【快打一閃 得津高宏】2年目を迎えた中日・根尾昂内野手(19)が気になって一軍キャンプ地である沖縄・北谷球場を訪れた。守備では本職の遊撃だけでなく、二塁や外野にも挑戦しているようだが、一軍に定着できるかどうかカギになるのは、やはり打撃だ。率直な感想を言えば、今季も苦しむような印象を受けた。

 気になったことが2点ある。一つは右ヒザの上げ方だ。左打者は右脚でタイミングを取るが、その際、根尾は右脚を真上にスッと上げて下ろすだけ。あれでは腰にひねりが加わらず、下半身のタメができない。隣でフリー打撃をしていた同じ左の高橋は右ヒザが左ヒザと交差するぐらいまでグイッと上げていたのと対照的だった。

 北谷からの帰りにDeNAの宜野湾キャンプに寄ってみたところ、右打者の宮崎が圧巻の打撃をしていた。左右の違いはあるが、きっちりと左ヒザが右ヒザに当たるぐらいまで上げていた。根尾の打撃フォームについて問うと、2017年の首位打者も「そのヒザの上げ方では腰が入らないですね」と同意見だった。

 もう一つ気になったのが手首の硬さだ。ゴルフでもそうだが、グリップに力が入り過ぎると、かえってインパクトの瞬間に力が出せない。与田監督も「グリップの握り方がしっかりし過ぎているんじゃないか」と指摘していた。

 ミスタープロ野球、長嶋茂雄さんは打席でバットを短く持っているような場面がよく見られた。これは追い込まれて短く…ではなく、緩く握りすぎるあまり、手の中でバットが滑り落ちていただけだったという逸話もある。根尾にも宮崎や巨人・丸のようにグリップは柔らかく握ってほしい。

 プロでは好打者のいいところを見て“盗む”ことも大切だ。まねすることは決して恥ずかしいことではない。チームメートに限らず、高い技術を持った選手はゴロゴロいる。根尾はまだプロ2年生。焦らず、いろんなことを勉強していってほしい。 (本紙評論家)