生活協同組合コープさっぽろ
Google Apps の導入により実現した北海道の距離を感じさせない円滑なコミュニケーション
「メールは届いているの?」

'08 年 6 月に日本初となる食品情報の検索機能を搭載した会員向け無料インターネットサービス、「My トドック」をリリースしたコープさっぽろ。Google Apps for ISPs をプラットフォームとする、このシステムを構築していく中で、コープさっぽろでは、いち早く Google Apps の有用性を感じ、「My トドック」のリリーススケジュールより早い段階で社内向けのコミュニケーション&コラボレーションツールである Google Apps for Business の導入を行なっていた。
Google Apps for Business の導入前に利用していた、某国内大手メーカーが提供するグループウェアでは、メールの容量制限によるトラブルが多発していたという。1 アカウントあたりのメール容量が 100MB。添付ファイルはわずか 5MB までという制限があったため、ファイルが重くなるとわざわざ分割しなければ送れない、という煩わしさにはうんざりしていたという。
「設定のせいなのか、イントラでは送信エラーがあってもエラーメールさえ送られないため、送ったつもりが届かない、そのことに自分でも気づかない、というとても困った状況にあったんです」 (コープさっぽろ IT推進室 室長 沖田 秀彰氏)。
1 アカウントあたり 25GB のサーバ容量が割り当てられる Gmail なら、添付ファイルの容量を気にする必要はない。
導入からわずか半年間ということもあり、Gmail 以外の機能については、検証段階にあるというが、それでも Google Apps for Business の利便性を十分に感じているという。
「添付ファイルの容量を気にしなくてよくなったので、ドキュメントに写真を多用できるようになりました。例えば店頭装飾の指示など、写真を使って明確に伝えることができるので、業務効率が格段にアップしました」 (沖田氏)。
現段階では、本部職員のみが、さまざまな試験運用も兼ねて利用している状況だというが、この利便性の高い様々なアプリケーションを組織全体での共有に向け、随時、店舗や宅配センターへの講習を行なっているという。
添付ファイルの容量を気にしなくてもよくなったので、ドキュメントに写真を多様できるようになりました (沖田氏)
どこにいても、コミュニケーションを取り合い、作業のコラボレーションを行うことができる (大見氏)
コミュニケーションの壁をなくす
現在はまだ、Google Apps for Business が持つメール以外の多彩な機能をどう使いこなすかの実験段階にあるというコープさっぽろだが、これまではペーパードキュメントとして管理してきた、社内連絡先リスト、会議室の予約、スケジュールなどの管理については、Google ドキュメントや Google カレンダーでの管理に移行していくことをすでに決めた。
紙主体であったドキュメント管理をデータ化することで、資材コストの削減効果だけでなく、北海道という土地柄、どうしても負担が大きくなる、移動コストの削減へと貢献することに、理事長の大見氏はこの Google Apps for Business に大きな期待をよせている。
「北海道って広いんですよ。東北 6 県分の広さですから。一番遠い根室の店舗から本部がある札幌までの距離は 500km。ほぼ東京から京都までの距離に匹敵するので、学習会や会議をするといっても、毎回全員を呼び寄せていたら、移動コストや CO2 排出も相当なものになってしまうんです」 (コープさっぽろ 理事長 大見 英明氏)。
この距離というコミュニケーションの壁を打破するために、2 ヶ月前からテレビ会議システムを導入しているというコープさっぽろは、その問題の解消のカギとしても、Google Apps for Business の機能に可能性も見出している。
「Google Apps for Business をテレビ会議システムと併せて使うことができれば、本部や店舗にいながら、道内に点在する職員と時間・距離に縛られることなく、かなり濃密なコミュニケーションがとれるので、フェイスtoフェイスでなければならない機会をだいぶ減らすことができます。これにより移動のコストはかなり削減できる。つまり、この 2 つを併用することで、私たちが抱える大きな課題である距離のハンディキャップを解消できるんです」(大見氏)。
クラウド・コンピューティングのメリット
移動の必要性がなくなれば、移動コストはもちろん、時間的なロスもなくなる。
「Gmail、Google カレンダー、Google ドキュメントなどの機能を使いこなせば、わざわざどこかにみんなで集まらなくても、各自のアイドルタイムの中で、個人個人が確認や作業を行なえばいい。長時間の移動をしなくても、伝えたいことが 100% 伝わる、そんな関係が成り立つと思うんです」(大見氏)。
例えば、同じプロジェクトを受け持っている同僚が出張に出てしまった場合、通常ならば連絡を取り合うこともままならなくなり、共同作業は同僚が戻るまでの間ストップすることになってしまう。しかし、Gmail や Google トーク、Google ドキュメントなどを活用すれば、連絡はもちろん、コラボレート作業を継続することが可能になる。
「特にバイヤーは出張が多いので、本部にいるときを狙って連絡を取り合わないとその後数日間音信不通になってしまう。しかも、その日に出したつもりのメールが容量オーバーで届いていないと、その案件については、そのまま数日寝かされてしまう…なんてことも以前はありました」 (沖田氏)。
Google Apps for Business の機能を利用すれば、どこにいても、コミュニケーションを取り合い、作業のコラボレーションを行なうことが可能となる。連絡不通のストレスから開放されるとともに、作業効率をアップすることができるので、「出張中だから連絡が取れない…、作業が進まない…」と慌てることもなくなりそうだ。
取引先との商談にも利用予定
コープさっぽろでは、Google Apps for Business 活用の第一歩として、Google トークの使用を考えているという。
「商品部系の部署では、複数のメンバーとグループチャットができる Google トークを使って、取引先とチャットでの商談を試みようと思っています」 (大見氏)。
これが実現すれば、職員は、本部にいながら取引先とリアルタイムでコミュニケーションすることも可能となる。
有効だからこそ、みんなで使いたい
現在、コープさっぽろでは、Google Apps for Business のアカウントを、正規職員である1,600人に配布しているが、今後は、パート・アルバイトとして業務に従事する約 9,000 人分のアカウントまでも、追加することを検討している。
社内や取引先との密接なコミュニケーションと効率的なコラボレーションを実現できる Google Apps for Business の、コープさっぽろでの高い評価を受けて、東北のコープ東北サンネット事業連合でも Google Apps for Business の導入をともに決めている。
これらの事例は、Google Apps for Business が大規模の組織においても、高いソリューション効果を発揮する、ひとつの証明事例といえるだろう。