) で示される y' nの奇数項に着目し、 5次、 3次、 1次の係数 r5n、 r 3n, r inに対するツェルニケ項の感度 s r , s 3i, sriiを空間像計算 により求める。 図 25〜図 27には、 各ツェルニケ項の感度 S rsi, S si, s γ iiの一例がそれぞれ示されている。
次のステップ 308では、シミュレーション用コンピュータ 46は、関数 y' nの偶数項に着目し、 4次、 2次の係数 <54n, <52nに対する各ツェルニケ項 成分の二乗 Cn,i2の感度 S S4i, S (52iを空間像計算により求める。 図 28、 図 29には、 各ツェルニケ項成分の二乗 Cn,i2の感度 S δα, S 62iの一例がそれ ぞれ示されている。
そして、ステップ 31 0において、シミュレーション用コンピュータ 46は、 投影光学系 Pしの現在の収差状態での計測点 n (n = 1〜33) における、 5
次、 3次、 1次の係数 r5n、 3 Ύ 1 及び、 4次、 2次の係数 δ 4 n, <52nを、 次の式 (27)、 式 (28) を用いて求める。
/5„ =∑srsjcnJ, r\ =∑sr3JcnJ, γ\η =∑S c, ·'人 δ =∑ SS4JC S2n =∑ SS2JCn/ · . -(28)
以上により、 式 (23) に示される関数 ynと式 (26) で表される関数 y' nとの和を示す関数 y" „ (=yn+y' n) の各次の項の係数が全て計算され、 計測点 n (n = 1〜33) における C D—フォーカス曲線 (変形をも考慮した もの) がすべて予測されたことになる。
図 30には、設定された露光条件下で、各計測点 n (n = 1〜33)のうち、 代表的に示される計測点 k、 k+ 1 (k= 1〜32) の CD—フォーカス曲線 y" k, y" k+iを、 求める際の模式図が示されている。 図 30に示されるよう に、 本実施形態の予測方法では、 上述したステップ 202〜ステップ 31 0を 実行することにより、 投影光学系 Pしの収差が 0であると仮定した場合の CD 一フォーカス曲線を、 1 0次関数 yで近似し、 その 1 0次関数 yを、 計測点 k におけるッ ルニケ項成分 Ck,iの線形結合によって求められるデフォーカス量 (横軸) の方向及び線幅 (縦軸) の方向に、 それぞれ Qfk、 jSkだけずらし、 さ らに、 5次関数 y' k分変形させることによって計測点 kにおける関数 y" kを 予測している。 前述のように、 投影光学系 P Lの曈面上の波面は、 計測点によ つて異なるため、ツェルニケ項成分 C n,iも計測点によって異なる。したがって、 上述の y" kと y" k+iは、 違う曲線となる。
図 3 1 Aには、精密な結像シミュレーションによって算出された、計測点 1、 1 1、 1 7、 33における CD—フォーカス曲線の一例が示されており、 図 3 1 Bには、 上述の予測方法によって予測された同一露光条件、 同一パターンで の計測点 1、 1 1、 1 7、 33における CD—フォーカス曲線の一例が示され ている。 図 3 1 A、 図 31 Bに示されるように、 結像シミュレーションによる
C D—フォーカス曲線と、 上述の予測方法によって予測された C D—フォー力 ス曲線とは、 各計測点において良く一致しており、 精度良く C D—フォーカス 曲線を予測できているのがわかる。 すなわち、 上述の予測方法を実行すれば、 所定露光条件下での所定パターンの転写の際の、 C D—フォーカス曲線を精度 良く予測することが可能となる。
図 3 2には、 線幅ばらつき A C Dに関して、 上で説明した新たな Z S法を用 いた計算結果と、 適当な波面収差を与えて直接空間像を計算する手法との関係 が示されている。 この図 3 2と前述の図 1 5とを比較すると明らかなように、 新たな Z S法によると、 誤差が格段に低減されていることがわかる。
図 3 2からも明らかなように、 結像シミュレーションによる空間像計算を行 なわなくても、 Z S法を拡張することで線幅を正確に計算できることがわかる。 なお、 上述のステップ 2 0 2〜 3 1 0の説明では、 オペレータ等が介在する ことを前提として説明を行ったが、 オペレータ等は、 露光条件等の指定 (ステ ップ 2 0 2 ) のみを行い、 ステップ 2 0 4以降の処理は、 シミュレーション用 コンピュータ 4 6 (又はその他のコンピュータがシミュレーション用コンビュ 一夕と連携して) が全て行うようにすることも勿論可能である。 あるいは、 前 述のオペレータ等の操作に代えて、 ホス卜コンピュータなどから指令を与える ようにしても良い。 このような変形は、 ソフトウェアプログラムを変更するこ とによって容易に実現が可能である。
