株式会社サキコーポレーション
マルチリンガル対応のグローバルな環境が実現。多様化するワークスタイルに対応。
どこからでも使えるグローバルなシステムを

「海外のどの拠点においても、同じように使えるシステム構築が課題となっていました」。株式会社サキコーポレーションのシステム企画グループ・リーダーの新貝文将氏は、そう言って話を切り出した。
サキコーポレーションは、プリント基板の自動外観検査装置の市場において世界第二位のシェアを誇り、その売り上げの 3 分の 2 を海外の事業から得ているというだけあって、アジア、アメリカ、ヨーロッパとグローバルに営業、サービス拠点を構えている。そのため、本社と各拠点間におけるコミュニケーションに電子メールが果たす役割は大きく、ビジネスにおける重要なインフラとなっている。
Google Apps 導入以前、各拠点が利用するメールサーバは、国内大手の電気通信事業者系ISPが提供するメールホスティングサービスを利用して本社から提供していた。
しかし、インターネット接続の安定性が国によって異なり、メールが受信できないなどのトラブルがたびたび起こっていた。「特にひどかったのは中国で、毎日のようにメールが受信できない、送信できないといったトラブルがあり、問い合わせも多くありました」 (新貝氏)。
同社は、同業他社と比べて早い時期から海外展開を積極的に行っており、企業戦略として重要な意味を持っている。どの国のどの拠点でも同じように利用できるシステムを実現することが急務とされていた。
「メールシステムの改善を検討していく中で、当初は自社でサーバを抱えて運営するという選択肢もありました。しかし、私自身、前職の経験からメールサーバーを運用することの難しさが骨身にしみていました。きちんとやるためにはそれなりの投資も必要になるし、運用も非常に大変なものになることは分かっていました。ですから、自社で運用するという選択肢はないと決断しました」(新貝氏)。
そこで同社は、Google Apps と、他社のメールサービスを比較検討することにした。ベンダーから実際に検証環境を用意してもらい、特に中国において、きちんとメールが機能するかを実験してみたのである。すると、Google Apps ではまったく問題なくメールを利用できた一方、他社のサービスではこれまでと同様の問題が発生して課題の解決にならないという結果になったという。
「中国とコミュニケーションするにあたり、確実な接続を確保することは、必ずクリアしなければいけない課題でしたので、Google Apps しかないという状況でした」 (新貝氏)。
Google Apps への切り替え後は、海外事業所からの問い合わせがほぼゼロになりました (新貝氏)
Gmail のように、ネットワークにつながっている環境さえあればアクセスできるのは非常に使い勝手がいい (牧野氏)
多様化するワークスタイルに対応
社内でも Gmail のヘビーユーザーとして知られる、営業グループ マネージャーの牧野裕一氏は、Gmail のメリットをこう語る。「自社のパソコンに依存しない環境に大きなメリットを感じています。会社のパソコンでしか使えないメールサービスですと、急用があった場合に必ず会社に来なければならない。そうでなければ、常にパソコンを持ち歩かなければならないということになり、セキュリティ面において懸念されます。特に、海外拠点では治安の問題があります。鞄にノートパソコンを入れて持ち歩いていると強奪されるような治安レベルの所もありますから。営業マンのリスク、安全性という観点からも、自社のパソコンだけに依存するツールは好ましくありません。そう言う意味で、Gmail のように、インターネットにつながっている環境さえあればアクセスできるというのは理想的だと思います」。この点については、システム企画グループの新貝氏も大きくうなずいている。「品川とお台場にオフィスがあり、よく行き来することがあるのですが、今ではもうパソコンを持っていかなくなりました。現場の空いているパソコンで同じように作業できるからです。パソコンを持ち歩かないということで、セキュリティの面でも、体力的な面でもメリットを感じています」 (新貝氏)。
またシステム企画グループの小島法夫氏は、技術的な視点で着目しているメリットを語ってくれた。「今、少しずつ Google Apps の Provisioning API の活用も始めています。例えば、メーリングリストやグループのエイリアスなども活用しているのですが、メールを送る際、自分が送ろうとしているアドレスに誰が登録されているのか確認したくなることがあります。どんなメンバーが含まれているのか、その場で分かったら便利だなと思い、メーリングリストやグループに誰が含まれているのかを一目で分かるように表示するツールを、Provisioning API を利用して作ってみました。Google Apps は世界的に使われているので、Provisioning API を利用するための便利なフレームワークをたくさん見つけることができます。ですから、すべてを自分で一から開発することなく、公開されたフレームワークを利用して簡単に開発することができます。Google のサービスが世界的に使われていることで、私たちの開発工数を削減できるのも大きなメリットだと感じています。Web API の開発はそれほど難しくないので、これからもどんどん活用していきたいと考えています」 (小島氏)。
最近では、Gmail 以外の機能も、社内で使われ始めてきた。システム企画グループでは、Google トークを使い始めていて、Gmail と併せて利用することのメリットを実感しているという。「Google トークの機能は、全員が使うようになると、さらにメリットが出てきますね。これで、在席状況が一目で分かりますので。システム企画グループでは全員がこの機能を利用しており、出張したメンバーが現地に到着したことなどもすぐに分かります。また、ちょっとした確認や問い合わせは、メールよりもチャットでやり取りしたほうが早い場合もあるので、使い分けるのがいいと考えています」 (新貝氏)。
トラブルの問い合わせがゼロに
Google Apps 導入以前、毎日のように寄せられていたメールに関する問い合わせも、Google Apps の導入後は激減することになった。「Google Apps を導入する前のメールシステムは、いろいろと問題も多く、海外事業所から 1 日に何度も問い合わせが来る状況でした。私たちはそのたびに仕事を中断され、その対応に時間を取られていました。それが Google Apps を導入した後は、海外事業所からの問い合わせがほぼゼロになりました」と語る新貝氏の口調には、トラブル対応から解放された実感がこもっていた。
そうしたメリットに加えて、コストメリットも大きいという。「自社でシステム構築していたらこんな価格では収まりませんし、比較にならない安さだと思います。特に、1 人当たり 25GB というメールボックスのサイズは、このコストを考えると他ではありえないものだと思います」 (新貝氏)。
その新貝氏が注目しているのが、Google Apps に統合される予定の Postini の機能。「今、ウイルスメールやスパムメールへの対策をさらに強化するため Postini の機能に関して調査を進めているところです。Postini では、迷惑メール対策のポリシーを自社で決めることができるので期待しています」 (新貝氏)と、常に新しい技術を取り入れ、社内のビジネス環境を進化させるシステム企画部に、同社の急成長を支える秘密を見た気がした。