WO2005077676A1 - 水圧転写品 - Google Patents

Abstract

　転写フィルム１６の印刷パターン１２上に紫外線硬化樹脂組成物２０を塗布し、印刷パターン１２が紫外線硬化樹脂組成物２０によって活性化されて付着性が再現した状態で物品１０の表面に水圧転写して最表面装飾層３０が形成されるが、紫外線硬化樹脂組成物２０は、印刷パターンに塗布されて印刷パターンと渾然一体化されて紫外線硬化され、またこの最表面装飾層３０は、印刷パターンに一体化されて硬化された紫外線硬化樹脂組成物とこの印刷パターンの成分との組み合わせに相応して最表面装飾層３０に光沢変化性及び／又は肌触り性が付与される。

Description

明 細 書

水圧転写品

技術分野

[0001] 本発明は、水溶性フィルム上の印刷パターンが水圧転写されて形成された装飾層 を有し、この装飾層の上に表面保護層を施すことなくこの装飾層を最表面とすること ができる水圧転写品に関するものである。

背景技術

[0002] 水圧転写方法は、水溶性フィルムの上に非水溶性の印刷パターンが施されている 転写フィルムを転写槽内の水面上に浮かばせ、この転写フィルムにおける水溶性フィ ルムを水で湿潤させた上で、物品（被転写体)をこの転写フィルムの印刷パターンに 接触させながら転写槽内の水中に押し入れ、水圧を利用して転写フィルムの印刷パ ターンを物品の表面に転写して装飾層を形成する方法である。そして、普通は、転写 フィルムは、水溶性フィルム上に印刷パターンが事前に印刷されて形成されているた め、印刷パターンのインクは乾燥状態にあるので、転写に際して、転写フィルム上の 印刷パターンに活性剤やシンナー類を塗布して、印刷パターンを印刷直後と同様の 湿潤状態で付着性を発現した状態に戻す必要があり、これは、通常、活性化と称さ れている。更に、このようにして物品の表面に形成された装飾層へ耐摩性、耐溶剤性 、耐薬品性、耐候性等を付与するために、装飾層の上に透明な表面保護層 (トップコ ート層)を形成する必要がある。

[0003] このように、装飾層の上に表面保護層を形成すると、全体に表面光沢が得られて意 匠に深みが与えられるので、水圧転写品である製品によっては、磨き込まれたような 一種の高級感が付与されるため、意匠表現上に効能がある。しかし、その反面、外観 表面の全体が一様の光沢感となり、例えば、木目模様あっては、侘、寂の趣きに似た 本木感、質感を表現できないため、意匠的表現の限界を生ずる原因となっていた。 一方、表面保護層を形成しないで装飾層が露出しても、この侘、寂の趣に似た本木 感、質感を必ずしも表現できるものではなぐ仮にこれらを表現できるとしても、表面 保護層がない状態では、耐摩性、耐溶剤性、耐薬品性、耐候性等に劣るので、最終 製品とすることができないため、意匠的表現を犠牲にして表面保護層を施しているの が実情である。

[0004] また、装飾層の上に表面保護層を形成すると、表面の触った時に滑りを生ずる感覚 や低級感が出たりすることがあるので、これらの滑り感を防止したり高級感を付与した りするためには、表面保護層を施さないことも一つの手法である力 上記の意匠的表 現の場合と同様に、耐摩性、耐溶剤性、耐薬品性、耐候性等の物理的、化学的特性 を得るために、装飾層の表面感触が劣って低級感を与えることを犠牲にして表面保 護層を施していた。

[0005] このため、本出願人は、上述の意匠表現や表面感触の問題を解決するのは非常に 困難であろうと考え、この意匠表現や表面感触の問題を棚上げして、以下に述べるよ うに、水圧転写技術における種々の課題の解決を図ることを試みて ヽた。

[0006] 第 1の従来技術では、表面保護層は、印刷パターンを転写して形成された装飾層 の上にウレタン 2液型塗料、アクリルラッカー形塗料、紫外線硬化型塗料をスプレー 塗布し、この紫外線硬化型塗料に紫外線を照射することによってこの塗料を硬化さ せて形成されていた。

[0007] しかし、この方法では、装飾層そのものの耐溶剤性等を向上させるのではなくて装 飾層をオーバーコートする表面保護層（トップコート層）に耐耗性、耐溶剤性等を担 わせようとしたものであり、また、物品上に印刷パターンを転写して力 水洗、乾燥し た後にウレタン 2液型塗料を塗布するので、これらの処理に比較的長い時間を要する 上に、一般的に、乾燥は、熱風に晒して行われるので、装飾層の上にほこりが付着し 易ぐ装飾層の外観を低下させる欠点があった。

[0008] 第 2の従来技術では、印刷パターンの水圧転写と表面保護層の形成とを同時に行 う方法が提案されている（特許文献 1参照)。この方法は、水溶性フィルム上に非水溶 性榭脂製の透明又は半透明な表面保護層と更にその上に非水溶性の印刷層とを施 して保護層付きの転写フィルムを形成し、この保護層付き転写フィルムを物品 (被転 写物)に水圧転写する方法である。

[0009] この方法は、水圧転写時に、水圧を利用して転写フィルムに物品の表面を接触さ せると、水溶性フィルム上の表面保護層と印刷層とが物品の表面に同時に転写され るので、上記の第 1の従来技術のように、転写工程後の保護塗料の塗布工程及び硬 化工程を必要としないし、装飾層と表面保護層との間にほこりが付着することがない。

[0010] このように、この方法は、印刷層の転写と同時に表面保護層が形成されるので、作 業工程が簡略ィ匕される上に装飾層の外観を悪くすることがないので有利であるが、 表面保護層は、ブチルメタタリレート重合体、ェチルメタタリレート重合体等の耐溶剤 性の低い保護剤力も成っているので、耐摩性等を付与して物品の印刷層の表面を機 械的に保護することはできるが、溶剤や薬品に触れると変質し易いなどの化学的に 保護に乏しい欠点があった。

[0011] この第 2の従来技術に類似しているが、第 2の従来技術の表面保護層に紫外線等 によって硬化する榭脂を用いた第 3の従来技術が提案されている (特許文献 2参照）

[0012] この第 3の従来技術では、表面保護層が紫外線等によって硬化する榭脂を用いて いるので、装飾層を機械的又は化学的に表面保護するのに有効であるが、後に述べ るように、転写フィルムの最表面にある印刷パターンの付着性を再現する際に好まし くない幾つかの欠点を有する。

[0013] 即ち、上記の第 1乃至第 3の従来技術に共通していることであるが、転写に際して は、転写フィルム上の印刷パターンに活性剤やシンナー類を塗布して、印刷パター ンの付着性を再現して 、るが、これらの活性剤やシンナー類には有機溶剤が用いら れているので、工程条件としてその溶剤成分が揮発し終える迄の時間や乾燥条件を 見込む必要があり、もし印刷パターンの転写後の装飾層に溶剤成分が残留している と、品質に悪影響を生じることがあり、更に作業中に有機溶剤が大気中に放出された り人体に吸入されたりするので、印刷パターンの活性ィ匕に有機溶剤を用いることは、 有機大気汚染や労働者の健康阻害の元凶となり、これに対して早急に対処しなけれ ばならない問題となって!/、る。

[0014] そこで、本出願人は、試みに、環境対応型の塗料でもあり上記の第 1の従来技術で も既に用いられて ヽた紫外線硬化型塗料を転写フィルム上の印刷パターンに直接塗 布してみたところ、印刷パターンのインクに一時的に付着性を再現することができた 力 それを水圧転写工程中の連続作業で行おうとすると、転写時点においては印刷 ノターンの付着性が低下するため転写不良となることが判明した。更に、同じ紫外線 硬化榭脂組成物であるところの紫外線硬化型インクで着色顔料の入って ヽな ヽもの を用いて同様に試してみたところ、印刷パターンのインクに付着性を再現することが でき、し力も、転写時点においても付着性が低下することなく転写することができるこ とを発見した。

[0015] 水圧転写の場合には、印刷パターンのインクだけを湿潤状態に戻して付着性を再 現すればょ 、のではなく、印刷パターンを支える水溶性フィルムも転写槽内の水で湿 潤して、物品が水中に押し入れられる際に、印刷パターンと水溶性フィルムの両方が 物品表面に付き回りする必要がある。従って、両者の湿潤状態の調和が得られたタイ ミングにて物品を水中へ押し入れる必要があると共に、転写が完了するまで、物品へ の付き回りにも適応する付着性を再現して ヽる必要がある。

[0016] このため、これら試行の結果の違いは、同じ紫外線硬化榭脂組成物でありながら、 紫外線硬化型塗料と紫外線硬化型インクとの用途別製品としての組成の違いから生 じているのであろうと考え、紫外線硬化型塗料には低沸点溶剤が含まれるが、紫外 線硬化型インクには溶剤が含まれていないのが一般的であり、従って、印刷パターン に紫外線硬化型塗料を塗布した場合には、この塗料中の溶剤により当初の付着性を 再現するが、転写時点においてはこの溶剤が揮発してしまって付着性が低下し、他 方、紫外線硬化型インクには溶剤成分が含まれていないので、紫外線硬化型インク 中の何らか非溶剤成分により付着性が再現されるのであろうと推測し、その後も種々 の実験等を繰り返して、従来技術における種々の問題について解決できる方法を完 成した。