上述した露光条件等の指定以外の処理を、 シミュレーション用コンピュータ 4 6などのコンピュータに行わせるプログラムは、例えば C D (compact disc) , D V D (digital versatile disc) , M O (magneto-optical disc) ぁ し、は F D
(flexible disc) 等の情報記録媒体に記録した状態で讓渡(販売等) の対象にす ることができる。 勿論、 インターネットなどの電気通信回線を介してデジタル コンテンツとして譲渡等することもできる。
《評価方法》
上述のようにして予測された計測点 1〜計測点 nの CD—フォーカス曲線を 用いて、 露光装置 1 00におけるパターンの投影像 (又は転写像) の特性を評 価することが可能である。 例えば、 上述のように、 投影光学系 P Lの物体面側 で、 計測点 1〜nに対応する位置にそれぞれ孤立ラインパターンを配置した場 合を想定し、 計測点毎に CD—フォーカス曲線を予測すれば、 評価点毎に CD —フォーカス曲線のずれに基づいて、 露光領域 I A内における孤立ラインパタ ーンの像の特性、 例えば面内均一性を評価することができるようになる。
また、 図 5に示されるような、 計測点 1〜 nに対応する位置にそれぞれ互い に直交するラインパターンが配置されたレチクル RTを使用する場合を想定し、 縦ラインパターン、 横ラインパターンについてそれぞれ上述したステップ 20 2〜ステップ 3 1 0を実行して CD—フォーカス曲線を予測すれば、 前述の図 8に示されるような、 縦パターン及び横パターンの CD—フォーカス曲線が作 成され、 CDフォーカス曲線の差に基づいて各計測点における縦横線幅差を評 価することもできる。
すなわち、 縦線と横線それぞれの像の CD (線幅) 変化に対するツェルニケ 感度を求め、 収差 (ッ: nルニケ項) の組み合わせのクロスタームのッヱルニケ 感度 S jSi'j ( i ≠ j ) を求め、 その符号が縦横線で異なる組み合わせが、 VH 差に影響を及ぼす収差 (ツェルニケ項) の組合わせとして探し出せる。 この理 由は、 V線と H線とで、 式 (25) 中の第 2項以外は、 同一の値となるので、 VH差 =A CD (V) -ACD (H) の計算においても、 y8nに関しては、 縦 線と横線とでクロスタームの感度 S jSi'j ( i ≠ j ) の符号が異なる場合に、 線 幅差に影響を与えることとなるためである。
また、 計測点 1〜 nに対応する位置にそれぞれ LZSパターンを配置した場 合を想定し、 その LZSパターンの像の両端のラインパターン像についてそれ ぞれ C D—フォーカス曲線を予測すれば、 C Dフォーカス曲線の差に基づいて 各計測点における両端の像の線幅差を評価することができ、 これによリ例えば
投影光学系 P Lのコマ収差を評価できるようになる。
なお、 これまでの式 (21 )、 式(22) (又は式 (24))、式 (27)、式 (2 8) をまとめてマ卜リックス形式で表現すると、 以下の式 (29) のようにな る。
ただし、 W 、 Wj8、 \Νγ、 は、 それぞれ、 以下のようになる。
C 2
1,1 1,2 1,37 G 1,1 C12C, 1,1 1,37
ψβ または
33,1 C. 33,: 33,37 し 33,1 33,2し: 33,1 c 3.3,37
Wj8は、 式 (22) または式 (24) のいずれを選択するかで、 マトリック スが異なったものとなる。 なお、 上述の式 (29) は、 以下のように纏められ る。
f = Wa-ZS (30)
ここで、 f は、 CD フォーカス曲線の各係数のマトリックスであり、 Wa は波面収差に関するマトリックスであり、 ZSは、 ツェルニケ感度に関するマ トリックスである。
《調整方法》
次に、 上述の CD—フォーカス曲線の予測方法、 その予測方法によって予測 された CD フォーカス曲線に基づく露光装置 1 00におけるパターンの転写 状態を評価する評価方法を実行後、 その評価結果に基づいてパターンの転写状 態を調整する調整方法について説明する。 なお、 ここでは、 前述のステップ 1 02において設定した孤立ラインパターンの像における面内均一性を高めるこ とを目標として調整を行うものとする。
前述のように、 各計測点 n (n = 1 -33) に対応するパターンが全て均一 であっても、 各計測点間の CD フォーカス曲線がずれていれば、 その計測点 上に結像するパターン像は均一とはならない。 したがって、 本実施形態の調整 方法では、 上述のように予測された各計測点の C D フオーカス曲線ができる
だけ均一となるように、 露光装置 1 00におけるパターンの転写状態を調整す る。 以下では、 その調整方法について説明するが、 まず、 その調整方法に用い る算出式の根拠について説明する。
