法律で禁じられているのに、国会議員が議員会館の執務室でたばこを吸っていたことが明らかになった。国会や議員会館は、喫煙室も設置できない中央省庁などに比べれば規制は緩いが、それすら守られていなかった。

 9月下旬の平日、記者は国会議事堂に隣接する議員会館を訪れた。議員会館には国会議員一人ひとりに割り当てられた事務所がある。昼過ぎ、各階にある喫煙専用室には国会議員や秘書らの姿があった。ある与党議員に声をかけると、「最近まで自室(執務室)で吸ってはいけないとは思っていなかった」と話した。「部屋に来る人が多いなか、喫煙室まで来るのが面倒なこともある」のだという。

 4月に全面施行された改正健康増進法では、国会やその一部とされる議員会館は「原則屋内禁煙」(屋内に喫煙専用室設置可)になった。オフィスビルなどと同じ扱いだ。それまでは議員会館の執務室内でも各自の判断で吸えたが、喫煙専用室以外での喫煙は禁じられた。都道府県知事らの指導や命令の対象で、違反者には30万円以下の罰金が科される。

■後を絶たない自室喫煙

 衆参両院の広報担当によると、国会内には、議事堂横や議員会館の各階など計83カ所の喫煙所がある。ただ、議員が事務所の執務室で喫煙をする例は後を絶たない。