[0017] この解決方法は、転写フィルムの印刷パターン上に無溶剤タイプの紫外線硬化榭 脂組成物を塗布してこの紫外線硬化榭脂組成物中の非溶活性ィ匕成分により印刷パ ターンの付着性を再現する工程と、紫外線硬化榭脂組成物を含む印刷パターンに 物品の表面を押し当てるようにして物品を転写フィルムと共に水中へ押し入れる工程 と、それによつて紫外線硬化榭脂組成物を含む印刷パターンが転写された物品に紫 外線を照射して紫外線硬化榭脂組成物と印刷パターンとを渾然一体化した状態で 硬化して装飾層を形成する工程とを備えて ヽる（特許文献 3及び 4参照)。 [0018] 本出願人は、この発明を完成する過程で、この水圧転写方法により得られた水圧 転写品の装飾層自体が少なくとも物品表面への密着性と耐溶剤性とを備えており、 従って表面保護層を有していなくても製品化することができることを確認した。

[0019] また、本出願人は、この水圧転写方法により得られた水圧転写品が表面保護層を 用いることなく装飾層の意匠的変化の表現を達成することができ、更に装飾層に凹 凸が形成されて装飾層の感触を向上することができることを確認した。

[0020] 先ず、装飾層の意匠的変化の表現に関して述べると、例えば、木目模様の印刷パ ターンを水圧転写して形成された装飾層を観察すると、その早材部分を表現した層 部分には光沢感が観察される力 黒インクを高 、濃度で印刷して晚材部分を表現し た層部分には光沢感がないように観察され、この光沢感の差が隣接して存在すること によって、恰も本木のような立体感を感じ取ることができていることに気付いた。

[0021] この光沢感の差は、次のような原因で発生するものと推測される。即ち、水圧転写 時に印刷パターンの付着性を再現させるために転写フィルムの表面に塗布された紫 外線硬化榭脂組成物は、それが無溶剤タイプであるカゝ否かに拘わらず、従来技術で 用いられていた活性剤に比べて、黒インク中の着色顔料等により吸収されるので、黒 インクが高 、濃度で転写された位置 (層部分)では顔料の粒子感 (微細な凹凸)を露 出して紫外線硬化するため光沢感が減じられ、他方、黒インク以外のインクが転写さ れた位置や黒インクが低いインク濃度で転写された位置では紫外線硬化榭脂組成 物が余り吸油されないで顔料間を埋めるように紫外線硬化するため微細な凹凸が少 なく光沢を維持し、これらが原因で光沢感の差を生じているのであろうと推測した。そ こで、その後は、この推測に基づいた意匠観点力も種々の確認実験等を繰り返した。

[0022] また このようにインクの吸油性の大小に応じて微細な凹凸が形成されると同時に、 黒インクが高 ヽ濃度で転写された位置 (層部分)では全体として凸領域を形成し、他 方、黒インク以外のインクが転写された位置や黒インクが低 、インク濃度で転写され た位置では、この凸領域よりも相対的に高さの低い凹領域を形成し、従って装飾層を 手で触れたとき扁平ではなくさらつとした特異な感触を受けることができることを発見 し、この発見に基づいて種々の確認実験等を繰り返した。

[0023] 特許文献 1 :特開平 4 197699号公報 特許文献 2：特開 2003— 305998号公報

特許文献 3 :特願 2003— 156439号明細書

特許文献 4：特願 2003-409874号明細書

[0024] 本発明の第 1の基本的な目的は、物品上の装飾層自体に密着性、耐溶剤性の如 き機械的及びィ匕学的な表面保護機能を具備して、表面保護層 (トップコート層)を形 成することなぐ装飾層を外観最表面として使用することができる水圧転写品を提供 することにある。

[0025] 本発明の第 2の基本的な目的は、物品上の表面保護機能を有する装飾層がその 表面に微細な凹凸及び Z又は凹凸領域を形成することにより光沢変化性と肌触りの 一方及び双方を改良することにある。

[0026] 本発明の他の目的は、装飾層に光沢感のある部分と光沢感の減じられた部分とを 形成してこれらの光沢感の差によって装飾層に立体感を付与することができる水圧 転写品を提供することにある。

[0027] 本発明の更に他の目的は、装飾層に光沢感の差に基づいて立体感を付与し、この 立体感が本木感、質感、本物感、斬新感、奇異感、侘、寂の趣き等の趣向を感じさ せて、従来技術にな ヽ豊力な意匠的表現を与えることができる水圧転写品を提供す ることにめる。

[0028] 本発明の更に他の目的は、装飾層の肌触り感触を向上することができるようにした 水圧転写品を提供することにある。

発明の開示

[0029] 本発明の基本的な特徴は、水溶性フィルム上の印刷パターンを水圧転写して形成 された最表面装飾層を有する水圧転写品において、印刷パターンに塗布されて印 刷パターンに渾然一体化されて紫外線硬化された紫外線硬化榭脂組成物とこの印 刷パターンの成分との組み合わせに相応して最表面装飾層に光沢変化性及び Z又 は肌触り性を付与することを特徴とする水圧転写品を提供することにある。印刷バタ ーンに塗布される紫外線硬化榭脂組成物は、水圧転写時に印刷パターンの付着性 を再現させる作用を有するが、印刷パターンが付着性を有する場合には、装飾層に 耐溶剤性等を付与する目的で使用される。 [0030] 本発明の第 1の付随的な特徴は、水溶性フィルム上の印刷パターンを水圧転写し て形成された最表面装飾層を有する水圧転写品において、印刷パターンに塗布さ れて印刷パターンに渾然一体化されて紫外線硬化された紫外線硬化榭脂組成物と この印刷パターンの成分との組み合わせに相応する光沢度の変化に基づいて付与 される高光沢模様部と低光沢模様部とを有することを特徴とする水圧転写品を提供 することにある。

[0031] 本発明の第 1の付随的な特徴において、低光沢模様部は、紫外線硬化榭脂組成 物を吸油する高吸油性成分を含んだインクが転写された印刷パターン部分で形成さ れているものとすることができる。 1つの高吸油性成分は、印刷パターンのインク中の 着色顔料であり、特に、印刷パターンの黒インク中のカーボンブラックが高吸油性成 分として機能することができる。

[0032] 本発明の第 1の付随的な特徴による水圧転写品の低光沢模様部は、日本工業規 格 Z8741— 1997「方法 3— 60度鏡面光沢」に準拠して測定して 20未満の光沢度を 有するのが望ましい。

[0033] 本発明の第 1の付随的な特徴において、高光沢模様部は、紫外線硬化榭脂組成 物の吸油性が低い低吸油性成分が添加されたインクが転写された部分又はインク濃 度の低 、インク転写部分に形成することができるが、インク濃度が零であるか無インク 部分である非印刷部分で形成されることもできる。

[0034] 本発明の第 1の付随的な特徴による水圧転写品は、高光沢模様部と低光沢模様部 との光沢度の差が日本工業規格 Z8741— 1997「方法 3— 60度鏡面光沢」に準拠し て測定して 10以上であるのが望ましい。

[0035] 本発明の第 1の付随的な特徴において、紫外線硬化榭脂組成物には艷消し成分 を含ませることができ、この艷消し成分は、高光沢模様部と低光沢模様部とに艷消し 効果を付与する機能を有する。

[0036] また、本発明の第 1の付随的な特徴において、高光沢模様部と前記低光沢模様部 とを有する最表面装飾層は、キシレンを含ませた 10枚重ねのガーゼを手で 8往復擦 りつけても汚損されることな ヽ耐溶剤性を備えて ヽるのが望ま U、。

[0037] 本発明の第 1の付随的な特徴は、特に印刷パターンが木目模様を有し、高光沢模 様部がこの木目模様の粗組織表現部に相応し、低光沢模様部が木目模様の密組織 表現部に相応している最表面装飾層を有する水圧転写品に好適に利用することが できる。

[0038] この場合、粗組織表現部が早材部分に相当し、密組織表現部が晚材部分に相当 し、それによつて最表面装飾層は、板目または征目の意匠となっている。

[0039] また、本発明の第 1の付随的な特徴は、地色が転写される木目の色調に合わせた 色調を有する基材力 成り、装飾層がこの基材の上に形成されている水圧転写品に も好適に利用することができる。

[0040] 更に、本発明の第 1の付随的な特徴は、印刷パターンが単色模様を有し、高光沢 模様部が印刷パターンの単色模様の非印刷部分に相応し、低光沢模様部が単色印 刷部分に相応している水圧転写品にも好適に利用することができる。

[0041] この単色模様を有する水圧転写品である場合、単色模様は、水圧転写品の基材の 地色と略同色のインクで印刷されて形成されており、最表面装飾層は、高光沢模様 部と低光沢模様部との両方を通してモノトーンの意匠となっているものとすることがで きる。

[0042] 同様にして、この単色模様を有する水圧転写品である場合、単色模様は、無色イン クで印刷されて形成されており、最表面装飾層は、高光沢模様部と低光沢模様部と の両方を通して水圧転写品の基材の地色が単色模様を透過して形成されたモノトー ンの意匠となって ヽるものとすることもできる。

[0043] また、本発明の第 1の付随的な特徴は、物品の基材が透明であり、高光沢模様部と 低光沢模様部とを含む最表面装飾層がこの透明基材の上に形成されている水圧転 写品にも同様にして好適に利用することができる。

[0044] 本発明の第 2の付随的な特徴は、水溶性フィルム上の印刷パターンを水圧転写し て形成された最表面装飾層を有する水圧転写品において、最表面装飾層は、印刷 パターンに塗布されて印刷パターンに渾然一体化されて紫外線硬化された紫外線 硬化榭脂組成物とこの印刷パターンの成分ど塗布量との組み合わせに相応して形成 された凹凸力 成る最表面を有することを特徴とする水圧転写品を提供することにあ る。印刷パターンに塗布される紫外線硬化榭脂組成物は、水圧転写時に印刷パター ンの付着性を再現させる作用を有するが、印刷パターンが付着性を有する場合には 、装飾層に耐溶剤性等を付与する目的で使用される。