各計測点 n (n = 1〜33) における C D—フォーカス曲線を均一にするに は、 前述のように求めた、 n、 B n r5n、 δ 4η. 73 η. δ 2„ Γ 1 ηが、 各計測点において、 できるだけ同一となるように、 前述の 1 9個のパラメータ を調整すれば良い。 そこで、 各計測点 η (η = 1〜33) における αη、 β η、
Υ 5η δ 4η> 3 n δ 2ns "Τ 1 ηの目標値を計測点間で同一としたうえで、 an, B n T 5„ δ 4nx Ύ 3n. δ 2„ r " をそれぞれの目標値に近づける ことができるような調整パラメータの調整量を算出する。
上述のように各調整パラメータを調整した場合には、 投影光学系 P Lの波面 収差等が変化する。 計測点 n (n = 1〜33) における前述の 1 9個の調整パ ラメータ(これらをそれぞれ調整パラメータ PARA 1〜PARA 1 9とする) の単位調整量当たりの上述のマトリックス Waの各要素 (すなわち Cn,i ( i = 1〜37) を含む項) の変化) を、 それぞれマトリックス PARA 1 P' 〜P A R A 1 9 P' で表すと、 例えば PARA 1 P' は以下に示すようになる。
Wcc' 0 0 0 0 0 0
0 Ψβ' 0 0 0 0 0
0 0 W 0 0 0 0
PARA\P = 0 0 0 Wf 0 0 0 (31)
0 0 0 0 wy 0 0
0 0 0 0 o WS' 0
0 0 0 0 0 0 WS' ただし、 Wひ'、 \Νβ \Νγ \Νδ' は、 それぞれ、 以下に示されるように なる。
ここで、 各マトリックス War'、 \Ν β,、 Wr'、 W<5' の各要素に含まれる Z n,i ( n = 1〜 33、 i = 1〜 37 ) は、 調整パラメータ P A R A 1の計測点 n における Cn,iの変化である。
したがって、 次式 (32) に示されるように、 マトリックス PARA 1 P n' を上述した各係数の感度を要素とする列べク トル ZSに掛け合わせれば、 調整 パラメータ PARA 1の単位量当たりの計測点 nにおける係数の変化量 (例え [tan の列ベク トル B' [1 ] を求めることができる。
i)
33
3
B'[1] = PARA1F-ZS = (32)
1)
(PI)
同様に、 調整パラメータ PARA 2' 〜PARA 1 9' についても、 単位量 当たりの計測点 nにおける係数の変化量の列ベクトル B' [2] 〜Β' [1 9] が求まる。
ここで、 各調整パラメータの調整量の縦ベク トルを次式 (33) に示す縦べ ク卜ル Ρとする。
ADJI ADJ2
(33)
ADJi9
調整パラメータ PARA 1〜PARA 1 9の調整量に対する C D—フォー力 ス曲線の係数の変化 f ' は、 次式 (34) のようになる。
f= ADJ\ ' Β'[ϊ] + ADJ2 · B'[2] + ' --ADJ19 · Β'[ί9] (34)
ここでは、 調整パラメータの調整量と、 それに伴う CD—フォーカス曲線の 係数との上述した関係を利用し、 以下に示す計算を行って、 各計測点における パターンの均一化を図る。 すなわち、 C D—フォーカス曲線の各係数の目標値 の列べクトルを とし、現在の各係数の列べクトルを f とし、前述の列べク卜 ル B' [ 1;] 〜 B' [1 9] の 1次結合によって形成されるマトリックスを Bと すると、 それらの関係は、 次式 (35) で表される。
ft - f = B'P (35)
上式を最小二乗法で解くと、 次式 (36) のようになる。
Ρ = (Βτ·Β)-ι-Βτ■(/,-/) (36)
ここで、 ΒΤは、 前述のマトリックス Βの転置マトリックスであり、 (ΒΤ ·
Β) ま、 (ΒΤ ' Β) の逆マトリックスである。
この調整方法では、 主制御装置 50が、 上述の式 (36) を用いて、 調整量 の列べクトル Ρを求め、調整量 A D J 1〜調整量 A D J 1 9を算出する。なお、 式 (36) を用いて列ベクトル Pを求めるためには、 各計測点における CD— フォーカス曲線の各係数の目標値、すなわち列べクトル f tを決定する必要があ るが、 ここでは、 前述のように、 孤立ラインパターンの像の面内均一性を高め ることを目標としているため、 各計測点における関数 y" nについての各次の 係数の目標値をすベて同じ値に設定するようにすれば良い。
次に、 縦横線幅差を調整する場合の調整方法について説明する。 これには、 前述のように、 図 5に示されるようなレチクル RTの計測用パターンがそれぞ れ計測点 1〜 nに対応する位置に配置される場合を想定し、 前述の予測方法を 実行すれば、 同一計測点において、 ラインパターン毎に CD—フォーカス曲線 が得られる。
