明 細 書 負極材料およびそれを用いた非水電解質二次電池 技術分野
本発明は、 携帯情報端末、 携帯電子機器、 家庭用小型電力貯蔵装置、 モーターを動力源とする自動二輪車、 電気自動車、 ハイブリット電気自 動車等に用いられる非水電解質二次電池に関する。 さらに詳しくは、 非 水電解質二次電池の負極材料に関する。 背景技術
近年、 移動体通信機器、 携帯電子機器の主電源として利用されている リチウム二次電池は、 起電力が大きく、 高エネルギー密度である特徴を 有している。
負極材料にリチウム金属を用いたリチウムニ次電池は、 エネルギー密 度は高いが、 充電時に負極でデンドライ トが析出する。 充放電を繰り返 すとデンドライ トは成長し、 セパレ一夕を突き破って正極と接触し、 内 部短絡の原因となる。 また、 析出したデンドライ トは比表面積が大きい ため、 反応活性度が高く、 その表面で電解液中の溶媒と反応して電子伝 導性に乏しい固体電解質的な界面皮膜を形成する。 このため、 電池の内 部抵抗が高くなつたり、 電子伝導のネットワークから孤立した粒子が存 在するようになる。 これらの要因により充放電効率が低下する。
よって、 負極材料にリチウム金属を用いたリチウム二次電池は、 信頼 性が低く、 サイクル寿命が短いという問題があった。
現在、 リチウム金属に代わる負極材料として、 リチウムイオンを吸蔵 • 放出できる炭素材料が用いられ、 これを負極に用いた電池が実用化さ
れている。 通常、 炭素材料を用いた負極では金属リチウムは析出しない ため、 デンドライ トによる内部短絡の問題はない。 しかし、 炭素材料の 一つである黒鉛の理論容量は 3 i SmAhZgであり、 L i金属単体の 理論容量の 1 0分の 1程度と少ない。
他の負極材料として、 リチウムと化合物を形成する単体金属材料や単 体非金属材料が知られている。 例えば、 ゲイ素、 スズ、 亜鉛の場合、 リ チウムを最も含む化合物の組成は、 それぞれし i 2 2 S i s, L i 22S n 5、 L i Z nである。 化合物中のリチウム含有量が、 この程度であれば、 金 属リチウムは通常析出しないため、 デンドライ トによる内部短絡の問題 はない。 そして、 これら化合物と各単体材料との間の電気化学容量は、 それぞれ 4 1 9 9 mA h/ g、 9 9 3 mAh/g、 4 1 0 m A h / g あり、 いずれも黒鉛の理論容量よりも大きい。
また、 上記以外の化合物を用いた負極材料として、 特開平 7— 24 0 2 0 1号公報では、 遷移元素からなる非鉄金属の珪化物が提案されてい る。 また、 特開平 9一 6 3 6 5 1号公報では、 4 Β族元素及び Ρ、 S b の少なくとも一つを含む金属間化合物からなり、 その結晶構造が
C a F 2型、 Z n S型、 A l L i S i型のいずれかである化合物が提案さ れている。
しかしながら、 上記のような炭素材料よりも高容量の負極材料には、 それぞれ以下に示すような問題がある。
リチウムと化合物を形成する単体金属材料および単体非金属材料は、 炭素材料に比べて充放電サイクル特性が悪い。 その理由は、 以下のよう に推測される。
例えば、 ケィ素は、 その結晶学的な単位格子 (立方晶、 空間群 F d— 3m) に 8個のケィ素原子を含む。 格子定数 a= 0. 542 0 nmより、 単位格子体積は 0. 1 5 9 2 nm3であり、 ケィ素原子 1個の占める体積
は 1 9. 9 X 1 0— 3nm3である。 ケィ素—リチウム二元系の相図から判 断して、 室温でケィ素とリチウムが電気化学的に反応して化合物を形成 する場合、 その反応の初期には、 ゲイ素と化合物 L i 12S i 7の 2相が共 存しているものと考えられる。 L i 12S i 7は、 結晶学的な単位格子 (斜 方晶、 空間群 P nm a) に 5 6個のケィ素原子を含む。 その格子定数 a = 0. 8 6 1 0 nm、 b = 1. 9 7 3 7 nm、 c = 1. 4 3 4 1 nmよ り、 単位格子体積は 2. 4 3 7 2 nm3であり、 ケィ素原子 1個あたりの 体積 (単位格子体積を単位格子中のゲイ素原子数で除した値) は
4 3. 5 X 1 0 3nm3である。 したがって、 ゲイ素から化合物
L i 12S i 7に変わると、 体積が 2. 1 9倍に膨張し、 材料が膨張する。 ケィ素と化合物 L i i 2S i 7の 2相が共存した状態で反応が進行すると、 ケィ素が部分的に化合物 L i 12S i 7に変化するために、 これらの体積差 が大きく、 材料に大きな歪みが生じる。 このため、 この材料は亀裂を生 じやすく、 微細な粒子になりやすいことが考えられる。
さらに、 ケィ素とリチウムとの間の電気化学的反応の進行により、 最 終的に最もリチウムを多く含む化合物 L i 22S i 5が得られる。
L i 22 S i 5は、 結晶学的な単位格子 (立方晶、 空間群 F 2 3) に 8 0 個のケィ素原子を含む。 その格子定数 a= l . 8 7 5 0 nmより、 単位 格子体積は 6. 5 9 1 8 nm3であり、 ケィ素原子 1個あたりの体積 (単 位格子体積を単位格子中のケィ素原子数で除した値) は 8 2. 4 X
1 0— 3nm3である。 したがって、 ケィ素から L i 22S i 5に変わると、 体積が 4. 1 4倍に増加し、 材料が大きく膨張する。 一方、 負極材料の 放電反応は、 化合物からリチウムが減少してゆく反応であるため、 材料 は収縮する。 このように充放電時の材料の体積変化が大きいため、 材料 に大きな歪みが生じ、 亀裂が発生して粒子が微細化するものと考えられ る。
さらに、 この微細化した粒子間に空間が生じ、 電子伝導ネッ トワーク が分断されると、 電気化学的な反応に関与できない部分が増加し、 充放 電特性が低下するものと考えられる。
また、 スズは結晶学的な単位格子 (正方晶、 空間群 1 4 1ノ amd) に 4個のスズ原子を含む。 格子定数 a = 0. 5 8 2 0 nm、 c =
0. 3 1 7 5 nmより、 単位格子体積は 0. 1 0 7 5 nm3であり、 スズ 原子 1個の占める体積は 2 6. 9 X 1 0 3nm3である。 スズーリチウム 二元系の相図から判断して、 室温でスズとリチウムが電気化学的に反応 して化合物を形成する場合、 その反応の初期には、 スズと化合物 ' L i 2 S n 5の 2相が共存しているものと考えられる。 L i 2S n 5は、 結 晶学的な単位格子 (正方晶、 空間群 P 4Zmbm) に 1 0個のスズ原子 を含む。 その格子定数 a = 1. 0 2 7 4 nm、 c = 0. 3 1 2 5 nmよ り、 単位格子体積は 0. 3 2 9 8 6 nm3であり、 スズ原子 1個あたりの 体積 (単位格子体積を単位格子中のスズ原子数で除した値) は 3 3. 0 X 1 0 _3nm3である。 したがって、 スズから化合物 L i 2 S n 5に変わる と、 体積が 1. 2 3倍に増加し、 材料が膨張する。
更に、 スズとリチウムとの間の電気化学的反応の進行により、 最終的 に最もリチウムを多く含む化合物 L i 22 S n が得られる。 L i 22S n 5 は、 結晶学的な単位格子 (立方晶、 空間群 F 2 3 ) に 8 0個のスズ原子 を含む。 その格子定数 a = 1. 9 7 8 nmより、 単位格子体積は
7. 7 3 9 nm3であり、 スズ原子 1個あたりの体積 (単位格子体積を単 位格子中のスズ原子数で除した値) は 9 6. 7 X 1 0— 3 nm 3である。 し たがって、 スズから L i 22 S η 5に変わると、 体積が 3. 5 9倍に増加し. 材料は大きく膨張する。
亜鉛は結晶学的な単位格子 (六方晶、 空間群? 6 37:11111(: ) に 2個 の亜鉛原子を含む。 格子定数 a = 0. 2 6 6 5 nm、 c = 0. 4 94 7
nmより、 単位格子体積は 0. 0 3 0 4 2 8 nm3であり、 亜鉛原子 1個 の占める体積は 1 5. 2 X 1 0— 3nm3である。 亜鉛一リチウム二元系の 相図から判断すると、 室温で亜鉛とリチウムが電気化学的に反応して化 合物を形成する場合、 いくつかの化合物を経て、 最終的に最もリチウム を多く含む化合物 L i Z nを生じる。 L i Z nは、 結晶学的な単位格子 (立方晶、 空間群 F d— 3 m) に 8個の亜鉛原子を含む。 その格子定数 a = 0. 6 2 0 9 nmより、 単位格子体積は 0. 2 3 94 nm3であり、 亜鉛原子 1個あたりの体積 (単位格子体積を単位格子中の亜鉛原子数で 除した値) は 2 9. 9 X 1 0— 3nm3である。 したがって、 亜鉛から L i Z nに変わると、 体積が 1. 9 7倍に増加し、 材料は膨張する。 このように、 スズおよび亜鉛もケィ素の場合と同様に充放電反応によ る負極材料の体積変化が大きく、 また体積差の大きな 2つの相が共存す る状態で変化を繰り返す。 このため、 材料に亀裂が発生し、 粒子が微細 化するものと考えられる。 そして、 微細化した粒子間に空間が生じ、 電 子伝導ネッ トワークが分断され、 電気化学的な反応に関与できない部分 が増加し、 充放電特性が低下するものと考えられる。
すなわち、 リチウムと化合物を形成する単体金属材料および単体非金 属材料を負極に用いた場合、 その材料は体積変化が大きく、 微細化しや すい。 このため、 炭素材料を用いた負極に比べて充放電サイクル特性が 悪くなると推察している。
上記の単体材料以外では、 特開平 7— 2 40 2 0 1号公報で、 遷移元 素からなる非鉄金属の珪化物がサイクル寿命特性を改善する負極材料と して提案されている。 この公報では、 遷移元素からなる非鉄金属の珪化 物を負極材料に用いた電池を実施例とし、 負極材料にリチウム金属を用 いた電池を比較例として、 両者の充放電サイクル特性を比較している。 そして、 実施例の電池の方が比較例の電池よりも充放電特性が改善され
ていることが開示されている。 しかし、 負極材料に天然黒鉛を用いた電 池と比較すると、 実施例の電池容量は最大でも 1 2 %程度しか増加して いない。
よって、 その公報では明言されていないが、 負極に遷移元素からなる 非鉄金属の珪化物を用いた電池は、 負極に黒鉛を用いた電池に比べて容 量の大幅な増加はないと思われる。
また、 特開平 9 一 6 3 6 5 1号公報においても、 4 B族元素および P、 S bの少なくとも一つを含む金属間化合物からなり、 その結晶構造は、 C a F 2型、 Z n S型、 A l L i S i型のいずれかである化合物が、 サイ クル寿命特性を改善する負極材料として提案されている。
負極に上記の化合物を用いた実施例のほうが負極に L i 一 P b合金を 用いた比較例よりも充放電サイクル特性が改善されていることが開示さ れている。 また、 負極に黒鉛を用いた場合よりも実施例の方が高容量で あることが開示されている。