[0045] 本発明の第 2の付随的な特徴において、装飾層の凹凸は、紫外線硬化榭脂組成 物を吸油する高吸油性成分を含んだインクが転写された印刷パターン部分で形成さ れ、特にこの高吸油性成分を含んだインクが多量に塗布された部分で顕著に形成さ れる。 1つの高吸油性成分は、印刷パターンのインク中の着色顔料であり、特に、印 刷パターンの黒インク中のカーボンブラックが高吸油性成分として機能することがで きる。

[0046] また、本発明の第 2の付随的な特徴において、凹凸を有する最表面装飾層は、キ シレンを含ませた 10枚重ねのガーゼを手で 8往復擦りつけても汚損されることない耐 溶剤性を備えて ヽるのが望ま 、。

[0047] 本発明の第 2の付随的な特徴は、特に自動車のステアリングに好適に利用すること ができる。

[0048] なお、本発明において、「凹凸」とは、微細な凹凸自体のほかに、この微細な凹凸を 有する領域（凸領域)とこのような微細な凹凸の凹部よりも低いか平坦な領域とを含む 領域（凹領域)との組み合わせである凹凸領域をも意味する。

[0049] このように、装飾層は、水圧転写時に転写フィルム上に塗布された紫外線硬化榭脂 組成物が転写後紫外線照射により印刷パターンと渾然一体化した状態で硬化して形 成されるので、耐摩性、耐溶剤性、耐薬品性、耐候性等の機械的及び化学的な表面 保護機能を具備し、従って表面保護層（トップコート層）を形成する従来技術でこの 表面保護層を形成する際に生ずるようなほこりの付着がなぐ良品率が向上し、また 露出状態で意匠的表現が維持される装飾層が従来技術のようにその上に施された 表面保護層（トップコート層）によって意匠的表現が減少させられることがなぐ意匠 的表現を維持することができる製品 (水圧転写品）を提供することができる。

[0050] また、装飾層は、紫外線硬化榭脂組成物が印刷パターンと渾然一体化した状態で 硬化して形成されたものであるが、この紫外線硬化榭脂組成物は、印刷パターンのィ ンク中の顔料の種類によって吸収され易力つたり吸収し難力つたりし、例えば、黒イン ク中の着色顔料であるカーボンブラックは、紫外線硬化榭脂組成物を容易に吸油す るので、これら顔料が高 、濃度で添加されたインクが転写された位置 (装飾層部分） では、装飾層に微細な凹凸を発生して光沢感が減じられたように観察される低光沢 模様部を呈すると共に、紫外線硬化榭脂組成物が吸収された状態で硬化して凸領 域を形成する。他方、黒インク以外のインクが転写された位置や低いインク濃度でィ ンクが転写される力インクが転写されない地肌の位置では、微細な凹凸の発生が少 なく高い光沢感が観察される高光沢模様部を呈すると共に、紫外線硬化榭脂組成物 の吸収が少ない状態で硬化して、この凸領域よりも相対的に高さの低い凹領域を形 成する。すなわち、これらの光沢感の差異が印刷パターンに呼応して装飾層上に必 然と生じるので、この光沢感の差の存在によって装飾層に立体感を付与することがで きる製品 (水圧転写品）を提供することができる。それとと同時に、微細な凹凸及び Z 又は凹凸領域が形成されるので、装飾層を手で触れたとき扁平ではなくさらつとした 特異な感触を受け、装飾層の滑り止め作用を達成した製品 (水圧転写品）として提供 することができる。

[0051] 水圧転写品の隣接する高光沢模様部と低光沢模様部との光沢度の差は、 10以上 であるのが好ましいが、それよりも小さくてもその差が大きく感じられることがある。即 ち、光沢度計での測定数値と目視感覚とは 100%合致するものではなぐ目視感覚 は、一般に、 30乃至 60の範囲内では鈍ぐそれを外れると、鋭くなる。例えば、光沢 度の測定数値の差が僅か 5であっても、 30乃至 60の範囲内では、光沢度の差 5に対 しては光沢感にあまり変化がな 、ように感じられる力 この範囲を上方又は下方に外 れた範囲での光沢度の差 5は、力なりの差に感じられる。もちろん、光沢度の差が大 きければ、それが大きく感じられるが、例えば、低光沢模様部の光沢度が 20未満で あると、ほぼ一目して光沢がないと感じ、従って、低光沢模様部とこれに隣接する高 光沢模様部との光沢度の差が 10であると、低光沢模様部と高光沢模様部との差が 特に顕著に感じられる。しかし、高低の光沢模様部の光沢度が 30乃至 60の範囲に 入って 、るものを除外するものではな！/、。

[0052] また、印刷パターンが例えば板目ゃネ正目であると、早材部分が表現された位置で は茶色や薄茶色のインクが低 、濃度で転写されるので、この位置では紫外線硬化榭 脂組成物が吸収される度合いが低下して高光沢模様部となり、晚材部分が表現され る位置では黒色インク等が高 、濃度で転写されるので、その位置では紫外線硬化榭 脂組成物が吸収される度合いが向上して低光沢模様部となり、これらの光沢感の差 が隣接して存在することによって、恰も本木のような立体感を感じ取ることができ、更 には、黒色ドットが点在する位置も低光沢模様部となり、道管が直角に近く切断され た際の切り口で、深さのある穴のように観察されるので、全体として、本木感、板目や 征目の質感が付与される製品 (水圧転写品）を提供することができる。勿論、板目や 征目の一般的な木目だけでなく、瘤や枝の根本ある部分やャ-を含んで 、る部分な どを切断した高級空と言われる木の質感も感じされることができる製品も容易に得る ことができる。

[0053] 更に、印刷パターンが物品の基材の地色と略同色の単色で形成されていると、光 沢度の差だけで装飾層の外観が構成されるようになり、モノトーンで、近代的で斬新 な感じや奇異な感じを与える製品 (水圧転写品）を提供することができる。

[0054] また、艷消し成分を含む紫外線硬化榭脂組成物が印刷パターンと渾然一体ィ匕した 状態で硬化すると、この艷消し成分は、高光沢模様部により効果的に作用するので、 高光沢模様部と低光沢模様部との光沢度の差を縮小させる傾向に全体のトーンを落 とし、侘 ·寂の趣きなども感じさせる製品 (水圧転写品）を提供することができる。

[0055] 更に、最表面装飾層が印刷パターンに塗布されて印刷パターンに渾然一体ィ匕され て紫外線硬化された紫外線硬化榭脂組成物とこの印刷パターンの成分ど塗布量との 組み合わせに相応して形成された微細な凹凸及び Z又は凹凸領域力 成る最表面 を有すると、装飾層の肌触り感触を向上することができ、従って例えば自動車のステ ァリングノヽンドルの如き滑りを止める手触り感が要求される物品に好適に適用するこ とがでさる。

図面の簡単な説明

[0056] [図 1]本発明に用いられる水圧転写方法の概略を示す概略図である。

[図 2]本発明の水圧転写方法の 1つの形態を工程順に示し、図 2Aは、転写フィルム の断面図、図 2Bは、転写フィルムに紫外線硬化榭脂組成物を塗布した状態の断面 図、図 2Cは、図 2Bの転写フィルムを水面に浮かばせた状態の断面図、図 2Dは、水 圧転写すべき物品を水中に押し込む直前の状態の断面図、図 2Eは、水圧転写後紫 外線を照射する状態の断面図、図 2Fは、物品から水溶性フィルムを水洗する状態の 断面図、図 2Gは、物品の表面を乾燥する状態の断面図である。

[図 3]本発明の方法によって得られた製品の拡大断面図である。

[図 4]本発明の 1つの実施の形態による製品の斜視図である。

[図 5]図 4の製品の一部の模様を拡大して示す拡大図である。

[図 6]本発明の他の実施の形態による製品の斜視図である。

[図 7]図 6の製品の一部を拡大して示す拡大断面図である。

発明を実施するための最良の形態

[0057] 本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に述べるが、本発明の水圧転写品の 理解を容易にするために、先ず、本発明の水圧転写品を得ることのできる水圧転写 方法について説明する。

[0058] 図 1は、本発明の水圧転写品を得ることができる水圧転写方法の一つを概略的に 示し、この水圧転写方法は、印刷パターン 12が施された水溶性フィルム 14力も成る 転写フィルム 16を印刷パターン 12が上面となるようにして図示しない転写槽内の水 1 8上に供給して浮かばせ、水圧転写すべき物品 10をこの転写フィルム 16を介して水 18の中に押し込んで水圧転写する方法である。

[0059] 水溶性フィルム 14は、水を吸収して湿潤し軟化する例えばポリビニールアルコール を主成分とする水溶性材料力も成っている。この水溶性フィルム 14は、水圧転写時 に、転写槽内の水 18に触れて軟ィ匕し加飾されるべき物品に付き回って、水圧転写を 行うことができるようにする。印刷パターン 12は、一般的な水圧転写の場合には、水 溶性フィルム 14の上にグラビア印刷等によって予め施されている。

[0060] この水圧転写方法の特徴は、物品に印刷パターン 12を水圧転写する前に、転写フ イルム 16の印刷パターン 12に紫外線硬化榭脂組成物、理想的には無溶剤タイプの 紫外線硬化榭脂組成物を塗布することにある。

[0061] この紫外線硬化榭脂組成物は、典型的には、転写フィルム 16の乾燥して付着性が 失われた印刷パターン 12の付着性を回復する機能も有するが、付着性を維持してい る印刷パターン 12にも塗布されるが、この場合は、紫外線硬化榭脂組成物は、付着 性の回復ではなぐ本発明の本来の目的である装飾層に耐溶剤性の付与と光沢差 及び Z又は肌触り感触の付与にのみ用いられることになる。