この場合にも、 上述の式 (36) と同様の式を用いて調整量 AD J 1〜調整 量 AD J 1 9を算出するが、 前述のように、 各計測点において、 2つの C D—
フォーカス曲線が得られるようになるため、係数マ卜リックス f t及び f の要素 数は、 上述の式 (3 0 ) における f の要素数 (3 3 X 7 = 2 3 1 ) の 2倍、 す なわち 4 6 2となり、 同一計測点における縦ラインパターン及び横ラインバタ ーンに対応する係数の目標値を同一の値とすれば、 縦横線幅差を最も低減する ことができる調整量 A D J 1〜A D J 1 9を算出することが可能となる。
次に、 主制御装置 5 0では、 記憶装置 4 2に記憶された調整量 A D J 1〜A D J 1 5に従って、 前述と同様に、 結像性能補正コントローラ 4 8により、 可 動レンズ 1 3 ι〜 1 3 5 の位置及び姿勢の少なくとも一方を調整し、上記の各動 作と同時に、 主制御装置 5 0は、 調整量 A D J 1 9に従って光源 1 6に指令を 与え、 照明光 E Lの波長をシフ卜する。
なお、 本実施形態では、 投影光学系 Pし等の調整後の状態で、 さらに、 上述 したステップ 2 0 2〜ステップ 3 1 0を実行して、 調整後の各計測点の C D— フォーカス曲線を予測し、 さらに上述した評価方法、 調整方法を繰り返し実行 し、 各計測点のパターンの転写状態を逐次接近的に均一化するようにしても良 い。
《露光方法》
半導体デバイスの製造時における露光工程では、 デバイス製造用のレチクル Rがレチクルステージ R S T上に装填され、 前述した動作により、 ステップ - アンド■スキャン式の露光が行われる。 なお、 本実施形態の露光装置 1 0 0で は、 上記のステップ■アンド■スキャン方式の露光に際し、 前述の露光領域 I A内におけるウェハ Wの位置及び姿勢を、 算出された調整量 A D J 1 6〜A D J 1 8に基づいて制御することは、 前述した通りである。
また、 本実施形態では、 露光条件の設定や、 レチクル Rの交換により、 実際 に転写する回路パターンが変更された場合には、 図 1 8、 図 2 1、 図 2 3、 図 2 5〜図 2 8に示される各ッ; Lルニケ項成分を含む項のツェルニケ感度が変化 するため、 それらの感度を求め直して、 改めて上述の予測方法、 評価方法、 調
整方法を実行する必要があることはいうまでもない。
以上詳細に説明したように、 上述の予測方法によれば、 投影光学系 P Lの波 面収差 W (p , Θ ) を級数展開して得られる各収差成分 Cn,i (n = 1〜33、 i = 1〜37) をそれぞれ含む複数の項の線形結合の値に基づいて、 投影光学 系 P Lを介して投影されるパターンの像に関する変動曲線としての CD—フォ 一カス曲線を求めることができる。 従って、 多大な計算時間を要する複雑な計 算を伴う結像シミュレーションを用いずとも、各収差成分 Cn,i(n = 1〜33、 ί = 1〜 37 )を含む項の線形結合の値を求めるという至極単純な演算によリ、 所定露光条件下での所定の収差状態にある投影光学系 P Lを介したバターンの 像に関する C D—フォーカス曲線を予測することが可能となリ、 その予測結果 に基づき、 パターンの投影像 (又は転写像) の特性を短時間に予測することが 可能となる。
また、 この予測方法によれば、 CD—フォーカス曲線の移動量だけでなく、 各収差成分 Cn,i (η = 1〜33、 ί = 1〜37) を含む項の線形結合に基づい て、 投影光学系 P Lの波面収差 W ρ , Θ ) に起因する CD—フォーカス曲線 の変形具合も算出するので、 CD—フォーカス曲線をさらに精度良く予測する ことができる。
また、 この予測方法によれば、 像サイズ軸方向 (線幅変化方向) に関する C D—フォーカス曲線の移動は、各収差成分の二乗 Cn,i2に感度があるだけでなく , 互いに異なる収差成分同士のクロス項にも感度があるので、 それらのクロス項 の線形結合をさらに考慮すれば、 像のサイズ軸方向の移動量をさらに精度良く 予測することができる。
また、 この予測方法によれば、 計測点 nにおける変動関数の変形具合を示す 差分関数 y' nの奇数次の項の係数は、 投影光学系 P Lの波面収差 W (p , Θ ) を展開したときの各ツェルニケ項成分 Cn,i (n= 1〜33、 i = 1〜37) に 感度があるため、 差分関数 y' nの奇数次の項の係数を、 各ツェルニケ項成分
Cn,iの線形結合によって予測することができる。 また、 差分関数 y ' nの偶数 次の項の係数は、各ツェルニケ項成分の二乗 Cn,i2に感度があるため、 その偶数 次の項の係数を、各ツェルニケ項成分の二乗 Cn,i2の線形結合によって予測する ことができるので、 短時間で、 かつ精度良く C D—フォーカス曲線の変形を予 測することができる。