しかし、 実施例の電池は 1 0〜 2 0サイクルにおける放電容量の減少 が著しく、 最も良好と思われる M g 2 S nにおいても約 2 0サイクル後に は初期容量の 7 0 %程度に減少している。
さらに、 特開 2 0 0 0 _ 3 0 7 0 3号公報では、 固相 Aと固相 Bから なり、 固相 Aはケィ素、 スズ、 亜鉛の少なくとも一種を構成元素として 含み、 前記固相 Bは固相 Aの構成元素であるケィ素、 スズ、 亜鉛のいず れかと、 前記構成元素を除いて、 周期表の 2族元素、 遷移元素、 1 2族、 1 3族元素、 ならびに炭素を除く 1 4族元素からなる群から選ばれた少 なくとも一種の元素との固溶体または金属間化合物である負極材料が提 案されている。 負極にこの負極材料を用いた電池は負極に黒鉛を用いた 電池よりも高容量で、 サイクル寿命特性が向上することが開示されてい る。
しかし、 この材料における固相 Aの結晶性が高いと、 リチウムが吸蔵 したときに粒子内の応力が一方向に集中し、 粒子の破壊が起こり易くな り、 サイクル寿命の低下を招くという問題がある。
結晶性について述べる。 一般に、 結晶の性質は、 非晶質 (広角 X線回 折測定において回折線が得られない状態) 、 微結晶、 多結晶、 および単 結晶に大別される。 上記の問題を解決するためには、 固相 Aの結晶性を 低くする必要がある。 ここでいう固相 Aの結晶性が低い状態とは、 固相 Aが非晶質と微結晶の両方が混在した状態であることをいう。 なお、 微 結晶とは、 結晶体の大きさがおよそ 1 5 0 n m以下の多結晶を意味する t また、 固相 Bの結晶性としては、 多結晶または微結晶であればよい。 上記の問題を解決するため、 本発明は、 サイクルに伴う微細化を抑制 する負極材料を提供することを目的とする。 また、 この負極材料を用い ることにより、 高容量であり、 かつサイクル寿命特性に優れた非水電解 質二次電池を提供することを目的とする。 発明の開示
本発明の非水電解質二次電池用負極材料は、 リチウムの吸蔵 · 放出が 可能な非水電解質二次電池用負極材料であって、
固相 B中に固相 Aが分散した複合粒子を含み、 前記固相 Aは、 ゲイ素. スズ、 および亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を含み. 前記固相 Bは、 固相 Aの構成元素と、 長周期型周期表の 2族元素、 遷移 元素、 1 2族元素、 1 3族元素および 1 4族元素からなり、 固相 Aの構 成元素と炭素を除く群より選ばれた少なくとも一種の元素とを含む固溶 体または金属間化合物からなり、 前記複合粒子の広角 X線回折測定によ り得られる回折線において、 固相 Aに帰属される回折 X線の最大回折 X 線強度 I Aと固相 Bに帰属される回折 X線の最大回折 X線強度 I Bの比
I A/ I Bは、 0. 0 0 1≤ I A/ I B 0. 1であることを特徴とする。 また、 本発明の第二の非水電解質二次電池用負極材料は、 リチウムの 吸蔵 ·放出が可能な非水電解質二次電池用負極材料であって、
固相 B中に固相 Aが分散した複合粒子を含み、 前記固相 Aは、 ケィ素、 スズ、 および亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を含み、 前記固相 Bは、 固相 Aの構成元素と、 長周期型周期表の 2族元素、 遷移 元素、 1 2族元素、 1 3族元素および 1 4族元素からなり、 固相 Aの構 成元素と炭素を除く群より選ばれた少なくとも一種の元素とを含む固溶 体または金属間化合物からなり、 前記複合粒子の広角 X線回折測定によ り得られる回折線において、 固相 Aに帰属される回折 X線の最大ピーク 強度の半価幅 W (ラジアン) が、 0. 0 0 1≤W≤ 0. 1であることを 特徴とする。
前記固相 Aが S iおよび S nからなり、 前記固相 Bが C uならびに S nおよび S iの少なくとも一つを含む固溶体または金属化合物からな ることが好ましい。
前記固相 Bが C u S i 2および C u 6 S n 5からなることが好ましい。 前記固相 Bが C u S i 2および C uと S nを含む固溶体からなることが 好ましい。
前記固相 Bが C uと S i を含む固溶体および C u 6S n 5からなること が好ましい。
前記固相 Bが C uと S i を含む固溶体および C uと S nを含む固溶体 からなることが好ましい。
前記固相 Aが S iからなり、 前記固相 Bが T iおよび S iを含む固溶 体または金属間化合物からなることが好ましい。
前記固相 Bが Cm c mおよび F d d dからなる群より選ばれた少なく とも一種の結晶構造を有する T i S i 2を含むことが好ましい。
また、 本発明の非水電解質二次電池は、 リチウムの可逆的な電気化学 反応が可能な正極、 リチウム塩を有機溶媒に溶解させた非水電解質、 お よび上述の負極材料を含む負極を具備する。 図面の簡単な説明
図 1は、 実施例で用いた円筒型非水電解二次電池の構造を示す断面図 である。 発明を実施するための最良の形態
本発明の非水電解質二次電池用負極材料は、 リチウムの吸蔵 ·放出が 可能な非水電解質二次電池用負極材料であって、 固相 B中に固相 Aが分 散した複合粒子を含み、 前記固相 Aは、 ケィ素、 スズ、 および亜鉛から なる群より選ばれた少なくとも一種の元素を含み、 前記固相 Bは、 固相 Aの構成元素と、 長周期型周期表の 2族元素、 遷移元素、 1 2族元素、 1 3族元素および 1 4族元素からなり、 固相 Aの構成元素と炭素を除く 群より選ばれた少なくとも一種の元素とを含む固溶体または金属間化合 物からなり、 前記複合粒子の広角 X線回折測定により得られる回折線に おいて、 固相 Aに帰属される回折 X線の最大回折 X線強度 I Aと固相 Bに 帰属される回折 X線の最大回折 X線強度 I Bの比 I A/ I Bは、
0 . 0 0 1≤ I A/ I B≤ 0 . 1である点に特徴を有する。
I A/ I 13が 0 . 1以下では、 固相 Aと固相 Bからなる 1粒子中におけ る固相 Aの結晶体の体積割合が小さいため、 固相 Aにリチウムが吸蔵さ れても、 一方向の応力集中を緩和させることができ、 粒子が割れるのを 抑制する効果がある。
しかし、 1 / 1 !3が0 . 1を超えると、 1粒子中における固相 Aの結 晶体の体積割合が大きくなるため、 固相 Aにリチウムが吸蔵された場合
固相 Aの一方向の応力集中が大きくなり、 粒子が割れるのを抑制するこ とが困難となる。
また、 I A / I Bが 0 . 0 0 1未満となると、 粒子が割れるのを抑制で きるが、 1粒子中での固相 Aの結晶体の体積割合が小さすぎるため、 粒 子の真比重が低下し、 体積あたりの容量が低下する。
また、 本発明の非水電解質二次電池用負極材料は、 リチウムの吸蔵 ' 放出が可能な非水電解質二次電池用負極材料であって、 固相 B中に固相 Aが分散した複合粒子を含み、 固相 Aは、 ケィ素、 スズ、 および亜鉛か らなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を含み、 固相 Bは、 固相 A の構成元素と、 長周期型周期表の 2族元素、 遷移元素、 1 2族元素、 1 3族元素および 1 4族元素からなり、 固相 Aの構成元素と炭素を除く 群より選ばれた少なくとも一種の元素とを含む固溶体または金属間化合 物からなり、 前記複合粒子の広角 X線回折測定により得られる回折線に おいて、 固相 Aに帰属される回折 X線の最大ピーク強度の半価幅 W (ラ ジアン) が、 0 . 0 0 1 ≤W≤ 0 . 1である点に特徴を有する。
Wは、 固相 Aに帰属される回折 X線の最大ピーク強度の半分の強度に おける 2 0で測定したピーク幅であり、 ラジアン単位で表される。 なお. Θは X線の入射角である。
Wが 0 . 1ラジアン以下では、 固相 Aおよび固相 Bからなる 1粒子中 での固相 Aの結晶体の大きさが小さいため、 固相 Aにリチウムが吸蔵さ れても、 固相 Aが塑性限界から断裂にいたる、 その塑性限界値が高くな る。 このため、 固相 Aが断裂しにくくなり、 粒子が割れ難くなる。
しかし、 Wが 0 . 1ラジアンを超えると、 1粒子中での固相 Aの結晶 体が大きくなり、 塑性限界値が低くなる。 このため、 固相 Aは、 リチウ ム吸蔵により断裂し、 粒子が割れ易くなる。
また、 Wが 0 . 0 0 1ラジアン未満となると、 塑性限界値がかなり高
く、 粒子が割れるのを抑制できる。 しかし、 1粒子中における、 固相 A と固相 Bとの間の境界が増し、 電子伝導性が低下するため、 L i 吸蔵量 が低下する。
本発明の第一の好ましい態様として、 前記固相 Aが S iからなり、 前 記固相 Bが T iおよび S i を含む固溶体または金属間化合物からなるこ とが好ましい。
固相 Aにケィ素を用いることにより、 リチウムの吸蔵量が理論的に最 大であるため、 高容量化できる。 また、 固相 Bにチタンを用いることに より、 リチウムと結合して、 リチウムの可逆性を損なう不純物の酸素が ケィ素と結合することを抑制することができる。
さらに、 前記固相 Bとしては、 T i S i 2の金属間化合物が特に好まし い。 T i S i 2の結晶構造としては、 C m c mもしくは F d d dのいずれ か一方、 またはその両方を含有した構造でも構わない。
なお、 広角 X線回折測定により得られる C m c mまたは F d d dの結 晶構造に帰属する T i S i 2の回折ピークについては、 そのピ一ク位置が 高角度側や低角度側へシフ卜したものについても C m c mまたは
F d d dの結晶構造に帰属する T i S i 2の回折ピークとする。
また、 本発明の第二の好ましい態様として、 前記固相 Aが S iおよび S nからなり、 前記固相 Bが C uならびに S nおよび S iの少なくとも 一つを含む固溶体または金属化合物からなることが好ましい。
固相 Aに S iおよび S nを用いることにより、 固相 Aの電子伝導性が 向上し、 固相 Bに C uを用いることにより、 固相 Bの電子伝導性が向上 する。
前記固相 Bとしては、 例えば、 C u S i 2および C u 6 S n 5、
C u S i 2および C uと S nを含む固溶体、 C uと S i を含む固溶体およ び C u 6 S n 5、 ならびに C uと S i を含む固溶体および C uと S nを含
む固溶体等が形成される。
上記の複合粒子は、 メカニカルァロイング法により合成することが好 ましい。
