イギリス新首相ボリス・ジョンソン氏の物議を醸した発言・行動の歴史

ボリス・ジョンソン氏

ボリス・ジョンソン氏。

Getty

イギリスでは7月24日(現地時間)、5月下旬に辞任を表明したメイ首相に代わり、保守党党首選に勝利したボリス・ジョンソン氏が正式に首相に就任した。

Business Insiderでは、10歳の子どもにラグビーのタックルをしたり、ゲイの男性を「タンクトップを着たホモ」と呼ぶなど、ジョンソン氏の物議を醸した失言や行動の長い歴史を振り返る。


2018年8月:ブルカを着用したイスラム教徒の女性は「郵便ポストのよう」

ボリス・ジョンソン氏

Reuters

2018年、テレグラフのコラム記事で、ブルカを着用したイスラム教徒の女性は「郵便ポストのようだ」と書いたあと、ジョンソン氏はイスラモフォビア(イスラム嫌い)だと批判された。

2018年6月:「ビジネスなんかクソくらえ」

ボリス・ジョンソン氏

Getty

欧州連合(EU)の外交官向けのイベントで、ブレグジットに対する企業の懸念について尋ねられたジョンソン氏(当時の外相)は、「ビジネスなんかクソくらえ」と答えた

2017年10月:リビヤの「死体」

ボリス・ジョンソン氏

Reuters

ジョンソン氏は2017年、リビヤの都市シルテ(Sirte) —— その大部分が内戦で破壊された —— は新たなドバイになれると言い、「死体を片付ければいいだけだ」と付け加えた

2017年11月:ナザニン・ザガリ・ラトクリフ氏に対する発言

ナザニン・ザガリ・ラトクリフ氏

ナザニン・ザガリ・ラトクリフ氏。

Family Handout / PA

ジョンソン氏は外相時代、スパイ容疑で禁錮5年の刑で投獄されたイラン系イギリス人女性ナザニン・ザガリ・ラトクリフ(Nazanin Zaghari-Ratcliffe)氏に関する誤解を招く恐れのある発言で、激しく批判された。

ジョンソン氏は、ラトクリフ氏は「人々にジャーナリズムを教えていた」と発言したが、これは彼女の家族も雇用主も事実でないと述べている。彼女は休暇を過ごすため、イランにある実家を訪れていただけだと言う。

イランでは、ジョンソン氏の発言がラトクリフ氏にとって不利な証拠として使われた。

2017年9月:ミャンマーの寺院で、植民地時代の詩を朗読

ミャンマーを訪問したジョンソン氏

駐ミャンマー大使に詩の朗読を止められるジョンソン氏。

Channel 4

かつて大英帝国の一部だったミャンマーへの公式訪問中、ジョンソン氏は植民地時代の詩人ラドヤード・キップリング(Rudyard Kipling)の詩を朗読したことで、「信じられないほど無神経」だと批判された。

当時の駐ミャンマー大使アンドリュー・パトリック(Andrew Patrick)氏が、「不適切だ」と言って、ジョンソン氏に詩の朗読を止めさせた。

2017年5月:シーク教の寺院でアルコールについて話す

シーク教寺院を訪れたジョンソン氏

イギリスのブリストルにあるシーク教の寺院で、スコッチ・ウィスキーについて話すジョンソン氏。

Bristol Post

シーク教の寺院を訪れた際、スコッチ・ウィスキーの輸出について話したことで、ジョンソン氏は批判された。

ジョンソン氏は集まった礼拝者に対し、「ムンバイでも、デリーでも、インドに行くときは必ず、かばんに入れていかなければならない」と語った。

「ジョニー・ウォーカーやウィスキーを持って行かないといけない。インドではスコッチ・ウィスキーの輸入に150%の税金をかけているから、親類縁者に免税品を持って行かなければならない。だが、インドとの間に自由貿易協定があればどうなるか —— 今後、協定が結ばれるだろう」

シーク教の一部の教えは、アルコールを禁じている。ある礼拝者はジョンソン氏に向かって、アルコールは「我々の宗教に反するもの」だとし、同氏の発言は「もっての外だ」と叫んだ

2016年10月:アフリカを「あの国」と呼ぶ

ボリス・ジョンソン氏

Getty

外相に就任した3カ月後のスピーチで、ジョンソン氏はアフリカを「あの国」と呼んだ。

保守党の会議で、同氏は聴衆に向かって、「あの国がグローバルな経済システムに入ってから、アフリカの平均余命は驚くほど伸びている」と語った

2016年5月:トルコの大統領がヤギとセックスするという詩を書く

トルコのエルドアン大統領

トルコのエルドアン大統領。

Reuters

ジョンソン氏は2016年、トルコの大統領がヤギとセックスするという侮辱的な詩を書いて、雑誌『スペクテイター』で表彰され、賞金1000ポンド(約13万円)を獲得した

2016年4月:「ケニア人の血を引く」オバマは「大英帝国が先祖代々嫌い」

バラク・オバマ元大統領

バラク・オバマ元大統領。

AP Photo/Paul Sancya

ロンドン市長を務めていた頃、ジョンソン氏はアメリカのバラク・オバマ大統領(当時)は「ケニア人の血を引いている」から「大英帝国が先祖代々嫌い」なのだろうと発言して、非難の集中砲火を浴びた。

