米国防長官が入院、バイデン政権は数日知らされず
キャサリン・アームストロング、BBCニュース
アメリカのロイド・オースティン国防長官(70)がこのほど入院したことが、ジョー・バイデン大統領や政権スタッフに数日間知らされていなかった。少なくとも政府関係者1人が米メディアに説明した。
オースティン氏は手術後の合併症で、1日にウォルター・リード医療センターに入院した。
政府関係者の1人はBBCが提携する米CBSに、ホワイトハウスはこのことを最も早くとも4日朝まで知らされていなかったと話した。
オースティン氏は声明で、コミュニケーションが不足していたとし、自らに責任があると説明。
「国民が適切な情報を確実に得られるよう、もっとできることがあったと認識している」、「今後はよりよい行動を約束する」とした。
国防長官は米軍の指揮系統で大統領のすぐ下位にある。
声明でオースティン氏はまた、大事なことを指摘しておきたいとし、「これは私の医療に関することであり、公開についての決定は私が全責任をもつ」とした。
さらに、「快方に向かっているのはとても喜ばしい。すぐにペンタゴン(国防総省)に戻ることを楽しみにしている」とした。
オースティン氏はまだ入院中とみられている。ただ、AFP通信は国防総省の報道官の話として、同氏が5日に仕事に完全復帰したと伝えた。
病気によってオースティン氏がどれだけの責任を果たせているのかや、どれだけの職務に関してキャサリン・ヒックス国防副長官が代理を務めたのかは不明。
当局者らが米CNNに語ったところでは、オースティン氏の入院中、休暇でプエルトリコに滞在していたヒックス氏が定期的にオースティン氏の職務を引き受けていたという。
野党議員や記者らが批判
バイデン大統領は6日にオースティン氏と「温かい」会話をしたと報じられている。
「大統領はオースティン長官に全幅の信頼を寄せている。彼がペンタゴンに戻ってくるのを心待ちにしている」と、政府関係者の1人はAFP通信に話した。
今回の事態に対しては、野党・共和党の議員らが深刻な懸念を示している。
トム・コットン上院議員は声明で、「国防長官は大統領と制服組の指揮系統において重要な役割を担っている。それには、最も重い決定を数分のうちに出さなければならない核の指揮系統も含まれる」と指摘。
「今回の報道が事実であれば、この衝撃的な断絶による影響があるに違いない」とした。
ロジャー・ウィッカー上院議員も、オースティン氏の回復を喜ぶ一方、「国防総省が国防長官の病状を意図的に何日間も隠していたことに変わりはない。容認できないことだ」とした。
国防総省を取材する記者らでつくるペンタゴン・プレス・アソシエーションも5日、同省に文書を送り、透明性の欠如を批判。
「中東にいる米兵への脅威が高まり、イスラエル(とハマスの戦闘)と、ウクライナでの戦争でアメリカが国家安全保障上の重要な役割を果たしている時に、米国民が国防トップの健康状態と意思決定能力について情報を得ることはことさら重要だ」とした。
オースティン氏は退役陸軍大将で、2020年に初のアフリカ系アメリカ人の国防長官に就任した。