WO2007052355A1 - インパルス無線通信における初期同期獲得方法及び受信装置 - Google Patents

Abstract

　インパルス無線通信における受信装置。この受信装置（３００）では、パルス対相関器（３０４）は、信号（３１６）を受信し、それを２つの経路に分割する。一方は、信号乗算器（３１２）に直接的に入力され、他方は、遅延ユニット（３１０）によって遅延される。信号乗算器（３１２）は、受信信号（３１６）と、遅延ユニット（３１０）からの遅延信号（３１８）とを乗算する。積分器（３１４）は、指定の時間にわたり信号乗算器（３１２）の出力（３２２）を積分する。加算モジュール（３０６）は、積分器（３１４）から出力された信号（３２４）を合計する。取得モジュール（３０８）は、加算モジュール（３０６）から出力された合計出力（３２６）と、所定のしきい値とを比較することによって、伝送基準プリアンブルの存在を検出する。  

Description

明 細 書

インパルス無線通信における初期同期獲得方法及び受信装置

技術分野

[0001] 本発明は、伝送基準プリアンブルを使用してのインパルス無線通信における初期 同期獲得方法及び受信装置に関する。

背景技術

[0002] 最近の通信技術の進歩により、ノ ルス持続時間が一般にナノ秒未満である、持続 時間の非常に短 、無線周波数 (RF)パルスのシーケンスの送受信を利用できるよう になった。これは、しばしばインノ ルス無線 (IR)と称される。

[0003] IR信号用として、受信装置および送信装置のさまざまな従来の実施形態が存在し ている。 IR送信装置および IR受信装置では、多岐にわたるデータ変調 (および復調 )手法を採用することができ、例えば、振幅変調、位相変調、周波数変調、パルス位 置変調 (PPM) (タイムシフト変調またはパルス間隔変調とも称する）、あるいはこれら の M— aryバージョンである。

[0004] 現時点では、最も周知である方法は、 PPM方式である。この方法は、連続するタイ ムフレームの中の複数のタイムスロットの 1つにおいてパルスを送信および受信するこ とによって機能し、この場合、送信装置と受信装置との間での高い精度での時刻の 同期が要求される。 PPM変調方式は、「時間変調」方法とも称されており、なぜなら、 パルスの到着の相対性が、伝送情報を復調する目的で受信装置が認識しておかな ければならない重要な情報であるためである。

[0005] 時間変調インパルス無線伝送方式における 1つの問題は、時刻の同期を確立する ことが難しいことである。このことは、特に、伝送情報が伝送シンボルのバーストで構 成されているときに当てはまり、この場合、受信装置は、送信装置のタイミングについ て何らの先験情報を持たな 、。

[0006] 最近、新し!/ヽ代替 UWB通信方式として、伝送基準（transmitted-reference)方式が 発明され、特許文献 1にその一例が開示されている。用語「伝送基準」は、個々のパ ルスとの同期が不要である方法で複数のパルスを送受信することを意味する。パルス は対で伝送され、対においては、第 1のパルスが基準パルスであり、第 2のパルスが データ変調パルスである。ノ ルス対のそれぞれにおいて、基準パルスとデータ変調 パルスは同じである。パルス対は、時間間隔、すなわち遅延によって互いに隔てられ ている、すなわち一方が遅延しており、時間間隔すなわち遅延は受信装置に既知で ある。伝送基準 UWBでは、パルスは対で送られ、従って、標準的な手段によって測 定することのできる相関関係が受信装置において生じる。すなわち、伝送基準方式 では、時間変調方式における同期の問題が存在しない。

[0007] 伝送基準方式を使用しての同期獲得の方法はいくつかある。このような 1つの方法 は、特許文献 2に開示されており、この方法では、同期を獲得するためのパイロット信 号を提供する目的で、伝送基準 Z遅延ホッピング（TRZDH) (transmitted-referenc e, delay-hopped)超広帯域信号が使用される。用語「伝送基準」は、先の説明と同じ 定義である。用語「遅延ホッピング」は、符号分割多元接続 (CDMA)方式を意味す る。 TRZDH方式では、 PPMZTHなどの時間変調方式における同期の問題が存 在しないが、時間変調方式よりも信号対雑音比 (SNR)が悪ぐ多元接続干渉が起こ りやすい。数学的モデリングとコンピュータシミュレーションとに基づいたパフオーマン スの予測によると、これらの影響によって、 TRZDHの多元接続能力は、いくつかの 用途には適合しない程度まで制限されるものと考えられる。

特許文献 1：米国特許出願第 2003198308号 Synchronization of ultra-wideband c ommunications using a transmitted— rererence preamblej

特許文献 2 :米国特許出願第 2003198212号「Method and apparatus for synchroni zing a radio telemetry system by way of transmitted— reference, delay-hopped ultra- wideband pilot signalj

