収容継続「不当といえず」 女性死亡で入管庁

名古屋出入国在留管理局の施設に収容中だったスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が死亡した問題で、出入国在留管理庁が10日に公表した調査報告書では、ウィシュマさんの収容を継続した判断は「不当とまでは評価できない」とした。一方、死因の特定には至っておらず、遺族は「これが最終報告か」と批判した。

報告書によると、ウィシュマさんは平成29年に留学の在留資格で入国。日本語学校を除籍後、所在をくらませ不法残留となった。昨年8月に静岡県の交番に出頭し、施設に収容された。

当初は帰国を希望していたが、支援者と面会後に一転して在留を希望。今年1月に支援者の一人を保証人として一時的に収容を解く仮放免の許可を申請し、吐き気などの体調不良も訴え始めた。この支援者を保証人とした仮放免をめぐって平成27年以降に10件の逃亡事案が判明しており、入管側は「支援者にあおられ、仮放免を求めて執拗(しつよう)に体調不良を訴えている」などと判断。2月15日に仮放免は不許可となった。

ウィシュマさんは同22日、2度目の仮放免許可を申請。この頃から歩行や食事が困難となって介助が増えた。入管側は体調が回復すれば仮放免を認める方針を3月5日に決定したが、翌6日に体調が急変して亡くなった。ただ、死亡2日前に受診した外部の精神科医による「仮放免すれば(体調が)良くなるのでは」との発言は局幹部に報告されていなかった。

報告書は、仮放免をめぐる判断について「相応の根拠や理由があり、不当なものであったとまでは評価できない」とした。一方、体調不良者の仮放免について改善すべき課題があったとも指摘した。

この日、会見したウィシュマさんの妹、ワヨミさん(28)は「5カ月の調査でなぜ死因が明らかにされていないのか」と批判。同庁に残る死亡前2週間分の監視カメラ映像を全て開示するよう求めた。

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