時代に逆行、市役所に喫煙所が復活したワケ

時代に逆行、市役所に喫煙所が復活したワケ
時代に逆行、市役所に喫煙所が復活したワケ
その他の写真を見る (1/3枚)

 屋内施設での喫煙を原則禁止とする改正健康増進法が4月に全面施行されるなど、喫煙に対する風当たりが厳しさを増す中、岡山市役所に2月、喫煙所が復活した。市庁舎を全面禁煙とした昨年7月からの方針転換だ。何があったのか。

昨年7月に灰皿すべて撤去したが…

 岡山市のJR岡山駅周辺では、3カ所ある喫煙所のうち1カ所が2月から、加熱式たばこ限定となり、煙の出る紙巻きたばこは吸えなくなった。喫煙所の周囲に覆いがないためだ。この喫煙所は横断歩道わきの岡山市有地で、担当者は「真下に地下街があり、覆いを建てようにも土台をつくるスペースがなかった」と説明する。

 約15年前には岡山駅、巨大商店街のある表町の周辺には59カ所の喫煙所があった。しかし平成19年9月に5カ所に集約され、22年に3カ所に減少。往時からは隔世の感がある。

 そして岡山市庁舎。改正健康増進法の一部施行で、市役所などの行政機関の庁舎、病院、学校は昨年7月から敷地内は全面禁煙となった。市ではこれを受けて敷地内にあった灰皿をすべて撤去。完全禁煙を実現した。

 だが…。

スモーカーはどこへ行った

 「上だよ上」

 職員らが指を上にさし、エレベーターに乗り込んでいく。9階建ての市庁舎の屋上に行くと、東側の一角に真新しい灰皿が3つ。職員らが20人近く集まり、歓談していた。屋根がなく、白線のみで仕切られた10メートル四方の領域は、新たな「喫煙所」だ。

 市は市庁舎の全面禁煙を実現したが、その後、スモーカーたちは南隣にある「大供(だいく)公園」に集まるように。昼食を終えた職員たちが、市庁舎に戻る前の一服を楽しむ姿がしばしば見られるようになったのだ。

 これにクレームがついた。公園を利用する親子連れが受動喫煙の被害を訴えるなど苦情が相次いだ。

 改正健康増進法では例外規定として、条件を満たせば「特定屋外喫煙場所」を設けてよいことになっている。結局、市は屋上に「特定屋外喫煙場所」となる喫煙所を設置。大供公園で喫煙をしないよう、職員用の専用サイトで呼び掛けることになった。岡山市庁舎管理課は「やむを得ない措置だった」と説明する。

独自条例制定の動きも

会員限定記事会員サービス詳細