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] 時間変調インパルス無線伝送方式における 1つの問題は、時刻の同期を確立する ことが難しいことである。このことは、特に、伝送情報がナノ秒オーダーの狭いパルス のバーストで構成されているときに当てはまる。この場合、受信装置は、送信装置の タイミングについて何らの先験情報を持たず、さらに、受信装置は、伝送情報の復調 を試みる前に伝送の存在を検出しなければならない。

[0009] 多元接続干渉 (MAI)が存在しな 、場合、パルススロットを決定するクロックは、受 信信号力も容易に回復することができるが、フレームクロックは、伝送される取得シー ケンスから回復しなければならない。そして、多元接続干渉がある場合、この問題は さらに悪くなる。これは、互いに干渉している個別の送信装置のパルススロットクロック 力 目的の送信装置のクロックと同期しないためである。この状況では、取得シーケン スを使用することによって、スロットクロックとフレームタイミングの両方を取得する必要 がある。この必要条件は、初期同期に要する計算量が非常に大きいことを意味し、こ の計算負荷の結果として、取得時間が非常に長くなることがある。

[ooio] 特許文献 1には、伝送基準 Z遅延ホッピング (TRZDH)バーストをプリアンブルと して使用して時刻指標 (time mark)を提供する初期同期の方法が紹介されて 、る。

[0011] しかしながら、この方法では、プリアンブルにおいて伝送されるパルス対のそれぞれ に対して、一連のパルス対相関器が受信装置に必要であり、この結果、受信装置の 構造が極めて複雑になる。

課題を解決するための手段

[0012] 本発明の目的は、伝送基準プリアンブルを使用してのインパルス無線通信におけ る初期同期獲得の新規の方法であって、受信装置において一連の複数の相関器の 代わりにただ 1つのパルス対相関器を使用することによって、インパルス無線受信装 置の構造が単純化される初期同期獲得方法及び受信装置を提供することである。

[0013] この方法では、送信装置は、最初に伝送基準プリアンブルを送る必要がある。受信 装置は、この伝送基準プリアンブルを容易に検出し、これを処理し、通信システムの 受信側における時刻指標を生成することができる。伝送基準プリアンブルは、パルス トレインとして伝送される一連のパルス対で構成されており、パルス対のそれぞれは、 基準パルスとデータ変調パルスとから成る。各パルス対の各基準パルスと各データ変 調パルスは、時間距離 (time separation)だけ隔てられている。伝送基準プリアンブル にお 、て伝送されるすべてのパルス対は、その基準パルスとデータ変調パルスとの 間の時間距離が同じである。本発明においては、さまざまな伝送シンボルを表してい る、伝送基準プリアンブル内のすべてのパルス対は、異なるパルス持続時間 Tを有 する。本明細書においては、この変調方法をパルス幅変調と称する。従って、伝送基 準プリアンブルは、パルス幅変調によって変調される。

[0014] 送信装置は、パルス幅変調の伝送基準プリアンブルを伝送し、受信装置に既知で ある一定期間だけ待機した後、伝送メッセージデータを含んで ヽる伝送データバケツ トを伝送する。受信装置は、伝送基準プリアンブルの受信後、伝送データパケットの 受信時刻を時刻指標の精度で推定することができる。

発明の効果

[0015] 本発明は、一連のパルス対を有する伝送基準プリアンブルシーケンスを使用するこ とによって、受信装置の構造とハードウェア実装とにおける複雑さが軽減される、イン パルス無線通信システムにおける同期方法を提供する。伝送基準プリアンブルシー ケンスにおいて、伝送シンボルを表すパルス対のそれぞれは、一意のパルス持続時 間を有する。この同期方法は、複数相関器の構造と比較すると、受信装置の構造が 単純であり、インパルス無線通信システムの受信装置構造に必要であるのは、遅延 回路を備えている 1つのみのノ ルス対相関器と、乗算器と、積分器である。

図面の簡単な説明

[0016] [図 1]本発明の伝送基準プリアンブルシーケンスの第 1の実施形態を示す図

[図 2]本発明の伝送基準プリアンブルシーケンスの第 2の実施形態を示す図

[図 3]本発明の伝送基準プリアンブルシーケンスの第 3の実施形態を示す図

[図 4]本発明の伝送基準プリアンブルシーケンスの第 4の実施形態を示す図

[図 5]本発明のインパルス無線通信における送信装置の構成を示すブロック図

[図 6]本発明のインパルス無線通信における受信装置の構成を示すブロック図

[図 7]本発明のバースト信号の構造および相関器出力を示す図

発明を実施するための最良の形態

[0017] 本発明の伝送基準プリアンブルシーケンスには、 4つの実施形態がある。図 1は、 伝送基準プリアンブルシーケンスの第 1の実施形態であり、図 2は第 2の実施形態、 図 3は第 3の実施形態、図 4は第 4の実施形態である。