これ以外にも複合粒子の作製方法としては、 複合粒子を構成する各元 素の仕込み組成分の溶融物を、 乾式噴霧法、 湿式噴霧法、 ロール急冷法 および回転電極法などで急冷し、 凝固させる。 そして、 その凝固物を、 仕込み組成から決まる固溶体または金属間化合物の固相線温度より低い 温度で熱処理する方法が考えられる。
しかし、 このような熱処理による方法に比べて、 メカニカルァロイン グ法は、 固相 Aの結晶体の体積率の制御や結晶体の大きさの制御が容易 であるという面で効果的である。
メカニカルァロイング法では、 固相 Aおよび固相 Bで構成される元素 単体の仕込み組成分の溶融物を、 乾式噴霧法、 湿式噴霧法、 ロール急冷 法および回転電極法などで急冷し、 凝固させて得られた凝固物が用いら れる。 また、 出発原料として、 固相 Aおよび固相 Bで構成される元素単 体の粉末を用いてもよい。
固相 Aおよび固相 Bからなる複合粒子 1粒子中に固相 Aは 1 0〜4 0 重量%含まれることが好ましく、 さらに 1 5〜 3 5重量%含まれること が特に好ましい。
上記の負極材料を含む負極、 リチウムィオンの可逆的な電気化学反応 が可能な正極、 リチウム塩を有機溶媒に溶解させた非水電解質を組み合 わせることにより、 高容量かつ優れたサイクル寿命特性を有する非水電 解質二次電池が得られる。
前記負極は、 例えば、 上記の負極材料、 導電剤、 および結着剤等を含 む負極合剤を集電体の表面に塗着することにより得られる。
負極に用いられる導電剤としては、 電子伝導性材料であれば何でもよ
い。 例えば、 天然黒鉛 (鱗片状黒鉛など) 、 人造黒鉛、 膨張黒鉛などの グラフアイ ト類、 アセチレンブラック、 ケッチェンブラック、 チャンネ ルブラック、 ファーネスブラック、 ランプブラック、 サーマルブラック などのカーボンブラック類、 炭素繊維、 金属繊維などの導電性繊維類、 銅などの金属粉末類、 ポリフエ二レン誘導体などの有機導電性材料など が好ましく、 これらの材料を混合して用いてもよい。 さらに、 これらの なかでも、 人造黒鉛、 アセチレンブラック、 炭素繊維が特に好ましい。 · 導電剤の添加量は、 特に限定されないが、 負極材料 1 0 0重量部に対 して 1〜 5 0重量部が好ましく、 さらに 1〜 3 0重量部が特に好ましい - また、 本発明で用いる負極材料は電子伝導性を有するため、 導電剤を添 加しなくても電池として機能させることは可能である。
負極に用いられる結着剤としては、 熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂 のどちらでも構わない。 例えば、 ポリエチレン、 ポリプロピレン、 ポリ テトラフルォロエチレン (P T F E) 、 ポリフッ化ビニリデン (PVD F) 、 スチレンブタジエンゴム、 テトラフルォロエチレン—へキサフル ォロエチレン共重合体、 テトラフルォロエチレン一へキサフルォロプロ ピレン共重合体 (F E P) 、 テトラフルォロエチレン—パーフルォロア ルキルビニルエーテル共重合体 (P FA) 、 フッ化ビニリデン一へキサ フルォロプロピレン共重合体、 フッ化ビニリデン—クロ口トリフルォロ エチレン共重合体、 エチレンーテトラフルォロエチレン共重合体 (ET F E樹脂) 、 ポリクロ口トリフルォロエチレン (P CT F E) 、 フッ化 ビニリデン—ペンタフルォロプロピレン共重合体、 プロピレンーテトラ フルォロエチレン共重合体、 エチレン一クロ口トリフルォロエチレン共 重合体 (E CT F E) 、 フッ化ビニリデン一へキサフルォロプロピレン ーテトラフルォロエチレン共重合体、 フッ化ビニリデンーパ一フルォロ メチルビニルエーテルーテ卜ラフルォロエチレン共重合体、 エチレン一
アクリル酸共重合体または前記共重合体の (N a+) イオン架橋体、 ェチ レンーメタクリル酸共重合体または前記共重合体の (N a+) イオン架橋 体、 エチレンーァクリル酸メチル共重合体または前記共重合体の
(N a +) イオン架橋体、 エチレン一メ夕クリル酸メチル共重合体または 前記共重合体の (N a+) イオン架橋体が好ましく、 これらの材料を混合 して用いてもよい。 さらに、 これらの中でも、 スチレンブタジエンゴム、 ポリフッ化ビニリデン、 エチレンーァクリル酸共重合体または前記共重 合体の (N a+) イオン架橋体、 エチレンーメタクリル酸共重合体または 前記共重合体の (N a+) イオン架橋体、 エチレン—アクリル酸メチル共 重合体または前記共重合体の (N a+) イオン架橋体、 エチレンーメタク リル酸メチル共重合体または前記共重合体の (N a+) イオン架橋体が特 に好ましい。
負極に用いられる集電体としては、 構成された電池において化学変化 を起こさない電子伝導体であれば何でもよい。 例えば、 ステンレス鋼、 ニッケル、 銅、 チタン、 炭素、 導電性樹脂、 または銅やステンレス鋼の 表面を力一ボン、 ニッケルもしくはチタンで処理したものなどが好まし い。 さらに、 これらのなかでも銅および銅合金が特に好ましい。 表面処 理により集電体表面に凹凸を設けることが好ましい。 これらの材料は、 その表面を酸化して用いることもできる。 また、 集電体としては、 フォ ィル、 フィルム、 シート、 ネッ ト、 パンチングされたもの、 ラス体、 多 孔質体、 発泡体、 繊維群の成形体などの形状のものが用いられる。 厚み は、 特に限定されないが、 1〜 5 0 0 mのものが用いられる。
前記正極は、 例えば、 正極材料、 導電剤、 結着剤等を含む正極合剤を 集電体の表面に塗着することにより得られる。
正極材料には、 リチウムを含有する金属酸化物が用いられる。 例えば、 L i xC o〇2 、 L i xN O2, L i xMn〇2 、 L i XC o yN iト y〇2、
L i xC o yMi-y 02> L i XN i i-yMy〇 z、 L i xMn2〇4 、
L i xMn2-yMy〇4が挙げられる。 なお、 Mは、 N a、 M g、 S c、 Y、 Mn、 F e、 C o、 N i 、 C u、 Z n、 A l 、 C r、 P b、 S bおよび Bからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素である。 また X、 Y、 および Ζは、 それぞれ 0≤ X≤ 1. 2、 0≤ y≤ 0. 9、 2. 0≤ z≤ 2. 3を満たす。 また、 上記の X値は、 充放電にともない増減する。 上記の化合物以外に、 遷移金属カルコゲン化物、 バナジウム酸化物お よびそのリチウム化合物、 ニオブ酸化物およびそのリチウム化合物、 有 機導電性物質からなる共役系ポリマー、 ならびにシェブレル相化合物な ども正極材料として用いることが可能である。 また、 複数の正極材料を 混合して用いることも可能である。 正極活物質粒子の平均粒径は、 特に 限定はされないが、 l〜 3 0 ^mが好ましい。
正極に用いられる導電剤としては、 正極材料の充放電電位で、 化学変 化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。 例えば、 天然黒鉛 (鱗片状黒鉛など) 、 人造黒鉛などのグラフアイ ト類、 アセチレンブラ ック、 ケッチェンブラック、 チャンネルブラック、 ファーネスブラック. ランプブラック、 サ一マルブラックなどのカーボンブラック類、 炭素繊 維、 金属繊維等の導電性繊維類、 フッ化カーボン、 アルミニウムなどの 金属粉末類、 酸化亜鉛、 チタン酸カリウムなどの導電性ウイスカ一類、 酸化チタンなどの導電性金属酸化物あるいはポリフエ二レン誘導体など の有機導電性材料などが好ましく、 これらを混合して用いてもよい。 さ らに、 これらのなかでも、 人造黒鉛、 アセチレンブラックが特に好まし い。 導電剤の添加量は、 特に限定されないが、 正極材料 1 0 0重量部に 対して 1〜 5 0重量部が好ましく、 特に 1〜 3 0重量部が好ましい。 さ らに、 カーボンやグラフアイ トの場合、 その添加量は 2〜 1 5重量部が 特に好ましい。
正極に用いられる結着剤としては、 熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂 のどちらを用いても構わない。 例えば、 ポリエチレン、 ポリプロピレン、 ポリテトラフルォロエチレン (P T F E) 、 ポリフッ化ビニリデン (P VD F) 、 スチレンブタジエンゴム、 テトラフルォロエチレン一へキサ フルォロエチレン共重合体、 テトラフルォロエチレン一へキサフルォロ プロピレン共重合体 (F E P) 、 テトラフルォロエチレン一パーフルォ 口アルキルビニルエーテル共重合体 (P F A) 、 フッ化ビニリデン一へ キサフルォロプロピレン共重合体、 フッ化ビニリデンークロロトリフル ォロエチレン共重合体、 エチレンーテトラフルォロエチレン共重合体
(ET F E樹脂) 、 ポリクロ口トリフルォロエチレン (P CTF E) 、 フッ化ビ二リデン一ペンタフルォロプロピレン共重合体、 プロピレン— テトラフルォロエチレン共重合体、 エチレン一クロ口トリフルォロェチ レン共重合体 (E CT F E) 、 フッ化ビニリデン一へキサフルォロプロ ピレン一テトラフルォロエチレン共重合体、 フッ化ビニリデンーパ一フ ルォロメチルビ二ルェ一テル—テトラフルォロェチレン共重合体、 ェチ レン一アクリル酸共重合体または前記共重合体の (N a+) イオン架橋体. エチレンーメタクリル酸共重合体または前記共重合体の (N a+) イオン 架橋体、 エチレン一ァクリル酸メチル共重合体または前記共重合体の
(N a+) イオン架橋体、 エチレン一メ夕クリル酸メチル共重合体または 前記共重合体の (N a+) イオン架橋体などが好ましく、 これらの材料を 混合して用いてもよい。 さらに、 これらの材料の中でも、 ポリフッ化ビ 二リデン (PVD F) 、 ポリテトラフルォロエチレン (P TF E) が特 に好ましい。
正極に用いられる集電体としては、 正極材料の充放電電位において化 学変化を起こさない電子伝導体であれば何でもよい。 例えば、 ステンレ ス鋼、 アルミニウム、 チタン、 炭素、 導電性樹脂、 アルミニウム、 ステ
ンレス鋼の表面をカーボンまたはチタンで処理したものが好ましい。 さ らに、 これらの中でも、 アルミニウム、 アルミニウム合金が特に好まし い。 また、 表面処理により集電体表面に凹凸を設けることが好ましい。 これらの材料は、 その表面を酸化して用いることもできる。 また、 集電 体としては、 フオイルの他、 フィルム、 シート、 ネッ ト、 パンチされた もの、 ラス体、 多孔質体、 発泡体、 繊維群、 および不織布体の成形体な どの形状のものが用いられる。 厚みは、 特に限定されないが、 1〜
5 0 0 mのものが用いられる。