[0062] 以下に、転写フィルム 16の乾燥した印刷パターン 12の付着性の回復を行う水圧転 写方法の具体的な工程の例を図 2を参照して説明するが、この例では、理想的であ る無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物を塗布している。この例では、水溶性フィル ム 14の上に予め印刷パターン 12を印刷し、この印刷パターン 12が乾燥された状態 にある転写フィルム 16を用いて作業を開始する（図 2A参照)。図示していないが、実 際には、この転写フィルム 16は、長尺の水溶性フィルム 14に印刷パターン 12を予め 印刷し、乾燥してロール状に巻かれており、転写フィルムは、このフィルムロールから 連続的に繰り出されながら又は適当長さでカットしながら用いられる。

[0063] 水圧転写を行う際には、転写フィルム 16の乾燥された状態にある印刷パターン 12 上に無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物 20を塗布し（図 2B参照）、この無溶剤タ イブの紫外線硬化榭脂組成物 20によって印刷パターン 12の付着性が再現した状態 で転写フィルム 16を転写槽内の水 18に浮かばせ（図 2C参照）、次いで、物品 10の 表面 10Sに紫外線硬化榭脂組成物 20を含む印刷パターン 12を押し当てるように転 写フィルム 16と共に物品 10を水中に押し入れ（図 2D参照）、それによつて紫外線硬 化榭脂組成物 20を含む印刷パターン 12が転写された物品 10に紫外線 22を照射し て紫外線硬化榭脂組成物 20と印刷パターン 12とを硬化する（図 2E参照)。なお、図 示しないが、実際には、物品 10は逆三角状のコンペャで搬送されたりロボットアーム により支持されたりしながら水中に押し入れられ、また、場合によっては、印刷パター ン 12上に無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物を塗布する工程（図 2B参照）と水 に浮かばせる工程（図 2C参照）との工程順序を逆にして、水に浮かばせた転写フィ ルムの印刷パターン上に無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物をスプレー塗布して 印刷パターンの付着性の再現を行ってもょ 、。

[0064] 紫外線硬化榭脂組成物とは、紫外線の化学的作用によって比較的短時間に硬化 する榭脂組成物であり、用途に応じて、紫外線硬化型塗料、紫外線硬化型インク、紫 外線硬化型接着剤などの形態を採るが、これらは、基本的には、（1)光重合性プレ ポリマー、（2)光重合性モノマー、 （3)光開始剤を必須成分とするものである。なお、 紫外線硬化型塗料として市販されているものには、一般にシンナー等の溶剤が添カロ されており、紫外線硬化型インクの場合には、アルコール等の溶剤が添加されている ものもあるが、一般的な紫外線硬化型インクは、溶剤を含まず、光重合性モノマーを 希釈剤として機能させるベく配合されて 、る。この水圧転写方法で必要とする「紫外 線硬化榭脂組成物」は、紫外線硬化樹脂の用途別の形態に拘わらず、光重合性プ レポリマー、光重合性モノマー、光開始剤を必須成分として配合され、且つ溶剤が添 加されて!ヽな 、で紫外線照射により硬化する性質のものを 、う。

[0065] このように、ここで説明する水圧転写方法で用いられる「紫外線硬化榭脂組成物」 は、溶剤を含むタイプの紫外線硬化榭脂組成物を除いており、溶剤を添加しない無 溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物に限定している。その理由は、この水圧転写方 法においては、転写フィルムの印刷パターンの付着性を再現させるのは、無溶剤タイ プの紫外線硬化榭脂組成物中の非溶剤活性化成分、典型的には光重合性モノマ 一に因るからであり、溶剤を含まないことに基づく種々の利点を得ることを意図するた めである。なお、これら利点の幾つかを享受しなくてもよいのであれば、無溶剤タイプ の紫外線榭脂硬化組成物の代替として、溶剤を含むタイプの紫外線硬化榭脂組成 物を用いてもよぐこのような組成物を用いても本発明の水圧転写品は得ることができ る。無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物として適用できる紫外線硬化榭脂組成物 は、例えば、次の組成を有する成分から成っている。

(1)オリゴマー（光重合性プレボリマー） 30— 50重量⁰ /₀

(2)多官能性アタリレート（光重合性モノマー） 10— 30重量⁰ /₀

(3)単官能性アタリレート（光重合性モノマー） 10— 40重量％

(4)光開始剤 0. 5— 5重量％

(5)非反応添加物 1一 20重量％

[0066] 光重合性プレボリマーは、光化学作用によって更に硬化し得るポリマーであって、 光重合性不飽和ポリマーと呼ばれたり、ベースレジンや光重合性オリゴマーとも言わ れている。そして、これは、硬化後の塗膜としての基本的な諸物性に影響を与える基 本成分であり、所望特性に応じて、アクリル系オリゴマー、ポリエステル系オリゴマー、 エポキシアタリレート系オリゴマー、ウレタンアタリレート系オリゴマー等の何れかを単 独又は任意に組み合わせて使用することができる。なお、光重合性プレボリマーは、 最終的なポリマー程に重合度は高くないが、モノマーでもなぐある程度重合したもの であるので、相応の粘度を有しており、使用時の作業性を考慮して希釈剤が必要とさ れる。

[0067] 光重合性モノマーは、光重合性プレボリマーの希釈剤の役割を果たして、榭脂組 成物の実用上の作業性を確保すると共に、紫外線が照射された際には、それ自身が 重合に関与するものであり、官能基が一つある単官能性モノマーと、官能基が二つ 以上ある多官能性モノマーとがある。単官能性モノマーは、物品との密着性を向上さ せたり、硬化後の塗膜に柔軟性を付与したりする機能を有し、また多官能性モノマー は、プレボリマー分子間を橋渡しする架橋剤の役割をも有する。例えば、ポリアクリル 酸メチル等のポリアタリレートは、架橋による塗膜の収縮作用を緩和する目的で使用さ れる。塗膜の収縮力が高くなると、塗膜の付着性を低下するので、ポリアタリレートは 、これを防止するのに役立つ。これら光重合性モノマーは、紫外線硬化榭脂組成物 の粘度調整用の希釈剤として機能するのである力 この水圧転写方法においては、 乾燥状態にある印刷パターンの付着性を再現する機能成分としても働くことになる。

[0068] 光開始剤は、紫外線を吸収して重合反応を開始させるもので、光重合開始剤とも 呼ばれ、紫外線硬化反応がラジカル反応である場合にはァセトフエノン、ベンゾフエ ノン等を使用することができ、紫外線硬化反応力 オン反応である場合にはジァゾィ匕 合物等を使用することができる。

[0069] 紫外線硬化榭脂組成物には、この他、必要に応じて、増感剤、充填材、不活性有 機ポリマー、レべリング剤、チキソトロピー付与剤、熱重合禁止剤、艷消し成分等が添 カロされていてもよい。特に、後に詳細に述べるように、艷消し成分は、本発明の水圧 転写品の装飾層の意匠的表現を促進するのに有効に用いられる。

[0070] 無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物 20を塗布する工程は、グラビアロール、ミ ャバー又はスプレーの何れかの方法で行うことができる力 スプレー塗布方法は、多 量の塗料を浪費する傾向があるので、グラビアロール塗布方法又はミヤバ一塗布方 法が好ましい。

[0071] 印刷パターン 12の上に無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物 20を塗布すると、 無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物 20中の光重合性モノマーが印刷パターン 1 2の乾燥したインクに浸透し、これを溶解して、印刷パターン 12に印刷直後と同様な 湿潤状態である付着性を再現する。従って、無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物 20は、従来カゝら用いられていた活性剤と同等の機能を発揮することができ、活性剤 やシンナー等の塗布を省略することができるのは勿論、光重合性モノマーを始めとす る紫外線硬化榭脂組成物中の各成分は、一般に、溶剤等と比べて遥かに揮発性が 低!、ので、再現した付着性の度合がその後に変動したり低下したりすることが少なく、 印刷パターンに対して今迄以上に安定した活性ィ匕が望めることとなる。

[0072] また、この印刷パターン 12を物品 10に転写して、紫外線 22を照射すると、光重合 性モノマー等の紫外線硬化榭脂組成物 20の各成分が印刷パターン 12のインク中に 浸透して両者が渾然一体となった状態で硬化されることとなり、装飾層そのものに耐 摩性等の機械的特性を付与し、また耐溶剤性、耐薬品性等の化学的な表面保護機 能を付与することとなる。なお、図 2Bでは、印刷パターン 12のインク成分と紫外線硬 化榭脂組成物 20とが渾然一体化した状態では示されていないが、これは、図面上そ のように表現すると、両者が区別できなくなるため、便宜的に層状に記載されているこ とを理解すべきである。また、紫外線照射後、光重合性モノマーは、自身自らが重合 に参加するので、これが遊離して、その後に悪さを生ずることもない。

[0073] 水圧転写方法として、無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物を用いると、種々の 利点があることを以下に詳説する。市販一般の紫外線硬化型塗料のように溶剤が添 加されて!ヽる紫外線硬化榭脂組成物を用いても、印刷パターンの活性ィ匕に何等不 具合はなぐ却って好都合であるように理解されるカゝもしれないが、紫外線硬化榭脂 は紫外線照射により短時間で硬化されるので、添加されている溶剤が揮発性の高い 低沸点溶剤であると、物品が水中へ押し入れられる時に揮発してしまっていて付着 性の不足による転写不良を起こしてしまい、また逆に揮発し難い高沸点溶剤が添カロ されていると、物品が水中へ押し入れられる時に付着性不足の問題は回避できるが 、紫外線照射作業は、溶剤が完全に揮発するまで待たなければならないし、溶剤の 揮発が不充分な内に紫外線照射して溶剤を内包した状態で紫外線硬化型榭脂成分 を硬化させると、その後において欠陥を生ずる事態となる。このように、低沸点溶剤で あれ、高沸点溶剤であれ、溶剤が添加された紫外線硬化榭脂組成物を用いると、大 気汚染や人体吸引による健康阻害を生ずる他に、工程処理上又は品質上の数々の 問題を生ずるので好ましくな 、。

