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ソルテア

ソルテアは、19 世紀半ばの工業都市がよく保存されている優れた例です。この町の設計は、後の「田園都市」運動の発展に大きな影響を及ぼすことになりました。ソルテアの町の建設は、それまでに経験したことのない産業化による都市の発展に伴う問題の解決策として、最初の成功例でした。複合的で自己充足的な社会経済単位として設計されたこのモデル都市は、近代都市計画の発達の重要な一段階を体現しています。またソルテアの造りとその建造物には、19 世紀半ばの慈善的な温情主義と、この町の社会経済的発展に繊維産業が果たした大きな役割が見事なまでに反映されています。

ソルテアは、19 世紀後半の工業都市の様子が非常によく保存されている場所です。繊維工場、公共建造物、そして労働者の住宅を含め、建物の質は高く、調和の取れたスタイルで建設されており、町は当初の設計のまま今も残されています。これは、ビクトリア時代の慈善的温情主義を鮮明に印象付けています。

ブラッドフォードでの梳毛取引は 18 世紀半ばに始まっていましたが、蒸気機関の出現以降、急速に発展しました。その結果、都市人口が急増しました。1780 年に 8,500 人だった人口は、1850 年には 10 万 4000 人ほどになったのです。労働者の生活環境は劣悪で、イングランドで最も汚染のひどい町の一つに数えられ、男女ともに平均寿命は 20 歳を少し超える程度でした。そこで、1848 年にブラッドフォード市長となった裕福な産業界の実力者、タイタス ソルトが、ブラッドフォードの公害問題削減に乗り出しました。ソルトは、羊毛の洗浄に適した軟水が豊富にある土地を取得しました。西のリバプールと東のハルから等距離にあるという地の利が、輸送にも有利でした。ソルトは自身の構想を実現に導くべく、ブラッドフォードの建築家、ヘンリー ロックウッドとリチャード モーソン、そしてエンジニアのウィリアム フェアベアンに町の設計と建築監督を依頼しました。

工場の建設は 1851 年に始まり、1853 年に開業しました。新しい村には、広い通りに沿って 800 以上の住居が建ち並びました。広々した食堂と台所、風呂場、洗濯場、退職した労働者のための救貧院、病院、診療所、教育施設、教会、そして多くの娯楽施設が建てられ、労働者の食生活改善のために村民のための菜園も造られました。ソルトは自身が雇用する労働者に対して真に思いやりの心を持ち、健康で安全な環境を提供することに成功しました(しかしもちろん、その結果もたらされる経済的効果に気づいていなかったわけではありません)。1876 年にタイタス ソルトがこの世を去ったときには、多くの人が弔意を表しました。彼の死後、3 人の息子が工場を継ぎました。その後村は 1933 年にブラッドフォード プロパティ トラストに売却され、これにより住民は初めて、土地家屋を私有できるようになりました。工場は 1986 年に閉鎖しました。このため多くの建物が余剰となって荒廃し、村全体に悪影響を及ぼしました。村の再生へ向けた最初の一歩は、1984 年に設立されたソルテア ヴィレッジ ソサエティでした。1989 年にはブラッドフォード大都市圏議会とイングリッシュ ヘリテージにより、ソルテアの都市計画が作成されました。

1850 年の当初の計画以来、モデル工業村としてのソルテアは、設計も外観もまったく変わっていません。土地を最大限に活用するため、村は格子状に設計されました。最初に南北を走る通りが、次に東西を走る通りが建設されました。公共の建物や共同で利用する建物のほとんどは、工場へつながるビクトリア通り沿いに建てられています。

1854~1868 年に建てられた家々は、19 世紀の序列的な労働者の家屋の見本です。すべてハンマーで加工した石で作られ、屋根はスレートでできています。各々の家に個別の水道とガスの設備が付いており、トイレは屋外にあります。サイズは、1 階と 2 階それぞれ 2 部屋ずつの典型的な長屋から、管理職向けの庭付きの大きな家までさまざまです。すべて「通り抜け」タイプのため、明かりや風がよく入り、ごみも家の中を通らずに処理することができます。工場は威厳のあるイタリア様式の堂々とした建物です。1854 年に建てられた食堂は、当初は 750 人の子どもたちの教室、病院、寄り合い所、宗教行事の場所(教会など)としても使われ、後にそれぞれ専用の建物が完成するまで多目的に利用されました。村の突き当たりには、ロバーツ公園と呼ばれる 6 ヘクタール(6 万平方メートル)の造園された広場があります。ここには、クリケット競技場、遊歩道、音楽ステージ、軽食堂のほかに、水泳やボート遊びができる川もあります。

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