正極および負極に用いられる電極合剤には、 導電剤や結着剤の他、 フ イラ一、 分散剤、 イオン伝導体、 圧力増強剤およびその他の各種添加剤 が挙げられる。 フイラ一には、 構成された電池において、 化学変化を起 こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。 通常、 ポリプ ロピレン、 ポリエチレンなどのォレフィン系ポリマ一、 ガラス、 炭素な どの繊維が用いられる。 フイラ一の添加量は特に限定されないが、 電極 合剤 1 0 0重量部に対して 3 0重量部以下が好ましい。
正極と負極の構成は、 少なくとも正極合剤面の対向面に負極合剤面が 存在していることが好ましい。
前記非水電解質は、 非水溶媒と、 その溶媒に溶解するリチウム塩とか らなる。
前記非水溶媒としては、 例えば、 エチレンカーボネー ト (E C) 、 プ ロピレン力一ポネー卜 (P C) 、 ブチレン力一ポネ一卜 (B C) 、 ビニ レンカーボネート (V C) などの環状カーボネート類、 ジメチルカーボ ネート (DMC) 、 ジェチルカーボネート (D E C) 、 ェチルメチルカ —ボネート (EMC) 、 ジプロピルカーボネート (D P C) などの鎖状 カーボネート類、 ギ酸メチル、 酢酸メチル、 プロピオン酸メチル、 プロ ピオン酸ェチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類、 ァ—プチロラク 卜
ン等のァ一ラク トン類、 1 , 2—ジメ トキシェタン (DME) 、 1, 2 ージエトキシェタン (D E E) 、 エトキシメトキシェタン (EME) 等 の鎖状エーテル類、 テトラヒドロフラン、 2—メチルテトラヒドロフラ ン等の環状エーテル類、 ジメチルスルホキシド、 1, 3—ジォキソラン、 ホルムアミ ド、 ァセトアミ ド、 ジメチルホルムアミ ド、 ジォキゾラン、 ァセトニトリル、 プロピル二トリル、 ニトロメタン、 ェチルモノグライ ム、 リン酸トリエステル、 トリメトキシメタン、 ジォキソラン誘導体、 スルホラン、 メチルスルホラン、 1, 3—ジメチルー 2—イミダゾリジ ノン、 3—メチルー 2—ォキサゾリジノン、 プロピレンカーボネート誘 導体、 テトラヒドロフラン誘導体、 ェチルエーテル、 1 , 3—プロパン サルトン、 ァニソール、 ジメチルスルホキシド、 N—メチルピロリ ドン、 などの非プロトン性有機溶媒が好ましく、 これらを混合して用いてもよ い。 さらに、 これらのなかでも、 環状力一ボネートと鎖状カーボネート との混合系または環状カーポネ一トと鎖状カーボネ一トおよび脂肪族力 ルボン酸エステルとの混合系が特に好ましい。
前記リチウム塩としては、 例えば L i C 1 〇4 、 L i B F4 、
L i P F6 、 L i A 1 C 14 L i S b F 6 L i S CN、 L i C l 、
L i C F 3S Os > L i C F3C〇2 、 L i ( C F 3 S O 2) 2、 L i A s F 6、 L i N (C FaS 02) 2、 L i B ioC 1 ,o, 低級脂肪族カルボン酸リチウム、 L i C l、 L i B r、 L i l、 クロロボランリチウム、 四フエニルホウ 酸リチウム、 イミ ド類などが好ましく、 これらを混合して用いてもよい。 さらに、 これらの中でも L 1 P F 6 を用いることが特に好ましい。
非水電解質としては、 非水溶媒が少なくともエチレン力一ボネートぉ よびェチルメチルカーボネー卜からなり、 リチウム塩が L i P F6 からな るのが好ましい。 非水電解質の電池への添加量は、 特に限定されないが、 正極材料もしくは負極材料の量および電池のサイズによって適宜必要な
量を用いることができる。 リチウム塩の非水溶媒に対する溶解量は、 特 に限定されないが、 0. 2〜 2 m ο 1 / 1が好ましい。 さらに、 前記溶 解量は、 0. 5〜 1. 5mo 1 / 1がより好ましい。
上記非水電解質の他にも、 以下に示すような固体電解質も用いること ができる。 固体電解質としては、 無機固体電解質と有機固体電解質に分 けられる。
無機固体電解質としては、 例えば、 L iの窒化物、 ハロゲン化物、 酸 素酸塩などが用いられる。 特に、 L i 4S i 〇4 、 L i 4S i 〇4一 L i l — L i OH、 x L i 3P Oi~ ( 1 - ) L i 4S i 04¾ L "S i S 3 、
L i 3P O 4- L i 2S — S i S 2、 硫化リン化合物などが有効である。
有機固体電解質としては、 例えば、 ポリエチレンオキサイ ド、 ポリプ 口ピレンォキサイ ド、 ポリホスファゼン、 ポリアジリジン、 ポリエチレ ンスルフイ ド、 ポリビニルアルコール、 ポリフッ化ビニリデン、 ポリへ キサフルォロプロピレンなどやこれらの誘導体、 混合物、 複合体などの ポリマ一材料が用いられる。
さらに、 放電特性ゃ充放電サイクル特性を改善する目的で、 他の化合 物を電解質に添加することも有効である。 例えば、 トリェチルフォスフ アイ ト、 トリエタノ一ルァミン、 環状エーテル、 エチレンジァミン、 n 一グライム、 ピリジン、 へキサリン酸トリアミ ド、 ニトロベンゼン誘導 体、 クラウンエーテル類、 第四級アンモニゥム塩、 エチレングリコール ジアルキルエーテルが用いられる。
セパレ一夕としては、 大きなイオン透過度および所定の機械的強度を 有する絶縁性の微多孔性薄膜が用いられる。 また、 この膜が一定温度以 上で孔を閉塞し、 抵抗を増大させる機能を有することが好ましい。 例え ば、 耐有機溶剤性および疎水性を兼ね備えたセパレ一夕として、 ポリプ ロピレンおよびポリエチレンからなる群より選ばれた少なくとも一種を
含むォレフィン系ポリマ一もしくはガラス繊維等からなるシート、 不織 布、 および織布が用いられる。 セパレ一夕の孔径は、 電極より脱離した 電極材料、 結着剤、 導電剤等が透過しない範囲であることが好ましい。 その孔径の範囲としては、 例えば、 0 . 0 1〜 l mが好ましい。 セパ レ一タは、 一般的に、 その厚みが 1 0 ~ 3 0 0 のものが用いられる c また、 その空孔率は、 電子やイオンの透過性と素材や膜圧に応じて決ま るが、 一般的には 3 0〜 8 0 %であることが好ましい。
また、 ポリマー材料に溶媒とその溶媒に溶解させるリチウム塩とから なる非水電解質を吸収保持させたものを、 正極合剤、 および負極合剤に 含ませ、 さらに非水電解質を吸収保持したポリマ一からなる多孔性のセ パレ一夕と、 正極および負極とを一体化させた電池を構成することも可 能である。 ポリマー材料としては、 非水電解質を吸収保持できるもので あればよい。 例えば、 フッ化ビニリデンとへキサフルォロプロピレンの 共重合体が挙げられる。
電池としては、 コイン型、 ポタン型、 シート型、 積層型、 円筒型、 偏 平型、 角型、 電気自動車などに用いる大型のものなどいずれの形状にも 適用でさる。
また、 本発明の非水電解質二次電池は、 携帯情報端末、 携帯電子機器. 家庭用小型電力貯蔵装置、 自動二輪車、 電気自動車、 ハイブリッ ド電気 自動車などに用いられるが、 特に、 これらに限定されるわけではない。 以下、 実施例により本発明をさらに詳しく説明する。 ただし、 本発明 はこれらの実施例に限定されるものではない。 実施例 1
( i ) 負極材料の作製
複合粒子における固相 Aとして S nが 2 0重量部および固相 Bとして
F e S n 2が 8 0重量部となるように、 S nと F eの混合粉末を溶解し、 その溶融物をロール急冷法で急冷し、 凝固させた。 この凝固物をボール ミル容器に投入した後、 この容器を遊星ボールミルに設置し、 回転数を 2 8 0 0 r p m、 合成時間を 1 0時間として、 メカニカルァロイングを 行い所定の粉末を得た。 そして、 得られた粉末を篩で分級して 4 5 以下の粒子とし、 負極材料 A 2を作製した。
( i i ) 負極の作製
上記で得られた負極材料 7 5重量部に対し、 導電剤として炭素粉末 2 0重量部と結着剤としてポリフッ化ビニリデン樹脂 5重量部とを混合 した。 この混合物を脱水 N—メチルピロリジノンに分散させてスラリ一 状とした。 これを銅箔からなる負極集電体に塗布し、 乾燥後、 圧延して 負極を得た。
( i i i ) 正極の作製
正極材料としてコバルト酸リチウム粉末 8 5重量部に対し、 導電剤と して炭素粉末 1 0重量部および結着剤としてポリフッ化ビニリデン樹脂 5重量部を混合した。 この混合物を N—メチルー 2—ピロリ ドンに分散 させてスラリ一状とした。 これをアルミニウム箔からなる正極集電体に 塗布し、 乾燥後、 圧延して正極を得た。
( i V ) 電池の組み立て
図 1に、 本発明における円筒型電池の縦断面図を示した。
正極 1および負極 2をポリエチレンからなるセパレ一夕 3を介して渦 卷状に巻回して電極群を形成した。 この電極群を底部に下部絶縁板 5を 設けた電池ケース 4内に収納した。 そして、 正極 1から正極リード板 1 0を引き出し、 それを正極端子 9および安全弁 8を備えた封口板 6に 接続した。 そして、 エチレンカーボネートおよびェチルメチルカ一ボネ 一トを体積比 1 : 1で混合した混合溶媒に、 L i P F 6を 1 . 5
m o 1 / 1溶解させた非水電解質を電池ケース 4内に注入した。 この電 池ケース 4を周縁部にガスケッ ト 7を備えた封口板 6で封口し、 直径 1 8 m m , 高さ 6 5 0 m mの円筒型電池を作製した。 実施例 2
メカニカルァロイングによる合成時間を 1 5時間とした以外は、 実施 例 1と同様の条件で、 負極材料 A 3を作製した。 そして、 負極材料 A 2 の代わりに負極材料 A 3を用いた以外は実施例 1 と同様の方法により電 池を作製した。 比較例 1、 2
メカニカルァロイングによる合成時間を 3時間および 2 0時間とした 以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極材料 A 1 、 A 4を作製した。 そ して、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 A 1または A 4を用いた以外は 実施例 1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 3、 4
複合粒子における固相 Aとして S nが 2 5重量部および固相 Bとして F eと S nの固溶体が 7 5重量部となるように S nと F eの混合粉末を 用い、 メカニカルァロイングによる合成時間を 1 0時間および 1 5時間 とした以外は、 実施例 1と同様の条件で、 負極材料 A 6 、 A 7を作製し た。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 A 6または A 7を用いた 以外は実施例 1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 比較例 3、 4
