2020年東京五輪・パラリンピックを契機とした東京・明治神宮外苑地区の再開発で、明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、三井不動産、伊藤忠商事の4者が神宮球場と秩父宮ラグビー場を入れ替えて建設することで基本協定を結んだことが28日、分かった。新神宮球場は27年中の完成を目指す。球場にはホテルを併設するプランも浮上しており、ヤクルトの本拠地で夢のボールパーク化が動き始めた。
ヤクルトの本拠地、神宮球場が『ボールパーク』として生まれ変わる。20年東京五輪・パラリンピックを契機とした明治神宮外苑地区の再開発で、明治神宮、JSC、三井不動産、伊藤忠商事の4者が基本協定に合意したことが判明。27年中の完成を目指した新神宮球場建設計画が、いよいよ動き出す。
「将来の観客増加につながれば」
球団関係者が期待を寄せたのは、新球場のボールパーク化だ。特に注目すべき点は、ホテルを併設するプランが浮上した点にある。
米大リーグでは、球場内外のエンターテインメント性を高めるボールパーク化が進められている。パドレスが本拠地とするサンディエゴのペトコ・パークでは、解体予定だったビルをスタンドの一部に取り込み、レストランなどを整備。家族連れで一日中楽しめる環境を整えている。
カブスの本拠地、シカゴのリグリー・フィールドもホテルやショッピングモールが併設されている。行政や企業などと連携し、球場を中心とした街づくりを行うのはスポーツビジネス大国、米国のトレンド。東京のど真ん中でそれが進むとなると、大きなインパクトがある。
神宮一帯の再開発は、21年から本格的に始まる見通し。まず、神宮第二球場を解体し、新たな秩父宮ラグビー場の建設が跡地で22年にスタートする。関係者によると、再開発計画は野球場、ラグビー場とも解体期間の空白をできる限り減らし、プロ野球などの日程に影響を与えず継続利用できることを考慮する。
新たな秩父宮の工事は24年にいったん終了。その後、現在の秩父宮を解体して跡地に新神宮球場の建設を始める予定だ。周辺の商業施設、宿泊施設も含め、全体の再開発は30年秋頃をめどに完了する計画で、建て替え資金は使わない容積分を売却して調達する。
ヤクルトの昨季観客動員は年間192万7822人で、05年の実数発表以降最多となった。さらなる街の活性化へ。2027年、神宮の杜に夢のボールパークが誕生する。