[0074] これに対して、既に部分的に述べたように、無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成 物を用いると、粘度調整の目的で光重合性モノマーが希釈剤としても機能させること ができるために、溶剤含有タイプのものに比べて多く調合されるので、無溶剤タイプ の紫外線硬化榭脂組成物中の非溶剤活性化成分、典型的には光重合性モノマー による作用だけで必要且つ充分で安定した付着性を再現することができ、更には、 紫外線硬化榭脂組成物 20と印刷パターン 12とが渾然一体化して硬化して、従来技 術で用いられている溶剤に相当する機能を有する光重合性モノマー自身が重合に 参加するので、その後、この光重合性モノマーが遊離等して悪さをすることがない。

[0075] しかし、既に述べたように、本発明の水圧転写品は、無溶剤タイプの紫外線硬化榭 脂組成物を塗布する水圧転写方法によってのみ得られるのではなぐ上記の利点の 幾つかを享受できな ヽことを除けば、溶剤を含むタイプの紫外線硬化榭脂組成物を 塗布する水圧転写方法によっても得ることができることを理解すべきである。

[0076] 紫外線 22の照射は、紫外線硬化榭脂組成物 20を含む印刷パターン 12が転写さ れた物品 10に転写フィルム 16の水溶性フィルム 14が巻き付いている間に行われる のが好ましぐ従って紫外線照射工程は、物品 10がまだ水中にある力、物品 10が水 中から出た後であって水溶性フィルム 14を除去するための水洗作業の前に行われる のが好ましい。なお、紫外線 22は、低圧乃至高圧水銀ランプ、メタルノヽライドランプ の如き光源ランプと照射器 (ランプハウス)を含む公知の紫外線硬化装置によって照 射される。

[0077] このように、水溶性フィルム 14が物品 10に巻き付いている間に紫外線 22を照射す ると、印刷パターン 12が完全に乾く前にごみ等が付着して固着したままとなるようなこ と力 Sなく、水溶性フィルム 14が除去された時点では印刷パターン 12は硬化している ので、ごみ付着の可能性を低減することができ、外観の良好な装飾層 30を容易に得 ることができる。なお、紫外線 22の照射は、物品 10がクリーンルームのようなトンネル 等の如きごみや埃のない環境下で行なわれる場合には、物品 10から水溶性フィルム 14が洗 、流された後に行ってもょ 、ことは勿論である。 [0078] その後、図 2Fに示すように、水シャワー 24を噴射して物品 10を水洗し、物品 10上 を覆った状態となっている転写フィルム 16の水溶性フィルム 14を除去する。次いで、 図 2Gに示すように、紫外線硬化榭脂組成物 20を含む印刷パターン 12が転写された 物品 10に熱風 26を当てて物品 10表面を乾燥し、装飾層 30を有する製品 10'を完 成する（図 3参照)。

[0079] このようにして得られた水圧転写品の装飾層 30は、水圧転写時に印刷パターンの 付着性を再現させるベく転写フィルムに塗布された紫外線硬化榭脂組成物が紫外線 照射により印刷パターンと渾然一体化した状態で硬化して形成されるので、耐摩性、 耐溶剤性、耐薬品性、耐候性等の機械的及び化学的な表面保護機能を備えており 、その点で従来必要とされていた表面保護層（トップコート層）を形成する必要はなく 、水圧転写で形成されたままの装飾層を物品の外観最表面とした製品 (水圧転写品 )を提供することができる。このように、表面保護層（トップコート層）を形成する必要が ないと、トップコート層を形成する際に生ずるほこりが付着する機会がなくなり、ほこり の付着の少ない良品率の高い製品を得ることができる。

[0080] また、本発明の水圧転写品の重要な特徴であるが、このようにして得られた装飾層 が表面保護層（トップコート層）によって従来ありきたりの意匠的表現に減じられること を回避することができることである。更に、以下に詳細に述べるように、このようにして 得られた装飾層は、従来では達成することができない意匠的表現を得ることができる

[0081] 木目模様の印刷パターンが水圧転写された製品を例として本発明の実施の形態を 、図 4を参照して詳細に述べる。この製品（水圧転写品） 100は、小物入れの蓋の形 態である ABS榭脂から成形された基材 (被転写物） 102から成り、装飾層 130は、こ の基材 102の周囲の立ち上がり部とこれに連続する上面とに、図 2に示される水圧転 写方法により板目の印刷パターンを転写して形成される。基材 102の原料である AB S榭脂自体は、既に薄茶色の着色が一様に施されているので、装飾層 130は、薄茶 色の地色に印刷パターンのインクの色を重ねた板目模様を有する。

[0082] 装飾層 130の模様部分 130Aは、板目模様の内で春に形成される比較的粗い組 織である早材部分が表現された部分であり、薄茶色の地色に薄茶色のインクが極め て低いインク濃度で転写され、薄茶色を背景に所々に茶色の筋が走っているような 外観を呈している。また、装飾層 130の模様部分 130Bは、板目模様の内で夏力も秋 に形成される緻密組織の晚材部分が表現された部分であり、薄茶色の地色に主に 黒インク及び焦げ茶色が高い濃度で転写され、地色の薄茶色が殆んど隠蔽されて、 焦げ茶又は殆んど黒に近い色の外観を呈している。また、装飾層 130の模様部分 1 30Cは、晚材部分を表現した模様部分 130Bと早材部分を表現した模様部分 130A との境目付近で、黒色ドットが点在するように顕われた模様部分であり、図 5に拡大し て示されるように、道管が直角に近く切断された際の切り口ように観察される部分であ る。

[0083] このような装飾層 130において、晚材部分が表現された模様部分 130Bと早材部分 が表現された模様部分 130Aとを対比すると、晚材部分は光沢度が極端に減じられ たように感じるのに対し、早材部分はそれ程光沢感が減じられているとは感じられな いので、これらの間で光沢感の差が認識される。

[0084] 種々の確認実験を行って判明したことである力 水圧転写時に印刷パターンの付 着性を再現させるベく転写フィルムに塗布された紫外線硬化榭脂組成物は、印刷パ ターンのインク中の顔料の種類によって吸収され易力つたり吸収し難かったりし、例え ば、黒インク中のカーボンブラック等の高吸油性成分は、紫外線硬化榭脂組成物を 容易に吸油するので、これら顔料が多く添加されたインクが転写された部分において は、顔料の粒子感 (微細な凹凸)を露呈する状態で硬化するため、光沢感が減じられ たように見える低光沢模様部を呈し、他方、紫外線硬化榭脂組成物を吸収し難い顔 料等の低吸油性成分が添加されたインクが転写された部分や低いインク濃度でイン クが転写された部分では、紫外線硬化榭脂組成物が余り吸油されないで顔料の粒 子間を埋めて硬化するため、光沢感を保って高光沢模様部を呈する。なお、低光沢 模様部は、装飾層の表面の微細な凹凸によって得られるが、この微細な凹凸は、上 記紫外線硬化榭脂成分が印刷パターン中の高吸油成分によって吸油されるのと相 俟つて材料の乾燥時の表面の膨張収縮によっても助長されるものと想像される。

[0085] このように、本発明の水圧転写品は、晚材部分が低光沢模様部となり、早材部分が 高光沢模様部となり、これらの光沢感の差によって立体感が付与され、また黒色ドット が点在する部分も低光沢模様部となり、道管が直角に近く切断された際の切り口で、 深さのある穴のようにも見えるので、装飾層 130全体として、本木感、板目ゃネ正目の 質感が付与される。もちろん、板目やネ正目の一般的な木目だけでなぐ瘤や枝の根 本ある部分やャ-を生じている部分等を切断したときに表れたり、特定の種類の木で 表れたりすることが多いもの、例えば、玉空、泡空、葡萄空、鳥眼空、如鱗空の如き 高級空の質感を感じさせるような装飾層を有する製品 (水圧転写品）を提供することも できる。

[0086] また、印刷パターンが水圧転写品の基材の地色と略同色の単色模様であると、高 光沢模様部と低光沢模様部との光沢度の差だけが認識されるモノトーンの装飾層と なり、これは、製品に近代的で斬新な感じや奇異な感じを与えることができる。更に、 艷消し成分を含む紫外線硬化榭脂組成物が印刷パターンと渾然一体化した状態で 硬化すると、この艷消し成分は、高光沢模様部により効果的に作用するので、高光沢 模様部と低光沢模様部との光沢度の差を縮小させて全体のトーンを落とすことができ るので、侘'寂の趣きなどを感じさせる水圧転写品を提供することができる。

[0087] なお、紫外線硬化榭脂組成物は、印刷パターンのインク中の顔料の種類によって 吸収され易かったり吸収され難カゝつたりするが、紫外線硬化榭脂組成物を吸油し易 V、高吸油成分は、紫外線硬化榭脂組成物で実際上測定して確認した訳では 、が、 一般的な吸油量として技術文献に記載されている数値からも推定すると、黒顔料で あるカーボンブラックや松煙が掲げられ、カーボンブラックの吸油量の指標は、 100 一 258であり、松煙のそれは、 60— 158であり、これらの顔料の吸油量は、桁違いに 高ぐ紫外線硬化榭脂組成物を著しく吸収すると考えられる。その他に紫外線硬化 榭脂組成物を吸収し易い高吸油成分として考えられる顔料には、沈降性硫酸バリゥ ム等の体質顔料や、吸油量が 47の体質顔料の珪藻土、吸油量が 54の赤系顔料の 弁柄、吸油量が 74の青顔料の紺青、吸油量が 72の黄色顔料の黄土がある。なお、 各色インクに用いる着色顔料は、この吸油量の大小を考慮に入れる他、耐光性など 色の褪色対策にも配慮して選定するのが望ましい。

