ミャンマーで新型コロナ検査数が激減 クーデターで医療関係者がストライキ

2021年2月21日 06時00分
19日、ミャンマー・ヤンゴンで、クーデターに抗議する市民=共同

19日、ミャンマー・ヤンゴンで、クーデターに抗議する市民=共同

 【バンコク=岩崎健太朗】国軍がクーデターで政権を奪ったミャンマーで、新型コロナウイルスの検査数が激減している。国軍政権は医療体制の継続を強調するが「市民不服従運動」でストライキする医療関係者は増加。抗議デモも人々が密集するだけに、水面下で感染が拡大する懸念がある。
 保健・スポーツ省の発表では、クーデター前の1月は700人を超える日もあった新規感染者が、ここ数日は30人ほどで推移。1日当たりの検査数が2万件近くから、20分の1ほどの1000件前後に減少しているためとみられる。国外から帰国した船乗り男性(38)は、隔離期限を待たず帰宅するよう指定施設に指示され「医師や看護師が不在となった。誰も受け入れられない」と告げられたという。
 不服従運動は医療従事者の呼び掛けがきっかけで政府関係者など幅広い職種に広がり、国軍政権への圧力となっている。ミン・アウン・フライン総司令官が自ら演説で職場復帰を求めるほどで、国軍は従わない医師らの拘束を強化。1月下旬に始まったワクチン接種も「計画通りに進める」としているが、混乱状態のままでは見通せない。
 コロナ検査は軍系の医療センターに限られ、相次ぐ病院の閉鎖で医療体制が機能不全になっているが、ヤンゴンの医師コ・ヘットさん(41)は「多くの患者がいることは理解し、デモで感染が広がり、それを国軍政府が制御できないことも予想できる。だが、運動に参加しなければ国全体が苦しむことになる」と訴えた。

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