また、 上述の評価方法によれば、 上述の予測方法を用いて、 所定露光条件下 で投影光学系 P Lを介して投影される所定バタ一ンの像についての C D—フォ 一カス曲線を、 投影光学系 P Lの有効視野内の各計測点についてそれぞれ短時 間に精度良く予測することができるようになるので、 その C D—フォーカス曲 線に基づいて、投影光学系 P Lの有効視野内における所定パターンの像の特性、 例えば均一性を、 短時間に、 精度良く評価することが可能となる。
また、 この評価方法を用いる調整方法によれば、 本実施形態の評価方法を用 いて、 投影光学系 P Lの有効視野内における所定パターンの像の均一性が評価 され、 その評価結果に基づいて、 投影光学系 P Lを介した所定パターンの像の 形成状態が調整される。 従って、 評価結果に応じて所定パターンの像の特性を 所望の状態、 例えば転写像の均一性が改善する方向に調整することが可能とな る。
また、 上記実施形態の予測方法では、 投影光学系 P Lが無収差である仮定し た場合に求めた C D—フォーカス曲線をフイツティングする関数として、 偶数 次の項のみ有する 1 0次関数を選択したが、 本発明はこれに限定されるもので はなく、 フィッティングする関数の最高次数は、 8次以下であっても良いし、 1 2次以上であっても良い。 いずれにしても、 C D—フォーカス曲線をフイツ ティングする関数は、 高次偶関数であれば良い。
また、上記実施形態の予測方法では、差分関数 y ' nを 5次の関数としたが、 これは 4次以下であっても良いし、 6次以上であっても良い。
また、 上記実施形態の予測方法では、 各計測点に対応する点に配置される計
測用レチクルのパターンを、 縦ラインパターン及び横パターン (すなわち交差 パターン) が 1つずつ設けられたパターン、 あるいは、 孤立ラインパターンと したが、 本発明はこれに限定されるものではなく、 複数の平行ラインパターン ( L Z Sパターン) であっても良いし、 交差パターンや平行ラインパターンが 組み合わされたパターンであっても良い。 また、 縦、 横だけでなく、 斜めに延 びるラインパターンが含まれていても良い。 なお、 L Z Sパターンを採用した 場合には、 その L Z Sパターンの両端のラインパターンの線幅をそれぞれ本実 施形態の予測方法で予測し、 それらの線幅差、 すなわち線幅異常値を本実施形 態の評価方法で評価し、 本実施形態の調整方法と同様に、 その評価結果に基づ いて、 パターンの像の形成状態を調整した上で、 線幅異常値の大きさを低減し たうえで、 露光を実行すれば、 高精度な露光が可能となる。
また、 上記実施形態の評価方法では、 ラインパターンの面内均一性、 縦横線 幅差、 線幅異常値を評価項目としたが、 本発明はこれに限定されるものではな く、 C D—フォーカス曲線に基づいて評価可能なあらゆる項目を評価項目とす ることができる。
なお、 上記実施形態の評価方法では、 所定露光条件下で投影光学系 P Lを介 して投影される所定パターンの像についての C D—フォーカス曲線を、 投影光 学系 P Lの有効視野内の各計測点についてそれぞれ短時間に精度良く予測し、 その C D—フォーカス曲線に基づいて、 投影光学系 P Lの有効視野内における 所定パターンの像の特性、 例えば均一性を評価する場合について説明したが、 本発明の評価方法がこれに限定されるものではない。 すなわち、 投影光学系 P Lの波面収差の情報を得、 さらにパターンの投影像に関する情報を得る。 そし て、 これらに基づいて、 波面収差をツェルニケ多項式を用いて級数展開した複 数のツェルニケ項のうち、 その相互作用が前記投影像の特性に影響を与える任 意のッ: Lルニケ項の組み合わせのクロスタームにおける前記投影像の特性の変 化に対するツェルニケ感度を考慮して前記パターンの像の特性を評価すること
としても良い。 かかる場合であっても、 従来考慮されていなかったその相互作 用がパターンの投影像の特性に影響を与える任意のッ Xルニケ項の組み合わせ のクロスタームにおける前記投影像の特性の変化に対するツェルニケ感度を考 慮してパターンの像の特性を評価するので、 パターンの像の特性をより高精度 に評価することができる。
また、 上記実施形態の調整方法では、 前述した式 (3 6 ) 等を用いて算出さ れた最適な調整量に基づいて、 主制御装置 5 0の制御の下、 結像性能補正コン トローラ 4 8等による調整を自動的に行うものとしたが、 これに限らず、 前記 調整量に基づいて、 投影光学系の結像性能などを手動で調整しても良い。