[0088] また、従来技術の活性剤で印刷パターンに付着性を再現して行われる水圧転写に よって得られる従来技術による装飾層でも、装飾層内の顔料に活性剤やインク成分 が多少とも吸油され、インクの顔料の種類やインク濃度による吸収の差による光沢差 力 S多少とも表れることもある。しかし、既に述べたように、従来技術の活性剤を用いて 得られた装飾層の表面保護機能の不足によって装飾層を外観最表面とする製品と することができないため装飾層の上に施される表面保護層によって意匠的表現が減 殺されること、紫外線硬化榭脂組成物によって付着性が再現された印刷パターンを 転写して得られる装飾層の方が榭脂成分の吸収し易さによる影響が顕著となることと から、本発明は、紫外線硬化榭脂組成物によって付着性が再現された印刷パターン を転写して得られる装飾層を有する水圧転写品に限定される。

[0089] このように、本発明の水圧転写品及びこの水圧転写品を製造する水圧転写方法で は、無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物を用いて種々の利点を得ることができる 力 この水圧転写方法で用いられる無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物における 「無溶剤タイプ」とは、溶剤成分が絶対零という意味ではなぐ紫外線硬化榭脂組成 物における非溶剤活性ィ匕成分、典型的には光重合性モノマーによる印刷パターンの 再付着化機能を必要且つ充分に得ることができればよぐその他の理由で溶剤成分 が添加されたり、モノマーやプレボリマーを製造する際に用いた溶剤成分が残留して いたりするのを排除するものではない。また同様に、「無溶剤タイプ」は、光重合性モ ノマ一等の揮発性が絶対零と言うのではなぐ溶剤ほど高くはないという意味であり、 実用上無視できる程度の揮発性を有していてもよいことはもちろんである。更に、水 圧転写作業には設備投資や安全管理が求められるが、光重合性プレボリマー、光重 合性モノマーを必須成分とし、より高 、エネルギーの電子線を照射して硬化させるこ とによって光開始剤を省略することができる電子線硬化榭脂組成物は、光重合性モ ノマーが活性化機能を有し、またこの光重合性モノマー自体が重合に参加して、光 開始剤を含む本来の紫外線硬化榭脂組成物と同様に作用することができるので、本 発明における紫外線硬化榭脂組成物の概念には、このような電子線硬化榭脂組成 物も含むことを理解すべきである。

[0090] また、既に述べたように、本発明では、無溶剤タイプの紫外線榭脂硬化組成物を用 V、たことによる利点の幾つかを享受しな 、でもよければ、溶剤を含むタイプの紫外線 硬化榭脂組成物を用いた水圧転写により得られた水圧転写品も非溶剤タイプの紫外 線硬化榭脂組成物を用いた水圧転写により得られた水圧転写品と同様の効果を達 成することができることはもちろんである。

[0091] 本発明の水圧転写品の第 2の実施の形態は、紫外線硬化榭脂組成物を印刷バタ ーンに塗布して水圧転写によって得られた装飾層が最表面に微細な凹凸及び Z又 は凹凸領域を形成して装飾層の表面に手で掴んだときの肌触りを向上することがで きることである。これは、装飾層に意匠的表現を付与する上記の態様で述べたように 、装飾層の表面に印刷パターン中の成分によって紫外線硬化榭脂組成物が吸油さ れて膨潤したり材料の表面が膨張収縮したりすることによって達成される。

[0092] 木目模様の印刷パターンが水圧転写された製品を例として本発明のこの第 2の実 施の形態を、図 6を参照して詳細に述べる。この製品（水圧転写品） 200は、自動車 のハンドルの形態である ABS榭脂から成形された基材 (被転写物） 202から成り、装 飾層 230は、この基材 202の表面に、図 2に示される水圧転写方法により木目模様 の印刷パターンを転写して形成される。基材 202の原料である ABS榭脂自体は、既 に薄茶色の着色が一様に施されているので、装飾層 230は、薄茶色の地色に印刷 パターンのインクの色を重ねた木目模様を有する。

[0093] 装飾層 230の模様部分 230Aは、木目模様の内で比較的粗 ヽ組織が表現された 部分であり、薄茶色の地色に薄茶色のインクが極めて低いインク濃度で転写され、薄 茶色を背景に所々に茶色の筋が走っているような外観を呈している。また、装飾層 2 30の模様部分 230Bは、木目模様の内で緻密組織が表現された部分であり、薄茶 色の地色に主に黒インク及び焦げ茶色が高い濃度で転写され、地色の薄茶色が殆 んど隠蔽されて、焦げ茶又は殆んど黒に近い色の外観を呈している。

[0094] このような装飾層 230において、模様部分 230Bは、図 7に示すように、微細な凹凸 230Rを表面に有する。これは、光沢度に関連して既に述べたように、転写フィルム に塗布された紫外線硬化榭脂組成物が印刷パターンのインク中の顔料成分及びそ の塗布量に応じて吸収され、例えば、黒インク中のカーボンブラック等の高吸油性成 分によって紫外線硬化榭脂組成物を吸油するので、これら顔料が多く添加されたィ ンクが転写された部分にお！ヽては、顔料の粒子感 (微細な凹凸)を露呈する状態で硬 化するためと材料の乾燥時の表面の膨張収縮とによって得られる。これと同時に、模 様部分 230Bは、紫外線硬化榭脂組成物をより吸収した状態で硬化し肉厚な凸領域 を形成している。他方、模様部分 230Aは、凹凸の発生が少なぐまたそれと同時に 、紫外線硬化榭脂組成物の吸収がより少ない状態で硬化して、相対的に肉薄な凹 領域を形成する。

[0095] 第 1の実施の形態と同様に、凹凸 (微細な凹凸及び Z又は凹凸領域)を有する最 表面装飾層 230は、キシレンを含ませた 10枚重ねのガーゼを手で 8往復擦りつけて も汚損されることな ヽ耐溶剤性を備えて ヽるのが望ま 、。

実施例

[0096] 物品の装飾層に光沢差を付与する本発明の第 1の実施形態による実施例 1乃至 4 及び比較例 1乃至 7と物品の装飾層に滑りのない肌触り感を付与する本発明の第 2 の実施形態による実施例 5、比較例 8及び 9を以下に説明する。

[0097] (実施例 1)

本発明の具体的実施例 1では、転写フィルムのインクの付着性を再現するために大 橋化学工業株式会社製の商品名「ユービック Sクリア一 33— N2」と称する無溶剤タイ プの紫外線硬化榭脂組成物を使用し、木目模様を有する転写フィルムのインクの付 着性をこの紫外線硬化榭脂組成物で再現し、 10cm X 20cm X 3mmの ABS榭脂製 の平板に、図 2A乃至図 2Gに示す工程順で転写フィルム上の木目模様を水圧転写 した。転写フィルムは、黒又は焦げ茶の筋状の晚材部分とその間の茶色の早材部分 とが明解に表現されるように濃いインクで木目模様を印刷して形成し、株式会社キュ 一ビックが水圧転写技術のライセンス先に「ZEBRA LINE]と称する商品名で販売 しているものを用い、また上記の無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物は、転写フィ ルムを転写槽内に導入する直前にミヤバ一塗布方法によって転写フィルムの印刷パ ターン上に塗布した。このようにして塗布された無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成 物を有する転写フィルムを転写槽の水面上に浮かばせ、この紫外線硬化榭脂組成 物によって印刷パターンの付着性を再現させた後に、図 2Dに示すように、転写フィ ルムを介して物品を水中に押し込み、転写後、物品を水中力 取り出した後、紫外線 を照射し、水洗、乾燥を行って水圧転写品 (製品） 10'を得た。

[0098] (実施例 2) 本発明の具体的な実施例 2では、「ユービック Sクリア一 33— N2」に対して艷消し成 分を添加して艷消し仕様とした大橋化学工業株式会社製の商品名「ユービック S艷 消しクリア一 33— N2」」と称する無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物を使用した以 外は、実施例 1と同様に処理した。

[0099] (実施例 3)

本発明の具体的実施例 3では、黒と濃茶と濃緑とがそれぞれ印刷された部分と何も 印刷されない部分との 4者を比較的大きく斑状に配置してボウガンなどのアウトドアグ ッズ向け迷彩模様を有し株式会社キュービックのライセンス先に「MEISAI DARK 」と称する商品名で販売している転写フィルムを用いた以外は、実施例 1と同様に処 理した。

[0100] (実施例 4)

本発明の具体的な実施例 4では、艷消し仕様の大橋化学工業株式会社製の商品 名「ユービック S艷消しクリア一 33— N2」」を無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物と して使用した以外は、実施例 3と同様に処理した。

[0101] (参考例 1)

本発明の具体的実施例 5では、実施例 1で用いた商品名「ZEBRA LINE」と称す る転写フィルムとは対照的に、全体が同一基調で、晚材部分と早材部分との強調が ない全体的に薄茶色の木目模様を有し株式会社キュービックが水圧転写技術のライ センス先に「CREATION NATURAL]と称する商品名で販売して!/、る転写フィル ムを用いた以外は、実施例 1と同様に処理した。

[0102] (比較例 1)