メカニカルァロイングによる合成時間を 3時間および 2 0時間とした
以外は、 実施例 3と同様の条件で、 負極材料 A 5 、 A 8を作製した。 そ して、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 A 5または A 8を用いた以外は 実施例 1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 5、 6
F eと S nの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S iが 1 5重量部および固相 Bとして C o S i 2が 8 5重量部となるよう に S i と C oの混合粉末を用い、 メカニカルァロイングによる合成時間 を 1 0時間および 1 5時間とした以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負 極材料 B 2、 B 3を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材 料 B 2または B 3を用いた以外は実施例 1 と同様の方法により電池をそ れぞれ作製した。 比較例 5、 6
メカニカルァロイングによる合成時間を 3時間および 2 0時間とした 以外は、 実施例 5と同様の条件で、 負極材料 B l 、 B 4を作製した。 そ して、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 B 1または B 4を用いた以外は 実施例 1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 7、 8
F eと S nの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S iが 3 0重量部および固相 Bとして C oと S i の固溶体が 7 0重量部 となるように S i とじ oの混合粉末を用い、 メカニカルァロイングによ る合成時間を 1 0時間および 1 5時間とした以外は、 実施例 1と同様の 条件で、 負極材料 B 6 、 B 7を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わ りに負極材料 B 6または B 7を用いた以外は実施例 1 と同様の方法によ
り電池をそれぞれ作製した。 比較例 7、 8
メカニカルァロイングによる合成時間を 3時間および 2 0時間とした 以外は、 実施例 7と同様の条件で、 負極材料 B 5 、 B 8を作製した。 そ して、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 B 5または B 8を用いた以外は 実施例 1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 9、 1 0
F e と S nの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして Z nが 1 0重量部および固相 Bとして V Z n 1 6が 9 0重量部となるよう に Z nと Vの混合粉末を用い、 メカニカルァロイングによる合成時間を 1 0時間および 1 5時間とした以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極 材料 C 2、 C 3を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 C 2または C 3を用いた以外は実施例 1 と同様の方法により電池をそれ ぞれ作製した。 比較例 9、 1 0
メカニカルァロイングによる合成時間を 3時間および 2 0時間とした 以外は実施例 9と同様の条件で、 負極材料 C l 、 C 4を作製した。 そし て、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 C 1または C 4を用いた以外は実 施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 1 1、 1 2
F eと S nの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして Z nが 4 0重量部および固相 Bとして Z nと C uの固溶体が 6 0重量部
となるように Z nと Vの混合粉末を用い、 メカニカルァロイングによる 合成時間を 1 0時間および 1 5時間とした以外は、 実施例 1と同様の条 件で、 負極材料 C 6、 C 7を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わり に負極材料 C 6または C 7を用いた以外は実施例 1 と同様の方法により 電池をそれぞれ作製した。 比較例 1 1 , 1 2
メカニカルァロイングによる合成時間を 3時間および 2 0時間とした 以外は実施例 1 1 と同様の条件で、 負極材料 C 5、 C 8を作製した。 そ して、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 C 5または。 8を用いた以外は 実施例 1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 1 3、 1 4
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S nが 2 2重量部および固相 Bとして T i 2 S nが 7 8重量部となるよう に S nと T i の混合粉末を用い、 メカニカルァロイングによる合成時間 を 1 5時間および 1 0時間とした以外は、 実施例 1と同様の条件で、 負 極材料 D 2、 D 3を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材 料 D 2または D 3を用いた以外は実施例 1 と同様の方法により電池をそ れぞれ作製した。 比較例 1 3、 1 4
メカニカルァロイングによる合成時間を 2 0時間および 3時間とした 以外は、 実施例 1 3と同様の条件で、 負極材料 D l、 D 4を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 D 1または D 4を用いた以外 は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。
実施例 1 5、 1 6
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S nが 2 6重量部および固相 Bとして T i と S nの固溶体が 7 4重量部 となるように S nと T iの混合粉末を用い、 メカニカルァロイングによ る合成時間を 1 5時間および 1 0時間とした以外は、 実施例 1 と同様の 条件で、 負極材料 D 6 、 D 7を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わ りに負極材料 D 6または D 7を用いた以外は実施例 1 と同様の方法によ り電池をそれぞれ作製した。 比較例 1 5、 1 6
メカニカルァロイングによる合成時間を 2 0時間および 3時間とした 以外は、 実施例 1 5と同様の条件で、 負極材料 D 5 、 D 8を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 D 5または D 8を用いた以外 は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 1 7、 1 8
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S iが 1 2重量部および固相 Bとして N i S i 2が 8 8重量部となるよう に S i と N iの混合粉末を用い、 メカニカルァロイングによる合成時間 を 1 5時間および 1 0時間とした以外は、 実施例 1と同様の条件で、 負 極材料 E 2 、 E 3を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材 料 E 2または E 3を用いた以外は実施例 1 と同様の方法により電池をそ れぞれ作製した。 比較例 1 7、 1 8
メカニカルァロイングによる合成時間を 2 0時間および 3時間とした 以外は実施例 1 7 と同様の条件で、 負極材料 E l 、 E 4を作製した。 そ して、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 E 1または E 4を用いた以外は 実施例 1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 1 9、 2 0
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S iが 2 8重量部および固相 Bとして N i と S iの固溶体が 7 2重量部 となるように S i と N iの混合粉末を用い、 メカニカルァロイングによ る合成時間を 1 5時間および 1 0時間とした以外は、 実施例 1 と同様の 条件で、 負極材料 E 6 、 E 7を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わ りに負極材料 E 6または E 7を用いた以外は実施例 1 と同様の方法によ り電池をそれぞれ作製した。 比較例 1 9、 2 0
メカニカルァロイングによる合成時間を 2 0時間および 3時間とした 以外は、 実施例 1 9と同様の条件で、 負極材料 E 5、 E 8を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 E 5または E 8を用いた以外 は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 2 1、 2 2
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして Z nが 1 5重量部および固相 Bとして M g s Z ri Hが 8 5重量部となるよ うに Z nと M gの混合粉末を用い、 メカニカルァロイングによる合成時 間を 1 5時間および 1 0時間とした以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極材料 F 2 、 F 3を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極
材料 F 2または F 3を用いた以外は実施例 1と同様の方法により電池を それぞれ作製した。 比較例 2 1、 2 2
