株式会社オールアバウト
最大の魅力はメールのセキュリティ & アーカイブ。
コスト面での優位性も導入決意の大きなきっかけに。
メールボックスの容量が少なすぎる

「オールアバウトは、インターネットを生業としている企業であるため、メールでのやりとりが非常に多いんです」と話すのは、株式会社オールアバウト IT & デザイン部 ジェネラルマネジャー 藤井 洋介氏。
メールでのコミュニケーションが必要不可欠であるため、"メールボックスの容量を増やす" というミッションは以前より存在していたという。「Google Apps 導入以前は、別のメールサービスを使用し、社内にサーバーを設置していました。しかし、社員 1 人当たりのメールボックスの容量が数百 MB しか用意できなくて、容量をオーバーする場合には、個人でローカルにバックアップするよう強制していましたが、当然パソコンの容量を圧迫することになってしまい、根本的な解決はできないままでした」 (藤井氏)。
また、社内にサーバーがある以上、サーバーを保守・管理する人員が必要になる。「メール環境の保守という意味では、社員は素人。試行錯誤しながらやっていた、という状況でした」 (藤井氏)。
そんな中、オールアバウトは急成長を遂げ社員も倍以上に増えた。このこともメール環境を整備する必要性に拍車をかけた。「社員数がどんどん増えていくなかで、ストレージの領域をその都度増やしていくのは非常に手間がかかりますし大きな投資も必要になります」 (藤井氏)。
万全のコンプライアンス対策を実現
急成長を遂げていたオールアバウトでは、メール環境の問題に加え、コンプライアンス上の問題も浮上した。コンプライアンス対策として、すべてのメールのログを保存しておく必要がでてきたが、Google Apps 導入前の運用ではそれが難しかったという。「これまでの運用方法だと、パソコンに保存されたバックアップメールを削除した場合、サーバーからも削除されていました」 (藤井氏)。
メールボックスの容量とコンプライアンス対応という 2 つの課題を抱えていた藤井氏は、普段から数多く存在するグループウェアのリリース情報をチェックし検討していた。個人的にも Google が提供する多様なサービスに魅力を感じていた藤井氏は、2006 年に Google が Postini を買収したことを記憶していた。
そして、コンプライアンス対応に頭を悩ませていた 2007 年 7 月、藤井氏の目に留まったのが "Postini が Google Apps for Business の標準サービスに" というリリースだった。「Postini のサービスを備えた Gmail なら、社内の問題を一気に解決できる」と直感したという。
Postini の大きな機能は 3 つ。ウィルスやスパムメールをフィルタリングするセキュリティ機能と、特定のメールをブロックするポリシー管理機能。そして企業のコンプライアンスを支援するメールアーカイブ機能。このアーカイブ機能によってすべての送受信メールはサイズの上限なく保存されるので、自社サーバーを用意、運用する必要もない。つまり、これらの機能を利用できる Google Apps を導入することで、念願であったコンプライアンス対応を実現できる。
Gmail の容量は、1 アカウントあたり 25 GB。これによって "メールボックスの容量が足りない" という問題をクリアするとともに、アーカイブ機能によりコンプライアンス対応を実現できる。これらの点がオールアバウトの Google Apps 導入を決定付けることになった。
1/2 のコストダウンを実現
メールボックスの容量とコンプライアンス、2 つの課題をクリアできる Google Apps には、コスト的にも多くの優位性があったという。
まずは、アーカイブ機能を安価で導入できるという点。送受信したすべてのメールを保存するという、コンプライアンス上の問題が浮上した時点で、当然アーカイブサービスの導入は考えたが、他社のアーカイブサービスを単体で入れると高い、というコスト問題があった。しかし、これは Google Apps に標準装備されたメールアーカイブサービスを利用することで解決できる。
そしてアカウント数の問題。「Google Apps は必要に応じて 1 アカウントずつ増やせる。社員数がどんどん増えている状態ですが、その変動を予測するのは困難で、100 や 1000 単位のアカウントがセットになっているメールサービスだと増やすタイミングが難しく、必要のないアカウントが発生した場合は余分な投資になってしまいます」 (藤井氏)。
次に、容量の問題があった。「大きなストレージを抱えようとするとコストが高くなる。例えば、1 人につき 1 GB x 数百人分 + バックアップまで入れたら 1 TB くらいになり、何千万円もしてしまう。これは弊社の事業規模では過大な投資です」 (藤井氏)。また、Google Apps を導入した場合、社内サーバーを必要としないため、メンテナンスなどにかかるコストや手間が削減できる、という利点もあった。「メンテナンスを担当する技術者を育成するよりも、技術者なしで運用できる Google Apps を導入したおかげで、新しい機能やアプリケーションにコストをかけられるようになりました」 (藤井氏)。
「以前のグループウェアと比較すると、単純に 1/2 までコストダウンを実現できました」 (藤井氏)。これが Google Apps 導入の決定打となったことは言うまでもない。
検証期間を経て、導入へ
社内環境へのマッチングなど、基礎的な検証を終えた段階から、本格的な検証作業に約3ヵ月を要したという。「我々のように IT に強い部署の社員はたいていのシステムアプリケーションは使えますが、そうじゃない社員もたくさんいるので、彼らへのサポートを念頭において作業を進めました」 (IT & デザイン室 我妻 悠氏)。
そしていよいよ Google Apps リリースへ。「以前のグループウェアとの切替時には多少の混乱もありましたが、"変えてよかった" と喜ばれています」 (我妻氏)。
社員のビジネススタイルが変わった
Google Apps 導入後、オールアバウトでは、Gmail はもちろんのこと、会議室や、カメラ、プロジェクターなどの共有機材の予約・管理に Google カレンダーを使用している。「Google Apps はどこからでも使える、それが一番素晴らしい点です」 (藤井氏)。外出が多い社員には、携帯電話でも、社外のパソコンでも使える、というのが大きな利点となっているという。「例えば、子供がいて早く帰らなければいけない場合は、自宅でメールを確認できる。これができることで、次の朝、わざわざ早めに出社して、急いでメールをチェックする必要がなくなったんです。これによって社員のビジネススタイルも変わってきましたね。"メールにかかる時間が軽減された" という声もよく聞きます」 (我妻氏)。
Google ツールへの大きな期待
現在、260 のアカウントを保有し社内ツールとして Google サービスを活用しているオールアバウトだが、約 1000 人いるという社外委託の専門家とのコミュニケーションツールとしても Google が提供するサービスを起用することを視野に入れているという。「社外関係者との調整を含め、クリアすべき点は多いですが、ぜひとも導入を検討したいですね」 (藤井氏)。
All About では、Google Apps というグループウェアを活用していく中で、"社外とのコミュニケーション & コラボレーションの活性化" という新たなニーズが生まれてきた。Google はそこでの要望、評価を受け、さらなる進化を遂げていく。このスパイラルこそ、各企業と Google Apps の成長の原動力といえるだろう。