[0018] 図 1は、伝送基準インパルス無線送信装置および受信装置の間で伝達される、模 範的な、伝送基準プリアンブルシーケンスの第 1の実施形態である。伝送基準ブリア ンブル 100Aにおいて伝送されるパルス対の数 Nは、 1より大きい任意の整数とする

P

ことができ、 Nの値は受信装置に既知である。図 1には、 4つのパルス対を示してあり

P

、これらのパルス対は、伝送基準プリアンブル 100Aにおいて連続的に伝送される。 各パルス対は、 2つの同じパルス波形力 成り、第 1のパルス波形を基準パルスと称 し、第 2のパルス波形をデータ変調パルスと称する。

[0019] 図 1に示したように、第 1のパルス対は、同一の基準パルス 102とデータ変調パルス 104とで構成されている。第 2のパルス対は、同一の基準パルス 106とデータ変調パ ルス 108とで構成されている。第 3のパルス対は、同一の基準パルス 110とデータ変 調パルス 112とで構成されている。第 4のパルス対は、同一の基準パルス 114とデー タ変調パルス 116とで構成されて 、る。

[0020] 伝送基準プリアンブルシーケンスにおける各パルス対は、隣のパルス対からパルス 対間隔 120だけ隔てられている。パルス対の間隔 120は、伝送基準プリアンブルシ 一ケンスにおけるすべてのパルス対について同じである。伝送基準プリアンブル 100 Aにおいて伝送されるすべてのパルス対は、その基準パルスとデータパルスとの間の 時間距離 Dが同じである。

[0021] 伝送基準プリアンブルを変調する目的で、パルス幅変調が採用されて 、る。各パル ス対のパルス持続時間 Tpを使用して、各パルス対が伝送シンボルに関連付けられて いる。図 1に示したように、第 1のパルス対は、伝送シンボル「00」を表しており、パル ス持続時間 Τ を有し、第 2のパルス対は、伝送シンボル「10」を表しており、パルス l

持続時間 T を有し、第 3のパルス対は、伝送シンボル「01」を表しており、パルス持 p2

続時間 T を有し、第 4のノ ルス対は、伝送シンボル「11」を表しており、パルス持続 p3

時間 T を有する。伝送基準プリアンブル 100Aにおける、伝送シンボルのそれぞれ p4

を表して!/ヽる各パルス対のパルス持続時間は、異なって!/ヽなければならな!/ヽ。

[0022] 伝送基準プリアンブルシーケンスの第 2の実施形態においては、図 2に示したように 伝送基準プリアンブル 100Bの基準パルスとデータパルスとの間の時間距離 Dが 0で あることを除いて、図 1における第 1の実施形態との違いはない。伝送基準プリアンプ ルにおいては、各パルス対の基準ノ ルスの後、遅延なしにデータ変調パルスがただ ちに伝送される。 [0023] 図 3は、伝送基準プリアンブルシーケンスの第 3の実施形態を示している。この実施 形態にお 、ては、伝送基準プリアンブル 100Cの基準パルスとデータパルスとの間の 時間距離 Dが 0ではない。この第 3の実施形態と第 1の実施形態の唯一の違いは、一 意の伝送シンボルのそれぞれを表して 、るパルス対を、 1又は複数サイクルのパルス で構成できることである。図 3に示したように、伝送シンボル「00」を表している第 1の パルス対は 1周期のパルス力 成り、伝送シンボル「10」を表して!/、る第 2のパルス対 は 2周期のパルスから成り、伝送シンボル「01」を表している第 3のパルス対は 3周期 のパルスから成り、

、る第 4のパルス対は 4周期のパルス カゝら成る。

[0024] 図 4は、第 4の実施形態を示している。この実施形態においては、伝送基準プリアン ブル 100Dの伝送シンボルごとにパルス対間隔 120が異なって!/、る。第 1の伝送シン ボル「00」はパルス対間隔 T を有し、第 2の伝送シンボル「10」はパルス対間隔 T を fl f2 有し、第 3の伝送シンボル「01」はパルス対間隔 T を有し、第 4の伝送シンボル「11」 f3

はパルス対間隔 T を有する。

f4

[0025] 図 5は、本発明のインパルス無線通信における送信装置の構成を示すブロック図で ある。送信装置 200は、ビット生成器 202と、チャネルエンコーダ 206と、インパルス 無線変調器 212と、マッピング構成器 214と、パルス生成器 218と、送信アンテナ 22 2とで構成されている。