比較例 1では、無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物を転写フィルムの活性化〖こ 用いるのではなぐ株式会社キュービックが水圧転写技術のライセンス先に「CPA— H」（日本国特許第 3385576号の実施品）と称する商品名で販売している従来技術 の活性剤を用いた以外は、実施例 1と同様に処理した。これは、従来と同様の水圧転 写の工法で得た装飾層のみを有し、未だ表面保護層を形成しない中間製品状態の ものである。

[0103] (比較例 2) この比較例 2では、比較例 1で得られた装飾層の上に、 日本油脂 BASFコーティン グス株式会社製の商品名「ハイウレタン No. 2000タリヤー G— 500 21HP」と称する ウレタン系の透明塗料をスプレー塗布し乾燥してトップコート層を形成した。これは、 従来と全く同様の水圧転写の工法で最終製品として提供できる状態にまで仕上げた 水圧転写品である。

[0104] (比較例 3)

この比較例 3では、比較例 1で得られた装飾層の上に、 日本油脂 BASFコーティン グス株式会社製の商品名「ノヽィウレタン No. 5000スーパータリヤー G— 4 81HPJと 称するウレタン系の艷消しタイプの透明塗料をスプレー塗布し乾燥してトップコート層 を形成した以外は、比較例 2と同様に処理した。

[0105] (比較例 4)

この比較例 4では、無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物を活性化に用いるので はなぐ株式会社キュービックが水圧転写のライセンス先に「CPA— H」（日本国特許 第 3385576号の実施品）と称する商品名で販売している従来技術の活性剤を用い た以外は、実施例 3と同様に処理した。

[0106] (比較例 5)

比較例 5では、比較例 4で得られた装飾層の上に、 日本油脂 BASFコーティングス 株式会社製の商品名「ハイウレタン No. 2000タリヤー G— 500 21HP」と称するウレ タン系の透明塗料をスプレー塗布し乾燥してトップコート層を形成した。

[0107] (比較例 6)

比較例 6では、比較例 4で得られた装飾層の上に、 日本油脂 BASFコーティングス 株式会社製の商品名「ハイウレタン No. 5000スーパータリヤー G— 4 81HP」と称す るウレタン系の艷消しタイプの透明塗料をスプレー塗布し乾燥してトップコート層を形 成した以外は、比較例 5と同様に処理した。

[0108] (比較例 7)

比較例 7では、無溶剤タイプの紫外線硬化榭脂組成物を活性化に用いるのではな ぐ株式会社キュービックが水圧転写のライセンス先に「CPA— H」（日本国特許第 33 85576号の実施品）と称する商品名で販売している従来技術の活性剤を用いた以 外は、実施例 5と同様に処理した。

[0109] 各実施例における転写時の状況は、何れの実施例でも従来とほぼ同様に水圧転 写することができたものであり、各実施例の装飾層の密着性を碁盤目テープ法（lm m碁盤目クロス 100升)でテストしたところ、実施例 1乃至 4及び参考例 1のいずれも、 従来の活性剤を用いて活性ィ匕した印刷パターンを転写してトップコート層を施さなか つた比較例 1、 4、 7や、その装飾層の上に従来のウレタン系の透明塗料でトップコー ト層を形成した比較例 2、 3、 5、 6と同等の密着性を有することが確認された。

[0110] 一方、耐溶剤性のテストとして、キシレンを含ませた 10枚重ねのガーゼを手で製品 の表面に押し当てて 8往復擦りつけてみたところ、何れの実施例の製品も、従来のゥ レタン系の透明塗料でトップコート層を形成した比較例 2、 3、 5、 6の製品に匹敵する 程度の良好な耐溶剤性を示すことが確認された。トップコート層を施さなカゝつた比較 例 1、 4、 7の製品は、当然のことであるが、耐溶剤性が非常に劣り、装飾層を最表面 とする製品として供することができないものであった。

[0111] また、日本工業規格の「鏡面光沢度 測定方法 Z8741— 1997」による測定方法 の種類「方法 3— 60度鏡面光沢」に従い、東京電色株式会社製の光沢度計「Gloss Meter Model GP— 60」を用いて各実施例及び比較例の製品の光沢度を測定し たところ表（1)及び表（2)に示す通りの結果となった。

[0112] [表 1]

[0113] [表 2]

[0114] 表 1に示すように、実施例 1は、晚材部分と早材部分との光沢度に明らかな差があ るのに対して、表 2に示すように、比較例 1は、これらの部分に光沢度の差が全くなく 、また、これで始めて製品として提供できる状態にまで仕上げられたところのものであ る比較例 2及び比較例 3は、両比較例の間で光沢仕上げか艷消し仕上げかの違!、 による測定数値の大きな差はある力 各比較例の晚材部分と早材部分との光沢度の 差は全くな力つた。実施例 1では、この光沢度の差によって木目模様の本物感がー 層強く感じられるものとなっていた。

[0115] また、実施例 1と実施例 2の測定結果を比較すると、実施例 2は、実施例 1に比べて 晚材部分及び早材部分とも測定数値が比較的大きく低下したものの、依然として、晚 材部分と早材部分とでは光沢度に差があり、見た感じでは、長い期間風雨日光に晒 されたような、侘び、寂のような枯れた感じを付与する。

[0116] 他方、比較例 2と比較例 3の測定結果力も明らかなように、光沢タイプか艷消しタイ プかに拘わらず透明塗料がトップコート層として施されると、その影響は晚材部分と 早材部分とに共通に働いて光沢仕上げとして全体の光沢度が上がる力 艷消し仕上 げとして全体の光沢度が下がる力 ており、晚材部分と早材部分とで光沢度に差を 生じさせることはできない。

[0117] 次に、実施例 3の測定結果を見ると、色の異なる部位並びに地色部（非印刷部に相 当する転写部位)で明らかに光沢度の差が生じていることが解る。黒部分 濃茶部分 濃緑部分の間では、光沢度の測定数値が順次倍に上がり、地色部分では更に上 がって最高の光沢度となっている。実施例 3は、この光沢度の差により、黒部分 濃 茶部分 濃緑部分一地色部分に奥行き感があるように感じられて迷彩模様が立体的 に付与されるものとなっていた。

[0118] 比較例 4の測定結果を見ると、色の異なる部位並びに地色部（非印刷部に相当す る転写部位)で光沢度の差を多少とも生じてはいるが、その差の程度は、極めて微々 たるものであり、殆んど光沢度の差を生じていないことが解る。尤も、この状態では、こ れを商品の最表面とする製品としては提供することができないので、トップコート層を 形成することが必要となる力 このようにすると、比較例 5及び比較例 6の測定結果に 見るように、全体が均一の光沢度となって本発明の目的を達成することができないこ と力 S解る。

[0119] 参考例 1は、 1つの装飾層上に低光沢模様部と高光沢模様部とが巧く形成されて いないが、高光沢模様部の光沢度を測定した例として参考のために示した。参考例 1の光沢度は、同じ茶色系の部分を測定した結果数値でありながら、実施例 1の早材 部分の光沢度より高ぐ実施例 3の濃緑部分の光沢度と略同じであることが解る。これ は、参考例 1より実施例 1の早材部分の方が茶色は濃ぐその分だけ紫外線硬化榭 脂組成物をより吸油し易 、黒顔料等の顔料が添加されて 、るインクが高 、チャージ 量で転写され、その結果、実施例 1の早材部分の方が測定数値は低くなつた結果で あると推測される。また、参考例 1より実施例 3の濃緑部分の方が色が濃く暗い感じが するのに、光沢度の測定数値が略同じであるのは、その濃緑部分にはインクチヤ一 ジ量が多くても、元来紫外線硬化榭脂組成物を余り吸油しない顔料が添加されてい るインクが転写されて 、る結果であると推測される。

[0120] 他方、比較例 7の光沢度の測定数値は、比較例 4の黒部分、濃茶部分、濃緑部分 、地色部（非印刷部の相当する転写部位）とほぼ同じ程度であるのが解る。これらの 測定結果を総合すると、いずれの比較例の場合も、、インク成分中の顔料の吸油量 による光沢度への影響は、インクの色 (顔料種類）とかチャージ量には余り依存しない で、いずれの実施例のそれに比べて、顕著でないことが確認できる。 [0121] 従って、例えば、仮に、低光沢模様部と高光沢模様部との間の光沢度の差が最大 である木目模様を得ようとするならば、実施例 3の黒部分が晚材部分に、実施例 5の 薄茶が早材部分になるようなインクによる印刷パターンの転写フィルムを用いて水圧 転写すればよいことになる。また、比較例の測定結果力 判明したように、従来のトツ プコート層を形成した場合には全体が略均一の光沢度しか得られないことは勿論、 従来の活性剤で印刷パターンを活性ィ匕して得た装飾層でも、光沢度の差を顕著に することは難 、ことが確認できた。

[0122] 表 1の実施例 2では、低光沢模様部と高光沢模様部との光沢度は、いずれも光沢 度の数値範囲 30乃至 60から外れているので、既に述べたように、その差が 5であつ ても光沢度の差が大きく感じられる。実施例 1では、高光沢模様部の光沢度が 30乃 至 60の範囲内にある力 高光沢模様部と低光沢模様部の光沢度の差が約 18と大き いので、一方がこの範囲にあっても光沢の差が充分に認識される。

[0123] 本発明は、上記実施の形態では、立体的な物品の表面に双翼層を施したが、例え ば、カーボン繊維を平織り等したカーボン柄で、黒色インクとして用いる黒顔料の種 類を選択したり、インクチャージ量を相対的に加減することによって同じ黒色の縦糸と 横糸を織った柄でありながら、縦糸と横糸とで光沢度の差を生じさせることによって、 一層立体感のあるカーボン柄装飾層を提供することもできる。

[0124] (実施例 5)