また、 上記実施形態の予測方法には、 様々な変形例が考えられ得る。 また、 上記実施形態では、 C D—フォーカス曲線の予測方法、 予測された C D—フォ 一カス曲線で露光装置 1 0 0におけるパターンの転写状態を評価する評価方法、 その評価結果に応じてパターンの転写状態を調整する調整方法、 その調整後に 露光を行う露光方法を、 一連の処理によって説明したが、 すべての方法を一連 の処理で行う必要はなく、 本発明の予測方法、 評価方法、 調整方法は、 それぞ れ単独で、 あるいは任意に組み合わせて実行しうるものである。 上記実施形態 の予測方法の後に続く、 評価方法、 調整方法、 露光方法は、 それら予測方法の 様々な変形例の後にも実行しうるものである。 また、 上記実施形態の予測方法 及びその変形例の実行後には、 上記実施形態の評価方法、 調整方法、 露光方法 の他、 上述したような、 様々な項目を評価項目とする評価方法、 手動による調 整方法、 ステップ 'アンド ' リピート方式による露光方法など、 様々な評価方 法、 調整方法、 露光方法を適用可能であることはいうまでもない。
なお、 上記実施形態において、 投影光学系 P Lの波面収差の計測に用いる波 面収差計測器として全体形状がウェハホルダと交換可能な形状を有する波面収 差計測器を用いても良い。 かかる場合には、 この波面収差計測器は、 ウェハ又 はウェハホルダをウェハステージ WS T上に搬入し、 ウェハステージ W S Tか
ら搬出する搬送系 (ウェハローダなど) を用いて自動搬送することが可能であ る。 さらに、 上記実施形態では、 ウェハステージに対して波面収差計測装置 8 0を着脱自在としたが、 常設としても良い。 このとき、 波面収差計測装置 8 0 の一部のみをウェハステージに設置し、 残りをウェハステージの外部に配置し ても良い。 さらに上記実施形態では、 波面収差計測装置 8 0の受光光学系の収 差を無視するものとしたが、 その波面収差を考慮して投影光学系の波面収差を 決定しても良い。また、波面収差の計測に例えば前述の米国特許第 5 , 9 7 8, 0 8 5号などに開示された計測用レチクルを用いる場合には、 ウェハ上のレジ スト層に転写され形成された計測用パターンの潜像の基準パターンの潜像に対 する位置ずれを、 例えば露光装置が備えるァライメン卜系 A L Gによって検出 することとしても良い。 なお、 計測用パターンの潜像を検出する場合には、 ゥ ェハなどの基板上の感光層としてフォトレジストを用いても良いし、 あるいは 光磁気材料などを用いても良い。 このような種々の工夫により、 前述した投影 光学系 P Lの調整を、 オペレータやサービスエンジニアを介在させることなく 露光装置 1 0 0によって全て自動的に行うようにすることも可能である。 さらに、 上記実施形態では、 投影光学系 P Lの光学素子を移動して結像性能 を調整するものとしたが、 これに限らず、 その駆動機構に加えて、 あるいはそ の代わりに、 例えば投影光学系 P Lの光学素子間での気体の圧力を変更する、 レチクル Rを投影光学系の光軸方向に移動又は傾斜させる、 あるいはレチクル とウェハとの間に配置される平行平面板の光学的な厚さを変更する機構などを 用いても良い。 但し、 この場合には上記実施形態における自由度の数が変更さ れ得る。 また、 上記実施形態では 1 9個の調整パラメータを用いるものとした が、 その数や種類は任意で良く、 例えばウェハ表面 (ウェハステージ W S T ) の駆動量や照明光 E Lの波長シフ卜などを含まなくても良い。
なお、 上記実施形態では、 露光装置として走査型露光装置を用いる場合につ いて説明したが、 これに限らず、 例えばステップ 'アンド ' リピート型の露光
装置を用いても良い。
この場合の露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されるこ となく、 例えば、 角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液 晶用の露光装置、 プラズマディスプレイ又は有機 E Lなどの表示装置、 撮像素 子(C C Dなど)、薄膜磁気へッド、マイクロマシーン及び D N Aチップなどを 製造するための露光装置にも広く適用できる。 また、 半導体素子などのマイク 口デバイスだけでなく、 光露光装置、 E U V露光装置、 X線露光装置、 及び電 子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、 ガラス 基板又はシリコンウェハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を 適用できる。