メカニカルァロイングによる合成時間を 2 0時間および 3 ,時間とした 以外は、 実施例 2 1 と同様の条件で、 負極材料 F 1、 F 4を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 F 1または F 4を用いた以外 は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 2 3、 2 4
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして Z nが 3 5重量部および固相 Bとして C dと Z nの固溶体が 6 5重量部 となるように Z nと C dの混合粉末を用い、 メカニカルァロイングによ る合成時間を 1 5時間および 1 0時間とした以外は、 実施例 1と同様の 条件で、 負極材料 F 6、 F 7を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わ りに負極材料 F 6または F 7を用いた以外は実施例 1 と同様の方法によ り電池をそれぞれ作製した。 比較例 2 3、 2 4
メカニカルァロイングによる合成時間を 2 0時間および 3時間とした 以外は実施例 2 3と同様の条件で、 負極材料 F 5、 F 8を作製した。 そ して、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 F 5または F 8を用いた以外は 実施例 1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 比較例 2 5
負極材料に、 本発明の固相 Aおよび固相 Bからなる複合粒子の代わり
に、 黒鉛を用いた以外は、 実施例 1 と同様に負極を作製した。 そして、 実施例 1 と同様の方法で電池を作製した。 実施例 2 5
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S iが 2 0重量部および固相 Bとして C d S i 2が 8 0重量部となるよう に S i と C dの混合粉末を用いた以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負 極材料 G 1を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 G 1 を用いた以外は実施例 1と同様の方法により電池を作製した。 実施例 2 6
S nと F eの混合粉末の代わりに、 S iが 2 0重量部および
N i S i 2が 8 0重量部となるように S i と N i の混合粉末を用いた以外 は、 実施例 1と同様の条件で、 負極材料 G 2を作製した。 そして、 負極 材料 A 2の代わりに負極材料 G 2を用いた以外は実施例 1と同様の方法 により電池を作製した。 実施例 2 7
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S iが 2 0重量部および固相 Bとして W S i 2が 8 0重量部となるように S i と Wの混合粉末を用いた以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極材 料 G 3を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 G 3を用 いた以外は実施例 1 と同様の方法により電池を作製した。 実施例 2 8
S nと F eの混合粉末の代わりに、 S iが 2 0重量部および
C u S i 2力 S 8 0重量部となるように S i と C uの混合粉末を用いた以外 は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極材料 G 4を作製した。 そして、 負極 材料 A 2の代わりに負極材料 G 4を用いた以外は実施例 1 と同様の方法 により電池を作製した。 実施例 2 9
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S iが 2 0重量部および固相 Bとして F d d dの結晶構造を有する
T i S i 2が 8 0重量部となるように T i と S iの混合粉末を用いた以外 は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極材料 G 5を作製した。 そして、 負極 材料 A 2の代わりに負極材料 G 5を用いた以外は実施例 1 と同様の方法 により電池を作製した。 実施例 3 0
S nと F eの混合粉末の代わりに、 S iが 2 0重量部および C m c m の結晶構造を有する T i S i 2が 8 0重量部となるように T i と S iの混 合粉末を用いた以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極材料 G 6を作製 した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 G 6を用いた以外は実 施例 1 と同様の方法により電池を作製した。 実施例 3 1
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S i力 S 2 0重量ならびに固相 Bとして F d d dおよび C m c mが共存し た結晶構造を有する T i S i 2が 8 0重量部となるように T i と S iの混 合粉末を用いた以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極材料 G 7を作製 した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 G 7を用いた以外は実
施例 1 と同様の方法により電池を作製した。
[負極材料および電池の評価]
①広角 X線回折測定
実施例 1〜 3 1および比較例 1〜 2 4の負極材料 A 1〜A 8、 B 1〜 B 8、 C 1〜C 8、 D 1〜D 8、 E 1〜E 8、 F 1〜F 8、 G 1〜G 7 について広角 X線回折測定を行った。
広角 X線回折測定には R I NT- 2 5 0 0 (理学電機 (株) 製) を用 い、 C u Κ αを X線源とした。 全ての方向に配向性を持たせない試料と する測定法 (X線回折の手引改訂第四版、 理学電機株式会社、 Ρ 4 2 ) を用いて、 粉体を試料ホルダーに充填し、 測定した。 また、 測定する試 料としては、 負極作製前の粉体を用いてもよいし、 負極作製後の電極の 合剤を回収し、 乳鉢で粒子間を十分分離させたものを用いてもよい。 ま た、 広角 X線回折を測定する際、 X線が入射する試料面は平面とした。 その面をゴニオメ一夕一の回転軸に一致させ、 回折角、 強度の測定誤差 がないようにした。 広角 X線回折測定により、 固相 Αに帰属される回折 X線の最大回折 X線強度 I Aと、 固相 Bに帰属される回折 X線の最大回折
X線強度 I Bを測定し、 回折 X線強度の比 I AZ I Bを計算した。
回折 X線強度は、 広角; X線回折測定により得られる回折線のプロファ ィルが示すピーク強度、 または回折線のプロファイルもしくは計数値よ り得られる積分強度のいずれの値を用いて表してもよく、 これらの間に は実質的な差異はほとんどない。 また、 この時の回折線のプロファイル は、 バックグランド強度を含んでいても、 それを差し引いたものでもど ちらでも構わない。
また、 実施例 2 9〜 3 1では、 広角 X線回折測定で得られた Cmc m または F d d dの結晶構造に帰属する T i S i 2の各ピ一クが高角度側や
低角度側へシフトしたものについても Cm c mまたは F d d dの結晶構 造に帰属する T i S i 2の回折ピークとした。
②充放電サイクル試験
実施例 1〜 3 1および比較例 1〜 2 4の負極材料 A 1〜 A 8、 B 1〜 B 8、 C 1〜C 8、 D 1〜D 8、 E 1〜E 8、 F 1〜F 8、 G 1〜G 7 および比較例 2 5の黒鉛を用いて作製した各電池について充放電試験を 行った。
2 0 °Cの恒温槽中で、 電池電圧 4. 2 Vまで 1 0 0 0 m Aの定電流で 充電し、 その後、 電池電圧 2. 0 Vまで 1 0 0 0 mAの定電流で放電す る充放電サイクルを繰り返した。 充放電は 1 0 0サイクルまで繰り返し 行い、 1 0 0サイクル目の容量維持率を測定した。 なお、 容量維持率は- 1 0 0サイクル目の放電容量を、 初期の放電容量を 1 0 0として相対値 で表した。 実施例 1〜 1 2および比較例 1〜 1 2の各負極材料について広角 X線 回折測定より得られた I AZ I B値、 ならびにこれらの負極材料および比 較例 2 5の黒鉛からなる負極を用いた各電池の初期容量および容量維持 率を表 1に示した。
0
33
負極材料 A 1〜A 8では、 固相 Bが金属間化合物 F e S n
2からなる材 料 A 1〜A4の場合でも、 固相 Bが F eと S nの固溶体からなる材料 A 5〜A 8の場合でも、 1八 1 !3が0. 0 0 1以上のとき、 放電容量が 2 2 0 0 mA h以上であり、 負極材料に黒鉛を用いた比較例 2 5より高
容量となった。 また、 I AZ I !^^ O . 1以下のとき、 容量維持率が 9 0 %以上であり、 負極材料に黒鉛を用いた比較例 2 5も容量維持率が高く なった。 よって、 実施例 1〜 4の負極材料 A 2、 A 3、 A 6、 A 7のよ うに I AZ I Bが 0. 0 0 1≤ I
AZ I
B≤ 0. 1の範囲のとき、 高容量、 かつ高い容量維持率が得られた。
負極材料 B 1〜: B 8では、 固相 Bが金属間化合物 C o S i 2からなる材 料 B 1〜 B 4の場合でも、 固相 Bが S i と C oの固溶体からなる材料 B 5〜B 8の場合でも、 1 / 1 !3が0. 0 0 1以上のとき、 放電容量が 2 3 0 0 mA h以上であり、 負極材料に黒鉛を用いた比較例 2 5より高 容量となった。 また、 I / I Bが 0. 1以下のとき、 容量維持率が 9 0 %以上であり、 負極材料に黒鉛を用いた比較例 2 5も容量維持率が高く なった。 よって、 実施例 5〜 8の負極材料 B 2、 B 3、 B 6、 B 7のよ うに I Aノ I Bが 0. 0 0 1≤ I AZ I B≤ 0. 1の範囲のとき、 高容量、 かつ高い容量維持率が得られた。