2015年10月:ラグビーで10歳の子どもを倒す

ラグビーで子どもを倒す様子

ラグビーで10歳の子どもを倒すジョンソン氏(東京、2015年10月15日)。

Reuters

2015年、ロンドンの市長だったジョンソン氏は、東京で非公式のラグビーの試合中にタックルをして相手を倒した。

タックルをして倒した相手は10歳の小学生だった。

ジョンソン氏はその後、ショックを受けた子どもに「ごめん」と言った。

2013年7月:女性は「結婚相手を見つけるために」大学に行く

ナジブ・ラザク元首相

マレーシアのナジブ・ラザク元首相。

Nicky Loh/Getty Images

マレーシアのラザク元首相とジョンソン氏が出席した世界イスラム経済会議で、ラザク元首相は「ここに来る前、マレーシアでは大学進学者の68%が女性だと高官から聞いた」と述べた。

ジョンソン氏は「彼女たちは結婚相手を見つけなければならない」からだと、これを遮った

2012年8月:ジップラインで宙づり

宙づりになるボリス・ジョンソン氏

ITN / YouTube

ユニオンジャックの旗を2本持って、ジップラインに宙づりになったジョンソン氏は、2012年のロンドン・オリンピックの開催中、ニュースになった

イギリスの金メダル第1号を祝おうとして、失敗したようだ。

2007年11月:ヒラリー・クリントンは「精神科病院のサディスティックな看護師」のよう

ボリス・ジョンソン氏、ベン・コーエン選手

ジョンソン氏(右)とイングランドのラグビー選手ベン・コーエン(左)。イングランド対ドイツのチャリティー試合で(2006年5月3日)。

Reuters / Eddie Keogh

ジョンソン氏は2007年、2008年の米大統領選ではクリントン氏が勝つだろうとの見方を受け、テレグラフに「ブロンドに染めた髪、とがらした唇、ブルーの冷たい目を持つ彼女は、精神科病院のサディスティックな看護師のようだ」と書いた

2005年7月:イスラモフォビアは、イスラム教に対する「自然な反応」

ボリス・ジョンソン氏

ロンドン、2005年9月29日。

Reuters / Paul Hackett

2005年、ジョンソン氏は雑誌『スペクテイター』で、人々がイスラム教を怖がるのは「自然な反応」だろうと書いた

2005年6月:女性は男性よりも「泣きやすい」

望遠鏡をのぞくボリス・ジョンソン氏

望遠鏡をのぞくボリス・ジョンソン氏(2005年10月3日)。

Reuters / Ian Hodgson

「女子」は泣きやすいので、研究所は男性のみにすべきとした科学者ティム・ハント(Tim Hunt)氏をかばおうと、ジョンソン氏は2005年、この性差別に関する議論に加わった。

ジョンソン氏はテレグラフで「男性よりも女性の方がすぐに泣くというこのざっくばらんな主張に根拠はあるか? 」「ああ、もちろんある」と書いた。

「女性の方が、泣くことと関係するホルモン、プロラクチンが多いと言われている」

2005年4月:「保守党に投票すれば、胸の大きな妻が手に入る」

ボリス・ジョンソン氏

リバプール、2004年10月20日。

Reuters / John Giles

2005年の選挙キャンペーンで、ジョンソン氏は「保守党に投票すれば、より胸の大きな妻が手に入り、BMW M3を所有するチャンスが高まる」と言った。

2002年1月:黒人は「スイカのような笑顔」の「子ども」

自転車をひくジョンソン氏

Reuters

デイリー・テレグラフのコラム記事で、ジョンソン氏はブレア元首相の外遊をバカにし、「イングランドを離れて、ブレアはどんなにほっとしていることか。女王がイギリス連邦を愛するようになったのは、旗を振る黒人の子どもたちが定期的に声援を送ってくれるからだとも言われている」と書いた。

ジョンソン氏はその後、「スイカのような笑顔」とも発言している。

2001年1月:「ふざけて」MI6の「スパイ」を名指し

MI6の建物

ロンドンにあるMI6の建物。

Thomson Reuters

雑誌『スペクテイター』の編集者をしていた2001年、ジョンソン氏は元友人の同僚がイギリスの秘密情報部で働いていたとする記事を出した。

ジョンソン氏はその記事の中で、MI6のエージェント「スモールブロウ(Smallbrow)」は、当時サンデー・テレグラフの編集者を務めていたドミニク・ローソン(Dominic Lawson)氏だったと名指しした。

ローソン氏は、自分はエージェントだったことはないと否定し、ジョンソン氏はジャーナリストの生命を危険に陥れたと非難した。

1998年:「タンクトップを着たホモ」

記事

Daily Telegraph

ピーター・マンデルソン氏の辞任に関する1998年のテレグラフのコラム記事でジョンソン氏は、辞任発表がナイトクラブ「ミニストリー・オブ・サウンド」にいる「タンクトップを着たホモ」や、「マンディーやその仲間の行きつけの薄暗いクラブ」の「すすり泣き」を呼ぶだろうと書いた。

[原文:Boris Johnson's long list of gaffes, offensive comments and controversies]

(翻訳、編集:山口佳美)

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