また、 上記実施形態の露光装置の光源は、 F 2 レーザ、 A r Fエキシマレー ザ、 K r Fエキシマレーザなどの紫外パルス光源に限らず、 連続光源、 例えば g線 (波長 4 3 6 n m)、 i線 (波長 3 6 5 n m) などの輝線を発する超高圧水 銀ランプを用いることも可能である。 さらに、 照明光 Eしとして、 X線、 特に E U V光などを用いても良い。
また、 D F B半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、 又 は可視域の単一波長レーザ光を、 例えばエルビウム (又はエルビウムとイツテ ルビゥムの両方) がドープされたファイバーアンプで増幅し、 非線形光学結晶 を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。 また、 投影光学系の倍 率は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良い。 また、 投影光学系と しては、 屈折系に限らず、 反射光学素子と屈折光学素子とを有する反射屈折系 (力タツディオプトリック系) あるいは反射光学素子のみを用いる反射系を用 いても良い。 なお、 投影光学系 P Lとして反射屈折系又は反射系を用いるとき は、 前述した可動の光学素子として反射光学素子 (凹面鏡や反射鏡など) の位 置などを変更して投影光学系の結像性能を調整する。また、照明光 E Lとして、 特に A r 2 レーザ光、 又は E U V光などを用いる場合には、 投影光学系 P Lを
反射光学素子のみから成るオール反射系とすることもできる。 但し、 A r 2 レ 一ザ光や E U V光などを用いる場合にはレチクル Rも反射型とする。
なお、 露光装置 1 0 0などの製造に際しては、 まず、 複数のレンズ素子、 ミ ラー等の光学素子などを含む照明光学系 1 2をュニット単体として組み立てる とともに、 投影光学系 Pしを単体として組み立てる。 また、 多数の機械部品か ら成るレチクルステージ系やウェハステージ系などを、 それぞれュニットとし て組み立てる。 そして、 それぞれユニット単体としての所望の性能を発揮する ように、 光学的な調整、 機械的な調整、 及び電気的な調整等を行う。 なお、 こ の調整に際して、 特に投影光学系 P Lについては、 上記各実施形態で説明した 投影光学系の調整方法、 又は予測方法及びこれに続く評価方の少なくとも一部 を含む投影光学系を介したパターンの像の特性の調整方法を用いて、 調整を行 うことができる。
次に、照明光学系 1 2や投影光学系 P Lなどを露光装置本体に組むとともに、 レチクルステージ系やウェハステージ系などを露光装置本体に取り付けて配線 や配管を接続する。
次いで、 照明光学系 1 2や投影光学系 P Lについては、 光学的な調整を更に 行う。 これは、 露光装置本体への組み付け前と組み付け後とでは、 それらの光 学系、 特に投影光学系 P Lの結像性能が微妙に変化するからである。 本実施形 態では、 この露光装置本体に対する組み込み後に行われる投影光学系 P Lの光 学的な調整に際し、 前述した波面収差計測装置 8 0をウェハステージ WS丁に 取り付け、 前述と同様にして波面収差を計測し、 その波面収差の計測結果をコ ンピュータに入力し、 前述と同様の手順で、 例えば各レンズ素子の 6自由度方 向それぞれの調整量を算出し、 その算出結果を、 そのコンピュータのディスプ レイ上に表示させる。 そして、 この表示に従って、 技術者 (作業者) などが、 各レンズ素子を調整する。 これにより、 所望の結像性能を確実に満たすような 投影光学系 P Lの調整が完了する。なお、この段階で、修正されていない収差、
主として高次収差は自動調整が困難な収差であると判断できるので、 レンズ等 の組付けなどを再調整することが望ましい。
なお、 上記の再調整により所望の性能が得られない場合などには、 一部のレ ンズを再加工又は交換する必要も生じる。 なお、 投影光学系 P Lの光学素子の 再加工を容易に行うため、 投影光学系 P Lを露光装置本体に組み込む前に波面 収差を専用の波面計測装置等を用いて計測し、 この計測結果に基づいて再加工 が必要な光学素子の有無や位置などを特定し、 その光学素子の再加工と他の光 学素子の再調整とを並行して行うなどしても良い。
その後、 更に総合調整 (電気調整、 動作確認等) をする。 これにより、 光学 特性が高精度に調整された投影光学系 Pしを用いて、 レチクル Rのパターンを ウェハ W上に精度良く転写することができる、 本実施形態の露光装置 1 0など の露光装置を製造することができる。 なお、 露光装置の製造は温度およびクリ ーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
《デバイス製造方法》
次に上述した露光装置をリソグラフィ工程で使用したデバィスの製造方法の 実施形態について説明する。.
