国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で展示が中止された企画展「表現の不自由展・その後」の出展作品を公開する展覧会が、今月下旬にも東京都内で開かれる。だが、開催場所として予定された新宿区のギャラリーが会場の提供をとりやめたため、別の会場を確保して開催することになった。主催団体の実行委員会が10日、都内で記者会見して明らかにした。展覧会中止を大声で求める街宣行動が相次いでいたという。

 2019年8月に名古屋市で開幕した表現の不自由展では、慰安婦を表現した「平和の少女像」や、昭和天皇を含む肖像群が燃える映像作品「遠近を抱えて」などに抗議が殺到。脅迫めいた内容のファクスもあり、3日間で展示を中止。閉幕直前に再開して、さらに1週間展示した。

 海外でも話題になり、19年末から韓国・済州島、20年春に台湾・台北で招待されて開催した。実行委は「公共の空間で表現の機会を奪われた作品を見てもらう機会を改めて設けたい」と考え、東京や名古屋、大阪などで開催を計画した。少女像や元慰安婦の写真などの作品を再び展示する。

 新宿区のギャラリーで今月25日から7月4日までの開催予定を今月3日に告知したところ、6日以降に右翼団体や排外的なグループが会場付近に押しかけ「表現の不自由展に場所を貸すな」「慰安婦像を持ち込むな」などと大音声で街宣活動を始めた。ギャラリーのオーナーは「多数の抗議による騒乱状態で、子どもたちに恐怖を感じさせ、近隣との信頼関係が壊される衝撃ははかり知れない」として、実行委に会場提供の中止を申し出たという。