[0026] ビット生成器 202は、入力データからディジタルデータストリーム 204を生成する。

入力データには、テキストデータ、ビデオデータ、イメージデータ、オーディオデータ あるいはこれらの組み合わせが含まれる。チャネルエンコーダ 206は、ディジタルデ 一タストリーム 204に対して、ブロックコード、畳み込み符号化等の誤り訂正符号化を 行い、符号化データ 208を生成する。

[0027] インパルス無線変調器 212は、符号化データ 208を複製し、マッピング構成器 214 が設定した図 1〜図 4における伝送基準プリアンブルシーケンスによるマッピング構 成に従って変調する。パルス生成器 218は、インパルス無線変調器 212から出力さ れた信号 216を増幅し、信号 216を予め定められたパルス形状に生成し、生成した 伝送基準プリアンブル 220を送信アンテナ 222から無線送信する。 [0028] 図 6は、本発明のインパルス無線通信における受信装置の構成を示すブロック図で ある。受信装置 300は、受信アンテナ 302と、パルス対相関器 304と、加算モジユー ル 306と、取得モジュール 308とで構成されている。パルス対相関器 304は、遅延ュ ニット 310と、信号乗算器 312と、有限時間積分器 (finite time integrator) 314とを備 えている。

[0029] パルス対相関器 304は、信号 316を受信し、それを 2つの経路に分割する。一方は 、信号乗算器 312に直接的に入力され、他方は、遅延ユニット 310によって遅延され る。受信信号 316と、遅延ユニット 310からの遅延信号 318とが、信号乗算器 312に おいて乗算され、 0でない積 322が積分器 314において指定の時間にわたり積分さ れ、信号 324が生成される。積分時間は、図 1に示したパルス対間隔 120に等しい。 遅延ユニットにおける時間遅延は、図 1〜図 4における基準ノ ルスとデータパルスと の間の時間遅延 Dに等しい。

[0030] 加算モジュール 306は、積分器 314から出力された信号 324を入力し、それらをす ベて加算する。この演算の目的は、伝送基準プリアンブルシーケンスにおける N個

P

のパルス対の積分出力すベてを合計することである。

[0031] 取得モジュール 308は、加算モジュール 306から出力された合計出力 326と、所定 のしきい値とを比較することによって、伝送基準プリアンブルの存在を検出する。しき い値は、動作条件に依存する。従って、該当する分野における当業者には、実際の 値を得ることができる。合計出力 326がしきい値より大きい場合、取得モジュール 308 は、同期の成功を宣言し、合計出力 326がしきい値より小さい場合、取得モジュール 308は、同期の失敗を宣言する。

[0032] 図 7は、本発明のバースト信号の構造および相関器出力を示す図である。伝送デ ータパケット 404は、伝送基準プリアンブル 402の後に伝送される。受信装置は、伝 送基準プリアンブル 402の受信時に検出されるパルス対相関器の出力の最大ピーク 値 406の時刻を時刻指標として使用し、このマークによって、後に続く伝送データパ ケット 404の同期をとる。なお、図 7において、相関器出力における小さいピークは、 自己相関の副ローブを表しており、最大ピーク値 406と比較して小さいはずである。 産業上の利用可能性 [0033] 本発明は、インパルス無線通信における受信装置に用いるに好適である。

Claims

請求の範囲

[1] 送信装置において、予め定められた時間距離 Dだけ隔てられた同一形状のパルス 対にて構成される伝送基準プリアンブルを受信装置に送信するステップと、

前記送信装置にぉ ヽて、前記伝送基準プリアンブルを送信してカゝら所定時間経過 後に伝送データパケットを前記受信装置に送信するステップと、

前記受信装置にお!、て、受信信号とこの受信信号を前記時間距離 Dだけ遅延させ た信号との相関値に基づいて前記伝送基準プリアンブルを検出して時刻指標を生 成するステップと、

前記受信装置において、前記生成した時刻指標を使用して、前記伝送データパケ ットの受信を開始するステップと、

を具備するインパルス無線通信における初期同期獲得方法。

[2] 伝送シンボルに応じて前記パルス対のパルス持続時間を異ならせる請求項 1記載 の初期同期獲得方法。

[3] 予め定められた時間距離 Dだけ隔てられた同一形状のパルス対にて構成される伝 送基準プリアンブルを受信する受信アンテナと、

前記受信アンテナが受信した前記伝送基準プリアンブルを前記時間距離 Dだけ遅 延させる遅延回路と、

前記受信アンテナが受信した前記伝送基準プリアンブルに前記遅延回路が遅延し た前記伝送基準プリアンブルを乗算する乗算器と、

前記乗算器の出力を所定時間にわたり積分する積分器と、

前記積分器の出力を合計する加算モジュールと、

前記加算モジュールの出力と所定の閾値との比較により前記伝送基準プリアンプ ルを検出して時刻指標を生成する取得モジュールと、

を具備するインパルス無線通信における受信装置。