図 3 3には、 デバイス ( I Cや L S I等の半導体チップ、 液晶パネル、 C C D、 薄膜磁気ヘッド、 マイクロマシーン等) の製造例のフローチャートが示さ れている。 図 3 3に示されるように、 まず、 ステップ 4 0 1 (設計ステップ) において、 デバイスの機能■性能設計 (例えば、 半導体デバイスの回路設計等) を行い、 その機能を実現するためのパターン設計を行う。 引き続き、 ステップ 4 0 2 (マスク製作ステップ) において、 設計した回路パターンを形成したマ スクを製作する。 一方、 ステップ 4 0 3 (ウェハ製造ステップ) において、 シ リコン等の材料を用いてウェハを製造する。
次に、 ステップ 4 0 4 (ウェハ処理ステップ) において、 ステップ 4 0 1〜 ステップ 4 0 3で用意したマスクとウェハを使用して、 後述するように、 リソ
グラフィ技術等によってウェハ上に実際の回路等を形成する。 次いで、 ステツ プ 4 0 5 (デバイス組立てステップ) において、 ステップ 4 0 4で処理された ウェハを用いてデバイス組立てを行う。 このステップ 4 0 5には、 ダイシング 工程、 ボンディング工程、 及びパッケージング工程 (チップ封入) 等の工程が 必要に応じて含まれる。
最後に、 ステップ 4 0 6 (検査ステップ) において、 ステップ 4 0 5で作成 されたデバイスの動作確認テスト、 耐久テスト等の検査を行う。 こうした工程 を経た後にデバイスが完成し、 これが出荷される。
図 3 4には、 半導体デバイスにおける、 上記ステップ 4 0 4の詳細なフロー 例が示されている。 図 3 4において、 ステップ 4 1 1 (酸化ステップ) におい てはウェハの表面を酸化させる。 ステップ 4 1 2 ( C V Dステップ) において はウェハ表面に絶縁膜を形成する。 ステップ 4 1 3 (電極形成ステップ) にお いてはウェハ上に電極を蒸着によって形成する。 ステップ 4 1 4 (イオン打ち 込みステップ) においてはウェハにイオンを打ち込む。 以上のステップ 4 1 1 〜ステップ 4 1 4それぞれは、 ウェハ処理の各段階の前処理工程を構成してお リ、 各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウェハプロセスの各段階において、 上述の前処理工程が終了すると、 以下の ようにして後処理工程が実行される。 この後処理工程では、 まず、 ステップ 4 1 5 (レジスト形成ステップ) において、 ウェハに感光剤を塗布する。 引き続 き、 ステップ 4 1 6 (露光ステップ) において、 上で説明した露光装置及び露 光方法によってマスクの回路パターンをウェハに転写する。 次に、 ステップ 4 1 7 (現像ステップ) においては露光されたウェハを現像し、 ステップ 4 1 8
(エッチングステップ) において、 レジストが残存している部分以外の部分の 露出部材をエッチングにより取り去る。 そして、 ステップ 4 1 9 (レジスト除 去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。 これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、 ウェハ上
に多重に回路パターンが形成される。
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、 露光工程 (ステツ プ 4 1 6 ) において上記実施形態の露光装置が用いられるので、 縦線パターン と横線パターンの転写像同士の線幅差、 あるいは孤立パターンの線幅均一性な どが効果的に低減された良好な露光を実現することができる。 従って、 最終製 品であるデバイスの歩留まりが向上し、 その生産性の向上が可能となる。 産業上の利用可能性
以上説明したように、 本発明の投影光学系の調整方法は、 相互に直交するラ インパターンの像の投影に用いられる投影光学系の調整に適している。 また、 本発明の予測方法及びプログラムは、 投影光学系を介したパターンの像の特性 を予測するのに適している。 また、 本発明の評価方法は、 投影光学系を介した パターンの像の特性を評価するのに適している。 本発明の調整方法は、 投影光 学系を介したパターンの像の形成状態を調整するのに適している。 また、 本発 明の露光方法及び露光装置は、 物体上にパターンを転写するのに適している。 また、 本発明のデバイス製造方法は、 デバイスの生産に適している。