負極材料 C 1〜C 8では、 固相 Bが金属間化合物 V Z n 16からなる材 料 C 1〜C 4の場合でも、 固相 Bが Z nと C uの固溶体からなる材料 C 5〜C 8の場合でも、 1 7 1 13が0. 0 0 1以上のとき、 放電容量が 2 1 0 0 mA h以上であり、 負極材料に黒鉛を用いた比較例 2 5より高 容量となった。 また、 1 1 >3が 0. 1以下のとき、 容量維持率が 9 0 %以上であり、 負極材料に黒鉛を用いた比較例 2 5も容量維持率が高く なった。 よって、 実施例 9〜 1 2の負極材料 C 2、 C 3、 C 6、 C 7の ように I A/ I Bが 0. 0 0 1≤ I AZ I B≤ 0. 1の範囲のとき、 高容量、 かつ高い容量維持率が得られた。
実施例 1 3〜 2 4および比較例 1 3〜 2 4の各負極材料について広角 X線回折測定より得られた W値、 ならびにこれらの負極材料および比較 例 2 5の黒鉛からなる負極板を用いた各電池の初期容量および容量維持
03190
35 率を表 2に示した 表 2
負極材料 D 1〜D 8では、 固相 Bが金属間化合物 T i
2 S nからなる材 料 D 1〜D 4の場合でも、 T i と S nの固溶体からなる D 5〜D 8の場
合でも、 Wが 0. 0 0 1ラジアン以上のとき、 放電容量が 2 2 0 0 mAh以上であり、 負極材料に黒鉛を用いた比較例 2 5よりも高容量と なった。 また、 W (ラジアン) が 0. 0 0 1≤W≤ 0. 1の範囲のとき、 容量維持率が 9 0 %以上となり、 負極材料に黒鉛を用いた比較例 2 5よ りも容量維持率が高くなつた。 よって、 実施例 1 3〜 1 6の負極材料
D 2、 D 3、 D 6、 D 7のように、 W (ラジアン) が 0. 0 0 1≤W≤ 0. 1の範囲のとき、 高容量、 かつ高い容量維持率が得られた。
負極材料 E 1〜E 8では、 固相 Bが金属間化合物 N i S i 2からなる材 料 E 1〜E 4の場合でも、 S i と N iの固溶体からなる E 5〜E 8の場 合でも、 Wが 0. 0 0 1ラジアン以上のとき、 放電容量が 2 3 0 0 mAh以上であり、 負極材料に黒鉛を用いた比較例 2 5よりも高容量と なった。 また、 W (ラジアン) が 0. 0 0 1≤W≤ 0. 1の範囲のとき、 容量維持率が 9 0 %以上となり、 負極材料に黒鉛を用いた比較例 2 5よ りも容量維持率が高くなつた。 よって、 実施例 1 7〜 2 0の負極材料 E 2、 E 3、 E 6、 E 7のように、 W (ラジアン) が 0. 0 0 1 ^W≤ 0. 1の範囲のとき、 高容量、 かつ高い容量維持率が得られた。
負極材料 F 1〜 F 8では、 固相 Bが金属間化合物 M g 2 Z n uからなる 材料 F ;!〜 F 4の場合でも、 Z nと C dの固溶体からなる F 5〜F 8の 場合でも、 Wが 0. 0 0 1ラジアン以上のとき、 放電容量が 2 1 0 0 mA h以上であり、 負極材料に黒鉛を用いた比較例 2 5よりも高容量と なった。 また、 W (ラジアン) が 0. 1の範囲のとき、 容量維持率が 9 0 %以上となり、 負極材料に黒鉛を用いた比較例 2 5よ りも容量維持率が高くなつた。 よって、 実施例 2 1〜 2 4の負極材料 F 2、 F 3、 F 6、 F 7のように、 W (ラジアン) が 0. 0 0 1 W≤ 0. 1の範囲のとき、 高容量、 かつ高い容量維持率が得られた。
実施例 2 5〜 3 1の各負極材料について広角 X線回折測定より得られ
た I A/ I B値および W値、 ならびにこれらの負極材料および比較例 2 5 の黒鉛からなる負極を用いた各電池の初期容量および容量維持率を表 3 に示した。 表 3
負極材料に固相 Aが S i、 固相 Bが表 3に示す種々の金属間化合物か らなり、 1 ノ 1 8が0. 0 0 1≤ I AZ I B≤ 0. 1の範囲であり、 W (ラジアン) が 0. 0 0 1≤W≤ 0. 1の範囲である材料 G 1〜G 7を 用いた電池では、 いずれも放電容量は 2 3 0 0 mAh以上であり、 容量 維持率も 9 0 %以上であった。 中でも固相 Bが T i S i 2で、 その結晶構 造が Cm c mもしくは F d d dまたはその共存状態の材料 G 5〜G 7を 用いた場合が、 放電容量が 2 5 0 OmAh以上と高容量で、 容量維持率 も 9 2 %と高いことがわかった。
よって、 さらに高容量、 かつ高容量維持率を得るためには、 固相 Aが S i、 固相 Bが T iおよび S iからなり、 固相 Bが C m c mおよび
F d d dからなる群より選ばれた少なくとも一種の結晶構造を有する T i S i 2を含む負極材料を用いることが好ましいことがわかった。
実施例 3 2、 3 3
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S i と S n (モル比 1 : 2 ) が 2 0重量部および固相 Bとして
C u S i 2と C u 6S n 5 (モル比 1 : 6 ) が 8 0重量部となるように
C u S i 2、 C u 6S n 5、 S i、 および S nの混合粉末を用い、 メカ二力 ルァロイングによる合成時間を 1 4時間および 1 2時間とした以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極材料 1 2、 I 3を作製した。 そして、 負 極材料 A 2の代わりに負極材料 I 2または I 3を用いた以外は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 比較例 2 6、 2 7
メカニカルァロイングによる合成時間を 1 5時間および 1 1時間とし た以外は、 実施例 3 2と同様の条件で、 負極材料 I 1、 I 4を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 1または I 4を用いた以外 は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 34、 3 5
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S i と S n (モル比 1 : 2 ) が 2 0重量部ならびに固相 Bとして C uと S iの固溶体および C uと S nの固溶体 (モル比 1 : 6 ) が 8 0重量部 となるように C uと S i の固溶体、 C uと S nの固溶体、 S i、 および S nの混合粉末を用い、 メカニカルァロイングによる合成時間を 1 4時 間および 1 2時間とした以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極材料 1 6、 I 7を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 6 または I 7を用いた以外は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ
作製した。 比較例 2 8、 2 9
メカニカルァロイングによる合成時間を 1 5時間および 1 1時間とし た以外は、 実施例 3 4と同様の条件で、 負極材料 I 5、 I 8を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 5または I 8を用いた以外 は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 3 6、 3 7
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S i と S n (モル比 1 : 2 ) が 2 0重量部ならびに固相 Bとして
C u S i 2および C uと S nの固溶体 (モル比 1 : 6 ) が 8 0重量部とな るように C u S i 2、 C uと S nの固溶体、 S i、 および S nの混合粉末 を用い、 メカニカルァロイングによる合成時間を 1 4時間および 1 2時 間とした以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極材料 1 1 0、 I 1 1を 作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 1 0または
I 1 1を用いた以外は実施例 1と同様の方法により電池をそれぞれ作製 した。 比較例 3 0、 3 1
メカニカルァロイングによる合成時間を 1 5時間および 1 1時間とし た以外は、 実施例 3 6と同様の条件で、 負極材料 1 9、 1 1 2を作製し た。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 9または I 1 2を用い た以外は実施例 1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 3 8、 3 9
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S i と S n (モル比 1 : 2 ) が 2 0重量部ならびに固相 Bとして C uと S iの固溶体および C u S n (モル比 1 : 6 ) が 8 0重量部となるよ うに C uと S iの固溶体、 C u 6S n 5、 S i、 および S nの混合粉末を 用い、 メカニカルァロイングによる合成時間を 1 4時間および 1 2時間 とした以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極材料 1 1 4、 I 1 5を作 製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 1 4または I 1 5 を用いた以外は実施例 1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 比較例 3 2、 3 3
メカニカルァロイングによる合成時間を 1 5時間および 1 1時間とし た以外は、 実施例 3 8と同様の条件で、 負極材料 1 1 3、 1 1 6を作製 した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 1 3または I 1 6を 用いた以外は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 なお、 上記実施例 3 4〜 3 9および比較例 2 8〜 3 3における C uと S i または S nの固溶体は、 C uと S i または S nとの原子比が 9 9 : 1のものを用いた。
上記の実施例 3 2〜 3 9および比較例 2 6〜 3 3の負極材料 I 1〜 I 1 6について実施例 1 と同様に広角 X線回折測定を行い W値を得た。 さらに、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 1〜 I 1 6を用いた以外 は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 これらの電池 について実施例 1と同様の方法により充放電サイクル試験を行った。
