首相「今国会での解散は考えていない」立民不信任案提出へ

2023年6月16日 14時00分選挙

衆議院の解散をめぐって岸田総理大臣は、来週会期末を迎えるいまの国会では行わない考えを表明しました。一方、立憲民主党は、物価高に直面する国民に負担増を強いる政権を認めるわけにはいかないとして、内閣不信任決議案を16日に提出する方針で、与党側はただちに否決することにしています。

岸田総理大臣は15日夜、記者団に野党側から内閣不信任決議案が提出された場合の対応について、「先送りできない課題に答えを出していくという内閣の基本姿勢に照らして即刻否決するよう、自民党の茂木幹事長に指示した」と述べました。

そのうえで、いまの国会では衆議院を解散しないということかと問われたのに対し、「今国会での解散は考えていない」と表明しました。

与党内からは「国民に信を問う大義がなく、妥当な判断だ」との受け止めが相次ぐ一方、「野党の選挙準備が整っていない今がチャンスだったのではないか」といった声も聞かれます。

また、立憲民主党は「解散権をもてあそぶべきではなく、岸田総理大臣は国民を愚弄している」などと批判しています。

一方、立憲民主党は、物価高に直面する国民に負担増を強いる政権を認めるわけにはいかないとして、解散をめぐる岸田総理大臣の判断にかかわらず、16日に内閣不信任決議案を提出する方針です。

与党側は岸田総理大臣の指示を踏まえ、ただちに決議案を否決することにしています。

また、決議案の提出を「国会最終盤の季節行事だ」と批判する日本維新の会などは反対する見通しです。

国会では、16日の参議院本会議で、政府が最重要法案と位置づける、防衛費増額に向けた財源確保法案や、LGBTの人たちへの理解増進に向けた法案などが可決・成立する見通しです。

立民泉代表 “もてあそぶような態度あってはならない”

立憲民主党の泉代表は、記者会見で「解散はすべての衆議院議員の身分を剥奪して国民に信を問うことであり、総理大臣の覚悟や自覚が問われる。記者会見で解散をにおわせ、含み笑いのようなニヤッとした笑顔を見せたのは、解散権をもてあそぶような態度だ。一国の総理大臣としてあってはならない姿勢で、過ちだ」と述べました。

維新馬場代表「他党と協力は、ほぼありえない」

日本維新の会の馬場代表は、記者会見で「解散がなかったことで、候補者選考や選挙準備を行う時間の余裕が生まれた。今、維新の会は勢いがあるという評価をいただいているが、政治の世界は一寸先は闇で、支持率が急落する可能性もあるので、地に足をつけて調子に乗らないように政治活動を行っていく」と述べました。

また、次の衆議院選挙での野党候補の一本化などの調整について「国政選挙において他党と協力することは、ほぼ100％ありえない。単独で戦い、その積み重ねで政権政党を目指す方針は1ミリも変わらない」と述べました。

公明山口代表「首相の考えは妥当な判断」

公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で「岸田総理大臣の考えは、妥当な判断だ。少子化対策は、日本の社会がこれからのるかそるかの分岐点になる大事な課題であり、着実に国民に浸透を図り、財源の裏付けを持って実行することが政府・与党の重要な取り組みだ。また、マイナンバーカードをめぐるトラブルについての対応もしっかりやり遂げなければならず、こうした課題に政治空白を作らずに取り組むことは当然だ」と述べました。

また、西田選挙対策委員長は「衆議院議員の任期は、秋には折り返しを迎えるので、さまざまな準備を進めていかなければならない」と述べました。

共産志位委員長「解散もてあそんだあげく腰砕け」

共産党の志位委員長は記者団に「岸田総理大臣は、衆議院の解散をもてあそんだあげく、腰砕けに終わり、追い詰められたもとでの解散の見送りだ。内政・外交ともに行き詰まった状況にあり、国民の世論と運動で解散に追い込み、共産党の勢力を伸ばしたい」と述べました。