本発明の具体的実施例 5では、実施例 1で用いた転写フィルムの「ZEBRA LINE 」に代えて、同様に株式会社キュービックが水圧転写技術のライセンス先に「LINCO LN ZEBRA」と称する商品名で販売しているものを用いた以外は全て実施例 1と同 様にして、水圧転写品を得た。

[0125] (比較例 8)

比較例 8では、比較例 1で用いた転写フィルムの「ZEBRA LINE」に代えて、「LI NCOLN ZEBRAJと称する商品名で販売しているものを用いた以外は全て比較例 1と同様にして、中間製品状態のものを得た。

[0126] (比較例 9)

比較例 9では、比較例 2で用いた転写フィルムの「ZEBRA LINE」に代えて、「LI NCOLN ZEBRAJと称する商品名で販売しているものを用いた以外は全て比較例 2と同様にして、水圧転写品を得た。

[0127] また、株式会社小阪研究所製の表面粗さ測定計で、実施例 5、比較例 8、 9の表面 粗さを測定したところ、実施例 5では、微細な凹凸が観察されると共に高低差が 3. 0 mあつたのに対し、比較例 8では微細な凹凸が観察されると共に高低差は 2. 8 μ m、比較例 9では微細な凹凸は観察されずに高低さは 0. 3 mであった。

[0128] トップコート層を施した比較例 9は、トップコート層によって表面保護機能を有するが 、このトップコート層が肌触り感を喪失し、またトップコート層を施さないが、従来技術 による活性剤を用いて水圧転写した装飾層を有する比較例 8は、肌触り感を有する 力 表面保護機能を有しないので、実用性がなぐこれに対して本発明による実施例 5は、表面保護機能も肌触り感も有し、特に自動車のハンドル等のようにこれらの両 方の特性が要求される製品に好適であることが解る。

産業上の利用可能性

[0129] 転写すべき印刷パターンの付着再現性付与用の紫外線硬化榭脂組成物と印刷パ ターンとが渾然一体ィ匕して硬化されるので、物品の装飾層に機械的及びィ匕学的な表 面保護機能が付与され、またこの紫外線硬化榭脂組成物は、印刷パターンのインク 中の顔料の種類によって吸収され易力つたり吸収し難力つたりして転写によって形成 された装飾層に低光沢模様部と高光沢模様部とが形成され、これらの光沢感の差の 存在によって装飾層に立体感を付与することのできる製品 (水圧転写品）を提供する ことができるので、産業上の利用性が向上する。

Claims

請求の範囲

[1] 水溶性フィルム上の印刷パターンを水圧転写して形成された最表面装飾層を有す る水圧転写品において、前期印刷パターンに塗布されて前期印刷パターンに渾然 一体化されて紫外線硬化された紫外線硬化榭脂組成物と前記印刷パターンの成分 との組み合わせに相応して前記最表面装飾層に光沢変化性及び Z又は肌触り性を 付与することを特徴とする水圧転写品。

[2] 請求項 1に記載の水圧転写品であって、前記紫外線硬化榭脂組成物は、水圧転 写時に前記印刷パターンの付着性を再現させるものであることを特徴とする水圧転 寻 TOo

[3] 水溶性フィルム上の印刷パターンを水圧転写して形成された最表面装飾層を有す る水圧転写品において、水圧転写時に前記印刷パターンに塗布されて前記印刷パ ターンに渾然一体化されて紫外線硬化された紫外線硬化榭脂組成物と前記印刷パ ターンの成分との組み合わせに相応する光沢度の変化に基づいて付与される高光 沢模様部と低光沢模様部とを有することを特徴とする水圧転写品。

[4] 請求項 3に記載の水圧転写品であって、前記紫外線硬化榭脂組成物は、水圧転 写時に前記印刷パターンの付着性を再現させるものであることを特徴とする水圧転 寻 TOo

[5] 請求項 3又は 4に記載の水圧転写品であって、前記低光沢模様部は、前記紫外線 硬化榭脂組成物を吸油する高吸油性成分を含んだインクが転写された印刷パター ン部分で形成されて ヽることを特徴とする水圧転写品。

[6] 請求項 5に記載の水圧転写品であって、前記高吸油性成分は、前記印刷パターン のインク中の着色顔料であることを特徴とする水圧転写品。

[7] 請求項 5に記載の水圧転写品であって、前記高吸油性成分は、前記印刷パターン の黒インク中のカーボンブラックであることを特徴とする水圧転写品。

[8] 請求項 3乃至 7のいずれかに記載の水圧転写品であって、前記低光沢模様部は、 日本工業規格 Z8741— 1997「方法 3— 60度鏡面光沢」に準拠して測定して 20未満 の光沢度を有することを特徴とする水圧転写品。

[9] 請求項 3乃至 8のいずれかに記載の水圧転写品であって、前記高光沢模様部は、 前記紫外線硬化榭脂組成物の吸油性が低い低吸油性成分が添加されたインクが転 写された部分で形成されていることを特徴とする水圧転写品。

[10] 請求項 3乃至 9のいずれかに記載の水圧転写品であって、前記高光沢模様部は、 インク濃度の低!ヽインク転写部分で形成されて!ヽることを特徴とする水圧転写品。

[11] 請求項 3乃至 9のいずれかに記載の水圧転写品であって、前記高光沢模様部は、 インク濃度が零であるか無インク部分である非印刷部分で形成されていることを特徴 とする水圧転写品。

[12] 請求項 3乃至 11のいずれかに記載の水圧転写品であって、前記高光沢模様部と 前記低光沢模様部との光沢度の差が日本工業規格 Z8741— 1997「方法 3— 60度鏡 面光沢」に準拠して測定して 10以上であることを特徴とする水圧転写品。

[13] 請求項 3乃至 12のいずれかに記載の水圧転写品であって、前記紫外線硬化榭脂 組成物には艷消し成分が含まれ、前記艷消し成分は、前記高光沢模様部と前記低 光沢模様部とに艷消し効果を付与していることを特徴とする水圧転写品。

[14] 請求項 3乃至 13のいずれかに記載の水圧転写品であって、前記高光沢模様部と 前記低光沢模様部とを有する前記最表面装飾層は、キシレンを含ませた 10枚重ね のガーゼを手で 8往復擦りつけても汚損されることな 、耐溶剤性を備えて!/、ることを 特徴とする水圧転写品。

[15] 請求項 3乃至 14のいずれかに記載の水圧転写品であって、前記印刷パターンは、 木目模様を有し、前記最表面装飾層の高光沢模様部は、前記印刷パターンの木目 模様における粗組織表現部に相応しており、前記最表面装飾層の低光沢模様部は

、前記印刷パターンの木目模様における密組織表現部に相応していることを特徴と する水圧転写品。

[16] 請求項 15に記載の水圧転写品であって、前記粗組織表現部が早材部分に相当し 、前記密組織表現部が晚材部分に相当し、前記最表面装飾層が板目または征目の 意匠となって!/ヽることを特徴とする水圧転写品。

[17] 請求項 15又は 16に記載の水圧転写品であって、地色が茶色または薄茶色である 基材から成り、前記装飾層は、前記基材の上に形成されていることを特徴とする水圧

¾S与品。

[18] 請求項 3乃至 14のいずれかに記載の水圧転写品であって、前記印刷パターンは 単色模様を有し、前記最表面装飾層の高光沢模様部は、前記印刷パターンの単色 模様の非印刷部分に相応し、前記最表面装飾層の低光沢模様部は、単色印刷部分 に相応して ヽることを特徴とする水圧転写品。

[19] 請求項 18に記載の水圧転写品であって、前記単色模様は、前記水圧転写品の基 材の地色と略同色のインクで印刷されて形成されており、前記最表面の装飾層は、 前記高光沢模様部と低光沢模様部との両方を通してモノトーンの意匠となっているこ とを特徴とする水圧転写品。

[20] 請求項 18に記載の水圧転写品であって、前記単色模様は、無色インクで印刷され て形成されており、前記最表面装飾層は、前記高光沢模様部と低光沢模様部との両 方を通して前記水圧転写品の基材の地色が前記単色模様を透過して形成されたモ ノトーンの意匠となっていることを特徴とする水圧転写品。

[21] 請求項 18又は 20に記載の水圧転写品であって、前記水圧転写品の基材が透明 であり、前記高光沢模様部と低光沢模様部とを含む前記最表面装飾層は、前記透 明基材の上に形成されていることを特徴とする水圧転写品。

[22] 水溶性フィルム上の印刷パターンを水圧転写して形成された最表面装飾層を有す る水圧転写品において、前記最表面装飾層は、前記印刷パターンに塗布されて前 記印刷パターンに渾然一体化されて紫外線硬化された紫外線硬化榭脂組成物と前 記印刷パターンの成分と塗布量との組み合わせに相応して形成された凹凸から成る 最表面を有することを特徴とする水圧転写品。

[23] 請求項 22に記載の水圧転写品であって、前記印刷パターンに塗布される紫外線 硬化榭脂組成物は、水圧転写時に前記印刷パターンの付着性を再現させるもので あることを特徴とする水圧転写品。

[24] 請求項 22又は 23に記載の水圧転写品であって、前記装飾層の凹凸は、前記紫外 線硬化榭脂組成物を吸油する高吸油性成分を含んだインクが転写された印刷バタ ーン部分で形成されて ヽることを特徴とする水圧転写品。

[25] 請求項 22乃至 24のいずれかに記載の水圧転写品であって、前記凹凸を有する最 表面装飾層は、キシレンを含ませた 10枚重ねのガーゼを手で 8往復擦りつけても汚 損されることな!/ヽ耐溶剤性を備えて!/ヽることを特徴とする水圧転写品。

請求項 22乃至 25のいずれかに記載の水圧転写品であって、前記水圧転写品は、 自動車のステアリングであることを特徴とする水圧転写品。