これらの評価結果を表 4に示した。
P T/JP03/03190
41
表 4に示すように初期の放電容量はいずれも 2 2 0 OmAh以上であ るが、 容量維持率が W値に依存す'ることがわかった。 すなわち、 W値が
0. 0 0 1≤Ψ≤ 0. 1のときに、 容量維持率が 9 0〜 9 1 %程度と良 好であることがわかった。
このように、 固相 Αが S i と S ηからなり、 固相 Βが C u、 S iおよ び S nを含む固溶体または金属間化合物からなる複合粒子において、 そ の W値が 0. 0 0 1≤W≤ 0. 1を満たすものを負極材料として用いた 時に高容量、 かつ高い容量維持率が得られた。 実施例 4 0、 4 1
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S i と S n (モル比 1 : 3 ) が 2 0重量部および固相 Bとして
C u S i 2と C u 6S n 5 (モル比 1 : 6 ) が 8 0重量部となるように
C u S i 2、 C u 6 S n 5 , S i、 および S nの混合粉末を用い、 メカ二力 ルァロイングによる合成時間を 1 4時間および 1 2時間とした以外は、 実施例 1と同様の条件で、 負極材料 1 1 8、 1 1 9を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 1 8または I 1 9を用いた以外は実 施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 比較例 3 4、 3 5
メカニカルァロイングによる合成時間を 1 5時間および 1 1時間とし た以外は、 実施例 40と同様の条件で、 負極材料 1 1 7、 1 2 0を作製 した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 1 7または I 2 0を 用いた以外は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 4 2、 4 3
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S i と S n (モル比 1 : 3 ) が 2 0重量部ならびに固相 Bとして C uと
S iの固溶体および C uと S nの固溶体 (モル比 1 : 6 ) が 8 0重量部 となるように C uと S iの固溶体、 C uと S nの固溶体、 S i、 および S nの混合粉末を用い、 メカニカルァロイングによる合成時間を 1 4時 間および 1 2時間とした以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極材料 1 2 2、 I 2 3を作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 2 2または I 2 3を用いた以外は実施例 1と同様の方法により電池を それぞれ作製した。 比較例 3 6、 3 7
メカニカルァロイングによる合成時間を 1 5時間および 1 1時間とし た以外は、 実施例 4 2と同様の条件で、 負極材料 1 2 1、 1 2 4を作製 した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 2 1または I 2 4を 用いた以外は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 4 4、 4 5
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S i と S n (モル比 1 : 3 ) が 2 0重量部ならびに固相 Bとして
C u S i 2および C uと S nの固溶体 (モル比 1 : 6 ) が 8 0重量部とな るように C u S i 2、 C uと S nの固溶体、 S i、 および S nの混合粉末 を用い、 メカニカルァロイングによる合成時間を 1 4時間および 1 2時 間とした以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極材料 1 2 6、 I 2 7を 作製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 2 6または
I 2 7を用いた以外は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製 した。 比較例 3 8、 3 9
メカニカルァロイングによる合成時間を 1 5時間および 1 1時間とし た以外は、 実施例 44と同様の条件で、 負極材料 1 2 5、 1 2 8を作製 した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 2 5または I 2 8を 用いた以外は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 実施例 46、 4 7
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S i と S n (モル比 1 : 3 ) が 2 0重量部ならびに固相 Bとして C uと S iの固溶体および C u 6S n 5 (モル比 1 : 6 ) が 8 0重量部となるよ うに C uと S iの固溶体、 C u 6S n 5、 S i、 および S nの混合粉末を 用い、 メカニカルァロイングによる合成時間を 1 4時間および 1 2時間 とした以外は、 実施例 1 と同様の条件で、 負極材料 1 3 0、 I 3 1を作 製した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 3 0または I 3 1 を用いた以外は実施例 1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 比較例 4 0、 4 1
メカニカルァロイングによる合成時間を 1 5時間および 1 1時間とし た以外は、 実施例 46と同様の条件で、 負極材料 1 2 9、 1 3 2を作製 した。 そして、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 2 9または I 3 2を 用いた以外は実施例 1と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 なお、 上記実施例 42〜 4 7および比較例 3 6〜4 1にぉけるじ 11と S i または S nの固溶体は、 C uと S i または S nとの原子比が 9 9 : 1のものを用いた。
上記の実施例 4 0〜 4 7および比較例 3 4〜 4 1の負極材料 I 1 7〜 I 3 2について実施例 1と同様に広角 X線回折測定を行い I ΛΖ I Β値を
得た。
さらに、 負極材料 A 2の代わりに負極材料 I 1 7〜 I 3 2を用いた以 外は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 これらの電 池について実施例 1 と同様の方法により充放電サイクル試験を行った。
これらの評価結果を表 5に示す。
1八/ 1 直が0. 0 0 1≤ I AZ I B≤ 0. 1の時に、 容量維持率が 9 0 〜 9 1 %程度と良好であることがわかった。
このように、 固相 Aが S i と S nからなり、 固相 Bが C u、 S iおよ び S nを含む固溶体または金属間化合物からなる複合粒子において、 そ の I AZ I B値が 0. 0 0 1≤ I A/ I B≤ 0. 1を満たすものを負極材料 として用いた時に高容量、 かつ高い容量維持率が得られた。 実施例 4 8〜 5 5および比較例 4 2、 4 3
S nと F eの混合粉末の代わりに、 複合粒子における固相 Aとして S iが 2 0重量部および固相 Bとして T i S i 2が 8 0重量部となるよう に T i と S i の混合粉末を用い、 表 6に示す合成時間とした以外は、 実 施例 1 と同様の条件で実施例 4 8〜 5 5の負極材料 H 2〜H 9、 および 比較例 4 2、 4 3の負極材料 H I、 H 1 0を作製した。 上記の負極材料 H 1〜H 1 0について実施例 1 と同様に広角 X線回折 測定を行い W値を得た。
さらに、 負極材料 A の代わりに負極材料 H 1〜H 1 0を用いた以外 は実施例 1 と同様の方法により電池をそれぞれ作製した。 これらの電池 について実施例 1 と同様の方法により充放電サイクル試験を行った。 これらの評価結果を表 6に示す。
表 6
固相 Αが S i、 固相 Bが T i S i 2からなる複合粒子において、 その W 値が 0. 0 0 1≤W≤ 0. 1を満たすものを負極材料として用いた時に 高容量、 かつ高い容量維持率が得られた。 さらに、 容量維持率が 9 3 % と高くなるため、 W値が 0. 0 0 8≤W≤ 0. 0 4を満たすものが特に 好ましいことがわかった。
なお、 本発明の負極材料における固相 Bが固相 Aの構成元素以外の元 素として、 本実施例で用いられた各元素以外の 2族元素、 遷移元素、 1 2族元素、 1 3族元素、 炭素を除く 1 4族元素を含んだ場合でも同様 の効果が得られる。
また、 負極材料における構成元素の仕込み比率については、 特に限定 されたものではなく、 相が 2相になり、 1相 (固相 B) の中に S n、 S i、 Z nを主体としたもう一つ別の相 (固相 A) が分散した状態にな ればよく、 仕込み組成を特に限定するものではない。
さらに、 固相 Aは、 S n、 S i , Ζ ηのみからだけではなく、 これら
以外の元素、 例えば、 0、 C、 N、 S、 C a、 Mg、 A l、 F e、 W、 V、 T i 、 C u、 C r、 C o、 P等の元素が微量に存在している場合も 含まれる。
固相 Bは実施例で示した固溶体や金属間化合物のみからなるだけでは なく、 それぞれ固溶体、 金属間化合物を構成している以外の元素、 例え ば、 0、 C、 N、 S、 C a、 Mg、 A l、 F e、 W、 V、 T i、 C u、 C r、 C o、 P等の元素が微量に存在している場合も含まれる。 産業上の利用の可能性
以上のように、 本発明によれば、 サイクルにともなう微細化を抑制す る負極材料を提供することができる。 また、 この負極材料を用いること により、 高容量であり、 かつサイクル寿命特性に優れた非水電解質二次 電池を提供することができる。